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国民年金基金とは?iDeCo併用の上限と入ってはいけないと言われる理由

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最終更新:2026年10月20日

国民年金基金とは、自営業者やフリーランスなど国民年金の第1号被保険者が、老齢基礎年金に上乗せする年金を自分でつくるための公的な制度です。1991年(平成3年)に国民年金法に基づいて創設され、65歳から一生受け取る終身年金が基本の形です。掛金は全額が社会保険料控除の対象になる一方、加入したあとは自分の都合で脱退できません。iDeCoとは併用でき、掛金の上限は両方を合わせて月68,000円で、2026年12月分の掛金から月75,000円に上がります。付加年金とは同時に入れません。この記事では、国民年金基金連合会・日本年金機構・iDeCo公式・国税庁で確認できた範囲で、仕組みと併用のルール、「入ってはいけない」と言われる理由を整理します。iDeCoそのものの手続きは独立するとき、iDeCoはどうすればいいのか、法人役員のiDeCoは法人役員のiDeCo上限、国民年金保険料の免除は退職後の国民年金保険料を免除する方法に任せます。最終更新日時点の制度で書いています。

国民年金基金とは?結論から

国民年金基金は、会社員の厚生年金にあたる「2階部分」を第1号被保険者が自分で上乗せするための公的年金で、加入するときに将来の年金額が決まるのが最大の特徴です。要点を表にしました。

項目 内容 出典
位置づけ 国民年金法に基づく公的な年金。老齢基礎年金に上乗せする 国民年金基金連合会「制度の概要」
入れる人 国内に住む20歳以上60歳未満の第1号被保険者と、60歳以上65歳未満または海外居住で国民年金に任意加入している人 国民年金基金連合会「加入資格」
入れない人 厚生年金に入る第2号被保険者、その被扶養配偶者の第3号被保険者、国民年金保険料の免除(一部免除・学生納付特例・納付猶予を含む)を受けている人、農業者年金の被保険者
掛金の上限 iDeCoの掛金と合わせて月68,000円。令和8年12月分の掛金(令和9年2月引落し)から月75,000円 国民年金基金連合会「掛金上限額が引き上がります」
年金の形 1口目は終身年金のA型かB型。2口目以降は終身年金と確定年金(Ⅰ〜Ⅴ型)の7種類から選ぶ 国民年金基金連合会「給付の型」
税金 掛金は全額が社会保険料控除。受け取る年金は公的年金等控除の対象。遺族一時金は非課税 国税庁 No.1130・日本年金機構「国民年金基金」・遺族一時金
脱退 自分の都合で任意に脱退・中途解約できない。解約返戻金の制度はない 国民年金基金「加入にあたっての重要なお知らせ」
付加年金 基金が付加年金を代行しているため、加入員は付加保険料を納められない 日本年金機構「付加保険料の納付」

基金には、住所や業種を問わない「全国国民年金基金」と、特定の職種の人が入る3つの「職能型国民年金基金」があります。行う事業の内容は同じで、どちらか一つにしか入れません(国民年金基金連合会「基金の種類」)。

国民年金基金の掛金と年金額(制度・要件・費用)

国民年金基金の掛金は、加入したときの年齢(月単位)・性別・選んだ年金の型・口数で決まり、加入したあとは同じ額が続きます。若いうちに入るほど1口あたりの掛金は安く、1口目でもらえる年金額は加入時の年齢で変わります。全国国民年金基金の掛金月額表から、1口目の例を抜き出しました。

加入時の年齢 1口目の年金月額(65歳から) 男性 A型 男性 B型 女性 A型 女性 B型
30歳0月 2万円 10,450円 9,500円 12,110円 11,670円
40歳0月 1万5千円 12,735円 11,625円 14,760円 14,250円
50歳0月 1万円 18,400円 16,900円 21,300円 20,640円

