お金の話

20代で転職を考えているなら、知っておきたいこと

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ぼくは20代で転職していない。

博報堂に入って、そのまま30代になった。でも28歳のとき、会社の中で別の仕事を始めた。デジタルメディアの自社運営と、PRコンテンツのブティック事業。今で言えばライブ配信プラットフォームやインフルエンサーマーケティングの走りのようなものだった。

肩書きは変わっていなかった。でも仕事の中身は、入社したときとほとんど別物になっていた。あれは転職ではなかったけれど、「職転」に近い何かだったと、今は思う。その経験がなければ、今の独立もなかったと断言できる。

だからといって、20代で転職を考えている人に「転職すべきだ」とも「すべきではない」とも言えない。時代が違うし、置かれている環境も違う。ただ、今の20代が転職についてどういう状況に置かれているか、少し整理してみたいと思う。

20代の転職は、もう珍しくない

マイナビの転職動向調査(2025年版)によると、2024年の20代の転職率は12.4%で、全年代の中で最も高い。男性で13.4%、女性で11.3%。およそ8人に1人が、20代のうちに転職を経験している計算になる。

さらに興味深いのは、転職した20代のうち26.8%が前職を1年未満で辞めているという数字だ。4人に1人以上が、1年経たずに次の場所に移っている。2021年の調査開始以降、初めて2割を超えた。

企業の採用担当者に聞いても、「Z世代の20代は転職が当たり前という感覚を持っている」と答えた企業が過半数を超えている(学情調査)。採用する側も、転職歴そのものをネガティブに見なくなっている。「何社経験したか」より「何をしてきたか」で評価する流れが、確実に広がっている。

ぼくの時代とは、構造そのものが変わっている。

ぼくたちの時代は、選択肢がなかった

ぼくが社会人になったころ、転職は「会社を裏切る行為」に近い空気があった。先輩の指導が厚く、骨を埋める覚悟が前提だった時代。ネット広告がここまで主軸になるとは誰も思っておらず、freeeのような会計ソフトも、副業マッチングサービスも存在していなかった。フリーランスになるというのは、制度的にも心理的にも、ほぼ現実的な選択肢ではなかった。

社内でキャリアを積んでいくことが、ほぼ唯一の正解だった。だからぼくも、「辞める」ではなく「社内で変える」という方向に動いた。それが社内起業という選択だった。

今の20代は、インフラが全部揃っている。転職サービス、フリーランス向けの税務・保険の仕組み、副業マッチング、SNSを使った個人ブランディング。外に出る選択肢が現実的に存在していて、むしろ使わない理由を探す方が難しいくらいだ。

ただ、一方で別の問題がある。会社によっては成長の機会そのものが薄くなっている。AIが答えを出してくれる分、試行錯誤して失敗から学ぶ経験が減っている。上司の指導もどこか画一的になって、「なぜそうするのか」を教えてもらえないまま、作業だけが降ってくる環境もある。

選択肢が増えた分、「本当に転職すべきか」の判断はむしろ難しくなっている気がする。

こんな兆候があれば、転職を考えていい

時代に関係なく、「これは環境を変えた方がいいサイン」というものがある。

一つ目は、1年以上、成長の実感がないこと。去年と今年でできることが変わっていないなら、本人の問題ではなく環境の問題かもしれない。人は適切な負荷がかかる環境にいないと、思ったより早く成長が止まる。

二つ目は、上司のキャリアが自分の目指す姿ではないこと。5年後・10年後の自分がそこに見えないなら、その会社にい続ける理由を問い直す必要がある。尊敬できる先輩がいる環境かどうかは、20代のうちは特に大きく効いてくる。

三つ目は、会社の外で自分の仕事を説明できないこと。社外の人に「何の仕事をしているか」を具体的に話せないなら、汎用性のあるスキルが身についていない可能性がある。市場価値は、外に出てみないとわからない。社内の評価と、社外での評価がズレていることは珍しくない。

四つ目は、「なぜそうするのか」を教えてもらえないこと。作業だけ降ってきて、思考のプロセスを学べない環境は、長期的な成長を止める。スキルより先に、判断の軸が育たない。

どれか一つでも当てはまるなら、転職を選択肢の一つとして真剣に考えていいと思う。ただ、もう一つだけ確認してほしいことがある。

転職は、引越しに似ている

今の会社で、何を得たか。それを自分の言葉で説明できるか。

転職は引越しに似ている。荷物が整理できていない状態で新しい部屋に引っ越しても、散らかったままになる。住む街を変えても、自分が変わらなければ同じことが繰り返される。

