最終更新:2026年10月19日
決算月の決め方の結論は、迷ったら「設立月の前月」を基準にして1期目をいちばん長く取り、そこから本業の繁忙期・決算後2か月の申告作業・役員報酬を決める期首3か月が重ならないかで微調整することです。合同会社でも株式会社でも、決算月は定款で自由に決められ、あとから変えることもできます。ぼくは40歳でtiny合同会社を一人で作りました。この記事では、会社設立のときに一人法人が決算月をどう決めるかを、会社法と国税庁の資料で確かめながら整理します。内容は最終更新日(2026年10月19日)時点の制度で書いています。
決算月の決め方とは?結論から
決算月の決め方とは、事業年度の締めの月を「税金の都合」ではなく「1年の段取り」から逆算して選ぶことです。一人法人が見るべき判断軸は、次の4つに絞れます。
| 判断軸 | 見ること | 根拠になる決まり |
|---|---|---|
| 1期目の長さ | 設立月の前月を決算月にすると、1期目が最も長くなる | 事業年度は1年を超えられない(会社計算規則) |
| 決算後2か月の作業 | 決算から申告期限までの2か月が、本業の繁忙期と重ならないか | 法人税の確定申告は事業年度終了の日の翌日から2か月以内 |
| 役員報酬を決める時期 | 期首から3か月のあいだに、来期の報酬を決める時間が取れるか | 定期同額給与の改定は原則として期首から3か月以内 |
| 税理士の繁忙期 | 申告の時期が、個人の確定申告の期間(2月16日〜3月15日)と重ならないか | 所得税の確定申告は原則として翌年2月16日から3月15日まで |
4つのうち、制度で決まっているのは「1年を超えない」「申告は2か月以内」「役員報酬は3か月以内」の3つだけです。残りは自分の仕事の波で決めてよい部分で、ここに正解の月はありません。
決算月の制度・要件・期限(公式で確認した決まり)
決算月に関わる決まりは、事業年度の長さ、定款での定め方、申告の期限、変更の手続きの4種類です。以下は、2026年10月19日に公式ページを開いて確認した内容です。
| 項目 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 事業年度の長さ | 計算書類の作成期間は1年を超えられない。1期目は会社の成立の日から始まる。事業年度の末日を変えたときの変更後最初の事業年度だけは1年6か月まで | 会社計算規則71条2項(持分会社)・59条2項(株式会社) |
| 定款に書くか | 合同会社の定款に必ず書く事項(目的・商号・本店の所在地・社員・出資など)に事業年度は含まれない。法令や定款に会計期間の定めがない法人は、設立の日以後2か月以内に税務署へ届け出る。届け出なければ税務署長が指定する | 会社法576条・法人税法13条 |
| 法人税の確定申告 | 事業年度終了の日の翌日から2か月以内 | 国税庁 C1-1 |
| 法人都民税・法人事業税(東京都) | 原則として事業年度終了後2か月以内に申告して納める | 東京都主税局 |
| 役員報酬の改定 | 定期同額給与の額の改定は、原則として事業年度開始の日から3か月を経過する日まで | 国税庁 No.5211 |
| 均等割の月割 | 事務所などを有していた期間が1年に満たないときは、年額を月数で按分する(1か月未満の端数は切り捨て、期間全体が1か月未満なら1か月) | 地方税法52条3項・312条4項 |
| 決算月の変更(会社法) | 合同会社は定款に別段の定めがなければ総社員の同意で定款を変更する。株式会社は株主総会の特別決議で定款を変更する | 会社法637条・466条・309条2項11号 |
| 決算月の変更(税務署) | 会計期間を変えたら遅滞なく、変更前と変更後の会計期間を届け出る。様式は異動届出書で、提出時期は「異動等後速やかに」 | 法人税法15条・国税庁 C1-8 |
