カジュアル面談とは、あなたが評価される場ではなく、企業が選ばれる側に回る、選考前の面談です。
合否はつきません。聞かれるより、聞くほうが多くて構いません。断っても、そのあとの選考で不利になることはありません。
ただ「選考ではない」の意味は、企業によってかなりずれます。採用側で中途の面接に関わっていた立場から見ると、その温度差がどこから生まれるのかは見当がつきます。定義・当日の流れ・聞いていいこと・断り方の順に整理します。
カジュアル面談とは何か
カジュアル面談は、応募の前に置かれる情報交換の場です。企業が事業と職務の中身を説明し、候補者が疑問をぶつける。合否の判定を目的にしていない、この一点だけが選考の面接との違いになります。
この言葉に法律上の定義はありません。呼び方も「面談」「情報交換会」「まずは話だけでも」とばらつきます。ただ、企業が人を募集する場である以上、職業安定法のルールはかかります。2022年10月に全面施行された改正職業安定法では、求人等に関する情報の的確な表示と、求職者の情報を集めるときに目的を明らかにすることが義務づけられました(厚生労働省「令和4年職業安定法の改正について」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000172497_00003.html)。カジュアルという言葉がついても、労働条件の説明が不正確でいいわけではありません。
入口は3つあります。企業の採用ページからの直接申し込み、転職エージェントの担当者が設定するもの、スカウトサービスで届いたメッセージへの返信です。エージェント経由の場合、企業側にはすでに職務経歴書が渡っていることが多く、面談の時点で相手はこちらの経歴を読んでいます。同じ「カジュアル面談」でも、相手が持っている前提情報の量はまるで違います。最初に「どこまでご覧いただいていますか」と確認しておくと、説明の重複が消えます。
当日の流れと、選考の面接との違い
時間は30分から1時間。人事か、配属予定の部署のリーダーが出てきます。前半で企業側の説明、後半で質疑、最後に今後の進め方の確認、という並びが一般的です。
| 項目 | カジュアル面談 | 選考の面接 |
|---|---|---|
| 目的 | 互いの情報交換 | 合否の判断 |
| 合否 | つかない | つく |
| 応募の意思 | なくてよい | 必要 |
| 主に話す側 | 企業(説明が中心) | 候補者(回答が中心) |
| 出てくる人 | 人事・配属先のリーダー | 面接官・部門長・役員 |
| 書類 | 求められないことが多い | 履歴書・職務経歴書 |
| 辞退の伝え方 | メール1通で足りる | 辞退の連絡を正式に入れる |
表の中で見落とされやすいのは「主に話す側」です。選考の面接は候補者が話す時間のほうが長くなります。カジュアル面談は逆です。企業が説明に時間を使っているなら、その面談は本来の形で運用されています。逆に、志望動機や退職理由を一問一答で聞かれ始めたら、実質的な一次選考が始まっていると考えたほうが安全です。
質問は3つ用意すれば足ります。ひとつめは事業の質問。売上がどこから立っていて、これから伸ばす柱はどれか。ふたつめは組織の質問。そのポジションが空いている理由と、直属の上長になる人の経歴。みっつめは評価の質問。入社して半年後、何ができていれば成功と呼ばれるのか。この3つを聞くと、求人票では絶対に読み取れない情報が出てきます。とくに「なぜ空いているのか」への答え方には、その組織の状態が出ます。
採用側から見たカジュアル面談
企業がこの場を作る理由は、大きく2つあります。
ひとつは、応募のハードルを下げること。転職を決めた人だけを待っていると、母集団が集まりません。「まだ転職は考えていない」層に会える入口が要ります。
もうひとつは、辞退の予防です。内定を出してから断られるのが、採用側にとって一番痛い。早い段階で仕事の実態を見せておくと、途中で離れる人は減り、最後まで残った人の納得度は上がります。
だから、現場の社員が出てくる面談は本気度が高いことが多いと言えます。人を出す時間をコストとして払っているからです。逆に、誰が出てくるか直前まで決まらない面談は、社内での優先度がそれほど高くありません。
評価されない場かというと、そこは正確ではありません。合否はつかなくても、面談した社員の所感は社内に残ります。「話が通じる人だった」の一行は、あとの選考で効きます。身構える必要はありませんが、事業の概要くらいは読んでいったほうが、こちらの質問の質も上がります。
もうひとつ、面談の場でよく起きるのが、募集ポジションのすり替えです。求人票はマネージャー職でも、話してみると実務担当者を探していた、という展開はめずらしくありません。悪意があるわけではなく、募集を出した時点と現場の状況がずれているだけです。これも面談で拾えば済む話で、選考に進んでから気づくより、はるかに傷が浅く済みます。
よくある誤解
- 選考ではないから何も見られていない:合否はつきませんが、面談した社員の所感は社内で共有されます。
- カジュアルだから準備は不要:準備が要るのは自己PRではなく質問のほうです。聞きたいことが3つないと、企業説明を聞いて終わります。
- 断ると次がなくなる:応募前の情報交換ですから、辞退の履歴として残るものではありません。むしろ返事を保留し続けるほうが、双方の時間を削ります。
- 年収の話はしてはいけない:レンジの確認は普通のことです。金額の交渉ではなく、募集ポジションの提示レンジを聞く形にすれば角は立ちません。
よくある質問
カジュアル面談で落とされることはありますか
合否はつきません。ただ、面談後に選考への案内が来ないことはあります。落選の通知ではなく、案内が来ない形になるだけです。逆に、その場で応募を勧められたら、企業側は前向きだと考えて差し支えありません。
服装や持ち物はどうすればいいですか
私服可と案内されたら私服で構いません。迷うならジャケットを羽織る程度で足ります。書類は求められないことが多いのですが、職務経歴書を1枚持っていくと経歴の説明が短く済みます。オンラインなら、画面共有できる形で手元に置いておくと話が早くなります。
現職の年収や転職活動の状況は答えないといけませんか
答える義務はありません。改正職業安定法では、求職者の情報を集めるときに目的を明らかにすることが求められています。答えたくない項目は「選考に進むときにお伝えします」と保留して問題ありません。ただ、希望のレンジを一度も伝えないと、企業側は提示の見当をつけられなくなります。
面談のあと、選考に進まないと決めたときはどう断ればいいですか
メール1通で足ります。「お時間をいただきありがとうございました。今回は現職で続けたいことがあり、応募は見送らせてください」。理由を詳しく書かないほうが、相手も返しやすくなります。エージェント経由なら担当者に伝えれば、企業への連絡は代わりに入ります。
まとめ
カジュアル面談は、企業が選ばれる側に回る短い時間です。だから、こちらが用意すべきなのは自己PRではなく質問になります。
面談の機会そのものを増やしたいなら、マーケターの転職エージェントの選び方で、担当者に面談枠を作ってもらう頼み方を整理しています。面談から選考へ進んだあと、採用側が実際に何を見ているかは転職面接で採用側が見ている本音にまとめました。
会う前から品定めされていると思うと、身構えてしまいます。でも順番は逆です。先に品定めされているのは、企業のほうです。