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休眠会社とは|税金・申告と12年のみなし解散、合同会社との違い

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最終更新:2026年10月20日

休眠会社とは、登記を残したまま事業を止めている会社のことです。ただし、この言葉には2つの意味があります。1つは実務でいう「事業を休んでいる会社」、もう1つは会社法472条が定める「最後の登記から12年たった株式会社」です。どちらの意味でも、休眠は会社をなくす手続きではないので、法人税の申告は毎年続き、法人住民税の均等割は自治体の扱いによって残ることがあります。後者の株式会社は、法務大臣の官報公告から2か月以内に届出か登記をしないと、解散したものとみなされます。令和8年度は2026年10月15日に公告と通知があり、期限は12月15日です。合同会社には、この12年のみなし解散の規定がありません。この記事では、一人で会社を作った人に向けて、休眠の届出先、休眠中も残る義務、みなし解散、再開の手続きを公式の資料で確かめながら整理します。内容は最終更新日(2026年10月20日)時点の制度で書いています。

休眠会社とは?結論から

休眠会社とは、会社はそのままに事業だけを止めている状態のことで、「税務上の休業」と「会社法上の休眠会社」を分けて考えると迷いません。前者は自分で届け出て始まり、後者は登記が12年止まった株式会社に法務局のほうから通知が来ます。

比べる点 実務でいう休眠(休業) 会社法472条の休眠会社
何を指すか 事業を一時的に止めている会社 株式会社で、その会社に関する登記が最後にあった日から12年を経過したもの
対象の会社 株式会社・合同会社など会社の種類を問わない 株式会社だけ(特例有限会社は含まない)。一般社団法人・一般財団法人は5年
始まり方 会社が税務署・都道府県・市区町村に休業の届出をする 法務大臣が官報に公告し、登記所が会社に通知を出す
放っておくと 申告が止まれば、青色申告の承認の取消しや均等割の決定などにつながる 2か月以内に届出も登記もしなければ、解散したものとみなされる
戻し方 事業再開の届出を出す みなし解散後3年以内なら、株主総会の決議で会社を継続できる

会社法の定義は会社法472条で、対象の範囲は法務省の「休眠会社・休眠一般法人の整理作業について」で確認しました。休業の届出は、会社が自分で「いまは事業をしていない」と知らせるものです。会社法上の休眠会社は、事業をしているかどうかに関係なく、登記の記録が12年動いていないことで決まります。普通に事業を続けていても、役員の変更登記を長く忘れていれば通知の対象になります。

休眠会社の制度・届出・費用(公式で確認した表)

休眠に全国共通の「休眠届」という様式はなく、税務署・都道府県・市区町村のそれぞれに、異動の届出として休業を知らせるのが基本です。2026年10月20日に公式ページを開いて確認した内容を、届出・休眠中の義務・みなし解散の3つに分けてまとめます。

項目 確認できた内容 出典
税務署への届出 異動届出書の対象として、事業年度・納税地・資本金・商号・代表者・事業目的の変更や解散・清算結了などが挙げられている。「休業」は列挙されていない。提出は異動前の納税地の所轄税務署長へ、e-Taxか書面で、添付書類はなし 国税庁 C1-8 異動事項に関する届出
市区町村への届出(例:鹿児島市) 休業するときは法人等異動届出書で休業を届け出る。再開するときも同じ届出書で事業再開を届け出る 鹿児島市 よくある質問
法人税の申告 内国法人は、各事業年度終了の日の翌日から2か月以内に確定申告書を出す。休業中を除く規定はない 法人税法74条
青色申告 確定申告書を提出期限までに出さなかったことは、税務署長が青色申告の承認を取り消せる事由の1つ 法人税法127条1項4号
消費税の申告 課税事業者でも、国内の課税資産の譲渡等と特定課税仕入れがなく、納める消費税額もない課税期間は確定申告書の提出が要らない 消費税法45条1項ただし書
均等割の考え方 都内に事務所等を有することが法人都民税の課税要件。利益が出ていることは要件ではない。赤字決算でも申告と納付が必要 東京都主税局 Q&A(法人都民税Q4)・地方税法24条

