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資本金はいくらにする?一人で会社を作る人の決め方と1000万円の線

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最終更新:2026年10月19日

資本金は、法律上は1円からでも会社を作れます。いくらにするかに正解の金額はなく、決め方は「設立直後の支払いを会社のお金でまかなえるか」と「金額によって変わる線をまたぐか」の2つで考えます。とくに大きいのは1,000万円の線で、設立時の資本金が1,000万円以上だと、設立1期目から消費税の課税事業者になります。ぼくは40歳でtiny合同会社を一人で作りました。この記事では、一人で会社を作る人に向けて、資本金の額で何が変わるのかを公式の資料で確かめながら整理します。内容は最終更新日(2026年10月19日)時点の制度で書いています。

資本金はいくらにするか?結論から

資本金はいくらにするかの結論は、金額そのものではなく「どの線の内側に立つか」を先に決めることです。資本金の額で変わるのは、登録免許税と定款認証手数料、設立1期目の消費税、法人住民税の均等割、そして口座や取引先から見える数字の4つです。

論点 結論 確認した出典
いくらから作れるか 最低資本金の規制はなく、資本金1円でも設立できる 法務省 会社法の施行に伴う会社登記Q&A
設立の登録免許税 資本金の0.7%。合同会社は最低6万円、株式会社は最低15万円 国税庁 No.7191
消費税 事業年度開始の日の資本金が1,000万円以上なら、設立1期目から納税義務が免除されない 国税庁 No.6503
均等割 「資本金等の額」が1,000万円以下か、1,000万円を超えるかで標準税率の区分が変わる 地方税法52条・312条
見え方 資本金の額は登記され、登記事項証明書は誰でも請求できる 会社法914条・商業登記法10条

この表のうち、自分で選べるのは「どの線をまたぐか」だけです。逆に言えば、線をまたがない範囲なら、資本金を数十万円変えても制度上の扱いはほとんど変わりません。

資本金の制度・要件・費用(公式で確認した線)

資本金の制度上の要件は「下限はない」の一点で、費用や税の扱いが金額によって段階的に変わります。以下は、2026年10月19日に公式ページを開いて確認した内容です。

項目 内容 出典
最低資本金 会社法で最低資本金規制が廃止され、株式会社でも資本金1円で設立できる 法務省「会社法の施行に伴う会社登記についてのQ&A」Q17
合同会社の設立の登録免許税 資本金の額×1,000分の7。6万円に満たないときは6万円 国税庁 No.7191 登録免許税の税額表
株式会社の設立の登録免許税 資本金の額×1,000分の7。15万円に満たないときは15万円
あとから資本金を増やすとき 増加した資本金の額×1,000分の7。3万円に満たないときは3万円
株式会社の定款認証手数料 資本金の額等が100万円未満は3万円、100万円以上300万円未満は4万円、それ以外は5万円。100万円未満で、発起人が自然人3人以下・発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける・取締役会を置かない、の3条件をすべて満たすと1万5,000円(合同会社は定款認証が不要) 日本公証人連合会 Q3・会社の定款手数料の改定
消費税(新設法人の特例) 基準期間がない事業年度で、事業年度開始の日の資本金の額が1,000万円以上の法人は、納税義務が免除されない 国税庁 No.6503・消費税法12条の2
法人住民税の均等割(標準税率・年額) 道府県民税は資本金等の額が1,000万円以下で2万円、1,000万円超1億円以下で5万円。市町村民税は従業者50人以下で、1,000万円以下が5万円、1,000万円超1億円以下が13万円。実際の税率は自治体の条例で決まる 地方税法52条・312条
資本金の公開 合同会社は資本金の額が設立登記の登記事項。登記事項証明書は何人も手数料を納めて請求できる 会社法914条・商業登記法10条

均等割は、赤字の年でも資本金等の額と従業者の数に応じてかかります(東京都主税局 法人事業税・法人都民税Q&A)。ここでいう「資本金等の額」は、資本金に資本準備金などを足した額なので、登記されている資本金と一致しないことがあります。東京都は都の特例があり、市町村によっては標準税率を超える税率を条例で定めているので、実際の額は本店を置く自治体の案内で確かめてください。

