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未払金と未払費用の違い|買掛金との比較表と給与・カードの仕訳

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最終更新:2026年10月19日

未払金と未払費用の違いは、「支払う義務が確定した一回ごとの取引か」と「継続して受けているサービスの、まだ払っていない分か」です。未払金はクレジットカードで買った経費や社会保険料の会社負担分のように、金額も相手も決まっている未払い。未払費用は利息や家賃の後払いのように、継続的なサービスをすでに受けた分の対価で、決算期末の時点でまだ支払っていないものを指します。本業の仕入れや外注の未払いは、さらに別の買掛金に分けます。この記事は最終更新日時点の法令と公式資料で書いており、会計の用語で公的な一文が見つからないものは「一般的には」と断っています。

未払金と未払費用の違いとは?結論から

3つの科目は、どれも「まだ払っていないお金」なので負債に入ります。違いは、何の支払いか、サービスが継続しているかです。比較表にします。

比べる点 買掛金 未払金 未払費用
何の支払いか 本業の仕入れ・外注など、通常の取引の代金 本業の仕入れ以外の、確定した支払い(経費・備品・税金や保険料など) 継続して受けているサービスのうち、すでに受けた分の対価
継続的な役務か 問わない 一回ごとの取引が中心 継続的な役務(時の経過とともに発生する)
一人法人での例 デザインやライティングの外注費 カード払いの経費、社会保険料の会社負担分 借入金の利息、後払いの家賃、給料
貸借対照表 流動負債 流動負債(一般の取引慣行で短期間に払うもの) 流動負債
確認した資料 会社計算規則 第75条・中小企業庁「中小企業の会計に関する基本要領」。「一回ごと/継続」の使い分けは一般的な会計の考え方

迷ったら、「来月も同じサービスが続いていて、時間の分だけ代金がたまっていくか」を考えます。続いていれば未払費用、一回の取引で金額が決まっていれば未払金、本業の仕入れなら買掛金です。

定義と勘定科目──会社計算規則・中小会計要領で確認できたこと

3つの科目の線引きは、会社計算規則75条の流動負債の並びで確かめられます。75条は流動負債として、買掛金(通常の取引に基づいて発生した事業上の未払金)、通常の取引に関連して発生する未払金または預り金で一般の取引慣行として発生後短期間に支払われるもの、未払費用、前受金、前受収益などを挙げています(会社計算規則)。本業の取引の未払いは買掛金、それ以外の未払いは未払金、と科目を分ける根拠はここにあります。

未払費用の中身は、中小企業庁の「中小企業の会計に関する基本要領」(中小会計要領)の経過勘定の説明が分かりやすいです。経過勘定は、サービスの提供の期間と代金の受け払いの時点が異なる場合に、その差を処理する勘定科目で、費用と収益を現金の受払額ではなく発生した期間に正しく割り当てるために使う、とされています。中小会計要領の表を、4つの科目でまとめ直します。

経過勘定 中小会計要領の内容 具体例(中小会計要領) 当期の損益
未払費用(負債) 既に提供を受けたサービスに対して、決算期末においていまだその対価を支払っていないもの 後払いの支払家賃や支払利息、従業員給料等 反映する
前払費用(資産) 決算期末においていまだ提供を受けていないサービスに対して支払った対価 前払いの支払家賃や支払保険料、支払利息等 含めない
未収収益(資産) 既に提供したサービスに対して、決算期末においていまだその対価を受け取っていないもの 後払いの家賃収入や受取利息等 反映する
前受収益(負債) 決算期末においていまだ提供していないサービスに対して受け取った対価 前受けの家賃収入や受取利息等 含めない

未払費用と対になるのは前払費用です。国税庁の法人税基本通達2-2-14も、前払費用を「一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち当該事業年度終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応するもの」と定めています(法人税基本通達 第2款)。年払いのサブスクを払った年の経費にできる短期前払費用の特例は、サブスクの勘定科目の記事で扱いました。受け取る側では、まだ仕事をしていないのに先にもらった代金は前受金で、会社計算規則75条は「受注工事、受注品等に対する前受金」と書いています。

法人税では、未払いで計上した費用が当期の損金になるかを「債務の確定」で判断します。法人税法22条3項2号は、償却費以外の費用で事業年度終了の日までに債務の確定しないものを損金から除いています(法人税法)。法人税基本通達2-2-12は、債務の確定の要件を、期末までに①債務が成立している、②具体的な給付をすべき原因となる事実が発生している、③金額を合理的に算定できる、の3つとしています。勘定科目の名前は法令で決まっていないので、未払金と未払費用のどちらを使うかより、期末までに債務が確定しているかと、毎期同じ基準で処理しているかのほうが大事です。

未払金と未払費用の仕訳──一人法人で出てくる場面の例

一人法人で未払いが生まれやすいのは、カード払いの経費、外注費、役員報酬、社会保険料、借入金の利息の5つです。架空の一人法人の決算日(3月31日)で、まとめて仕訳します。

