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法人事業税とは?法人税との違いと東京都の税率・特別法人事業税

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最終更新:2026年10月19日

法人事業税とは、都道府県が法人の「事業そのもの」に課す地方税で、資本金1億円以下の一人法人なら、所得に税率を掛ける所得割だけを納めます。東京都の場合、資本金1億円以下で年所得2,500万円以下の普通法人の税率は、所得のうち年400万円以下の部分が3.5%、400万円超800万円以下の部分が5.3%、800万円超の部分が7.0%です(令和4年4月1日以後に開始する事業年度)。これとは別に、所得割額の37%の特別法人事業税をあわせて納めます。法人税との大きな違いは、法人事業税は翌期の所得の計算で損金になることです。この記事は最終更新日時点の制度で、国税庁・東京都主税局・e-Gov法令検索などの公式ページで確認できた内容だけを書いています。

法人事業税とは?結論から

法人事業税は、法人税と同じく所得を基準にかかりますが、納める先は都道府県で、経費(損金)として扱える点が違います。一人法人が押さえておく要点を表にまとめます。

項目 内容 確認した公式ページ
何にかかるか 都道府県内に事務所・事業所を設けて事業を行う法人。資本金1億円以下の普通法人は、所得×税率の所得割 東京都主税局 法人事業税・法人都民税
東京都の税率 年400万円以下3.5%・400万円超800万円以下5.3%・800万円超7.0%(資本金1億円以下かつ年所得2,500万円以下の普通法人で、軽減税率適用法人の場合) 同上・税率の判定フロー(PDF)
特別法人事業税 標準税率で計算した所得割額×37%。国税だが、都道府県に法人事業税とあわせて申告・納付する 東京都主税局 特別法人事業税
申告期限 原則として事業年度終了の日から2か月以内 東京都主税局 法人事業税・法人都民税
損金になるか なる。申告書を提出した事業年度の損金(つまり原則として翌期) 国税庁 No.5300
外形標準課税 原則として資本金1億円超の普通法人が対象。資本金1億円以下の一人法人は原則として対象外 東京都主税局 外形標準課税の概要

東京都以外に本店がある会社は、税率が都道府県ごとに違う場合があります。数字は各都道府県の案内で確認してください。この記事の税率と計算例は、すべて東京都の数字です。

制度・税率・申告期限──法人税との違いと特別法人事業税

法人の所得にかかる税金は、国税3つと地方税2つに、性格の違う特別法人事業税を加えた6つに分けると整理できます。法人事業税はそのうち、地方税で、しかも損金になる側に入ります。

税目 国税・地方税 申告・納付先 何に税率を掛けるか 所得の計算で損金になるか
法人税 国税 税務署 所得。資本金1億円以下の法人は年800万円以下の部分15%、超える部分23.2%(国税庁 No.5759) ならない(法人税法 第38条)
地方法人税 国税 税務署(法人税と一体の申告書) 法人税額×10.3%(令和元年10月1日以後に開始する課税事業年度・国税庁) ならない(同条)
防衛特別法人税 国税 税務署(法人税と一体の申告書) (法人税額−年500万円)×4%。令和8年4月1日以後に開始する事業年度から(国税庁 リーフレット) ならない(財務省 令和7年度税制改正の解説)
法人住民税 地方税 都道府県・市町村(23区は都税事務所にまとめて) 法人税割=法人税額×税率、均等割=資本金等の額と従業者数による定額 ならない(No.5300)
法人事業税 地方税 都道府県(23区は都税事務所) 所得(資本金1億円以下の普通法人は所得割) なる(No.5300)
特別法人事業税 国税(都道府県が事業税とあわせて賦課徴収) 都道府県(事業税と同じ申告書) 標準税率で計算した所得割額×37% なる(No.5300)

法人税・地方法人税・防衛特別法人税・法人住民税の法人税割は、どれも法人税の額を出発点にしています。法人事業税だけは、法人税額ではなく所得に直接税率を掛けます。所得の出し方は、地方税法72条の23で「法人税の課税標準である所得の計算の例により算定する」とされています(地方税法)。均等割の区分と資本金等の額1,000万円の線は、資本金はいくらにするかで詳しく書きました。

東京都の法人事業税は、超過課税と不均一課税の組み合わせです。資本金1億円以下で、年所得が2,500万円以下の普通法人には標準税率(不均一課税適用法人の税率)が使われ、それ以外には超過税率が使われます。

所得割の区分(普通法人・軽減税率適用法人) 不均一課税適用法人の税率(標準税率) 超過税率
年400万円以下の所得 3.5% 3.75%
年400万円を超え年800万円以下の所得 5.3% 5.665%
年800万円を超える所得 7.0% 7.48%

