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合同会社と株式会社の違い|一人で作るならどっち?費用・税金・相続

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最終更新:2026年10月19日

合同会社と株式会社の違いは、ひとことで言えば「出資する人と経営する人が同じ前提の会社か、分かれる前提の会社か」です。定款認証の有無、設立時の登録免許税、役員の任期、決算公告の義務といった手続きの差は、すべてこの前提から出てきます。一方で、法人税の税率は会社の種類で変わらず、税金は同じルールで計算します。この記事は、40歳でtiny合同会社を一人で作ったぼくが、これから一人で会社を作る人に向けて、会社法と公式ページで確認できた範囲で違いを整理したものです。内容は最終更新日時点の制度にもとづいています。

合同会社と株式会社の違いとは?結論から

合同会社は出資者(社員)がそのまま経営者になる会社で、株式会社は出資者(株主)と経営者(取締役)を分けて考える会社です。一人で作るなら、出資者も経営者も自分なので、日々の経営での差はほとんど出ません。差が出るのは、設立の費用と、設立後に毎年・数年ごとに発生する手続きです。要点を表にまとめます。

項目 合同会社 株式会社
出資者と経営者 出資した社員が業務を執行する(会社法590条) 株主と取締役を分ける。取締役は1人でもよい(会社法326条)
出資者の責任 社員全員が有限責任(会社法576条4項) 株主の責任は株式の引受価額まで(会社法104条)
定款の公証人認証 不要 必要(会社法30条)
設立の登録免許税 資本金の0.7%。6万円未満なら6万円 資本金の0.7%。15万円未満なら15万円
役員の任期 会社法に任期の定めがない 取締役は原則2年。非公開会社は定款で10年まで延ばせる(会社法332条)
決算公告 会社法に義務の定めがない 毎年の貸借対照表の公告が義務(会社法440条)
利益の分け方 定款で自由に決められる。定めがなければ出資額に応じる(会社法622条) 持っている株式の数に応じる
代表者の名前 代表社員 代表取締役
法人税 どちらも同じ税率表で計算する(区分は資本金の額などで決まる)

表の条文はe-Gov法令検索の会社法で確認しました。覚えておくのは2つだけで十分です。設立のときにかかるお金は合同会社のほうが少なく、設立後の定期的な手続きも合同会社のほうが少ない。そして、税金の計算は変わらない。

制度・要件・費用の違い(会社法と公式ページで確認)

設立時の法定費用は、合同会社なら最低6万円、株式会社なら最低18万円に謄本代を足した額で、差の大部分は登録免許税の最低額と定款認証の手数料から生まれます。どちらも、定款を紙で作ると収入印紙4万円が上乗せされます。費目ごとに並べます。

費目 合同会社 株式会社 確認した公式ページ
登録免許税(設立登記) 資本金×0.7%(最低6万円) 資本金×0.7%(最低15万円) 国税庁 No.7191 登録免許税の税額表
定款認証の手数料 不要 資本金100万円未満は3万円、100万円以上300万円未満は4万円、それ以外は5万円 日本公証人連合会 定款認証
定款の謄本手数料 不要 1枚250円 同上
収入印紙(紙の定款) 4万円 4万円 国税庁 No.7141 印紙税額の一覧表
収入印紙(電子定款) 不要 不要 日本公証人連合会 定款認証/国税庁 質疑応答事例(電磁的記録の印紙税)

例として、資本金50万円で電子定款を使う場合を計算します(架空の例です)。合同会社は、50万円×0.7%=3,500円が最低額に届かないので、登録免許税6万円だけです。株式会社は、登録免許税が最低額の15万円、定款認証の手数料が3万円で、合計18万円に謄本代が加わります。同じ資本金でも、法定費用だけで12万円以上の差がつきます。

設立後の手続きにも差があります。株式会社は、取締役の任期が来るたびに、同じ人が続ける場合でも2週間以内に役員変更の登記が必要で(会社法332条・915条)、その登録免許税は資本金1億円以下の会社で1件1万円です(国税庁 No.7191)。毎年の決算公告も義務です(会社法440条)。合同会社には、会社法上この2つにあたる定めがありません。