前提(例) 内容
会社 マーケティング支援をする架空の一人法人「合同会社モデルケース」。3月決算。消費税の区分は省略
カード払い 3月10日に書籍3,300円、3月18日にリスティング広告5万5,000円を法人カードで支払い。引き落としは4月27日
外注費 3月31日、デザインの外注11万円の納品を受けた。月末締め翌月末払い
役員報酬 月額30万円。当月分を翌月5日に支給
社会保険料 3月分の会社負担分を4万5,000円、本人負担分も4万5,000円とする(説明用の仮の数字。実際の保険料は報酬月額と年度・支部で決まる)
借入金の利息 借入金300万円・年利2%。利息は毎年6月末と12月末に半年分を後払い。期末に1〜3月の3か月分を月割りで計上
場面(例) 借方 貸方
3月10日 書籍をカード払い 新聞図書費 3,300円 未払金 3,300円
3月18日 広告費をカード払い 広告宣伝費 55,000円 未払金 55,000円
3月31日 外注の納品 外注費 110,000円 買掛金 110,000円
3月31日 3月分の役員報酬(4月5日支給) 役員報酬 300,000円 未払費用 300,000円
3月31日 3月分の社会保険料の会社負担分 法定福利費 45,000円 未払金 45,000円
3月31日 1〜3月分の借入金利息 支払利息 15,000円 未払費用 15,000円
4月5日 役員報酬を支給 未払費用 300,000円 普通預金 255,000円
預り金 45,000円
4月27日 カードの引き落とし 未払金 58,300円 普通預金 58,300円
4月30日 外注費の支払い 買掛金 110,000円 普通預金 110,000円
4月30日 3月分の社会保険料を納付 未払金 45,000円
預り金 45,000円
普通預金 90,000円

利息は300万円×2%×3/12=1万5,000円です。6月30日に半年分の3万円を払ったときは、期首に戻しておいた1万5,000円と相殺され、新しい期の支払利息は残りの1万5,000円になります。役員報酬の預り金4万5,000円は社会保険料の本人負担分で、源泉所得税と住民税は説明を簡単にするため省いています。日本年金機構の案内では、厚生年金保険料などの納付期限は納付対象月の翌月末日で、給料から差し引くのは前月の標準報酬月額にかかる保険料です(厚生年金保険料等の納付)。4月5日に払う3月分の報酬から3月分の本人負担分を差し引き、4月30日に会社負担分とあわせて納める流れになります。

決算日の負債を検算します。買掛金11万円、未払金は3,300円+5万5,000円+4万5,000円=10万3,300円、未払費用は30万円+1万5,000円=31万5,000円で、合計52万8,300円です。3月に計上した費用も3,300円+5万5,000円+11万円+30万円+4万5,000円+1万5,000円=52万8,300円で一致します。どれも3月中には1円も現金が出ていないので、費用の合計と未払いの合計が同じになります。

社会保険料の会社負担分を当期の損金にできる根拠は、法人税基本通達9-3-2です。健康保険料や厚生年金保険料のうち法人が負担すべき部分は、保険料の計算の対象となった月の末日の属する事業年度の損金にできる、とされています(法人税基本通達 第3節)。3月分の保険料は4月末に払いますが、3月決算の会社なら3月の期の費用にできます。

役員報酬を未払費用にしたのは、中小会計要領が未払費用の具体例に給料を挙げているためです。ただし実務では、支給額が確定していて支払日を待つだけの給料は未払金で処理する会社もあります。どちらでも、毎期同じ科目を使い、支払った日に正しく消し込めていれば読み手は迷いません。役員報酬を未払いのまま長く払わない状態が続くと、定期同額給与の判定にも関わるので、定期同額給与の記事とあわせて確認してください。

一人法人・マーケターの読みどころ

一人法人の未払いは、毎月の「出ていくことが決まっているお金」の一覧です。口座残高から未払金と未払費用と買掛金を引いた額が、実際に使えるお金に近くなります。

ぼくはtiny合同会社を設立してわかったことに、法人化してから大変だったのは社会保険の手続きと毎月の支払いだと書きました。役員報酬から個人負担分が引かれ、会社負担分も発生します。一人法人ではその両方を自分の会社が払うので、決算月の保険料を未払計上しておかないと、当期の費用が1か月分少なく見えます。保険料の計算そのものは役員報酬と社会保険料の計算にまとめています。

カード払いの経費も同じです。freeeとマネーフォワードの比較記事に書いたとおり、ぼくは会計ソフトに銀行口座とカードを連携していて、取引明細は自動で入ってきます。毎月の帳簿付けは、取り込まれた明細の科目が正しいかを確認する作業が中心です。カードの場合は、利用した日に費用が立ち、引き落としの日に未払金が消える二段階になっているか、未払金の残高がカード会社の請求額と合っているかを見ておくと、二重計上に気づけます。

