会社の設立書類ができあがった直後に、まず来るのがこれです。「で、税理士はどうするんだろう」。ぼくが40歳でtiny合同会社を作ったとき、いちばん後回しにして、いちばん後悔したのがこの一手でした。結論から書くと、法人は作った瞬間から税務のスケジュールが動き出すので、税理士探しは決算前ではなく設立直後にやるのが正解です。税理士ドットコムは、その探し方をいちばん摩擦なく始められる入口でした。
ぼく自身は知り合いの紹介で今の税理士にたどり着いたので、このサービスで紹介を受けた体験があるわけではありません。ここに書くのは、一人法人を数年やってきた側の実感と、仕組みを調べて分かったことです。
税理士ドットコムとは、条件を伝えると税理士を紹介してくれる無料のマッチングサービス
税理士ドットコムとは、地域・予算・相談したい内容を伝えると、コーディネーターが条件に合う税理士を紹介してくれるサービスです。運営は、弁護士ドットコムやクラウドサインを手がける弁護士ドットコム株式会社。公式サイトによると登録税理士数は7,506人、累計実績は464,286件と掲載されています(2026年7月時点)。
使う側の費用はかかりません。公式サイトにも「ご利用無料」と明記されています。紹介された税理士と面談して、納得したうえで契約するかどうかを決める流れで、断るのは自由、何人でも紹介してもらえると案内されています。
→ 条件を伝えるところから始める(相談は無料・最短で当日中に紹介):税理士ドットコム
なぜ無料で使えるのか(お金の流れを先に開示します)
ここを飛ばして勧める記事が多いので、先に書きます。この種のマッチングサービスは、紹介が成立したときに税理士側が運営会社に手数料を払うモデルです。だから探す側は無料で使えます。手数料の料率は公表されていないので断定はしませんが、構造としてはそういうものだと理解しておいたほうがいい。
この構造から読み取れることは2つあります。ひとつは、コーディネーターは「契約が決まること」で価値が生まれる立場にいるということ。だから話は前に進みやすい代わりに、こちらが迷っている状態のまま止まるのは相手にとって望ましくありません。もうひとつは、登録している税理士は、手数料を払ってでも新規の顧問先が欲しい事務所であるということ。これは悪い意味ではなくて、独立したばかりの小さな会社を相手にしてくれる可能性が高い、という意味です。
ぼくは広告の側で13年、代理店のインセンティブがどう提案を歪めるかを内側から見てきました。だから誰がどこでお金を得ているかを先に把握してから使う、というのを癖にしています。この仕組みを知ったうえで使えば、税理士ドットコムは十分に有効な道具です。知らずに使うと、勧められるままに1人目と契約して終わります。
設立直後に税理士を探しておいたほうがいい理由
法人は、作った時点で締め切りが動き始めるからです。設立の届出、給与を出すなら源泉徴収の手続き、消費税をどう扱うかの選択、そして事業年度が終われば決算と法人税の申告。このうちいくつかは、あとから相談しても取り返しがつきません。
ぼくが実際にやってしまったのは、最初の期の途中まで自分で帳簿をつけて、決算の直前に慌てて税理士を探したことです。そのとき言われたのが「もう少し早く来ていれば、選べた選択肢がありました」でした。あの一言は今でも覚えています。節税というのは決算後に計算する作業ではなく、期の初めに設計する作業だと、そこで理解しました。
だから順番としては、設立登記が終わったら、住所・電話・銀行口座と同じ列に「税理士に会う」を置くのが正しいです。契約するかどうかは後で決めればいい。会って話すこと自体が、自分の会社の数字を言語化する練習になります。
相談から契約までの流れ
| ステップ | やること |
|---|---|
| 1. 問い合わせ | フォームか電話で、地域・業種・売上規模・相談したいことを伝える |
| 2. ヒアリング | コーディネーターが条件を整理する。公式では最短で当日中に紹介と案内 |
| 3. 面談 | 紹介された税理士と会って話す。合わなければ別の人を紹介してもらえる |
| 4. 契約 | 納得したうえで契約。断るのは自由 |
この流れで大事なのは、1人目で決めないことです。何人でも紹介してもらえると案内されている以上、最低2人は会ったほうがいい。同じ会社の話をしても、税理士によって返ってくる答えの解像度がまるで違います。比べて初めて、その差が見えます。
問い合わせる前に、決めておくと話が早いこと
コーディネーターに丸投げすると、返ってくるのは平均的な提案です。次の4つを先に決めておくと、紹介の精度が上がります。
- 法人か個人事業か、年間の売上見込みはいくらか:これで想定される顧問料のレンジが決まります
- 会って話したいのか、チャットで完結したいのか:訪問前提の事務所とオンライン完結の事務所では、料金も相性もまったく違います
- 記帳を自分でやるのか、丸投げしたいのか:ここが顧問料のいちばん大きな変数です
- 使っている会計ソフト:freeeとマネーフォワードのどちらに慣れているかは、必ず聞かれます
