会社の設立書類を作っていて、いちばん手が止まるのが「本店所在地」の欄です。ここに書いた住所は登記簿に載り、登記簿は誰でも取得できます。つまり自宅で登記するというのは、自宅の住所を、誰でも見られる場所に置くということです。ぼくが40歳でtiny合同会社を作ったときも、ここで数日止まりました。GMOオフィスサポートは、その回避策としていちばん名前が挙がるバーチャルオフィスのひとつです。
ただし、ひとつだけ先に書いておきます。いちばん安い月660円のプランでは、法人登記はできません。ここを知らずに申し込む人が本当に多いところなので、最初に潰しておきます。
GMOオフィスサポートとは、月660円から事業用の住所を借りられるバーチャルオフィス
GMOオフィスサポートとは、GMOインターネットグループが運営するバーチャルオフィスサービスです。事務所を借りずに事業用の住所だけを借りる仕組みで、公式サイトによると入会金・デポジットは0円、拠点は全国22か所(札幌、東京13か所、横浜、名古屋、大阪2か所、京都、神戸、福岡2か所)と掲載されています。
使い道は3つです。登記簿に載せる本店所在地、名刺やウェブサイトに書く住所、そして郵便物の受け取り先。この3つを自宅から切り離すために借ります。
プランと料金(2026年7月時点)
公式サイトに掲載されている月額と、登記の可否をまとめます。ここが記事のいちばん大事なところです。
| プラン | 月額 | 法人登記 | 郵便物の受け取り |
|---|---|---|---|
| 転送なし | 660円 | 不可 | 不可 |
| 月1転送 | 1,650円 | 可 | 可 |
| 隔週転送 | 2,200円 | 可 | 可 |
| 週1転送 | 2,750円 | 可 | 可 |
比較サイトで「月660円から」と書かれているのを見て申し込むと、登記に使えなくて詰みます。会社を作った人が選ぶべきなのは、実質的に月1,650円の月1転送プラン以上です。初期費用は0円なので、初年度のコストは年2万円弱と考えておけば読み違えません。
なお公式サイトでは、基本料金の6か月分が無料になるキャンペーンが案内されていました(2026年6月1日から7月31日まで)。この手のキャンペーンは時期で入れ替わるので、実際の条件は申し込み前に公式サイトで確認してください。
→ プランと拠点の一覧を見てみる(入会金0円・登記するなら月1転送プラン以上):GMOオフィスサポート
そもそも、自宅で登記すると何が起きるのか
登記簿は誰でも取得できる公開情報です。手数料を払えば、あなたの会社の本店所在地を第三者が見られます。それに、会社を作ると次のような場面で住所を書くことになります。
- 名刺・請求書・契約書
- ウェブサイトの特定商取引法に基づく表記(オンラインで何かを売る場合)
- 取引先の与信審査や口座開設の書類
ぼくが独立したときにいちばん実感が湧かなかったのが、この「自分の住所が事業の住所になる」という感覚でした。実際に困ったのは、思っていたより地味なところです。ダイレクトメールと営業電話が増える。それから、賃貸だと契約上、事業所として使えるかどうかが微妙な物件があります。持ち家でも、家族が同じ住所を共有していることの意味は考えておいたほうがいい。
ここに月1,650円の価値があるかどうかは、人によります。ただ、あとから本店所在地を変えると、法務局への変更登記が必要になり、登録免許税がかかります。名刺も請求書もウェブサイトも直すことになる。だから、変えるコストを考えると、最初に決めておくほうが安いという判断になりやすいです。
バーチャルオフィスを選ぶときに見るところは3つ
価格だけで選ぶと外します。ぼくが見るなら、この順番です。
1. 登記に使えるか
最優先です。住所の利用だけで登記に使えないプランは、法人には意味がありません。GMOオフィスサポートなら月1転送プラン以上を選ぶ、という話がそのままこれです。
2. 郵便物がどう届くか
ここが実務でいちばん効きます。法人には、税務署・都道府県・年金事務所から紙の通知が届きます。期限のある書類が紙で来るのに、転送が月1回だと、届いたときには締め切りが近いということが起こり得ます。ぼくなら、書類の量が読めない1年目は隔週転送にして、慣れたら月1に落とします。差額は月550円です。
3. 住所の見え方
取引先が住所を検索することはあります。同じ住所に何百社もあると分かる状態を気にする人もいるので、そこが気になる商売なら、拠点の選び方まで含めて考えることになります。GMOインターネットグループが運営という点は、この文脈では安心材料として働きます。
→ 拠点と転送頻度を見比べる(全国22拠点・入会金0円):GMOオフィスサポート
住所を決めるのは、登記の前です