均等割の扱いは自治体で違います。那覇市は、事業を完全に止めている休業中なら均等割の支払いは要らないとしつつ、異動届で休業を届け出たうえで毎事業年度の申告書は出すよう求め、調査などで活動が確認されれば課税される場合があると書いています(那覇市 法人住民税の均等割について)。一方、東京都の行政不服審査会の平成30年度の答申では、異動届出書と現況説明書で休業を届け出ていた会社でも、自宅の一室を事務所として残し、売上や販売費及び一般管理費を計上していたことから事務所等があると判断され、均等割の決定は違法でも不当でもないとして審査請求は棄却すべきとされました(東京都行政不服審査会 答申)。届出を出したかどうかより、事務所と事業の実態が残っているかで判断される、と読めます。

会社法の12年ルールは、毎年の整理作業として動いています。令和8年度の日程と、復活(継続)にかかる費用は次のとおりです。

項目 確認できた内容 出典
公告と通知 2026年10月15日、12年以上登記がない株式会社などに法務大臣が官報公告し、同日付けで管轄登記所から通知書を発送 法務省 令和8年度の休眠会社等の整理作業
期限 2026年12月15日までに必要な登記(役員変更等)の申請か、「まだ事業を廃止していない」旨の届出をする。しなければ12月16日付けで解散したものとみなされ、登記官が職権で解散の登記をする
届出をしても残ること 本来の時期に登記を怠った事実は消えず、裁判所から100万円以下の過料に処せられる。届出だけで必要な登記をしなければ、翌年度も整理作業の対象になる。通知書が届かなくても対象なら届出が要る
毎年行うこと 平成26年度以降、毎年実施。届出は通知書の下段の届出書に書いて登記所へ送付か持参。代理人なら委任状を添付 法務省 整理作業について
継続(復活) みなし解散後3年以内に限り、株主総会の決議で会社を継続できる(法務省の案内では特別決議)。継続の決議から2週間以内に継続の登記を申請 会社法473条・法務省
登録免許税 会社の継続の登記は1件3万円。役員に関する事項の変更の登記は1件3万円(資本金1億円以下の会社は1万円) 登録免許税法 別表第一24号(一)・国税庁 No.7191

12年という長さの理由は、法務省のページには書かれていません。会社法332条で、公開会社でない株式会社の取締役の任期は定款で最長10年まで延ばせるので、事業が動いている株式会社なら12年のうちに一度は役員の登記が入るはず、と読むことはできます。これはぼくの読み方で、法務省の説明ではありません。

休眠させる手順と事業を再開する手順

休眠は「届け出て止める」「止めている間も出すものを出す」「再開したら届け出る」の3段で進めます。順番を間違えると、休んでいるつもりの期間に申告漏れや登記の放置が積み上がります。

  1. 止めるものを決める:取引・役員報酬・事務所のうち、何を止めて何を残すかを先に決めます。均等割の扱いは事務所等の実態で判断されることがあるので、事務所を残すかどうかが分かれ目になります
  2. 税務署に届け出る:国税庁の異動届出書の案内に「休業」の項目はないため、書き方は所轄の税務署に確認します。給与の支払いをやめる場合の届出の要否も、同じときに聞いておくと手戻りがありません
  3. 都道府県・市区町村に届け出る:様式も均等割の扱いも自治体ごとです。鹿児島市のように法人等異動届出書を使う自治体もあります。東京都23区の会社は、都税事務所が市町村分もあわせて扱います
  4. 休眠中も毎年やる:決算日から2か月以内に法人税・地方税の申告書を出します。株式会社は、役員の任期が来たら、同じ人が続ける重任でも役員変更の登記をします(名古屋法務局「役員の登記を申請される事業主様へ」)。登記が入り続けていれば、12年の通知の対象になりません
  5. 通知が来たら:株式会社で12年の通知が届いたら、期限までに必要な登記か「まだ事業を廃止していない」旨の届出をします。登記を怠っていたなら、届出だけでは翌年も対象のままです
  6. 再開するとき:税務署・都道府県・市区町村に事業再開を届け出ます。みなし解散の登記がされていたら、3年以内に継続の決議と継続の登記をします