この4つに答えられない状態で問い合わせても悪くはありませんが、そのぶんヒアリングが長くなります。逆に、この4つを1分で言えるなら、紹介される候補の質が一段変わります。
→ 条件が固まったら、無料相談から(何人でも紹介可・断るのは自由):税理士ドットコム
顧問料は何で決まるのか(面談で必ず確認すること)
顧問料に定価はありません。事務所ごとに設計が違うので、金額だけを並べても比較になりません。見るべきは、その金額に何が含まれているかです。面談では、この4つを必ず確認してください。
| 変数 | 確認すること |
|---|---|
| 記帳をどちらがやるか | 自分で会計ソフトに入力するのか、領収書を丸ごと渡すのか。ここが金額のいちばん大きな差になります |
| 決算料は別か込みか | 月額とは別に決算・申告の料金がかかる事務所が多いです。年間の合計で聞くのが正解です |
| 連絡の手段と頻度 | 訪問が前提か、チャットで随時か。相性の問題であり、料金の差でもあります |
| 年末調整や給与計算 | 役員報酬を出す法人なら必ず発生します。含まれるかどうかで実質の金額が変わります |
ぼくが一人法人をやってきて思うのは、月額の安さで選ぶと、結局は自分の作業時間で払うことになるということです。記帳を自分でやれば安くなりますが、その時間は本業から引かれています。マーケターとしての1時間の価値を自分で計算してみると、どこまで外に出すべきかの線が見えます。
これは広告の仕事の見積もりとまったく同じ構造です。安い提案は、たいてい誰かの時間が抜けているだけ。抜けているのが自分の時間なら、それは値引きではありません。
税理士ドットコムを使わなくていい人
正直に除外条件を書きます。
- 信頼できる税理士をすでに知り合いから紹介されている人。紹介の質という点では、人づての紹介にかなうものはありません。ぼくもそれで決めました
- 売上がまだ立っていない人。顧問料は固定費です。最初の売上より先に固定費を作る必要はありません
- とにかく安く丸投げしたいだけの人。比較して選ぶより、低価格を明示している事務所を直接探したほうが早いです
- 自分で決算まで完結させる覚悟がある個人事業の人。個人の確定申告なら、会計ソフトだけで十分に回せます
逆に、法人を作った直後で、相場も判断軸も分からず、誰に何を聞けばいいかも分からないという状態には、いちばん向いています。それは数年前のぼくのことでもあります。
税理士選びの判断軸は、料金ではありません
紹介サービスを使うと、どうしても月額いくらの比較になります。でも、ぼくが数年やってきて思うのは、いい税理士かどうかは「こちらの質問に、税務以外の言葉で答えてくれるか」で分かるということです。
この経費は落ちますか、という質問に「落ちます」「落ちません」だけを返す人と、「落ちますが、その使い方だと来期に効いてくるので、順番を変えたほうがいいです」と返す人がいます。同じ資格を持っていても、事業の側に立って考えているかどうかで、こうも違う。月々の差額が数千円なら、ぼくは後者を選びます。
→ 見分け方をもっと具体的に知りたい人は「いい税理士とは何か|独立前に知っておきたい、見分け方と探し方」を先に読んでください。この記事より、判断軸の話はそちらに厚く書いています。独立準備の全体像は「マーケターが独立・開業前にやることリスト」にまとめました。
よくある質問
紹介された税理士を断ると、気まずくなりませんか
公式サイトでは、断るのは自由で、何人でも紹介できると案内されています。むしろ、合わないまま契約して1年後に変えるほうが、双方にとって面倒です。合わなければ次を頼む、で問題ありません。
本当に無料ですか。あとから請求は来ませんか
公式サイトには利用無料と明記されています。費用が発生するのは、紹介された税理士と契約したあとの顧問料や申告料からです。その金額は税理士との契約内容で決まるので、面談時に必ず内訳まで確認してください。
地方でも紹介してもらえますか
登録税理士数は7,506人と掲載されており、全国の税理士が対象です。ただし地域によって候補の厚みは変わります。オンライン面談で対応する事務所も増えているので、地域を絞りすぎないほうが選択肢は広がります。
会社を作る前に相談してもいいですか
むしろそのほうが早いです。個人事業のままでいくか法人にするか、どのタイミングで法人化するかは税務の判断が大きく関わります。設立前に一度話しておくと、設立の設計そのものが変わることがあります。
おわりに
会社を作った直後は、やることが多すぎて、税理士探しは「もう少し落ち着いてから」に見えます。でも落ち着く頃には、選べたはずの選択肢が減っています。ぼくが決算直前に言われた「もう少し早く来ていれば」を、同じ場所で聞かなくて済むように書きました。
契約しなくてもいいので、まず何人かに会ってみる。それだけで、自分の会社の数字を人に説明する言葉が生まれます。ぼくにとってはそれが、独立してから最初に手に入れた実務の武器でした。
→ まず1人目に会ってみる:税理士ドットコム
この記事の情報は2026年7月時点で公式サイトを確認したものです。登録税理士数や実績件数、サービス内容は変わることがあるので、申し込み前に公式サイトで最新を確認してください。