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法人税の計算をざっくり|中小企業の税率とシミュレーション

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最終更新:2026年10月19日

法人税の計算は、決算書の利益に税務上の加算・減算をして「所得」を出し、その所得に税率を掛けるのが基本です。資本金1億円以下の中小法人なら、所得のうち年800万円以下の部分が15%、800万円を超える部分が23.2%です。2026年4月1日以後に開始する事業年度からは、法人税額から年500万円を引いた残りに4%を掛ける「防衛特別法人税」も加わりました。この記事では、税率を掛ける順番を国税庁・e-Gov法令検索・東京都主税局で確認したうえで、所得300万円・800万円・1,500万円の3パターンを架空の例で計算します。最終更新日時点の制度で書いています。

法人税の計算とは?結論から

法人税の計算は「所得を出す」「法人税を出す」「法人税額を土台に他の税を出す」の3段で進みます。地方法人税や住民税の法人税割は法人税額に掛かるので、法人税を先に出さないと次に進めません。要点を表にまとめます。

項目 内容(中小法人・2026年10月時点) 確認した公式ページ
所得の出し方 益金の額から損金の額を引く。実務では決算書の当期利益に税務上の加算・減算をして出す 法人税法22条・国税庁 法人税のあらましと申告の手引
法人税の税率 年800万円以下の部分15%、800万円超の部分23.2% 国税庁 No.5759
15%の期限 2027年(令和9年)3月31日までに開始する事業年度 租税特別措置法42条の3の2
防衛特別法人税 2026年(令和8年)4月1日以後に開始する事業年度から。(法人税額−年500万円)×4% 国税庁 防衛特別法人税が創設されました
地方法人税 法人税額×10.3% 国税庁 手引(地方法人税)
地方税 法人住民税(法人税割・均等割)、法人事業税、特別法人事業税 東京都主税局
申告期限 事業年度終了の日の翌日から2か月以内 法人税法74条

税率だけを覚えても、法人税の計算は合いません。ずれの原因はたいてい税率ではなく、所得の出し方と、税を掛ける順番のほうにあります。

法人税の税率・防衛特別法人税・地方税の制度

中小法人の法人税は、本則の23.2%に対して、年800万円以下の部分だけ特例で15%に下がる仕組みです。この特例には期限があり、令和7年度税制改正で2年延長されて、2027年3月31日までに開始する事業年度が対象になっています(国税庁 令和7年度 法人税関係法令の改正の概要)。同じ改正で、所得が年10億円を超える事業年度は800万円以下の部分も17%になりました。一人法人ではまず関係しない線ですが、「15%はいつまでも続く」と思い込まないための確認点です。

税目 何に掛けるか 税率(例の前提=東京都23区・資本金1億円以下) 適用
法人税 所得 800万円以下15%/800万円超23.2% 15%は2027年3月31日までに開始する事業年度(措置法42条の3の2)。本則は法人税法66条
防衛特別法人税 法人税額−基礎控除額(年500万円) 4% 2026年4月1日以後に開始する事業年度(防確法11条・13条)
地方法人税 法人税額 10.3% 2019年10月1日以後に開始する事業年度から10.3%
法人住民税 法人税割 法人税額(税額控除前) 7.0%(資本金1億円以下かつ法人税額が年1,000万円以下の標準税率) 東京都主税局の税率表
法人住民税 均等割 定額 年7万円(資本金等1,000万円以下・従業者50人以下) 地方税法52条・312条の標準税率
法人事業税(所得割) 所得 400万円以下3.5%/400万円超800万円以下5.3%/800万円超7.0%(資本金1億円以下かつ年所得2,500万円以下の標準税率) 2022年4月1日以後に開始する事業年度の税率表
特別法人事業税 標準税率で計算した事業税の所得割額 37% 東京都主税局 特別法人事業税

防衛特別法人税は、法人税額が年500万円を超えた部分にだけ4%が掛かります。法人税額が500万円以下なら税額は0円ですが、0円でも防衛特別法人税の確定申告書(法人税申告書の別表一次葉一)を出す必要があると国税庁は案内しています。中間申告の規定は1年遅れて、2027年4月1日以後に開始する課税事業年度から適用されます(国税庁 改正の概要 防衛特別法人税の創設)。

税金そのものが損金になるかも、計算の順番に関わります。法人税・地方法人税と住民税は損金になりません(法人税法38条)。事業税と特別法人事業税は損金になり、申告書を出した日の属する事業年度、つまり原則として翌期の損金に入ります(法人税基本通達9-5-1・東京都主税局 特別法人事業税Q&A)。

事業年度が1年に満たない場合は、法人税の「年800万円」も防衛特別法人税の「年500万円」も月割りになります(法人税法66条4項・防衛特別法人税のリーフレット)。設立1期目が短い一人法人は、ここで計算がずれやすくなります。

