第二新卒とは法律用語ではなく、企業が「育て直せる人」を指すために作った呼び名です。
だから定義は企業ごとに違います。新卒入社から3年以内を指す会社が多く、卒業から3年以内なら勤務経験の有無を問わない会社もあります。年齢で線を引く会社もあります。
共通しているのは、即戦力としては見られていない点です。採用側で中途の面接に関わっていた立場から、この呼び名が何を意味していて、選考で何を見られているのかを整理します。
第二新卒とは何か
第二新卒は、学校を卒業して就職したあと、数年以内に転職を考える人を指す採用の慣用語です。法律にも公的統計にも定義はありません。求人票に「第二新卒歓迎」と書いてあるとき、その会社が想定している範囲は求人票の中にしか書かれていません。
実務でよく使われる目安は、新卒入社から3年以内、年齢で言えば25歳前後までです。この3年という数字には、うっすらとした根拠があります。若者雇用促進法に基づく事業主等指針では、学校等を卒業してから少なくとも3年間は新卒枠での応募を受け付けるよう、事業主に求めています(厚生労働省「青少年の雇用の促進等に関する法律(若者雇用促進法)について」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000097679.html)。
ただし、この指針が扱っているのは卒業後3年以内の既卒者、つまり就職していない人の話です。第二新卒はいったん就職した人を指すので、指針の対象とは重なりません。3年という数字だけが借用されて、慣用語のほうに定着した、という理解が実態に近いと思います。
呼び名がぶれる理由も、ここにあります。誰も定義していないので、各社が自社の採用計画に合わせて範囲を決めている。だから「第二新卒歓迎」の求人に応募して、面接で「うちは実務経験3年からを想定していて」と言われることが起きます。応募の前に確認すべきなのは、その会社が第二新卒という言葉で誰を指しているのかです。
新卒・第二新卒・既卒・中途の違い
この4つは、混ざって使われがちです。整理しておくと、自分がどの枠で応募しているのかが見えます。
| 区分 | 対象 | 目安 | 採用側が見るもの |
|---|---|---|---|
| 新卒 | 卒業予定の学生 | 在学中 | ポテンシャルと相性 |
| 第二新卒 | 就職後に転職を考える人 | 入社1〜3年目 | 基礎スキルと辞めた理由 |
| 既卒 | 卒業後に就職していない人 | 卒業後3年以内 | 空白期間の過ごし方 |
| 中途 | 職務経験のある人 | 制限なし | 実績の再現性 |
第二新卒の枠が独立して存在する理由は、評価軸が中途と違うからです。中途採用は実績の再現性を見ますが、第二新卒に実績の蓄積はまだありません。代わりに見られるのが、社会人としての基礎ができているかどうかと、辞めた理由の説明の仕方になります。
枠の選び方も、ここから決まります。実務の経験が1年に満たないなら、第二新卒枠のほうが評価軸が合います。3年目で担当した案件を語れるなら、中途枠で応募したほうが年収の伸びしろが出ます。同じ人でも、どちらの枠で出すかで見られる基準が変わるので、迷ったら求人票の応募資格ではなく、業務内容の粒度を読んでください。粒度が細かい求人ほど、即戦力を想定しています。
採用側から見た第二新卒
企業がこの層を採る理由は、大きく2つあります。ひとつは新卒採用の補完です。計画どおりに新卒が採れなかった年の穴を、翌年に埋める必要があります。もうひとつは教育コストの節約で、名刺交換もメールの書き方も一度通過している人は、新卒より立ち上がりが早くなります。
そのうえで、面接で確実に聞かれるのが退職理由です。ここでの正解は、前職を悪く言わないことではありません。同じ理由が次の会社でも起きるかどうかを、面接官は判断しようとしています。だから「上司と合わなかった」で止めると、次でも同じことが起きると読まれます。
通りやすいのは、状況の説明と、自分が取った行動と、それでも変わらなかったことを、この順番で話す形です。行動が入っていない退職理由は、環境のせいで終わってしまいます。逆に、行動まで語れる人は、経験年数が短くても「考えて動ける人」として評価されます。
短期離職そのものは、思われているほど致命傷ではありません。企業側も、入社してみないと分からないことがある前提で採用しています。むしろ扱いに困るのは、離職の理由を曖昧にしたまま次を探している状態です。理由が説明できないと、企業は次の離職も予測できません。
もうひとつ、この層の面接で差がつくのは、前職で何を身につけたかの棚卸しです。実績と呼べる数字がなくても、日々やっていた作業は必ずあります。定例資料を毎週作っていた、問い合わせの一次対応をしていた、在庫の数字を突き合わせていた。地味に見える作業でも、そこから何を学んだかを言葉にできる人は少数です。経験の量で戦えない枠だからこそ、経験の解像度が差になります。
よくある誤解
- 3年働かないと転職できない:3年は慣用の目安であって、ルールではありません。求人票に年数の指定がなければ、応募の資格は年数で決まりません。
- 第二新卒は経験不問:不問なのは実績で、基礎的な仕事の作法は見られています。報告・連絡・締切の守り方は、面接の受け答えに出ます。
- 短期離職は隠したほうがいい:職務経歴書に書かない選択は、あとで在籍確認と食い違います。書いたうえで、説明の順番を整えるほうが安全です。
- 新卒枠には二度と応募できない:既卒であれば、卒業後3年以内は新卒枠での応募受付を求める指針があります。就職した人は対象外ですが、企業ごとに柔軟な運用をしている場合があります。
よくある質問
第二新卒は何年目までを指しますか
入社1年目から3年目までを想定する企業が多く、年齢で言えば25歳前後が目安です。ただし法律上の定義はないため、5年目まで含める会社も、卒業後3年以内であれば就業経験を問わない会社もあります。求人票の応募資格の欄に書かれた条件が、その会社での定義になります。
既卒と第二新卒はどう違いますか
就職したかどうかです。既卒は卒業後に正社員としての就職をしていない人、第二新卒はいったん就職して転職を考えている人を指します。厚生労働省の事業主等指針が新卒枠での応募受付を求めているのは既卒者のほうです。応募の際は、自分がどちらに当たるかを整理してから枠を選んでください。
1年で辞めたことは不利になりますか
期間そのものより、説明の中身で決まります。何が起きて、自分は何を試して、それでも変わらなかったのはどこか。この3つが順番に語れれば、1年でも評価は落ちません。逆に、期間が長くても理由を言葉にできていないと、次も同じ結果になると読まれます。
第二新卒でも新卒枠に応募できますか
企業によります。若者雇用促進法に基づく指針が新卒枠での受付を求めているのは、卒業後3年以内の既卒者です。就職経験のある人は制度上その対象ではありませんが、卒業後3年以内であれば新卒枠での応募を認める企業も実際にあります。応募前に、採用担当へ確認するのが確実です。
まとめ
第二新卒は、実績で勝負する枠ではありません。辞めた理由を、他人のせいにせず語れるかどうかの枠です。
20代のうちに動くことの意味と時期の考え方は20代マーケターの転職に、業界や職種を変える場合の順番は20代のキャリアチェンジにまとめています。
3年という数字を守った人が強いわけではありません。強いのは、辞めた理由を自分の言葉で言える人です。