合同会社の設立登記の登記事項(会社法914条)にも、事業年度は入っていません。決算月を変えるときに必要なのは、定款の変更と税務署などへの届出で、登記の申請ではありません。都道府県や市区町村への届出の要否と様式は、本店を置く自治体の案内で確認してください。
決算月の比べ方──設立日を決めて候補の月を並べる
決算月の比べ方は、設立日を1つ仮に置き、候補の決算月ごとに「1期目の長さ」「最初の申告期限」「2期目以降の期首3か月」を1枚の表に並べることです。下の表は、10月15日に設立する架空の例です。
| 決算月(例) | 1期目の期間 | 1期目の長さ | 最初の申告期限 | 2期目以降の期首3か月 |
|---|---|---|---|---|
| 10月(設立月と同じ) | 10月15日〜10月31日 | 約半月 | 12月31日 | 11月〜1月 |
| 12月 | 10月15日〜12月31日 | 約2か月半 | 翌年2月末日 | 1月〜3月 |
| 3月 | 10月15日〜翌年3月31日 | 約5か月半 | 翌年5月31日 | 4月〜6月 |
| 9月(設立月の前月) | 10月15日〜翌年9月30日 | 約11か月半 | 翌年11月30日 | 10月〜12月 |
10月を決算月にすると、翌年10月31日まで続けると1年を超えてしまうので、1期目はその年の10月31日で終わります。設立から半月で最初の決算と申告が来る計算です。反対に9月を決算月にすると、1期目は1年を超えない範囲でいちばん長くなり、最初の決算までに売上と経費の流れをつかむ時間が取れます。
12月決算の例では、最初の申告期限が2月末日になり、個人の確定申告の期間(原則として2月16日から3月15日まで・国税庁 No.2020)とほぼ重なります。顧問の税理士にとっても自分にとっても書類が集中しやすい時期なので、ほかの条件が同じなら避ける理由になります。
1期目を短くした場合は、消費税の判定にも影響が出ることがあります。2期目の納税義務は、原則として前事業年度開始の日以後6か月(特定期間)の売上や給与の額で判定されますが、前事業年度が1年未満の場合は特定期間が異なる場合があります(国税庁 No.6501)。1期目の長さを決める前に、税理士に確認しておくと安心です。
一人で会社を作る人の判断ポイント
一人で会社を作る人の判断ポイントは、決算月を「会社の都合」ではなく「自分一人の1年の手の空き方」で選ぶことです。社員がいない会社では、本業も決算の準備も役員報酬の判断も、同じ一人が担います。
ぼくは以前、「一人で法人を作るということ」の中で、決算月はいつでもよく、設立月から11か月後にしておくとシンプルだと書きました。設立月の前月を決算月にする考え方です。ぼくが作った無料の定款ジェネレーター「なりわいさん」でも、決算月の初期値は設立月の前月にしています。1期目を短くする理由がない限り、ここから考え始めるのがいちばん迷いません。
そのうえで、一人法人の判断ポイントを3つに分けます。
- 決算後2か月を、自分の手が空く時期に置く:ぼくは経理や書類整理のようなバックオフィス作業がかなり苦手です。苦手な作業ほど、本業が詰まっている時期に重なると後回しになります。決算月を決めるときは、その翌月と翌々月に本業の山が来ないかを先に見ます
- 決算月は、役員報酬を決める月とセットで決める:役員報酬は、事業年度が始まってから3か月以内に決め、その後1年間は原則として変えられません。決算月を決めることは、毎年「来期の報酬を決める3か月」を決めることでもあります。決め方の順番は「一人法人の役員報酬の決め方」にまとめました。その記事の最後に書いたとおり、事業年度が始まる日の3か月後をカレンダーに入れておくと、この期限を落としません
- 税理士と契約する前に、決算月の相談をしておく:判断できない税務は人に頼ると決めて、ぼくは税理士ドットコムで税理士を探しました。決算月は定款に書く前に相談しておくと、消費税や申告の時期まで含めて見てもらえます。相談先の探し方は「いい税理士とは何か」に書いています