順番を間違えると高くつくので、ここははっきり書きます。本店所在地はいったん登記してしまうと、変えるのに変更登記と登録免許税がかかります。だから住所を借りるかどうかは、設立書類を作る段階、つまり定款に本店所在地を書く前に決めておくのが正解です。
実務としては、こうなります。バーチャルオフィスに申し込んで住所と利用開始日を確定させ、その住所で設立書類を作り、登記する。逆に、とりあえず自宅で登記して落ち着いてから変えよう、と考えると、変更登記の費用と、名刺・請求書・ウェブサイトの直しが後からまとめて来ます。
ぼくはこの順番を、独立の準備をしていた頃に誰からも教わりませんでした。会社の作り方を書いた記事はたくさんあるのに、「どの判断を、どの順番でやるか」を書いたものが少ない。設立の手続きそのものより、順番のほうが効きます。
バーチャルオフィスの住所で、法人口座は作れるのか
結論から書くと、作れないわけではありませんが、自宅や実際の事務所より審査は丁寧になります。これは金融機関側が、実体のない会社の口座開設を警戒しているためで、バーチャルオフィスそのものが禁止されているという話ではありません。
だから対策は、住所を変えることではなく事業の実体を示せるものを揃えておくことです。ウェブサイト、事業内容が分かる資料、取引先との契約書や請求書の実績、そして代表者の経歴。ぼくが口座を作ったときも、聞かれたのは住所ではなく「何の仕事で、誰からお金をもらうのか」でした。
金融機関ごとに基準は違うので、心配なら口座を開きたい金融機関に先に確認するのがいちばん早いです。ここも順番の話で、住所を決める前に、口座を開く先の目星をつけておくと手戻りがありません。
GMOオフィスサポートを使わなくていい人
除外条件を書きます。
- すでに事務所や店舗を借りている人。当然ですが要りません
- 自宅の住所が公開されても気にならない人。ぼくの周りにも一定数います。無理に払う必要はありません
- 実際に人と会う場所も欲しい人。会議室や面談スペースが要るなら、そこが使えるタイプのバーチャルオフィスを選んだほうが結果的に安く済みます
- 許認可が必要な業種の人。人材紹介や古物商など、事業所の実体を求められる業種はバーチャルオフィスでは要件を満たせないことがあります。ここは必ず所管の窓口に確認してください
最後のひとつは、安さで選んで一番痛い目を見るところです。許認可が絡む商売なら、住所を決める前に確認する。これは順番の問題で、あとから気づくと登記のやり直しになります。
住所・電話・口座は、同じ日に片づける
登記が終わったあと、ぼくがもう一度やるなら、この3つを同じ日に並べます。住所を借りて、仕事用の電話番号を用意して、事業用の銀行口座を開ける。全部「自分と事業を切り離す」という同じ目的の作業だからです。
順番としては住所が先です。銀行口座の開設でも、事業の実体を確認されるときに住所は見られますし、名刺を刷るのも住所が決まってからになります。会社を作った勢いが残っているうちに、まとめて終わらせてしまうのが結局いちばん楽でした。
→ 会社を作る手順そのものは「一人で合同会社を設立したら、驚くほど簡単だった」に、ぼくが踏んだ順番で書いています。住所以外の準備も含めた全体像は「マーケターが独立・開業前にやることリスト」にまとめました。
よくある質問
月660円のプランで登記はできますか
できません。公式サイトでは、転送なしプラン(月660円)は法人登記も郵便物の受け取りも不可と案内されています。登記に使うなら月1転送プラン(月1,650円)以上が必要です。
初期費用はかかりますか
公式サイトでは入会金0円・デポジット0円と掲載されています。初月から月額だけで始められる設計です。
あとから住所を変えることはできますか
できますが、本店所在地を変えると変更登記が必要になり、登録免許税がかかります。名刺・請求書・ウェブサイトの修正もついてきます。だから、変えられるけれど安くはない、という理解でいたほうがいいです。
他のバーチャルオフィスと比べてどうですか
月額の安さだけなら、もっと安い選択肢もあります。GMOオフィスサポートの強みは、登記対応プランの価格帯と、全国22拠点という選択肢の広さ、それに大手グループが運営しているという安心感です。銀行口座やドメインを同じグループで揃えたい人にも向いています。
おわりに
会社を作るときに悩む「本店所在地」は、実は自分の暮らしをどこまで事業に差し出すかという話です。ぼくは独立してから、自宅と仕事の境界を守ることの大事さを、後になってから学びました。守るのは気持ちの問題ではなく、続けるための実務です。
月1,650円で、登記簿に自宅を載せずに済む。会社を作った直後の判断としては、かなり分かりやすい部類だと思っています。
→ 登記に使えるプランを見てみる:GMOオフィスサポート
この記事の情報は2026年7月時点で公式サイトを確認したものです。料金・プラン・拠点・キャンペーンは変わることがあるので、申し込み前に公式サイトで最新を確認してください。