最終更新:2026年10月19日
法人の確定申告期限は、事業年度終了の日の翌日から2か月以内です。法人税の納付も同じ日が期限で、3月31日決算なら5月31日、その日が土日祝日なら翌日にずれます。定款の定めなどで定時総会が2か月以内に開けない法人は、申請により1か月延長できますが、延ばした期間には利子税(2026年中は年1.3%)がかかります。期限を過ぎると無申告加算税と延滞税の対象になります。この記事は最終更新日時点の制度で、国税庁・e-Gov法令検索・東京都主税局のページで確認できた内容だけを書いています。
法人の確定申告期限とは?結論から
法人の確定申告期限は「決算日の翌日から2か月」で決まり、決算月を選んだ時点で毎年の締め切りも決まります。国税と地方税、消費税の期限を1枚にまとめます。
| 項目 | 期限 | 確認した公式ページ |
|---|---|---|
| 法人税・地方法人税・防衛特別法人税の確定申告 | 事業年度終了の日の翌日から2か月以内 | 国税庁 C1-1/法人税法 第74条 |
| 法人税の納付 | 申告書の提出期限まで | 法人税法 第77条 |
| 法人都民税・法人事業税(東京都) | 原則として事業年度終了後2か月以内 | 東京都主税局 |
| 消費税(課税事業者の法人) | 課税期間の終了の日の翌日から2か月以内 | 国税庁 No.6610 |
| 期限が土日祝日などの場合 | その翌日が期限(12月29日〜31日も同じ扱い) | 国税通則法 第10条2項/同施行令 第2条2項 |
| 申告期限の延長の特例 | 申請により原則1か月延長(延長期間は利子税) | 国税庁 C1-17/法人税法 第75条の2 |
「2か月」は国税・地方税・消費税でそろっているので、一人法人が覚える日付は実質1つです。ただし延長は税目ごとに手続きが別なので、そこだけは後で分けて書きます。
法人の確定申告期限の制度・要件──延長の特例と土日の扱い
期限を動かせるのは、土日祝日に当たったときと、申告期限の延長の特例を受けたときの2つだけです。どちらも条文と国税庁の手続案内で確認した内容です。
| 論点 | 内容 |
|---|---|
| 延長できる法人 | 定款等の定めにより、または特別の事情により、決算についての定時総会が事業年度終了の日の翌日から2か月以内に招集されない常況にある法人(法人税法 第75条の2第1項) |
| 延長される期間 | 原則1か月(会計監査人を置く法人などは税務署長が指定する月数) |
| 申請の期限 | 最初に適用を受けようとする事業年度終了の日まで。定款等の写しを添付する(C1-17) |
| みなし承認 | 事業年度終了の日の翌日から15日以内に延長または却下の処分がなければ、延長されたものとみなされる(C1-17) |
| 延長期間の利子税 | 2か月を経過した日から延長後の期限までの日数に応じてかかる。利子税特例基準割合は2026年1月1日〜12月31日が年1.3%(国税庁 延滞税の割合) |
| 消費税の延長 | 法人税の延長の特例を受ける法人が「消費税申告期限延長届出書」を出した場合に1か月延長。延長期間は利子税がかかる(No.6610) |
| 地方税の延長(東京都) | 法人事業税・法人都民税も3か月以内になるが、延長申請が必要(主税局) |
延長の特例は、一度認められると以後の事業年度にも続きます(法人税法 第75条の2第1項は「当該事業年度以後の各事業年度」と定めています)。災害などで決算が確定しない場合の延長(法人税法 第75条・事業年度終了の日の翌日から45日以内に申請)とは別の制度です。
土日祝日の扱いは、国税通則法第10条2項が「日曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日その他一般の休日又は政令で定める日」に当たるときは翌日を期限とみなすと定め、施行令第2条2項が土曜日と12月29日〜31日を加えています。2026年の暦で計算した例です。
| 例:決算日 | 2か月後の日 | 実際の期限 |
|---|---|---|
| 2026年3月31日 | 2026年5月31日(日) | 2026年6月1日(月) |