地方税は自治体ごとに税率が違います。表の住民税と事業税は東京都23区の税率で、都は資本金や所得の大きさで標準税率と超過税率を使い分けています(東京都主税局 税率の判定フロー)。他の道府県・市町村に本店がある場合は、各自治体の案内で確認してください。均等割の区分の考え方(資本金等の額1,000万円の線)は資本金はいくらにするかの記事で詳しく書いています。

法人税の計算手順とシミュレーション(所得300万・800万・1,500万円の例)

法人税のシミュレーションは、次の5つの順番で進めれば検算できます。どの税が何に掛かるかは、国税庁の手引と東京都主税局のページで確認しました。

  1. 所得を出す:決算書の当期利益に、税務上は損金にならないものを足し(加算)、税務上は損金になるものを引く(減算)
  2. 法人税を出す:所得の800万円以下の部分に15%、超える部分に23.2%
  3. 法人税額を土台に3つを出す:地方法人税(×10.3%)、住民税の法人税割(東京都23区は×7.0%)、防衛特別法人税((法人税額−500万円)×4%)
  4. 所得を土台に事業税を出す:所得割を段階ごとに計算し、その額に37%を掛けて特別法人事業税を出す
  5. 均等割を足す:所得に関係なく定額

まず1の「所得を出す」を、架空の例で見ます。

例(架空) 金額 理由
決算書の当期利益(法人税等を引く前) 283万円 出発点
加算:費用に入れた住民税の均等割 +7万円 道府県民税・市町村民税は損金にならない(法人税法38条2項)
加算:役員報酬の期中増額分 +20万円 定期同額給与にあたらない部分は損金にならない(定期同額給与とは)
減算:前期以前の繰越欠損金 −10万円 青色申告の欠損金は翌期以降10年、所得から引ける(国税庁 No.5762)
所得 300万円 283+7+20−10

決算書の利益が283万円でも、税率を掛ける相手は300万円です。「利益×税率」で概算すると合わないのは、このずれがあるからです。

次に、所得を3パターン置いて合計を出します。前提は次のとおりです。

前提(例) 内容
会社 東京都23区だけに事務所がある合同会社。資本金(資本金等の額)300万円、従業者は代表1人
事業年度 12か月。2026年4月1日以後に開始する事業年度
法人の区分 中小法人(適用除外事業者などにあたらない)。外形標準課税の対象外
省略したもの 税額控除、前期の事業税を損金に入れる調整、端数処理
税目(例・円) 所得300万円 所得800万円 所得1,500万円
法人税 450,000 1,200,000 2,824,000
地方法人税(法人税額×10.3%) 46,350 123,600 290,872
防衛特別法人税 0 0 0
法人税割(法人税額×7.0%) 31,500 84,000 197,680
均等割 70,000 70,000 70,000
法人事業税(所得割) 105,000 352,000 842,000
特別法人事業税(所得割額×37%) 38,850 130,240 311,540
合計 741,700 1,959,840 4,536,092
合計÷所得 約24.7% 約24.5% 約30.2%

1,500万円の法人税は、800万円×15%の120万円と、700万円×23.2%の162万4,000円の合計です。事業税は400万円×3.5%、400万円×5.3%、700万円×7.0%を足した84万2,000円です。どの列も、法人税額が500万円に届かないので防衛特別法人税は0円になります。

では、防衛特別法人税はどこからかかるのか。法人税額が500万円になる所得を逆算すると、120万円+(所得−800万円)×23.2%=500万円なので、所得は約2,438万円です。所得3,000万円の例(国税のみ)で見ると次のようになります。

例(架空):所得3,000万円・国税のみ 計算 金額
法人税 800万円×15%+2,200万円×23.2% 630万4,000円
地方法人税 630万4,000円×10.3% 64万9,312円
防衛特別法人税 (630万4,000円−500万円)×4% 5万2,160円

所得3,000万円になると、東京都では年所得2,500万円を超えるので、事業税の所得割が超過税率で計算されます(特別法人事業税は、標準税率で計算し直した所得割額に掛けます)。地方税まで含めた計算は、この表では扱いません。

一人法人の判断ポイント

一人法人にとって法人税の計算は、税率表を見る作業ではなく、決算前に所得の着地を読む作業です。所得が決まれば税額はほぼ機械的に決まりますが、所得は役員報酬・経費・繰越欠損金の扱いで動くからです。個人事業主との違いを先に表で分けておきます。