税金は同じです。国税庁 No.5759 法人税の税率の表は「普通法人」「協同組合等」「公益法人等」といった区分と資本金の額で分かれていて、株式会社か合同会社かで分ける欄はありません。資本金1億円以下の普通法人なら、年800万円以下の所得の部分が15%(2027年3月31日までに開始する事業年度の特例)、超える部分が23.2%です。2026年4月1日以後に開始する事業年度からは防衛特別法人税も加わりますが、これも会社の形では分かれません(計算は法人税の計算にまとめました)。サジェストに出てくる「合同会社のほうが税金が安い」は、少なくとも法人税の税率の上では成り立ちません。

比べ方──一人で作るならどちらかの判定表

一人で作る会社の形は、「この先、自分以外の誰かが出資者として入ってくるか」と「取引先が株式会社であることを求めるか」の2つでほぼ決まります。どちらも当てはまらないなら、費用と手続きの少ない合同会社で困る場面は多くありません。判断の目安を表にしました。

あなたの状況 向きやすい形 理由
一人で受託の仕事を続ける。出資を受ける予定はない 合同会社 設立費用が少なく、役員任期の登記や決算公告もない
将来、投資家から出資を受けたい・上場を考えている 株式会社 株式で出資を受け入れる仕組みが会社法で整っている
取引先や業界の慣習で「株式会社」が求められる 株式会社 形式の問題で取引の入口が狭まるなら、費用差より優先される
家族に会社を引き継ぐ可能性がある どちらでも可。合同会社なら定款に相続の定めを入れる 合同会社は社員の死亡が退社の事由になる(会社法607条)
まず小さく始め、必要になったら形を変えたい 合同会社 後から株式会社へ組織変更できる(会社法743条)

迷ったときは、次の順番で自分に聞いてみてください。

  1. 3年以内に、自分以外の人や会社から出資を受ける予定はあるか
  2. 主な取引先に、取引の条件として株式会社を求める会社はあるか
  3. 設立費用の差(例の計算では12万円以上)を、看板の見え方のために払う価値があると思うか
  4. 役員の任期ごとの登記と、毎年の決算公告を自分で回せるか

1と2が「いいえ」なら、合同会社から始めて困ることはまずありません。どれかが「はい」なら、株式会社を正面から検討する価値があります。

一人で会社を作る人の判断ポイント

一人で作る場合、合同会社と株式会社の違いは「経営のやり方」ではなく「会社の外からどう見えるか」と「自分がいなくなったときどうなるか」の2点に集まります。株主総会も社員の同意も、決めるのは結局自分一人だからです。

ぼくは40歳でtiny合同会社を一人で設立しました。合同会社を選んだ理由は、設立コストが安く、身軽に動けるからです。仕事の中心が中小企業やスタートアップとのプロジェクトで、一人で動き続けるつもりだったので、合同会社で十分でした。経緯は一人で法人を作るということに書いています。

そのうえで、外からの見え方の差はゼロではありません。一般には株式会社のほうが知られていて、「合同会社って何?」と聞かれることはあります。ただ、見え方の差が実際の損になるのは、相手が会社の形式を取引の条件にしている場合です。そこは判定表のあとの2番目の問いで確かめられます。

もう一つの「自分がいなくなったとき」は、一人の合同会社に特有の論点です。合同会社では社員が死亡すると退社になり(会社法607条1項3号)、社員が一人もいなくなると会社は解散します(会社法641条4号)。相続人が持分を引き継げるのは、そのことを定款で定めている場合です(会社法608条)。株式会社の株式は相続の対象になるので、この点は株式会社のほうが単純です。サジェストに「合同会社 デメリット 相続」が並ぶのは、この仕組みのためだと思います。

ぼくは定款を作るとき、freee会社設立の画面に沿って会社名や住所、事業内容を入力し、定款と必要書類を出力しました。会社の種類も、最初の入力で選ぶ項目の一つです。書類を作る作業は、株式会社なら公証人の定款認証が一つ増えるくらいで、大きくは変わりません。変わるのは費用と、設立後に続く手続きの量です。設立の準備の全体像は一人で合同会社を設立したときにやったことリストにまとめています。