消費税は、資本金が1,000万円未満でも課税事業者になる場合があります。インボイス(適格請求書発行事業者)の登録を受けると納税義務は免除されず、2期目は1期目の前半6か月(特定期間)の売上や給与の額で判定されることもあります(国税庁 No.6501)。資本金1,000万円未満は「免税になれる可能性がある」線であって、「必ず免税」の線ではありません。

資本金の比べ方──金額ごとに変わる線の比較表

資本金の比べ方は、候補の金額を2〜3個置き、それぞれでどの線の内側に入るかを1枚の表に並べることです。下の表の金額はすべて説明用の例で、おすすめの額ではありません。

資本金(例) 合同会社の登録免許税 株式会社の登録免許税 株式会社の定款認証手数料 設立1期目の消費税 均等割の区分
50万円 6万円 15万円 3万円(3条件を満たせば1万5,000円) 資本金基準では免除の対象 1,000万円以下
300万円 6万円 15万円 5万円 資本金基準では免除の対象 1,000万円以下
1,000万円 7万円 15万円 5万円 課税事業者 1,000万円以下(資本準備金などがなければ)
1,500万円 10万5,000円 15万円 5万円 課税事業者 1,000万円超

登録免許税の計算は「資本金×0.7%」と最低額の大きいほうです。例として、資本金300万円の合同会社なら300万円×0.7%=2万1,000円で、6万円に満たないので6万円になります。資本金1,000万円なら1,000万円×0.7%=7万円で、6万円を超えるのでそのまま7万円です。合同会社では、資本金がおよそ857万円を超えるあたりから0.7%の額が最低額の6万円を上回ります。

表の中でいちばん見落としやすいのは、1,000万円ちょうどの行です。消費税は「1,000万円以上」で線を引くので課税事業者になり、均等割は「1,000万円以下」と「1,000万円超」で線を引くので下の区分に残ります。同じ1,000万円でも、税目によって線の向きが違います。

創業融資を受けるつもりなら、資本金と自己資金の関係も比べ方に入ります。ただ、融資の要件は申し込む金融機関の制度で決まり、この記事の出典にした公式ページでは確認していないので、要件や倍率の数字は書きません。日本政策金融公庫など、申し込む先の最新の案内で確認してください。

一人で会社を作る人の判断ポイント

一人で会社を作る人が資本金を決めるときの判断ポイントは、会社がお金を受け取るまでの数か月を、会社自身のお金で持ちこたえられるかどうかです。見栄えより先に、最初の入金までの時間を数えます。

ぼくのtiny合同会社の資本金は50万円です(以前「一人で法人を作るということ」にも書きました)。これはおすすめの金額ではなく、ぼくの場合の事実として置いておきます。合同会社を選んだのは、設立コストが安く、機動力があると考えたからです。会社を作ったきっかけは、2019年の秋に先輩から「箱だけ作っといて。仕事振るから」と言われたことでした。BtoBの取引では発注側に稟議や与信の審査があり、個人より法人のほうが社内を通しやすい。資本金の額より先に、法人格そのものが取引の入口になりました。

そのうえで、一人法人の判断ポイントを4つに分けます。

  1. 最初の入金までの支払いを会社で払えるか:独立して最初に驚いたのは、売上が立ってもお金がすぐには入ってこないことでした。請求書を出して入金は翌月末、ときには翌々月です(「マーケターが独立・開業前にやることリスト」に書いた話です)。資本金が小さすぎると、その間の支払いを社長個人が立て替える形になり、会社と個人の貸し借りが帳簿に増えていきます
  2. 1,000万円の線をまたぐ理由があるか:またぐと設立1期目から消費税の申告と納税が始まります。またぐ理由が「大きく見せたい」だけなら、その見返りが消費税の負担に見合うかを先に比べます
  3. 口座や取引先から何を見られるか:資本金の額は登記事項証明書で誰でも確認できます。法人口座の審査について、ぼくが「GMOあおぞらネット銀行の法人口座」の記事で挙げたのは、申し込みの前に事業内容を1〜2行で言い切れるようにしておくことと、ウェブサイトや契約書など事業の実在を示せるものを用意しておくことの2つです。口座の開設は早めに動くべきで、ぼくは登記完了後すぐに取引が始まったため、入金先がしばらく個人口座になって帳簿が複雑になりました
  4. あとから増やせることを前提にする:資本金は設立後に増やせます。増やすたびに登録免許税(増加額の0.7%、最低3万円)がかかるので何度も繰り返すものではありませんが、最初から完璧な額を当てにいく必要はありません