決算月は一度決めても変えられます。ただ、変えるたびに定款の変更と届出が要り、変更した年は事業年度の区切りも変わります。最初に「設立月の前月」から考えて、仕事の波と重なるときだけずらす、という順番がいちばん手戻りが少ない決め方です。
決算月でよくある間違いと注意点
決算月でいちばん多い間違いは、設立月と同じ月を決算月にしてしまい、1期目が数週間で終わることです。設立直後に決算と申告が来ると、まだ帳簿の流れもできていない時期に、税理士の費用と作業だけが先に発生します。
- 1年を超える事業年度を前提に考える:1期目を長く取りたくても、事業年度は1年を超えられません(会社計算規則71条2項・59条2項)。設立月の前月が上限です
- 決算月の変更に登記が要ると思い込む:事業年度は合同会社の登記事項に入っていません。必要なのは定款の変更(合同会社は原則として総社員の同意)と、税務署への異動届出書です
- 変更した年の区切りを見落とす:会社計算規則では変更後最初の事業年度を1年6か月まで取れますが、法人税法13条では1年を超える期間は1年ごとに区分されます。会社の決算と税務の申告の回数がずれることがあるので、変更前に税理士と確認します
- 定款に書かず、届出もしない:法令や定款に会計期間の定めがなければ、設立の日以後2か月以内に税務署へ届け出る必要があり、届け出なければ税務署長が会計期間を指定します(法人税法13条2項・3項)
- 1期目の長さと消費税を別々に考える:前事業年度が1年未満だと、2期目の判定に使う特定期間が変わる場合があります
この記事は最終更新日時点の制度で書いています。申告期限や届出の様式は改正されることがあるので、手続きの前に出典のページで最新の内容を確認してください。個別の判断(自分の会社がどうするか)は、税理士・司法書士・社労士に確認してください。
決算月に関するよくある質問
決算月について、会社設立・法人設立・合同会社の検索で一緒に調べられている疑問に、公式の資料で確認できた範囲で答えます。
会社設立のとき、決算月はいつにするのがいいですか?
決まった正解はありません。迷ったら設立月の前月を基準にすると、1期目を1年を超えない範囲で最も長く取れます。そのうえで、決算後2か月の申告作業が本業の繁忙期や個人の確定申告の期間と重ならないか、期首3か月に役員報酬を決める時間が取れるかで微調整します。
合同会社の決算月はあとから変更できますか?
変更できます。合同会社は、定款に別段の定めがなければ総社員の同意で定款を変更します(会社法637条)。変更したら、変更前と変更後の会計期間を遅滞なく税務署へ届け出ます(法人税法15条・異動届出書)。一人法人なら社員は自分だけですが、同意した内容を書面に残しておくと、あとから変更の経緯を確かめやすくなります。
決算月の変更に登記は必要ですか?
必要ありません。事業年度は合同会社の設立登記の登記事項(会社法914条)に含まれていないためです。必要なのは定款の変更と、税務署への異動届出書の提出です。都道府県や市区町村への届出は、本店を置く自治体の案内で確認してください。
決算月を定款に書かなかったらどうなりますか?
法令や定款に会計期間の定めがない法人は、設立の日以後2か月以内に会計期間を税務署へ届け出る必要があります。届け出なかった場合は、税務署長が会計期間を指定して通知します(法人税法13条)。自分で決めたい月があるなら、定款の段階で事業年度を書いておくほうが確実です。
おわりに──決算月で決まるのは税金ではなく、1年の段取り
決算月で税金の額が決まるのではありません。決算月で、一人で回す会社の1年の段取りが決まります。
決算月を選ぶことは、決算の準備をする月、申告を終える2か月、役員報酬を決める3か月を、カレンダーのどこに置くかを選ぶことです。今日やることは1つだけです。設立予定日から1年分のカレンダーを開いて、本業がいちばん忙しくなる月に印をつけてください。その月と翌月を避けて、設立月の前月にいちばん近い月が、あなたの決算月の第一候補になります。