よくある間違いと注意点

合同会社と株式会社の比較でいちばん多い間違いは、税金や責任の範囲まで違うと思い込むことです。違うのは会社のつくりと手続きで、税率と出資者の有限責任は共通です。間違えやすい点を並べます。

  • 「合同会社は税金が安い」:法人税の税率表に会社の種類の区別はありません(国税庁 No.5759)。設立の登録免許税が安いことと、毎年の税金が安いことを混同しないでください。
  • 「合同会社は無限責任」:合同会社の社員は全員が有限責任社員です(会社法576条4項)。責任の上限は出資の価額です(会社法580条2項)。無限責任社員がいるのは合名会社と合資会社です。
  • 「株式会社は一人では作れない」:取締役は1人以上いればよく(会社法326条)、一人で株式会社を作れます。法務省も一人会社の設立登記を完全オンラインで申請する方法を案内しています。
  • 相続の定めを入れ忘れる:一人の合同会社では、定款に相続の定めがないと、社員の死亡がそのまま解散につながります。家族への引き継ぎを考えるなら、定款を作る段で決めておきます。
  • 「後から株式会社に変えられない」:組織変更で変えられます(会社法743条)。ただし債権者を守るための手続きとして官報への公告などが必要で(会社法781条2項が準用する779条)、組織変更による株式会社の設立登記には登録免許税(資本金の1,000分の1.5、3万円未満なら3万円)がかかります(国税庁 No.7191)。最初の選択を気軽に変えられるほど手軽ではありません。

この記事は、最終更新日時点の会社法と公式ページで確認できた制度だけで書いています。個別の判断(自分の会社がどうするか)は、税理士・司法書士・社労士に確認してください。相談相手の選び方はいい税理士とは何かに書いています。

合同会社と株式会社の違いに関するよくある質問

合同会社と株式会社の違いについて、検索でよく一緒に調べられている「税金」「メリット デメリット」「相続」「知恵袋」の疑問に答えます。どれも、最終更新日時点で公式ページと会社法で確認できた範囲の回答です。

合同会社と株式会社で、税金に違いはありますか?

法人税の税率に違いはありません。国税庁の法人税の税率表は、普通法人かどうかと資本金の額などで区分されていて、株式会社か合同会社かで分ける欄はありません。違いが出るのは設立時の登録免許税(合同会社は最低6万円、株式会社は最低15万円)のような手続きの費用です。

合同会社のメリットとデメリットは何ですか?

メリットは、定款認証が要らず設立の法定費用が少ないこと、役員の任期ごとの登記や決算公告がないこと、利益の分け方を定款で自由に決められることです。デメリットは、株式会社に比べて名前の知られ方で劣る場面があること、株式で広く出資を募る仕組みがないこと、社員の死亡に備えて定款に相続の定めが要ることです。

一人で作った合同会社の社員が亡くなったら、相続はどうなりますか?

合同会社では、社員の死亡は退社の事由で、社員が一人もいなくなると会社は解散します。相続人が持分を引き継いで社員になれるのは、そのことを定款で定めている場合です。家族への引き継ぎを考えるなら、設立時の定款に定めを入れるかどうかを専門家と相談してください。

知恵袋で「合同会社はやめとけ」と見かけますが、本当ですか?

多くは、取引先からの見え方や出資の受けにくさを理由にした意見です。取引先が株式会社を条件にしていない、出資を受ける予定もないなら、一人で始める会社として合同会社で困る場面は多くありません。必要になれば、手続きと費用はかかりますが株式会社へ組織変更もできます。

おわりに──会社の種類は、格ではなく「誰とお金を出し合うか」で選ぶ

合同会社と株式会社は、上下のある格付けではありません。自分以外の誰かが出資者として入ってくる未来があるかどうか。その一点で選べば、ほかの違いは費用と手続きの差として後からついてきます。一人で作るなら、まず「この会社に出資する人は、自分のほかにいるか」を紙に書いてみてください。答えが「いない」なら、それがもう結論です。

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