この表は、東京都主税局の税率表のうち令和4年4月1日以後に開始する事業年度の欄です。税率の判定は事業年度終了の日の現況で行い、事業年度が1年に満たない場合は2,500万円を月数で按分した額で判定します。資本金1,000万円以上で3以上の都道府県に事務所等がある法人は「軽減税率不適用法人」になり、所得の区切りがなくなります。本店が23区内の1か所だけの一人法人なら、この不適用法人には当たりません。

特別法人事業税は、令和元年10月1日以後に開始する事業年度から適用されている税です。外形標準課税法人・特別法人以外の法人の税率は37%で、法人事業税に超過税率が使われていても、計算は標準税率で出した所得割額(基準法人所得割額)に掛けます。

外形標準課税は、原則として事業年度終了の日の資本金が1億円を超える普通法人が対象です。令和7年4月1日以後に開始する事業年度からは、前事業年度に対象だった法人が資本金を1億円以下に減らしても、払込資本(資本金+資本剰余金)が10億円を超えていれば対象に残ります。令和8年4月1日以後に開始する事業年度からは、払込資本50億円超の法人の100%子法人などで払込資本が2億円を超えるものも対象に加わりました。個人が出資する資本金1億円以下の一人法人は、どちらにも当たらないのが普通です。

計算の手順と例──所得割と特別法人事業税

法人事業税の計算は、所得を出し、税率の区分を決め、400万円と800万円で区切って掛けるだけです。手順を番号で並べてから、架空の数字で計算します。

  1. 法人税の所得の計算の例で、事業税の所得を出す
  2. 標準税率か超過税率か(資本金1億円以下・年所得2,500万円以下か)を判定する
  3. 軽減税率不適用法人(資本金1,000万円以上・3以上の都道府県に事務所等)に当たらないかを確認する
  4. 所得を年400万円以下・400万円超800万円以下・800万円超に分けて、それぞれの税率を掛ける
  5. 標準税率で出した所得割額に37%を掛けて、特別法人事業税を出す
  6. 事業年度終了の日から2か月以内に、法人都民税とあわせて都税事務所に申告・納付する

計算例の前提は次のとおりです。すべて架空の設定です。

前提(例) 内容
会社 資本金300万円の合同会社(普通法人)。社員は代表1人
事務所 東京都23区内の本店1か所だけ。ほかの道府県に事務所なし
事業年度 2026年4月1日から2027年3月31日までの1年
所得 事業税の所得は法人税の所得と同じ額と仮定
適用する税率 年所得2,500万円以下なので標準税率(3.5%・5.3%・7.0%)。外形標準課税の対象外
所得(例) 所得割 特別法人事業税(所得割×37%) 合計 所得に対する割合(目安)
300万円 300万円×3.5%=10万5,000円 3万8,850円 14万3,850円 約4.8%
600万円 400万円×3.5%+200万円×5.3%=24万6,000円 9万1,020円 33万7,020円 約5.6%
1,000万円 400万円×3.5%+400万円×5.3%+200万円×7.0%=49万2,000円 18万2,040円 67万4,040円 約6.7%

検算します。所得600万円の行は、14万円(400万円×3.5%)と10万6,000円(200万円×5.3%)の合計で24万6,000円です。その37%が9万1,020円で、足すと33万7,020円になります。1,000万円の行は、14万円+21万2,000円+14万円=49万2,000円で、その37%が18万2,040円です。ここでは課税標準の千円未満や確定金額の百円未満の切捨て(地方税法 第20条の4の2)を省いているので、実際の申告額とは数百円ずれることがあります。

表のとおり、所得が増えるほど上の区分の税率が効いて、所得に対する割合も上がります。法人税・地方法人税・法人住民税は、この表とは別に計算して申告します。

一人法人の判断ポイント

一人法人にとっての法人事業税は、税率の高さより「いつ払い、いつ損金になるか」のずれを先に知っておくべき税です。申告は決算から2か月以内、損金になるのは申告書を出した事業年度なので、原則として1年ずれます。

上の例でいえば、2027年3月期の所得600万円に対する法人事業税と特別法人事業税の33万7,020円は、2027年5月31日までに申告・納付し、2028年3月期の損金になります。No.5300によると、直前事業年度分の事業税と特別法人事業税は、その事業年度の終わりまでに申告されていなくても、その事業年度の損金に算入できます。設立1期目は前期の事業税がないので、損金に入る事業税もありません。2期目に「去年の事業税が今年の経費に入る」形が始まります。

個人事業主のときにも事業税はありましたが、仕組みはかなり違います。法人成りした人が混同しやすい点を表で分けます。

論点 一人法人(法人事業税) 個人事業主(個人事業税)
かかる税 法人事業税(所得割)+特別法人事業税 個人事業税(法定業種の事業を行う場合)
東京都の税率 所得の区分で3.5%・5.3%・7.0%(標準税率の場合) 業種で決まる。広告業・コンサルタント業は第1種事業で5%
差し引く額 所得をそのまま区分して税率を掛ける 事業主控除 年290万円(営業期間が1年未満なら月割)
納め方 自分で申告して納める(事業年度終了の日から2か月以内) 都税事務所から届く納税通知書で、原則8月・11月の2回に分けて納める
赤字の繰越し 法人税の所得の計算の例による(欠損金の繰越控除) 青色申告者は翌年以降3年間、損失の繰越控除

