インターンの選考が近づくと、多くの学生が「何をアピールすればいいか」を考えます。ガクチカ、自己PR、スキル。でも、企業側にいた立場から言うと、見ているところは少し違います。結論から書きます。インターンで見られているのは、いまの能力ではなく、一緒に働いたときにどう考える人かです。だから、成果の大きさより、その場での考え方のほうがはるかに効きます。
ぼくは博報堂で13年、アクセンチュアで5年働き、40歳で独立しました。その間、採用の面接官もやってきました。学生を選ぶ側にいた人間として、あまり語られていない部分を書きます。
企業がインターンを実施する本当の理由
まず前提を共有します。インターンは、学生に学びの機会を提供するためだけのものではありません。企業にとっては、採用の前段階です。
短時間の面接では、その人がどう働くかは分かりません。緊張しているし、準備してきた答えを話すからです。でもインターンなら、数日間、実際に手を動かす様子が見られます。面接では見えないものを見るための場だと考えると、企業側の視線が理解しやすくなります。
だから、成果物の完成度だけを競っても、あまり意味がありません。見られているのは、そこに至るまでの過程のほうです。
面接官として、実際に見ていた3つのこと
ぼくが学生を見ていたとき、意識的に見ていたのは次の3つでした。どれも、事前準備では作れないものです。
1. 分からないときに、どう振る舞うか
いちばん見ていたのがここです。インターンでは、たいてい答えのない課題が出ます。そのとき、学生の反応は分かれます。
知ったかぶりをする人、黙り込む人、そして「ここが分かっていません」と言える人。3番目の人が、圧倒的に評価されます。仕事は分からないことの連続なので、分からないと言えない人は、現場で危険だからです。
これは学生時代のぼくにはできませんでした。できないと思われたくなくて、分かったふりをしていました。あれは損な振る舞いでした。
2. 人の意見を、どう扱うか
グループワークでは、必ず意見がぶつかります。そのときの扱い方に、その人の思考の癖が出ます。
自分の案を押し通す人は、目立ちますが評価されにくい。逆に、何も言わずに従う人も評価されません。評価されるのは、相手の意見の良いところを言葉にできる人です。「その視点は自分になかった」と言える人は、チームで働ける人だと分かります。
3. 自分の判断を、説明できるか
作った結果より、なぜそうしたかを聞かれたときの答えを見ています。「なんとなく」と答える人と、「この条件を優先したので、こちらを捨てました」と答える人では、まったく評価が違います。
正解でなくてもかまいません。判断の理由が言葉になっているかどうかだけを見ています。
優秀さより、伸びしろが見られている
新卒採用で企業が買っているのは、いまの実力ではありません。これから何年もかけて伸びるかどうかです。ここを勘違いすると、アピールの方向を間違えます。
| 評価されにくい | 評価されやすい | |
|---|---|---|
| 成果の語り方 | 結果の大きさを強調する | 過程の判断を説明する |
| 分からないとき | 知っているふりをする | 分からないと言って聞く |
| 意見の扱い | 自分の案を押し通す | 相手の視点を取り込む |
| 失敗の話 | 隠す・触れない | 何を学んだかを話せる |
すごい成果を持っている学生より、普通の経験を深く考えている学生のほうが、記憶に残ります。実際、ぼくが覚えているのは、派手な実績を語った人ではなく、アルバイトでの小さな工夫を丁寧に説明した人でした。
サマーインターンと秋以降のインターンは、意味が違う
時期によって、企業側の目的が少し変わります。ここを知っておくと、動き方を決めやすくなります。
- サマーインターン(8月前後):認知の獲得が主な目的です。企業を知ってもらう場でもあるので、選考色は比較的薄いことが多いです。だから、気楽に場数を踏む時期として使えます。
- 秋・冬インターン(9月以降):本選考との接続が強まります。ここで会った学生を早期選考に呼ぶ企業もあります。夏に経験を積んでおくと、ここで差が出ます。
つまり、夏は練習、秋から本番という感覚で問題ありません。夏に失敗しても、ほとんど影響はありません。むしろ、失敗しておいたほうが秋に効きます。
準備として、いちばん効くこと
企業研究より先にやったほうがいいことがあります。自分の経験を、判断まで含めて書き出しておくことです。
やり方は簡単で、これまでの経験を3つの層に分けて書きます。何をしたか(事実)、そのとき何に迷って何を選んだか(判断)、そこから自分について何が分かったか(意味)。面接官が知りたいのは、2番目と3番目です。
この作業の詳しいやり方は、就活で差がつくのは、情報量ではないという記事に書きました。
もうひとつ、自分の書いたものが他人にどう読まれるかを確かめる方法があります。スカウト型の就活サービスにプロフィールを登録しておくと、それを見た企業から反応が返ってきます。キミスカのようなサービスがそれにあたります。内定のためというより、自分の言葉の通じ方を測る道具として使うと、インターン選考の準備にもなります。![]()
エントリーシートや面接の対策まで踏み込みたい場合は、エノサポ就活のように、添削と模擬面接を何度でも受けられるサービスもあります。インターン選考で使った言葉は、そのまま本選考でも使えます。夏のうちに形にしておくと、秋が楽になります。
インターン選考そのものの実態を知りたいなら、就活会議に選考体験記が集まっています。
どんな課題が出たか、グループワークで何を見られたか、通過した人が何を書いたかが、企業ごとに読めます。初めてのインターン選考でいちばん怖いのは、何が起きるか分からないことです。手順が分かってしまえば、あとは中身に集中できます。
一人で言語化するのが難しい場合は、人に聞いてもらうほうが早いです。ユメキャリAgentのように、大手企業の現役人事が関わる就活エージェントもあります。質問されて答えるうちに、自分の経験の輪郭が出てきます。![]()
よくある質問
インターンで企業は何を見ているのですか
いまの能力ではなく、一緒に働いたときにどう考える人かを見ています。具体的には、分からないときに素直に聞けるか、人の意見を取り込めるか、自分の判断を説明できるかの3点です。成果物の完成度そのものは、思われているほど重視されません。
インターンに参加しないと不利になりますか
参加したほうが有利ですが、必須ではありません。ただし、秋以降のインターンは本選考と接続する企業があるため、志望度が高い企業については確認しておく価値があります。夏は練習、秋から本番という感覚で問題ありません。
グループワークで目立てませんでした。落ちますか
目立つことは評価軸ではありません。むしろ自分の案を押し通す学生は評価されにくい傾向があります。相手の意見の良い点を言葉にできる人や、議論を整理できる人は、目立たなくても評価されています。
すごい経験がなくても大丈夫ですか
大丈夫です。新卒採用で見られているのは、いまの実力ではなく伸びしろです。派手な実績より、普通の経験について深く考えて話せる人のほうが記憶に残ります。アルバイトやゼミでも、自分が迷って選んだ場面があれば十分な素材になります。
まとめ
インターンで見られているのは、優秀さではありません。分からないと言えるか、人の意見を取り込めるか、自分の判断を説明できるか。この3つは、当日の振る舞いに出ます。
だから準備すべきは、企業研究より自分の経験の棚卸しです。何をしたかではなく、何に迷って何を選んだか。そこまで言葉にできていれば、どんな課題が出ても答えられます。
そして夏は、失敗しておく時期です。秋に効くのは、夏に恥をかいた経験のほうです。
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