最終更新:2026年10月18日
ぼくの就活でいちばんしんどかったのは、相談できる相手がいなかったことです。博報堂の夏のインターンで仲間ができて、ようやく内定までたどり着きました。
結論から書くと、新卒でマーケティング職に就く道は狭いけれど、ちゃんとあります。分かれ目は、4つある入口のどこを選ぶかと、面接で会社理解を語れるかどうかです。この記事では、面接官として学生と向き合った側の視点も交えて、マーケティング職に就きたい学生の動き方を整理しました。「マーケティングに関わりたい。でも何から手をつけたらいいかわからない」という人に向けて書いています。
方向性そのものが決まっていないなら、キャリアの整理から始める手もあります。キャリアコーチングのキャリートは、無料相談(最長60分・オンライン)で方向性を一緒に整理してくれるサービスです。対象は22歳以上なので、大学4年生・大学院生・既卒の人向けです。
新卒でマーケティング職に就く入口は4つある
新卒でマーケティングに関わる仕事に就く入口は、広告代理店・事業会社のマーケティング部門・デジタルマーケティング支援会社・コンサルティング会社の4つです。どれを選ぶかで身につくスキルもキャリアの広がり方もかなり変わるので、まずは全体像を知ることが先です。
前提として、新卒の就職そのものは売り手市場が続いています。厚生労働省と文部科学省の「大学等卒業者の就職状況」(2026年5月22日公表)では、2026年3月卒の大学生の就職率は98.0%(2026年4月1日現在)でした。どこかに就職すること自体は難しくない時代だからこそ、差がつくのは「どの入口から入るか」です。
| 入口 | 仕事の中身 | 新卒で入りやすいか | 知っておくべきこと |
|---|---|---|---|
| 広告代理店 | クライアント企業のマーケティングを広告で支援する | 大手は高倍率。中堅・専業代理店は比較的入りやすい | 自社商品を持たないため「自分で世に出す」感覚は薄め |
| 事業会社(商品企画・マーケ部門) | 自社ブランドの戦略立案・プロモーション | 新卒でマーケ部門に直接配属されるケースは少数 | 営業から異動するパターンが多い。配属確約の有無を要確認 |
| デジタルマーケティング支援会社 | Web広告運用・SEO・SNS運用代行など | 門戸は比較的広い | 実務スキルは早く身につくが、戦略の視点が育ちにくい面もある |
| コンサルティング会社 | 企業のマーケ戦略策定・市場調査 | 戦略系は超高倍率。総合系はやや広い | マーケ案件に配属される保証がない |
大手を一本で狙う難しさは数字にも出ています。リクルートワークス研究所「第43回 ワークス大卒求人倍率調査(2027年卒)」によると、2027年卒の大卒求人倍率は1.62倍で、民間企業の求人総数は74.8万人。そのうち従業員5,000人以上の企業の求人は5.5万人で、全体の1割に届きません。マーケティング職単体の数字は公表されていませんが、名前の知られた大手事業会社のマーケ部門だけを狙うのが狭き門であることは、この数字からも想像がつきます。
ぼく自身は広告代理店(博報堂)からスタートしました。クライアントのマーケティングを扱う仕事なので、入口としては「いろんな業界を横断的に見られる」のが利点でした。
でも、全員が代理店を目指す必要はないです。自分が「商品を作る側」と「支援する側」のどちらに惹かれるかで、見るべき企業は変わります。ここが整理できていないと、エントリーシートの時点で軸がぼやけてしまいます。
入社後のキャリアがどう広がるかはマーケターのキャリアパスを整理してみた【転職・独立まで網羅】で詳しくまとめています。先の景色を知っておくと、入口の選び方自体が変わると思います。
面接官は「マーケティングがやりたい」の先を見ている
面接官が見ているのは、正しい答えを言えるかどうかより、会社を理解したうえで会話が続くかどうかです。
「マーケティングがやりたいです」とだけ伝える人と、「御社の◯◯という事業に関心を持っていて、こういうアプローチに興味があります」と言える人では、そのあとの会話の広がり方がまるで違います。会社への解像度が低いと、面接官の質問の意図がつかめず、深掘りに入った瞬間に会話が止まってしまいます。面接官は完璧な答えを求めているのではなく、「この人と仕事の話が成り立つか」を見ています。
選考を通過する人に共通していた3つのこと
面接する側から見ていて、通過する人の特徴はだいたい3つに集約されました。
- 会社理解の具体性——その会社が何をやっていて、自分がどこに関わりたいかを具体的に言える
- 「なぜマーケか」の解像度——「興味がある」ではなく、自分のどんな経験からその関心が生まれたかを説明できる
- 素直さ——知らないことを「知りません」と言える。面接官が一番困るのは「わかったふり」をされること