出典は国民年金基金連合会「掛金月額表」です。「40歳0月」は誕生月に加入した場合の表記で、誕生月の翌月なら40歳1月と数えます。A型は65歳から一生受け取れて15年の保証期間があり、年金を受け取る前や保証期間中に亡くなると遺族一時金が出ます。B型は保証期間がない分、掛金が少し安くなります。50歳未満で誕生月以外に加入した場合は、年金額に加算があります。

  • 払い込む期間:60歳未満で加入した場合、加入時から60歳到達前月まで。60歳以上で加入した場合は65歳到達前月または任意加入の資格を失う予定月の前月まで(給付の型)
  • 受け取り始める年齢:A型・B型・Ⅰ型・Ⅱ型は65歳、Ⅲ型・Ⅳ型・Ⅴ型は60歳から(重要なお知らせ)
  • 口数の変更:2口目以降は増やす(増口)ことも減らす(減口)こともでき、増口は月ごとに何回でもできます。1口目は減額も型の変更もできません(増口のご案内)
  • 掛金の引落し:原則として翌々月1日。さかのぼって納められるのは2年までです(重要なお知らせ)
  • 申し込み先:加入申出書を加入したい基金に郵送などで出します。一部の金融機関でも受け付けています(よくあるご質問)

iDeCo・付加年金との併用ルールと合算上限(比べ方)

国民年金基金とiDeCoは同時に入れて、掛金は2つを合わせた額で上限を見ます。付加年金は国民年金基金とは同時に入れませんが、iDeCoとは併用でき、付加保険料も同じ枠の中で数えます。3つの関係を表にしました。

組み合わせ 同時に入れるか 現行の上限(月額) 2026年12月分の掛金から
国民年金基金+iDeCo 入れる 合計68,000円 合計75,000円
iDeCo+付加年金 入れる 付加保険料400円とiDeCoの合計で68,000円 付加保険料を含めて合計75,000円
国民年金基金+付加年金 入れない(基金が付加年金を代行) ― ―

現行の上限はiDeCo公式「iDeCoをはじめるまでの4つのポイント」(第1号は月6.8万円で、国民年金基金または付加保険料との合算枠)、2026年12月からの上限はiDeCo公式「制度改正について」(第1・4号加入者のiDeCoと国民年金基金の共通拠出限度額を月7.5万円に引き上げ)で確認しました。付加保険料を納める人の扱いは、国民年金基金連合会の掛金額変更の特例の案内(2026年8月)が、付加保険料を納めている人のiDeCo掛金を「68,000円以上74,000円以下」と、基金や付加のない人の「69,000円以上75,000円以下」と分けて書いていることから、付加保険料の400円が新しい枠の中で数えられていると読み取れます。同時加入できないことは日本年金機構に書かれています。

国民年金基金とiDeCoは、同じ枠を分け合う制度でも、お金の性格が違います。

項目 国民年金基金 iDeCo
年金額 加入するときに将来の年金額を確認できる 運用の成果で増えることも減ることもある
掛金の決まり方 年齢・性別・型・口数で決まる 月5,000円以上、1,000円単位で自分で決める
掛金の変更 2口目以降の増口・減口。1口目は変えられない 12月分から翌年11月分の間に1回。拠出はいつでも止められる
掛金の控除 社会保険料控除 小規模企業共済等掛金控除(国税庁 No.1135)
受け取り方 終身年金が基本。確定年金も選べる 原則60歳から75歳までの間に、一時金・年金・その組み合わせ
途中でやめる 任意に脱退できない。資格を失っても掛金は将来の年金で受け取る 拠出は止められるが、資産は原則60歳まで引き出せない

iDeCoの欄はiDeCo公式「加入資格・掛金・受取方法等」と「4つのポイント」で確認しました。

例で枠の配分を計算します(数字はすべて架空の例です)。40歳0月に全国国民年金基金に加入した男性が、1口目を終身年金A型(月12,735円)にしたとします。iDeCoに回せるのは68,000円−12,735円=55,265円で、iDeCoの掛金は1,000円単位なので月55,000円までです。2026年12月分の掛金からは75,000円−12,735円=62,265円になり、iDeCoは月62,000円まで増やせます。上限が上がっても掛金は自動では増えないので、基金なら増口、iDeCoなら掛金額の変更の手続きが要ります。