| 2026年8月31日 | 2026年10月31日(土) | 2026年11月2日(月) |
| 2026年9月30日 | 2026年11月30日(月) | 2026年11月30日(月) |
| 2026年10月31日 | 2026年12月31日(木) | 2027年1月4日(月) |
| 2026年12月31日 | 2027年2月28日(日) | 2027年3月1日(月) |
2026年10月決算の例は、12月31日が政令で定める日、1月1日が祝日、1月2日・3日が土日なので、4日まで後ろにずれます。
令和7年度改正で、もう1つ申告書が増えました。2026年4月1日以後に開始する事業年度から、法人税を課される法人は防衛特別法人税の納税義務者になり、確定申告書は法人税と同じく事業年度終了の日の翌日から2か月以内に出します。税額が0円でも申告は必要です(e-Tax 防衛特別法人税の創設に関するご案内・国税庁 令和7年度改正の概要)。4月1日〜翌3月31日の事業年度なら、2027年3月期が最初の対象です。
決算日から期限を数える手順と、期限後になったときの比べ方
期限の数え方は、決算日・2か月後の日・曜日・延長の有無の4つを順に確かめるだけで、遅れたときの負担は申告した時期で変わります。
- 定款に書いた事業年度の末日(決算日)を確かめる
- 決算日の翌日から数えて2か月後の日を出す(3月31日決算なら5月31日)
- その日が土日祝日・12月29日〜31日なら、次の平日まで後ろにずらす
- 延長の特例を受けているか確かめる。受けていても、消費税と地方税は別に届出・申請をしていなければ延びていない
- 同じ期限で、法人住民税・法人事業税、課税事業者なら消費税の申告と納付も済ませる
期限を過ぎて申告すると、国税通則法第66条の無申告加算税がかかります。割合は申告した時期と調査の段階で変わります。2024年1月1日以後に法定申告期限が来るものの割合です。
| 期限後申告の状況 | 無申告加算税(納付すべき税額に対して) |
|---|---|
| 法定申告期限から1か月以内に自主的に申告し、税額を法定納期限までに全額納付済み、過去5年以内に無申告加算税等を課されていない | かからない(同条9項・施行令 第27条の2) |
| 調査の事前通知の前に自主的に申告した | 5%(同条8項) |
| 事前通知の後、決定を予知する前に申告した | 50万円までの部分10%・50万円超300万円までの部分15%・300万円超の部分25% |
| 調査を受けた後に申告した、または決定を受けた | 50万円までの部分15%・50万円超300万円までの部分20%・300万円超の部分30% |
これとは別に、法定納期限の翌日から納める日までの延滞税がかかります。割合は2026年1月1日〜12月31日の期間で、納期限の翌日から2か月を経過する日までが年2.8%、その後が年9.1%です(国税庁 No.9205)。過去に無申告加算税などを課されている場合の加重もあります。割合の表は所得税向けのNo.2024にも同じ形で載っています。
一人法人の判断ポイント
一人法人がまず切り替えるべきなのは、「申告は3月」という個人事業主のころの感覚です。期限の決まり方が違う点を並べます。
| 論点 | 個人事業主 | 一人法人 |
|---|---|---|
| 所得の申告 | 所得税は翌年2月16日〜3月15日(No.2024) | 法人税等は決算日の翌日から2か月以内 |
| 消費税の申告 | 12月31日の属する課税期間は翌年3月31日まで(No.6601) | 課税期間終了の日の翌日から2か月以内 |
| 期限を決めるもの | 暦年で固定 | 自分で決めた決算月 |
| 出す申告書 | 所得税・消費税が中心 | 法人税・地方法人税・防衛特別法人税、地方税、課税事業者なら消費税 |
ぼくは40歳でtiny合同会社を一人で作りました。一人で法人を作るということにも書いたとおり、法人の決算申告は法人税・消費税・地方税を別々に出す必要があり、個人の確定申告とは別物でした。いい税理士の選び方で書いたのは、独立して分かった「税務の失敗の多くは期限の見落とし」ということです。いい税理士はこちらが聞く前に「来月これがあります」と言ってくれる、という条件をそこで挙げました。