3つのうち、とくに差がつくのは1つ目の「会社理解」です。準備すれば誰でもできるのに、そこまでやってくる人は多くありませんでした。
会社理解を深めるための具体的な準備
面接前にやるだけで差がつくアクションは3つあります。
- IR資料(投資家向け説明資料)を読む——企業の戦略と注力領域がわかる。上場企業なら公式サイトで公開されている
- 直近3ヶ月のプレスリリースに目を通す——今どんな動きをしている会社なのかが見える
- その企業が出している広告やキャンペーンを実際に見て、自分なりに分析する——面接で「御社の◯◯を見て、こう感じました」と言えるようになる
3つ目がとくに効きます。自社の施策を具体的に挙げて話せる学生は少ないので、それだけで「この人はちゃんと見てくれている」と印象に残ります。
学歴で選考が左右されるかどうかが気になる人も多いと思います。採用する側から見た実際のところは学歴フィルターは本当にあるのか|採用する側にいたぼくが見た実際のところにまとめているので、気になる人は先に読んでおくと少し気が楽になるかもしれません。
マーケティング職の就活に資格は必要か
資格で差がつくことは、ほぼありません。差がつくのは、自分がやってきたことを「実績」として言語化できるかどうかです。
グーグルアナリティクスの認定資格やマーケティング検定を持っていても、面接で「この人を採りたい」と思う決め手にはなりません。面接官が知りたいのは「この人は何を考えて、何をやってきた人なのか」であって、資格の有無ではないからです。
学生でも言語化できる「実績」の例
「実績」と聞くと大げさに感じるかもしれないですが、学生のうちにできることで十分です。
- サークルやゼミのSNSアカウントを運用して、フォロワー数を◯人から◯人に増やした
- アルバイト先でPOPやメニュー表を変えたら、特定商品の売上が◯%伸びた
- 個人ブログを半年間運営して、月間◯PVまで育てた
- ゼミの研究でアンケート調査を設計して、分析結果をまとめた
規模の大小は関係ないです。「何を考えて、何をやって、どう変わったか」を筋道立てて話せるかどうかがすべてです。マーケティングの仕事は「仮説→実行→検証」の繰り返しなので、このプロセスを自分の言葉で話せる学生は、面接官の印象にかなり残ります。
面接で話すときは「4ステップ」で組み立てる
実績を面接で伝えるときは、「状況→仮説→行動→結果」の順に話すとうまく伝わります。以下は架空の例です。
- 状況:そのとき何が起きていたか(「サークルのSNSが半年間フォロワー横ばいだった」)
- 仮説:なぜそうなっていると考えたか(「投稿が内輪ネタ中心で外の人に届いていないのでは」)
- 行動:何をしたか(「ターゲットを新入生に絞り、学生生活の悩みに答える投稿に切り替えた」)
- 結果:どう変わったか(「3ヶ月でフォロワーが200人から800人に増えた」)
大きな成果でなくても、この「考えて動いた」プロセスを話せるだけで、面接官の見方は変わります。
インターンは「試す場」ではなく「相互選択の場」
インターンのいちばんの価値は、会社理解が深まることと、同じ方向を目指す相談相手ができることです。
ぼくの就活がまさにそうでした。相談できる人がいないまま動いていたところ、たまたま博報堂の夏のインターンに受かり、そこには広告代理店を志望する仲間が50人ほどいました。そこで初めて就活の相談ができるようになり、そして博報堂に受かりました。
就活は孤独な作業になりがちです。エントリーシートも面接対策も基本的に一人で進めることになるので、「自分だけうまくいっていないのではないか」と感じやすい。インターンは、その孤独から抜け出すきっかけにもなります。
それに、その会社の空気や働いている人の雰囲気、自分が合うかどうかの感覚は、説明会やWebサイトでは絶対にわかりません。面接する側の視点で言うと、インターン経由の学生は会社理解が自然と深まっているので、面接での会話がスムーズに進みます。選考が有利になるかは企業次第ですが、少なくともお互いのミスマッチは減ります。
インターンで企業側が本当に見ているポイントについてはインターンで本当に見られていること|面接する側だったぼくが伝えたいことで詳しく書いています。
企業から声がかかる「逆求人型」という選択肢
逆求人型サービスは、プロフィールを登録しておくと企業の側からスカウトが届く就活の入口です。自分からエントリーする通常の就活と並行して使えます。
マーケティング職を目指す学生にとって、この逆求人型には2つのメリットがあります。
- 自分では見つけられなかった企業と出会える可能性がある
- プロフィールを書く過程で、自分の強みの言語化が進む
とくに2つ目は見落とされがちですが、大きいです。逆求人のプロフィール欄に何を書くかを考えること自体が「自分のマーケティング」の練習になります。誰に向けて何を伝えるか——まさにマーケの基本そのものです。
