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倒産防止共済の解約タイミング|返戻率の表と税金・再加入の2年制限

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最終更新:2026年10月20日

倒産防止共済(経営セーフティ共済)の解約タイミングは、「解約手当金の返戻率(支給率)」「解約手当金にかかる税金」「再加入したときの2年の制限」の3つで決まります。自己都合の任意解約では、掛金を12か月未満しか払っていなければ解約手当金は0円、40か月以上払えば掛金総額と同じ100%が戻ります。戻った解約手当金は、法人なら益金、個人事業主なら事業所得の収入金額です。さらに令和6年(2024年)10月1日以降に解約して再加入すると、解約の日から2年を経過する日までに払う掛金は損金・必要経費になりません。この記事は解約のタイミングを節税スキームとして勧める立場をとらず、中小機構・国税庁・e-Gov法令検索で確認できた範囲で判断の材料を整理します。最終更新日時点の制度で書いています。

倒産防止共済の解約タイミングとは?結論から

倒産防止共済をいつ解約するかは、返戻率が上がる月数の区切りと、解約手当金が課税される年度と、再加入の制限の3つを同時に見て決めるものです。どれか1つだけで決めると、残りの2つで想定がずれます。

判断の軸 確認すること 出典
返戻率(支給率) 任意解約は12か月未満0%、12〜23か月80%、40か月以上100% 中小機構 共済契約の解約
税金 解約手当金は法人は益金、個人事業主は事業所得の収入金額。消費税は不課税 中小機構 よくある質問 ID:22・ID:73
再加入 令和6年10月1日以降の解約後に再加入すると、解約の日から2年を経過する日までの掛金は損金・必要経費にならない 中小機構 税制の特例に関する内容の変更
借りる権利 解約すると、取引先が倒産したときの共済金の借入れも一時貸付金も使えなくなる 中小機構 制度の概要

倒産防止共済の解約の制度・要件・費用(返戻率の表)

倒産防止共済の解約手当金は、掛金を払った月数に応じて、掛金総額に支給率を掛けた額です。支給率は解約の種類によって違い、本人が申し出る任意解約より、死亡や法人の解散などで自動的に解約になるみなし解約のほうが高く設定されています。

掛金を払った月数 任意解約 みなし解約 機構解約
1〜11か月 0% 0% 0%
12〜23か月 80% 85% 75%
24〜29か月 85% 90% 80%
30〜35か月 90% 95% 85%
36〜39か月 95% 100% 90%
40か月〜 100% 100% 95%

表は中小機構 共済契約の解約の支給率です。3つの解約の種類と、月数の数え方の決まりも同じページにあります。

  • 任意解約:契約者が自分の都合で申し出る解約です。解約日は解約手当金請求書に書いた申出日で、申出日が空欄なら中小機構が受理した日になります(よくある質問 ID:2009)
  • みなし解約:個人事業主の死亡、法人の解散、会社分割(事業の全部を承継させるもの)、事業の全部譲渡で、その時点で解約になったとみなされます。契約を承継した場合は解約になりません
  • 機構解約:掛金を12か月分以上滞納したときなどに、中小機構が解約します
  • 月数の数え方:前納した掛金は、充当する月が来るまで月数にも掛金総額にも入りません。申出日がその月の振替日(27日、土日祝日は翌営業日)以降なら、その月の掛金も掛金総額に入ります
  • 差し引かれるもの:共済金の借入れを受けていれば、その10分の1に相当する額が掛金総額から引かれます

解約はいつでも申し出られますが、一部だけの解約はできません(よくある質問 ID:16)。書類に不備がなければ、請求書が届いてから10日〜2週間程度で受け取れると案内されています(よくある質問 ID:67)。

解約する月で解約手当金はどう変わるか(比べ方と計算例)

倒産防止共済の解約手当金は、支給率が切り替わる月の前後で大きく変わります。架空の数字で、掛金月額5万円を払い続けた人が任意解約した場合を計算しました。数字はすべて例です。