休眠中の申告書の期限は、決算月から逆算するのがいちばん確実です。期限の数え方は「法人の確定申告の期限」に、登記が最後にいつ入ったかの確かめ方は「履歴事項全部証明書と登記簿謄本の違い」に書いています。

個人事業主・一人法人の判断ポイント

一人法人が休眠を考えるときの判断は、「休ませるか、たたむか」より先に「休ませている間に毎年いくら、何の手間が残るか」を数えることです。個人事業主と一人法人では、休むときに残るものがまったく違います。

比べる点 個人事業主 一人法人(合同会社) 一人法人(株式会社)
休むときの届出 国税庁の手続は事業の開始・廃止などの届出(個人事業の開業・廃業等届出書) 税務署・都道府県・市区町村に休業を届け出る(様式は自治体ごと) 合同会社と同じ
休んでいる間の申告 この記事の対象外(所得税の申告の要否で決まる) 法人税の確定申告は毎事業年度 合同会社と同じ
法人住民税の均等割 法人住民税はない 事務所等の実態と自治体の扱いで決まる 合同会社と同じ
12年のみなし解散 法人ではないので関係しない 会社法472条の対象外 最後の登記から12年で通知の対象
休眠中の登記 なし 取締役の任期を定めた会社法332条は株式会社の規定なので、任期満了ごとの登記はない(定款で任期を決めた場合は別) 役員の任期ごとに変更登記(重任でも必要)

個人事業主の開業・廃業の届出は国税庁 A1-5で、合同会社などの持分会社の解散の事由は会社法641条で確認しました。641条の解散の事由に、12年のみなし解散は入っていません。合同会社と株式会社の違い全体は「合同会社と株式会社の違い」で比べています。

ぼくの会社は一人で作った合同会社なので、この12年の通知の対象ではありません。ただ、対象外でも安心はできません。「一人で法人を作るということ」に書いたとおり、法人は赤字でも均等割が毎年かかり、東京都23区なら最低でも年7万円です(区分の表は「法人住民税の均等割」)。同じ記事に書いた税理士の顧問料は月2万円です。休眠を考える人は、この2つに相当する額が、事業を止めても残るかどうかを先に確かめてください。

判断の順番は3つです。

  1. 1年あたりの維持費を書き出す:均等割(自治体の扱い次第)、申告を頼むなら税理士の費用、株式会社なら役員の変更登記の登録免許税。役員報酬を止めるなら、社会保険の手続きが要るかも年金事務所に確認します(「社会保険の新規適用届」)
  2. 再開の見込みを決める:戻るつもりがあるなら休眠、戻らないなら解散・清算のほうが毎年の申告が終わります。どちらが安いかは、再開までの年数で変わります
  3. 休眠中の担当を決める:申告書を誰が、何月に出すかを決めてカレンダーに入れます。事業を止めると会社のことを考える時間も止まるので、期限だけは自動で思い出す仕組みにしておきます

休眠会社でよくある間違いと注意点

休眠会社でいちばん多い間違いは、「休業届を出したから、もう何も出さなくていい」と考えることです。休業の届出は会社の状態を知らせるだけで、法人税法の申告の義務も、会社法の登記の義務も外しません。