ただ、スカウトが届くのは全員ではないですし、届いたオファーがマーケティング職とは限りません。逆求人だけで就活を完結させようとするのは危険です。あくまで「入口を増やすための手段のひとつ」として位置づけるのがいいと思います。
方向が定まらないならキャリア相談を使うのも戦略
どの入口に進むか決めきれないなら、第三者に壁打ちしてもらって方向性を整理するのが近道です。
ぼくの持論ですが、会社案内には綺麗事しか書かれていません。だから最初の一社選びには、絶対に相談相手がいたほうがいいと思っています。大学のキャリアセンターや先輩に相談できるなら、まずはそこからで十分です。身近に相談相手がいない場合の選択肢として、外部のキャリア相談サービスがあります。
キャリートはそのひとつで、アガルートとグループ会社のルメスが共同で運営するキャリアコーチングです。「やりたいことがぼんやりしている」「どの業界を受ければいいかわからない」といった、方向性の段階から相談できます。
ただし、注意点が2つあります。公式サイトのQ&Aでは、サポート対象は20代〜30代で、21歳以下は対象外と明記されています。それに、無料相談では書類添削や個別の面接対策は受け付けていません。大量の求人を紹介してくれるサービスでもないので、「自分の軸が定まらない」という悩みに絞って使うものだと考えておくのがいいと思います。
キャリートが合う人
- 22歳以上の大学4年生・大学院生・既卒で、就活の方向性に迷っている
- マーケティングに興味はあるが、代理店・事業会社・支援会社のどれが自分に合うかわからない
- 就活の相談をできる人が身近にいない
キャリートを使わなくていい人
- 21歳以下の人(対象外なので、大学のキャリアセンターを頼るのが確実)
- 志望業界・志望企業がすでに絞れている
- エントリーシートの添削や面接対策をしてほしい(無料相談の対象外)
- 「とりあえず多くの企業にエントリーして数を打つ」方針で動いている
相談の流れ・所要時間・断り方
無料相談は最長60分で、Zoomを使ったオンライン形式です。自宅から受けられるので、地方の学生でも使えます。
キャリートには有料コースもあり、希望すれば無料相談のなかで説明を受けられます。ただ、公式サイトには強引な売り込みはしないと明記されています。合わないと感じたら、「一度自分で考えてみます」と伝えて1回で終わりにすれば十分です。
よくある質問
新卒でいきなりマーケティング部門に配属されますか?
事業会社の場合、新卒でマーケ部門に直接配属されるケースは多くありません。営業などを経験してから異動する流れが一般的なので、選考の段階で「マーケ部門への配属確約」がある採用枠かどうかを確認しておくと安心です。広告代理店やデジタルマーケティング支援会社なら、入社時点からマーケティングに関わる仕事に就ける可能性が比較的高いです。
マーケティング職に向いているのはどんな人ですか?
数字を見て仮説を立てるのが苦にならない人、そして「なぜそうなったのか」を考え続けられる人です。クリエイティブなイメージが先行しがちですが、実務は地味な分析と検証の繰り返しです。華やかさよりも、粘り強く考えることが好きかどうかのほうがずっと大事です。
就活でマーケティングに役立つ資格はありますか?
グーグルアナリティクスの認定資格やウェブ解析士が挙がることはありますが、面接での決め手にはなりません。資格の勉強に時間を使うなら、自分でSNSやブログを運用して「やった結果どうなったか」を語れるようにするほうが評価されやすいです。
新卒で入った会社がマーケ職ではなかった場合、あとから転職できますか?
できます。入社後2〜3年の第二新卒のタイミングで、マーケティング職に移る道があります。詳しくは第二新卒とは|定義・何年目まで・採用側から見た評価のされ方に書いています。20代のうちにマーケ職へ移る具体的な動き方は20代マーケターの転職戦略|「スキル不足」で迷う人ほど動き方を間違えるでも扱っているので、保険として知っておくと気持ちが楽になると思います。
ぼくが就活のときにいちばん欲しかったもの
ぼくが就活のときにいちばん欲しかったのは、相談できる相手でした。「これで合っているのかどうか」がわからないまま、一人で動いていました。
あの夏のインターンに受かっていなかったら、今のキャリアはなかったと思います。考えるとゾッとします。
もし今「マーケティング職になりたい」と思っているなら、その気持ちはたぶん間違っていないです。ただ、気持ちだけで動くと入口を間違えたり、面接で空振りしたりします。4つの入口のどれが自分に合いそうか、面接で何を伝えるか、実績をどう言語化するか。このあたりを整理してから動くだけで、就活の精度はずいぶん変わります。
迷ったら、ぼくならこの順番にします。まずはインターンで会社の中を見て、相談できる仲間をつくる。それでも方向が定まらず、身近に相談相手もいないなら、キャリートの無料相談で一度整理する。誰かに壁打ちしてもらうのも、立派な戦略です。