合同会社なら、出資の額は定款に、資本金の額は登記申請書に書き込みます。ここで迷って手が止まるより、上の4つで候補を2つまで絞り、税理士に見せて決めるほうが早く進みます。

資本金でよくある間違いと注意点

資本金でいちばん多い間違いは、「大きいほど信用される」と考えて、線の存在を確かめずに金額を決めてしまうことです。資本金の額は、信用より先に税金の扱いを動かします。

  • 1,000万円にして1期目の消費税に驚く:判定は事業年度開始の日の資本金で行います。設立時に1,000万円以上なら、1期目から納税義務は免除されません(国税庁 No.6503)
  • 1期目の途中で増資して、1期目も課税になると思い込む:国税庁の説明では、設立時の資本金が1,000万円未満で1期目の途中に増資した場合、1期目は期首の基準を満たさず、増資後の判定は2期目から適用されます
  • 「以上」と「超」を取り違える:消費税は1,000万円以上、均等割は1,000万円超で区分が変わります。均等割の判定は「資本金等の額」で行うので、資本準備金を置くと登記上の資本金より大きくなることがあります
  • 資本金1円で始めて、設立費用を会社で払えない:合同会社でも設立の登録免許税だけで最低6万円かかります。資本金がそれより小さければ、設立直後から社長の立て替えが前提になります
  • インボイスの登録と免税を同時に考えない:資本金が1,000万円未満でも、適格請求書発行事業者の登録を受ければ納税義務は免除されません(国税庁 No.6501)

この記事は最終更新日時点の制度で書いています。税率や手数料、判定の要件は改正されることがあるので、手続きの前に出典のページで最新の内容を確認してください。個別の判断(自分の会社がどうするか)は、税理士・司法書士・社労士に確認してください。ぼく自身、判断できない税務は税理士に聞くと決めてから、バックオフィスへの不安がかなり減りました。相談先の選び方は「いい税理士とは何か」にまとめています。

資本金に関するよくある質問

資本金について、検索でよく一緒に調べられている「いくらから」「いくらがいい」「1000万」などの疑問に、公式の資料で確認できた範囲で答えます。

資本金はいくらから会社を作れますか?

1円から作れます。法務省の会社登記Q&Aでは、会社法で最低資本金規制が廃止され、株式会社でも資本金1円で設立できると説明されています。ただし設立の登録免許税は合同会社で最低6万円、株式会社で最低15万円かかるので、その支払いを誰がどう払うかは別に考える必要があります。

合同会社の資本金はいくらがいいですか?

決まった正解はありません。設立直後から最初の入金までの支払いを会社のお金でまかなえるか、1,000万円の線をまたぐ理由があるか、の2つで候補を絞ります。合同会社の登録免許税は、資本金がおよそ857万円までは最低額の6万円で変わりません。

資本金1,000万円にするとどうなりますか?

事業年度開始の日の資本金が1,000万円以上だと、設立1期目から消費税の納税義務が免除されません。一方で法人住民税の均等割は「1,000万円以下」と「1,000万円超」で区分が変わるので、資本金等の額が1,000万円ちょうどなら下の区分に残ります。同じ1,000万円でも、税目によって扱いが逆になる点に注意してください。

資本金はあとから増やせますか?

増やせます。増資の登記には、増加した資本金の額の0.7%(3万円に満たないときは3万円)の登録免許税がかかります。消費税の新設法人の判定は事業年度開始の日の資本金で行うため、1期目の途中で1,000万円以上に増資した場合は、2期目から判定に反映されます。

おわりに──資本金は信用を買うお金ではなく、時間を買うお金

資本金で会社の大きさを見せるのではありません。資本金で、会社が自分の足で立っていられる月数を決めます。

1円でも作れる時代に、資本金の額で迷うのは自然なことです。でも迷いの正体は「いくらが正しいか」ではなく、「どの線をまたぐか」と「最初の入金まで何か月もたせるか」の2つに分けられます。今日やることは1つだけです。設立から最初の入金までに会社から出ていくお金を書き出して、その合計と1,000万円の線を並べてみてください。資本金の候補は、その2つのあいだに必ずあります。

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