同じ人が1口目だけを続けた場合に、受け取った年金が納めた掛金を上回る時期も計算しておきます。月12,735円を60歳到達前月まで20年(240か月)納めると、12,735円×240=3,056,400円です。年金は月1万5千円、年18万円なので、3,056,400円÷180,000円=約17年。65歳から17年分を受け取った81歳の時点で、受け取った合計は306万円になり、納めた掛金を上回ります。この計算には、掛金の社会保険料控除で軽くなる税金も、年金にかかる税金も入れていません。

個人事業主・一人法人の判断ポイント

国民年金基金に入れるかどうかは、独立したかどうかではなく、国民年金の第1号被保険者かどうかで決まります。個人事業主は入れますが、役員報酬を受け取って厚生年金に入る一人法人の社長は第2号被保険者なので入れません。立場ごとに分けました。

立場 健康保険・年金 国民年金基金 付加年金 iDeCoの上限(現行→2026年12月分から)
個人事業主・フリーランス 国民健康保険・国民年金(第1号) 入れる 入れる(基金に入らない場合) 基金・付加保険料と合計で68,000円→75,000円
一人法人の役員(役員報酬あり・厚生年金に加入・会社に企業年金なし) 健康保険・厚生年金(第2号) 入れない 入れない 23,000円→62,000円
一人法人の役員(役員報酬0円で厚生年金に入っていない・20歳以上60歳未満) 国民健康保険・国民年金(第1号。第3号の人を除く) 入れる 入れる(基金に入らない場合) 基金・付加保険料と合計で68,000円→75,000円

第1号・第2号の区分は日本年金機構「第1号被保険者」と「第2号被保険者」、付加保険料を納められる人は「付加保険料の納付」、第2号の上限は「制度改正について」で確認しました。なお、国民年金保険料は令和8年度で月17,920円です(日本年金機構)。国民年金基金は、この保険料を納めていることが前提の上乗せです。

個人事業主が法人成りして厚生年金に入ると、その時点で国民年金基金の加入資格を失います。それまでに納めた掛金は引き出せず、納めた期間に応じた年金が将来支給されます(加入資格)。数年のうちに法人成りするつもりがあるなら、基金の口数を増やす前に、いつ第2号になりそうかを見ておくと、上乗せの組み方を途中で崩さずに済みます。法人成りの時期の考え方は法人成りのタイミングに、法人を作ったあとの健康保険の切り替えは独立したら保険証はどうなるのかにまとめています。

ぼくは40歳で独立したとき、会社の企業型DCをiDeCoに移す手続きには時間をかけましたが、国民年金のほうは切り替えの手続きだけで済ませました。iDeCoの移換は自分で決めないと先に進まない手続きで、国民年金の切り替えは窓口で書けば終わる手続きでした。国民年金基金は、国民年金の切り替えとは違い、自分から調べて申し込まないかぎり何も始まらない側の制度です。独立の準備でいちばん後回しにされるのは年金まわりで、上乗せの年金はその中でもさらに後ろに回りやすいところだと思います。

国民年金基金のよくある間違いと注意点(入ってはいけないと言われる理由)

「国民年金基金に入ってはいけない」と言われる理由の多くは、途中でやめられない・掛金を引き出せない・解約返戻金がないといった公式に書かれた特徴を、加入する前に知らなかったことにあります。公式の説明から、申し込む前に確かめておく点を並べます。