判断の軸は2つです。1つは、決算日から2か月の間に本業の山が重ならないか。ここは決算月を決める段階でしか動かせないので、決算月の決め方で書いた逆算が効きます。もう1つは延長の特例を使うかどうかで、定款で定時総会の時期を定める必要があり、延長した1か月には利子税がかかり、消費税と地方税は別に手続きが要ります。時間を買う代わりに手続きと利息が増える、と考えると比べやすくなります。
電子申告の義務は、事業年度開始の時の資本金の額等が1億円を超える法人や通算法人などが対象で、2020年4月1日以後に開始する事業年度から適用されています(e-Tax 大法人の電子申告の義務化・法人税法 第75条の4)。資本金1億円以下の一人法人は原則として対象外で、e-Taxでも書面でも出せます。
よくある間違いと注意点
いちばん多い取り違えは、延長の特例を「納付も遅らせてよい制度」と読むことです。延長しても利子税がかかり、遅れた申告には加算税と延滞税がかかります。
- 赤字の年も申告は必要:法人税法第74条1項は「所得の金額又は欠損金額」を書いた申告書の提出を求めています。赤字でも法人住民税の均等割はかかります(区分は資本金はいくらにするか)
- 延長は税目ごと:法人税の延長の特例を受けても、消費税は延長届出書、東京都の法人事業税・法人都民税は延長申請が別に要る
- 延長の申請は決算日まで:最初に適用を受けたい事業年度終了の日を過ぎると、その期には使えない
- 見込納付をしていても期限後は期限後:延長特例法人が期限後申告をした場合、無申告加算税の計算の基礎は見込納付額を差し引く前の税額になる(国税庁 質疑応答事例)。e-Taxでは見込税額を「予納」として先に納める手順が案内されている(e-Tax よくある質問)
- 2期続けて遅れると青色申告の承認が取り消され得る:国税庁の事務運営指針は、2事業年度連続して期限内に申告書の提出がない場合に、2事業年度目以後の承認を取り消すとしている(法人の青色申告の承認の取消しについて)
この記事は最終更新日時点の法令・公式ページで書いています。個別の判断(自分の会社がどうするか)は、税理士・司法書士・社労士に確認してください。
法人の確定申告期限に関するよくある質問
法人の確定申告期限が土日の場合はいつまでですか?
土曜日・日曜日・祝日などに当たる場合は、その翌日が期限になります(国税通則法第10条2項)。12月29日〜31日も同じ扱いです。たとえば2026年3月31日決算の法人は、5月31日が日曜日なので6月1日(月)が期限です。
法人税の申告期限の延長はどうすればできますか?
定款等の定めなどで定時総会が2か月以内に開けない常況にあることを理由に、「定款の定め等による申告期限の延長の特例の申請書」を、最初に適用を受けたい事業年度終了の日までに税務署へ出します。定款等の写しを添付し、認められると原則1か月延びます。延長した期間には利子税がかかります。
法人の確定申告が期限後になったらどうなりますか?
無申告加算税と延滞税がかかります。調査の事前通知の前に自主的に申告すれば無申告加算税は5%で、1か月以内の自主的な申告で税額を期限までに全額納付済みなどの要件を満たせば、かかりません。2事業年度続けて期限内に申告しないと、青色申告の承認が取り消されることがあります。
一人法人もe-Taxで申告しないといけませんか?
電子申告が義務になるのは、資本金の額等が1億円を超える法人や通算法人などです。資本金1億円以下の一人法人は原則として対象外なので、e-Taxでも書面でも提出できます。国税庁が法人税の申告用に用意しているのは、パソコンにダウンロードして使うe-Taxソフトです。
おわりに──延長は遅れていい許可ではなく、利子を払って1か月を買う契約
法人の確定申告期限は、決算月を決めた日にもう決まっています。動かせるのは土日の数日と、利子税を払って買う1か月だけで、そのぶん消費税と地方税の手続きも増えます。期限を守るいちばん確かな方法は、延長を探すことではなく、決算日の翌日から2か月の間に本業の山を置かない決算月を選ぶことです。