  • 休眠中は申告しない:法人税法74条の確定申告は休業中も毎事業年度です。期限内に出さなければ青色申告の承認を取り消せる事由になり、赤字を翌期以降に生かす欠損金の繰越控除も、確定申告書を続けて出していることが条件です(「欠損金の繰越控除」)
  • 届出を出せば均等割は必ずゼロになると思う:那覇市のように完全な休業なら要らないとする自治体もあれば、東京都の答申のように事務所と事業の実態があれば課税されると判断された例もあります。自分の自治体の扱いを窓口で確認します
  • 株式会社なのに役員の登記を放置する:名古屋法務局は、任期満了などによる役員変更登記は本店所在地の法務局にしなければならず、怠ると過料の対象になる場合があると案内しています。役員が同じ人のままでも重任の登記をします。登記のない状態が12年続くと、みなし解散の通知が来ます
  • 通知に届出だけで答えて終わる:法務省は、届出をしても必要な登記をしなければ翌年度も対象になり、登記を怠った事実は消えず100万円以下の過料に処せられるとしています
  • みなし解散後いつでも戻せると思う:継続できるのは、みなし解散の後3年以内に限られます
  • 休眠会社の売買を気軽に考える:法務省は整理作業の理由の1つに、休眠会社が売買などで犯罪の手段とされかねないことを挙げています。この記事では、休眠会社の売買は扱いません

この記事は最終更新日時点の制度で書いています。整理作業の日程は年度ごとに変わり、均等割の扱いは自治体ごとに違うので、手続きの前に出典のページと自治体の窓口で最新の内容を確認してください。個別の判断(自分の会社がどうするか)は、税理士・司法書士・社労士に確認してください。相談先の選び方は「いい税理士とは何か」に書いています。

休眠会社に関するよくある質問

休眠会社について、検索で一緒に調べられている「税金」「申告」「復活」「合同会社」の疑問に、公式の資料で確認できた範囲で答えます。

休眠会社にも税金はかかりますか?

法人税は所得がなければかかりませんが、法人住民税の均等割は自治体の扱いで残ることがあります。那覇市は完全な休業なら均等割の支払いは要らないとしていますが、東京都の答申では、休業を届け出ていても事務所と事業の実態があるとして均等割が課された例があります。課税事業者でも、課税売上げがなく納める消費税額もない課税期間は、消費税の申告書を出さなくてかまいません。

休眠会社でも法人税の申告は必要ですか?

必要です。法人税法74条は、内国法人に各事業年度終了の日の翌日から2か月以内の確定申告書の提出を求めていて、休業中を除く規定はありません。期限内に出さなかったことは、青色申告の承認を取り消せる事由の1つにもなります。自治体の住民税も、那覇市のように休業中でも毎事業年度の申告書を求めるところがあります。

休眠会社を復活させる費用と手続きは?

休業を届け出ていただけなら、税務署・都道府県・市区町村に事業再開を届け出ます。株式会社が12年のみなし解散の登記をされていたら、3年以内に株主総会の決議で継続を決め、2週間以内に継続の登記を申請します。継続の登記の登録免許税は1件3万円で、役員の登記も要るなら資本金1億円以下の会社で1件1万円が加わります。

合同会社にもみなし解散はありますか?

ありません。会社法472条の休眠会社は株式会社に限った規定で、合同会社などの持分会社の解散の事由を定めた会社法641条に、12年のみなし解散は入っていません。ただし、合同会社でも休眠中の法人税の申告は毎年必要で、均等割は自治体の扱いで残ることがあります。

おわりに──休眠は「止める手続き」ではなく「止めたまま出し続ける約束」

会社を休ませても、会社は休みません。申告の期限は毎年来ますし、株式会社なら登記の期限も来ます。休眠とは事業を止めることで、会社の義務を止めることではありません。

決めることは1つだけです。休ませている間の申告と登記を、誰が何月にやるか。それを決めてカレンダーに入れられないなら、休眠ではなく解散・清算を税理士や司法書士と比べてください。

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