「今の会社では成長できない」という感覚は本物かもしれない。でも、その会社で何を学んで、何ができるようになったかを言語化できているなら、転職はかなり有効な手になる。逆に、言語化できていないまま動くと、新しい環境でも同じ霧の中に立つことになる。転職理由が「逃げ」だけの場合、環境を変えても問題の根っこは変わらないことが多い。

自分の経験を棚卸しして、「なぜそうしたか」「何を得たか」を言葉にできている状態で動く。それが、転職を成功させる人と、環境を変えても同じことを繰り返す人の、一番大きな違いだと思っている。

棚卸しのやり方は難しくない。社外の人に、今の仕事で何を学んだかを話してみることだ。転職エージェントではなく、別の業界にいる友人でいい。説明しようとした瞬間に、言葉になるものと言葉にならないものがはっきりわかる。詰まるところが、まだ整理されていない荷物だ。言葉にできているなら、そこが転職後の自分の軸になる。

言語化できているなら、20代での転職は十分に正解になりうる。前職を1年未満で辞める人が増え、採用側も転職歴をネガティブに見なくなっている今、動くこと自体のリスクはかなり下がっている。あとは荷物が整っているかどうかだけだ。

転職して後悔する人には、共通点がある

転職したことを後悔している人の話も、正直いくつか聞いたことがある。「もう少しあの会社で学んでいれば」「焦って動いたかもしれない」という声だ。動く選択肢が増えた分、「とりあえず転職してみよう」という感覚で踏み切る人も増えている。

後悔した人に共通していることが一つある。「何かから逃げたくて転職した」場合だ。人間関係がしんどい、仕事がつまらない、上司が合わない。気持ちはわかる。でも、その状況を自分の言葉で分析せずに動くと、転職先でも似たような状況が再現されやすい。場所を変えても、対処する力が育っていないからだ。

逃げの転職が悪いとは思っていない。心が折れそうな環境なら、逃げることも正しい選択だと思う。ただ、逃げるなら逃げたと自覚した上で動く方がいい。自分が何に向かっていくのかは、次の職場を決めてから考えればいい。その誠実さがあれば、たいてい大丈夫だと思っている。

正解は、その人の中にある

20代の転職に、一つの正解はない。

転職した方がいい人もいる。今の場所に残って、もう少し深く掘った方がいい人もいる。ぼく自身は社内起業という形で「環境の変化」を作ったけれど、それが機能したのはたまたま博報堂という場所にいたからでもある。同じことが誰にでも当てはまるわけではない。

時代も、会社も、自分のステージも、全部違う。だから答えは外から与えられない。転職率12.4%という数字も、「だから転職すべき」という根拠にはならない。8人に1人が動いているとしても、残りの7人には残る理由があるかもしれない。

ただ一つだけ言えることがある。転職するかどうかより先に、「何を変えたいのか」を言葉にできているかどうかの方が、ずっと大事だということ。それができている人は、転職しても、残っても、きっと前に進める。

荷物を整理してから、引越し先を探す。その順番だけは、変えない方がいいと思っている。

転職の「成功」を、どう定義するか

転職の成功を、年収や会社名で測ろうとする人は多い。でも20代の転職に限って言えば、それはあまり本質的な指標ではないと思っている。

もっと実感に近い成功の定義がある。「なぜここに来たか」を、友人に自然な言葉で話せるかどうかだ。面接で準備した答えではなく、ふだんの会話レベルで語れるなら、その選択には納得感がある。納得感のある選択は、たとえ結果が思い通りにならなくても、次の判断に活きてくる。

もう一つは、前の会社で積んだことが、新しい環境で使えているかどうか。「あのときの経験が今効いている」という実感が出てきたとき、転職前の棚卸しが機能した証拠になる。逆に言えば、それが出てこないなら、荷物の整理がまだ足りていなかったのかもしれない。

そして、次の選択肢が広がっているかどうか。転職によって、さらに次のキャリアが選びやすくなっているなら、その一手は有効だったと言える。会社は変わったのに「ここでしか通じない仕事」が積み上がっているだけなら、少し立ち止まった方がいい。

成功かどうかは、入社した瞬間にはわからない。1〜2年後に「あのとき動いてよかった」と思えるかどうか。それが、ぼくなりの答えだと思っている。

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荷物の棚卸しを、プロと一緒にやりたい人へ

記事の中で「社外の人に仕事を話してみると、言葉になるものとならないものがわかる」と書いた。ただ、それが難しいと感じる人も多いと思う。

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