  • 自分の都合では脱退できない:加入は任意ですが、いったん入ると任意に脱退・中途解約できず、ほかの基金へ移ることもできません(よくあるご質問)
  • 解約返戻金がない:死亡以外の理由で資格を失っても一時金は受け取れず、納めた掛金は将来の年金として支給されます(重要なお知らせ)
  • 1口目は動かせない:1口目は終身年金のA型かB型で、減額も型の変更もできません。掛金を減らせるのは2口目以降だけです
  • 国民年金保険料の未納が響く:国民年金の保険料が未納のまま2年を過ぎると、その期間の基金の掛金は年金に反映されず還付されます。還付された掛金で社会保険料控除を受けていた場合は、修正申告が必要です
  • 保険料の免除を受けると資格を失う:一部免除・学生納付特例・納付猶予を含みます。法定免除で納付の申出をした期間、産前産後期間の免除、2026年10月に始まった育児期間の免除は例外です(国民年金基金連合会のお知らせ)
  • 遺族一時金が掛金を下回ることがある:B型だけに入って年金を受け取る前に亡くなった場合、遺族一時金は1万円です
  • 基金が解散した場合:残りの財産を加入員などで分けるため、それまでに払った掛金を下回ることがあると公式に書かれています
  • 付加保険料を払い続ける:基金の1口目には付加年金に相当する部分が含まれているので、基金に入ったら付加保険料は納めません

一方で、加入時に将来の年金額を確認できる、一生受け取れる、掛金が全額社会保険料控除になる、という点も同じ公式の説明に並んでいます。iDeCoのように自分の運用で増やす余地はない代わりに、年金額は加入時に決まる設計です。入ってはいけない制度というより、途中で動かせないお金をどれだけ置けるかで向き不向きが決まる制度です。

この記事は、最終更新日時点の国民年金基金連合会・日本年金機構・iDeCo公式・国税庁の情報で書いています。掛金額や上限は改正で変わるので、申し込む前に加入する基金の案内で確かめてください。個別の判断(自分の会社がどうするか)は、税理士・司法書士・社労士に確認してください。

国民年金基金に関するよくある質問

国民年金基金とiDeCoは併用できますか?

併用できます。掛金の上限は国民年金基金とiDeCoを合わせて月68,000円で、2026年12月分の掛金から月75,000円に上がります。国民年金基金の新しい上限は令和9年2月引落し分から使えます。どちらも自動では増えないので、増やすなら基金は増口、iDeCoは掛金額の変更を届け出ます。

国民年金基金に入ってはいけないのはどんな人ですか?

公式に書かれた特徴から考えると、近いうちに法人成りして厚生年金に入る予定の人、国民年金保険料の免除を受ける見込みがある人、手元の現金に余裕がない人は、加入前に慎重に確かめたほうがよい立場です。国民年金基金は任意に脱退できず、解約返戻金もありません。資格を失っても掛金は将来の年金として受け取る形になります。

国民年金基金のメリットは何ですか?

加入時に将来の年金額を確認でき、1口目は65歳から一生受け取れる終身年金になる点です。掛金は全額が社会保険料控除の対象で、年金は公的年金等控除の対象になり、遺族一時金は非課税です。iDeCoと違い、年金額は自分の運用の成果ではなく加入時の条件で決まります。

一人法人の社長は国民年金基金に入れますか?

役員報酬を受け取って厚生年金に入っている社長は第2号被保険者なので入れません。役員報酬が0円で厚生年金に入っておらず、第1号被保険者に当たる場合は入れます。個人事業主の時代に加入していた人は、法人成りで第2号になった時点で資格を失い、それまでの掛金は将来の年金として受け取ります。

おわりに──国民年金基金は、増やす制度ではなく、動かさないと決めたお金の置き場

国民年金基金は、第1号被保険者が一生続く年金を自分で上乗せする制度です。年金額は加入時に決まり、掛金は全額控除になる代わりに、途中でやめることも引き出すこともできません。iDeCoとの配分を考える前に決めるべきことは、どれだけ増やしたいかではなく、60歳まで動かさないと言い切れるお金がいくらあるかです。

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