個人事業税の欄は、東京都主税局の個人事業税のページで確認した内容です。個人事業主のうち広告業やコンサルタント業に当たる人は業種で5%と決まりますが、法人になると業種ではなく所得の大きさで税率が変わります。

ぼくは2019年の秋にtiny合同会社を一人で作りました。tiny合同会社を設立してわかったことにも書いたとおり、法人の決算申告は個人の確定申告とは別物で、法人税・消費税・地方税を別々に申告する必要があります。法人事業税はこの「地方税」の側に入り、法人都民税とあわせて都税事務所に申告します。税理士ドットコムの記事には、最初の期の途中まで自分で帳簿をつけ、決算の直前に慌てて税理士を探したことも書きました。そのとき、節税は決算のあとに計算する作業ではなく、期の初めに設計する作業だと理解しました。法人事業税も、2期目に前期分が損金に入ることまで含めて、最初の期のうちに見通しておくと資金繰りが読みやすくなります。

よくある間違いと注意点

まず避けたい間違いは、法人事業税を法人税の一部だと思い、税務署に出せば済むと考えることです。法人事業税と特別法人事業税は都道府県(23区なら都税事務所)に申告します。ほかの注意点も並べます。

  • 損金になるのは当期ではなく、原則として申告した期:当期分の事業税を当期の経費に入れるのではなく、申告書を提出した事業年度の損金になります(No.5300)。
  • 特別法人事業税を超過税率で計算する:東京都で超過税率が適用される法人でも、特別法人事業税は標準税率で計算した所得割額に37%を掛けます。
  • 古い税率表を見る:東京都の税率表は、事業年度の開始日で欄が分かれています。令和4年4月1日以後に開始する事業年度の欄を使ってください。
  • 他県の税率を東京都の数字で計算する:超過課税をしているか、どの法人に標準税率を使うかは都道府県で違うことがあります。本店がある都道府県の案内で確認してください。
  • 防衛特別法人税と混同する:令和8年4月1日以後に開始する事業年度から始まった防衛特別法人税は国税で、税務署に法人税と一体の申告書で出します。法人事業税とは申告先も計算の基礎も違います。
  • 赤字なら地方税は何も払わないと思う:所得割は所得がなければかかりませんが、法人住民税の均等割は赤字でもかかります。

この記事は、最終更新日時点の制度で書いています。個別の判断(自分の会社がどうするか)は、税理士・司法書士・社労士に確認してください。税理士の選び方はいい税理士とは何かにまとめています。決算月と申告期限の関係は、決算月の決め方で書きました。

法人事業税に関するよくある質問

法人事業税について、一緒に検索されている「わかりやすく」「法人税との違い」「特別法人事業税」「損金」の疑問に答えます。回答は、最終更新日時点で国税庁と東京都主税局のページで確認できた内容です。

法人事業税をわかりやすく言うと何ですか?

会社が都道府県で事業をしていることにかかる地方税です。資本金1億円以下の一人法人なら、所得に税率を掛ける所得割だけを納めます。東京都の標準税率は、所得のうち年400万円以下の部分が3.5%、400万円超800万円以下の部分が5.3%、800万円超の部分が7.0%です。

法人事業税と法人税の違いは何ですか?

法人税は国税で税務署に、法人事業税は地方税で都道府県に申告します。法人税は損金になりませんが、法人事業税は申告書を提出した事業年度の損金になります。法人税の税率は年800万円以下の部分15%・超える部分23.2%で、法人事業税は東京都の場合3.5%〜7.0%です。

特別法人事業税とは何ですか?

令和元年10月1日以後に開始する事業年度から適用されている国税で、法人事業税とあわせて都道府県に申告・納付します。外形標準課税法人・特別法人以外の法人の税率は、標準税率で計算した所得割額の37%です。損金になる時期は法人事業税と同じです。

法人事業税は損金になりますか?

なります。申告納税方式の税なので、納税申告書を提出した事業年度の損金です。3月決算なら、2027年3月期の事業税は2027年5月に申告し、2028年3月期の損金になります。直前事業年度分は、その期の終わりまでに申告していなくても損金に算入できます。

おわりに──法人事業税は、払った年ではなく翌年に効く税

法人事業税は、税率だけ見れば法人税より小さな税です。ただ、申告は決算の2か月後、損金になるのはその翌期と、払う時期と効く時期が1年ずれています。一人法人が決めることは「税率を覚えること」ではなく、「前期の事業税を、今期の数字の中で待ち構えておくこと」です。

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