例:払った月数 掛金総額 支給率(任意解約) 解約手当金
11か月 55万円 0% 0円
12か月 60万円 80% 48万円
24か月 120万円 85% 102万円
36か月 180万円 95% 171万円
39か月 195万円 95% 185万2,500円
40か月 200万円 100% 200万円

この例では、39か月で解約すると195万円払って185万2,500円しか戻らず、9万7,500円が元本割れになります。あと1か月払って40か月で解約すれば、200万円払って200万円が戻ります。11か月と12か月の差も大きく、11か月で解約すると55万円がすべて掛け捨てになります。

税金の面では、この例の法人が40か月で任意解約した場合、それまで損金にしてきた掛金200万円に対して、解約した事業年度に解約手当金200万円が益金になります。掛金を払った年に所得が減った分、解約した年に所得が増える形です。個人事業主なら、事業所得の収入金額として同じことが起きます。

再加入の制限は、国税庁の図の例で確かめるのが確実です。X+1年4月1日に解除してまた契約した場合、X+3年3月31日までに払った掛金は支出したときに損金にならず資産として計上し、X+3年4月1日以後に払った掛金から損金算入に戻ります(国税庁 令和6年度 法人税関係法令の改正の概要)。条文は租税特別措置法28条2項(個人)と66条の11第2項(法人)です(e-Gov法令検索 租税特別措置法)。再加入そのものは、加入資格を満たせばできます(よくある質問 ID:257)。

個人事業主・一人法人の判断ポイント

倒産防止共済の解約で、個人事業主と一人法人が分かれるのは、解約手当金の税の区分と、法人成りや会社をたたむときの解約の種類です。健康保険・年金の立場とは関係なく、契約者が個人事業主本人か会社かで扱いが決まります。

論点 個人事業主 一人法人
健康保険・年金の立場 国民健康保険・国民年金(第1号被保険者) 健康保険・厚生年金(第2号被保険者)
解約手当金の税 事業所得の収入金額(掛金を事業所得の必要経費にしていた場合) 益金(掛金を損金にしていた場合)
みなし解約になる場面 本人の死亡、事業の全部譲渡(法人成りを含む) 法人の解散、会社分割(事業の全部を承継させるもの)、事業の全部譲渡
契約を続けたいとき 法人成りなら契約承継申出書で会社に引き継げる。承継事由から3か月以内 合併や事業の全部譲渡の相手が引き継げる場合がある(加入資格が必要)
年度をまたいだとき 解約手当金を請求した後、年末(個人)や事業年度末(法人)をまたいで受け取った場合の収入の時期は、所轄の税務署に確認するよう案内されている

出典は中小機構 経営セーフティ共済 制度のしおり(令和8年1月改訂版)と、よくある質問のID:347・ID:64・ID:70です。個人事業主が法人成りで承継しなかった場合は、事業を全部譲渡した時点でみなし解約になり、その後に払った掛金は月数に数えられません。40か月まで払ってから任意解約に切り替えることもできません。法人成りの時期の考え方は法人成りのタイミングにまとめています。

一人法人でよく話題になるのが、役員退職金の時期と解約を合わせる考え方です。国税庁の通達では、役員の退職給与は株主総会の決議等で額が具体的に確定した日の事業年度に損金になり、実際に払った事業年度に損金経理した場合もそれが認められます(法人税基本通達9-2-28)。また、不相当に高額な部分は損金になりません(法人税法34条2項)。一方で、倒産防止共済の解約と退職金を組み合わせる使い方を案内した中小機構・国税庁のページは見当たりませんでした。退職金の額の決め方と税は役員退職金の計算方法に任せ、この記事では「解約手当金が益金になる年度が、退職金を払う年度と同じとは限らない」とだけ書いておきます。