マーケターが数字を見るときは、広告費をカード払いにした月のずれに注意が要ります。広告費は利用した月の費用ですが、口座からお金が出るのは翌月以降です。損益分岐点やROIを月次で見るときに引き落とし月で広告費を数えると、売上と費用の月がずれて、利益の出た月と出なかった月を取り違えます。施策の採算は発生の月で、資金繰りは支払いの月で、と見る表を分けるのが確実です。

個人事業主にも同じ考え方があります。法人と個人で扱いを分けます。

論点 一人法人 個人事業主
未払いの経費 期末までに債務が確定していれば、その期の損金(法人税法22条3項2号) 本年中に支払っていなくても、未払経費として本年分の必要経費になる(決算の手引き)
少額の未払い 重要性の乏しいものは、支払った期の費用にすることも認められる(中小会計要領) 少額な経費は、未払の整理をせず実際に支払った金額だけを必要経費にしても差し支えない(決算の手引き)
12月利用・1月引き落としのカード払い 決算月をまたぐ場合は、利用した期の費用と未払金にする 利用した年の未払経費になる考え方
社会保険料 会社負担分を法定福利費にし、計算対象月の期の損金にできる(法人税基本通達9-3-2) 本人の国民健康保険料・国民年金保険料は事業の経費ではなく、社会保険料控除の対象(従業員を雇っている場合の事業主負担分は別)

個人事業主の欄は、国税庁「令和7年分 青色申告の決算の手引き(一般用)」と国税庁 No.1130 社会保険料控除で確認した内容です。

よくある間違いと注意点

いちばん多い間違いは、カード払いの経費を引き落としの日に初めて記帳し、決算月の分が翌期にずれることです。利用した日の費用として未払金を立てておけば、決算をまたいでも期ずれは起きません。ほかの注意点も並べます。

  • 同じ取引を二重に入れる:カード明細の取り込みと、領収書からの手入力の両方で同じ経費を記帳すると、費用も未払金も倍になります。
  • 本業の外注を未払金に混ぜる:会社計算規則では、通常の取引に基づく事業上の未払金は買掛金です。外注を本業の原価として見たいなら、買掛金に分けておくと粗利が読みやすくなります。
  • 期首に未払費用を戻さない:利息や家賃の未払費用を期首に戻さないまま、支払時に全額を費用にすると、期をまたいで費用が二重に計上されます。
  • 決算月の社会保険料を忘れる:会社負担分は翌月末に払うため、未払計上しないと当期の費用が1か月分少なくなります。
  • 預り金と未払金を一緒にする:給料から差し引いた本人負担分の社会保険料や源泉所得税は、会社の費用ではなく預り金です。

決算の手順全体は決算を自分でやる方法にまとめています。この記事は、最終更新日時点の制度で書いています。個別の判断(自分の会社がどうするか)は、税理士・司法書士・社労士に確認してください。

未払金と未払費用に関するよくある質問

未払金と未払費用について、一緒に検索されている「給与」「買掛金」「クレジットカード」「社会保険料」の疑問に答えます。回答は最終更新日時点で公式の資料で確認できた内容と、一般的な会計の考え方です。

給与の未払いは未払金と未払費用のどちらですか?

どちらの処理も見られます。中小会計要領は未払費用の具体例に従業員給料を挙げていますが、支給額が確定して支払日を待つだけの給料を未払金にする会社もあります。大切なのは、毎期同じ科目を使い、支払った日に消し込むことです。

買掛金と未払金の違いは何ですか?

本業の取引の未払いかどうかです。会社計算規則は、通常の取引に基づいて発生した事業上の未払金を買掛金としています。商品の仕入れや本業の外注は買掛金、カード払いの経費や備品の購入代金などは未払金に分けるのが一般的です。

クレジットカードで払った経費は未払金ですか?

一般的には未払金です。カードを使った日に「経費の科目/未払金」と記帳し、引き落としの日に「未払金/普通預金」で消します。決算月に使って翌月に引き落とされる分も、使った期の費用になります。

社会保険料の会社負担分はいつの費用になりますか?

保険料の計算の対象になった月の末日の属する事業年度の損金にできます(法人税基本通達9-3-2)。納付期限は翌月末日なので、決算月の分は未払計上して当期の費用にします。本人負担分は給料から差し引いた預り金で、会社の費用ではありません。

おわりに──未払金は「決まった支払い」、未払費用は「たまっていく支払い」

未払金と未払費用は、どちらもまだ払っていないお金です。違いは、一回で決まった支払いか、時間とともにたまっていく支払いかにあります。一人法人が決算で決めることは、科目の名前を覚えることではなく、「期末に払っていないお金を全部、その期の費用として拾ったか」を確かめることです。

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