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内定後に迷ったときの考え方|内定式で辞退するのは失礼なのか

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内定をもらった。周りは喜んでくれる。でも、なぜか気持ちが晴れない。この状態は、かなり多くの人が通ります。結論から書きます。内定後の迷いは、わがままではなく、正常な反応です。そして、内定式の直前であっても、辞退すること自体は失礼ではありません。企業側は、それを前提に採用しています。

ぼくは博報堂で13年、アクセンチュアで5年働き、40歳で独立しました。その間、採用する側にも立ってきました。学生が言いにくいことを、企業側の実情から書きます。

なぜ、内定が出たあとに迷いが来るのか

迷いが出るタイミングには、理由があります。選考中は「受かるかどうか」に集中していて、「行きたいかどうか」を考える余裕がないからです。

受かることが目的になっている間は、判断が保留されています。そして内定が出た瞬間、その保留していた問いが一気に戻ってくる。だから、内定後に迷うのは順番として自然です。むしろ、まったく迷わないほうが珍しい。

ここで「贅沢な悩みだ」と自分を責める人がいますが、その必要はありません。就職は数年から数十年を左右する選択です。迷って当然の重さがあります。

内定辞退は、企業にとって想定内である

いちばん気になるのがここだと思います。結論から言うと、企業は辞退が出ることを前提に採用しています。

採用の現場では、内定を出した人数がそのまま入社人数になるとは考えません。一定割合が辞退することを見込んで、内定を出す数を決めています。辞退は事故ではなく、計算に入っている変数です。

もちろん、辞退されれば残念です。時間もコストもかかっています。でも、恨まれることはありません。それより企業が困るのは、迷ったまま入社されて、早期に辞められることです。採用側から見ていちばん損失が大きいのは、入社後すぐの離職です。

だから、本当に合わないと思うなら、早く伝えるほうが双方のためになります。

ただし、伝え方には最低限の作法がある

辞退そのものは問題ありませんが、やり方によっては、狭い業界だと後々まで残ります。押さえるべきは3つだけです。

  • 決めたらすぐ伝える:企業は次の動きを取る必要があります。遅れるほど相手の選択肢が減ります。
  • 電話で伝える:メールだけで済ませない。担当者は上長への報告が要るので、事情を口頭で伝えたほうが処理が早く済みます。
  • 理由は正直に、ただし短く:詳しく説明する義務はありません。他社に決めた、という一言で十分です。嘘をつくほうが後々気まずくなります。

逆に、絶対に避けたいのは連絡しないまま消えることです。辞退は許されますが、無連絡は許されません。ここだけの違いです。

迷いを整理する3つの問い

「行きたい気がしない」という感覚は正しいことも間違っていることもあります。感覚のままにせず、分解したほうが判断できます。ぼくが人に相談されたときに聞くのは、この3つです。

問い 答えが「はい」なら 答えが「いいえ」なら
①迷いの理由を言葉にできるか その理由が本質か検証する 不安であって、不適合ではない可能性が高い
②他に行きたい場所があるか 比較して選ぶ。動く価値がある 逃げたいだけかもしれない
③3年後、その会社にいる自分を想像できるか 入る価値がある もう一度、業界から考え直す

いちばん多いのは、①が言葉にならないケースです。言葉にならない迷いは、たいてい不安であって、判断ではありません。初めての環境に入る前の不安は、どこに行っても発生します。それを理由に辞退すると、次の場所でも同じことが起きます。

逆に、言葉にできる迷いは重い。「働き方が自分の価値観と合わない」「事業の方向に納得できない」のように具体化できるなら、それは検討に値します。

内定式に出ることは、契約ではない

10月1日の内定式を、区切りだと感じている人が多いようです。ただ、内定式に出席することは、法的な拘束ではありません。出たあとに辞退する人もいます。

とはいえ、心情としては伝えにくくなります。だから、迷っているなら内定式の前に整理しておくほうが、精神的にはずっと楽です。式の場で誓約書のようなものを書くケースもありますが、それも退職の自由を奪うものではありません。

ここで大事なのは、形式に流されないことです。「もう式に出てしまったから」は、数十年の仕事を決める理由としては軽すぎます。

採用側にいて、いちばん残念だったこと

ぼくが面接官をしていたとき、いちばん残念だったのは辞退されることではありませんでした。迷いを抱えたまま入社して、半年で辞めていく人を見ることでした。

本人はつらいし、受け入れた側も何もできなかったことを悔やみます。あとから聞くと、たいてい「内定の時点で、実は迷っていた」と言います。あのとき言ってくれれば、配属を変えるなり、話をするなり、やりようがあった。

だから、迷っているなら、辞退するかどうかの前に、まず企業に伝えてみるのも手です。人事に率直に相談すると、社員と話す場を作ってくれることがあります。迷いは、隠すより出したほうが解決に近づきます。

それでも決めきれないときは

自分の中だけで考えると、同じところを回ります。人に話すと輪郭が出ます。ただ、家族や友人は「もったいない」と言いがちで、判断が寄ってしまうこともあります。

利害のない第三者に話すほうが、整理は早いです。ユメキャリAgentのように、大手企業の現役人事が関わる就活エージェントであれば、企業側の事情も踏まえて話を聞いてもらえます。辞退を勧められるわけでも、引き止められるわけでもない立場の人と話すのが、いちばん頭が整理されます。

もうひとつ、迷いの材料を事実で埋めるという手があります。就活会議には、社員・元社員による年収や評価制度、労働時間、有給の取りやすさといった口コミが集まっています。内定後の迷いは、多くの場合「入社後が想像できない」ことから来ています。想像できないものは、いくら考えても答えが出ません。

もちろん口コミは書いた人の立場に左右されるので、一件を鵜呑みにしても意味がありません。数を読んで、繰り返し出てくる話だけを拾う。それでも、頭の中だけで回していた不安が、確かめられる問いに変わります。迷いは、情報が足りないだけのこともあります。

自分の経験や価値観を言葉にする作業そのものについては、就活で差がつくのは情報量ではないという記事に書きました。

よくある質問

内定辞退は失礼ですか

失礼ではありません。企業は一定割合の辞退を見込んで内定を出しています。採用側にとって本当に困るのは、迷ったまま入社されて早期に離職されることです。合わないと感じるなら、早く伝えるほうが双方のためになります。ただし、無連絡で消えることだけは避けてください。

内定式に出たあとでも辞退できますか

できます。内定式への出席は法的な拘束ではありません。式で書類を書く場合もありますが、それも職業選択の自由を奪うものではありません。ただ、心情的には伝えにくくなるので、迷っているなら式の前に整理しておくほうが楽です。

辞退の連絡はメールでもいいですか

電話が望ましいです。担当者は社内への報告が必要になるため、口頭のほうが処理が早く済みます。理由は正直に、ただし短くて構いません。他社に決めた、という一言で十分です。

迷っているだけかもしれません。どう見分けますか

迷いの理由を言葉にできるかどうかで分かれます。言葉にならない場合は、不適合ではなく新しい環境への不安であることが多く、それはどこへ行っても起きます。逆に、働き方や事業の方向など具体的に説明できる場合は、検討に値する迷いです。

まとめ

内定後に迷うのは、正常な反応です。選考中に保留していた「行きたいかどうか」が、内定と同時に戻ってくるだけだからです。

辞退は失礼ではありません。企業は想定しています。避けるべきは辞退そのものではなく、無連絡と、迷いを抱えたままの入社です。

そして、迷いが言葉にならないなら、それは不安かもしれません。言葉にできた迷いだけが、判断に使えます。迷っている時間は、無駄ではありません。

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