ぼくは2019年にtiny合同会社を一人で作り、法人の決算は税理士に任せています。顧問料は月2万円で、税理士は税理士ドットコムで見つけました(tiny合同会社を設立してわかったこと)。法人の決算申告は個人の確定申告とは別物です。解約手当金のような大きな益金が入る年は、法人税の計算の前提も変わります。解約を申し出る前に、その事業年度の見込みを顧問の税理士と見ておくのが順番です。法人税の計算の流れは法人税の計算をざっくりで確認できます。

倒産防止共済の解約のよくある間違いと注意点

倒産防止共済の解約でいちばん避けたいのは、税金の都合だけで解約の月を決め、返戻率の区切りと借りる権利を見落とすことです。よくある間違いを並べます。

  • 40か月の手前で解約する:39か月の任意解約は95%です。前納した分は充当の月が来るまで数えないので、払った金額から月数を逆算するとずれることがあります
  • 解約月の掛金を読み違える:申出日が振替日の前日以前なら、その月の掛金は過払い金として返金され、月数にも入りません
  • 資金が必要なだけなのに解約する:一部解約はできませんが、取引先の倒産がなくても、機構解約時の解約手当金の95%を上限に一時貸付金を借りられます(中小機構 一時貸付金)。借入期間は1年で、利息は借入時に前払いです
  • 借入れの残りを忘れる:返すべき共済金や一時貸付金があると、償還期日の前でも解約手当金から差し引かれます。税の上の解約手当金の額は、差し引く前の額です
  • 解約してすぐ入り直せば元に戻ると考える:令和6年10月1日以降の解約では、再加入から最初の2年の掛金は損金・必要経費になりません。解約と再加入を繰り返す使い方には、制度の側で歯止めがかかっています
  • 解約後の備えを考えない:解約した翌月に取引先が倒産しても、共済金は借りられません

この記事は、最終更新日時点の中小機構・国税庁・e-Gov法令検索で確認できた制度で書いています。解約手当金の額は中小機構が確認した掛金で計算されるので、正確な額は中小機構の通知で確かめてください。個別の判断(自分の会社がどうするか)は、税理士・司法書士・社労士に確認してください。

倒産防止共済の解約に関するよくある質問

倒産防止共済は何か月で解約すると元本割れしませんか?

任意解約では、掛金を40か月以上払っていれば解約手当金の支給率が100%になり、掛金総額と同じ額が戻ります。12か月未満は0%、12〜23か月は80%、36〜39か月は95%です。死亡や法人の解散などのみなし解約では、36か月以上で100%です。

倒産防止共済の解約手当金にかかる税金は?

掛金を損金にしていた法人は解約手当金が益金になり、掛金を事業所得の必要経費にしていた個人事業主は事業所得の収入金額になります。消費税は不課税です。請求後に年末や事業年度末をまたいで受け取った場合の収入の時期は、所轄の税務署に確認するよう中小機構が案内しています。

倒産防止共済を解約してすぐ再加入できますか?

加入資格を満たしていれば再加入はできます。ただし令和6年10月1日以降に解約した場合、解約の日から2年を経過する日までに払う掛金は損金・必要経費になりません。中小機構に契約を解除された機構解約の場合は、解除から1年以上たたないと加入できません。

倒産防止共済は一部だけ解約できますか?

一部解約はできず、解約は契約全体の解除になります。事業資金が一時的に必要なだけなら、取引先の倒産がなくても、機構解約時の解約手当金の95%を上限に借りられる一時貸付金があります。借入期間は1年で、利率は金融情勢によって変わります。

おわりに──倒産防止共済の解約は、得をする日ではなく、借りる権利を手放してもいい日に決める

倒産防止共済の解約タイミングは、返戻率の表と税金の年度で語られがちです。でも解約手当金は益金として課税され、2024年10月からは再加入にも2年の制限がつきました。損得の計算をいくら詰めても、解約した瞬間に失うのは、取引先が倒れた日に借りられる権利です。解約の日は、得をする日ではなく、その権利を手放してもいいと言える日に決めるのがいちばん確かです。

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