論点 一人法人 個人事業主
かかる主な税 法人税・地方法人税・防衛特別法人税・法人住民税・法人事業税・特別法人事業税 所得税・復興特別所得税・住民税・個人事業税
税率の形 800万円の線で2段(法人税) 課税所得に応じて5%から45%の7段階(所得税・国税庁 No.2260)
赤字の年 法人税はかからないが、法人住民税の均等割(例:年7万円)はかかる 法人住民税の均等割はない
申告の窓口 税務署(国税)と都道府県・市区町村(地方税)に別々に出す 所得税の確定申告をもとに住民税・事業税が決まる

ぼくがtiny合同会社の記事(一人法人の設立記事)で書いたのも、この最後の行のことでした。法人の決算申告は、法人税・消費税・地方税を別々に申告する必要があり、個人の確定申告とは別物です。だから税理士はほぼ必須だと書きました。

もうひとつ、税理士ドットコムの記事に書いた失敗があります。最初の期の途中まで自分で帳簿をつけ、決算の直前に慌てて税理士を探したところ、「もう少し早く来ていれば、選べた選択肢がありました」と言われました。法人税の金額は決算の日に計算されますが、その中身の所得は、期の初めに決めた役員報酬(役員報酬の決め方)や日々の経費の積み上げでほぼ決まっています。

この記事のシミュレーションの使いどころは、期の途中で「このまま行くと所得はいくらか」を置き、表の列のどこに近いかを見ることです。税額を減らす方法を探すためではなく、納税資金を先に確保するための道具として使ってください。自分の会社でどう判断するかは、数字を持って税理士に相談するのが近道です。

法人税の計算でよくある間違いと注意点

法人税の計算でいちばん多い間違いは、決算書の利益に税率を掛けて終わらせることです。そのほかの注意点もまとめます。

  • 利益と所得を同じものとして扱う:損金にならない住民税・役員給与などを足し戻し、繰越欠損金などを引いてから税率を掛けます
  • 15%が恒久的な税率だと思う:中小法人の15%は2027年3月31日までに開始する事業年度の特例です。その先は税制改正の内容を国税庁で確認してください
  • 防衛特別法人税の申告書を出し忘れる:法人税額が500万円以下で税額が0円でも、2026年4月1日以後に開始する事業年度は申告書が必要です
  • 1期目の月割りを忘れる:事業年度が12か月未満なら、800万円と500万円の線が月数に応じて下がります。決算月の決め方で1期目の長さが変わる点は決算月の決め方を参照してください
  • 他の税を全部「所得×税率」で計算する:地方法人税と法人税割は法人税額に、特別法人事業税は事業税の所得割額に掛けます。掛ける相手が違います
  • 「実効税率」の数字を流用する:実効税率という語は、事業税が翌期に損金になる効果を織り込んだ計算などを指すことがあり、定義が資料ごとに違います。この記事の「合計÷所得」は例の数字を割っただけの目安で、実効税率ではありません
  • 東京都の税率を他の地域に当てはめる:住民税・事業税は自治体の条例で税率が違います

消費税は法人税とは別の計算で、別の申告書を出します。設立直後の扱いは免税事業者とはの記事に任せます。個別の判断(自分の会社がどうするか)は、税理士・司法書士・社労士に確認してください。

法人税の計算に関するよくある質問

法人税の計算式は?

中小法人なら「所得の800万円以下の部分×15%+800万円を超える部分×23.2%」です。所得は決算書の利益そのものではなく、益金から損金を引いた額で、実務では利益に加算・減算をして出します。15%は2027年3月31日までに開始する事業年度の特例です。

中小企業の法人税率はいつまで15%ですか?

資本金1億円以下の中小法人の、年800万円以下の所得に対する15%は、2027年(令和9年)3月31日までに開始する事業年度が対象です(租税特別措置法42条の3の2)。所得が年10億円を超える事業年度は、800万円以下の部分も17%になります。

防衛特別法人税は一人法人にもかかりますか?

法人税を納める法人はすべて対象で、2026年4月1日以後に開始する事業年度から始まりました。税額は(法人税額−年500万円)×4%なので、中小法人では所得がおよそ2,438万円を超えるまで0円です。ただし税額が0円でも申告書の提出は必要です。

地方税まで含めると、所得の何割くらいになりますか?

東京都23区・資本金1,000万円以下の架空の例で計算すると、所得300万円で約24.7%、800万円で約24.5%、1,500万円で約30.2%でした。均等割の7万円を含むので、所得が小さいほど割合が上がりやすくなります。地域や前提で変わるので、自社の数字で計算してください。

おわりに──法人税は税率表ではなく、所得の出し方で決まる

中小法人の税率は、15%と23.2%の2つしかありません。それでも計算が合わなくなるのは、利益と所得のずれや、法人税額に掛かる税と所得に掛かる税の取り違えがあるからです。2026年からは防衛特別法人税の申告書も1枚増えました。法人税の計算で決めるべきことは、税率を覚えることではなく、期の途中で所得の着地を置いて、税の順番どおりに検算することです。

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