最終更新:2026年10月20日
副業の確定申告の20万円ルールとは、給与を1か所から受けて年末調整を済ませている会社員なら、給与以外の所得の合計が20万円以下のとき、所得税の確定申告をしなくてよい決まりです。ただし、これは所得税だけの話です。住民税には同じ決まりがなく、20万円以下の副業の所得でも、お住まいの市区町村への住民税の申告が必要です。また、20万円は売上(収入)ではなく、経費を引いた後の所得で判定します。
ぼくは40歳でtiny合同会社を一人で設立したマーケターです。この記事は、会社員として働きながら副業の収入がある人に向けて、20万円の線の中身と、20万円以下でも申告が必要になる場合を、国税庁と自治体の公式ページで確認できた範囲で整理しました。確定申告そのものの流れはフリーランスの確定申告ガイド、副業の始め方はマーケターが副業を始めるためのステップに任せ、ここでは会社員の副業と20万円の線に絞ります。2026年10月20日時点の制度で書いています。
副業の確定申告の20万円ルールとは?結論から
20万円以下で申告が要らなくなるのは所得税の確定申告だけで、住民税の申告はなくなりません。まず、自分がどの行に当てはまるかを表で確認してください。
| 状況(給与は1か所・年末調整済み) | 所得税の確定申告 | 住民税の申告 |
|---|---|---|
| 副業などの所得の合計が20万円以下で、ほかに申告する理由がない | 不要 | 必要(市区町村へ) |
| 副業などの所得の合計が20万円を超える | 必要(還付になる人を除く) | 確定申告をすれば別に出さなくてよい |
| 20万円以下だが、医療費控除などで確定申告をする | する場合は、20万円以下の所得も含めて申告する | 確定申告をすれば別に出さなくてよい |
| 給与を2か所以上から受けている(副業もアルバイトなどの給与) | 年末調整されなかった給与の収入金額と、給与以外の所得の合計が20万円を超えると必要 | 確定申告をしない場合は自治体の案内で確認 |
所得税の決まりは国税庁のNo.1900 給与所得者で確定申告が必要な人(令和8年4月1日現在法令等)で確認しました。住民税は、港区が「金額の多少にかかわらず必ず申告しなければなりません」と案内しています(港区 よくある質問)。横浜市も、確定申告をした場合は住民税の申告がされたとみなされ、確定申告をしなかった場合は住民税の申告が必要だと説明しています(横浜市 よくある質問)。
制度・要件・金額(国税庁で確認した20万円の中身)
20万円の線は「給与所得と退職所得以外の、各種の所得金額の合計」に引かれています。収入の合計ではなく、所得の合計です。
| 論点 | 確認できた内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 確定申告が必要な給与所得者(主なもの) | 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人/給与を1か所から受けていて、給与以外の所得の合計が20万円を超える人/給与を2か所以上から受けていて、年末調整されなかった給与の収入金額と給与以外の所得の合計が20万円を超える人。いずれも、確定申告をすれば税金が還付される人は除く | 国税庁 No.1900 |
| 2か所給与の例外 | 給与の収入金額の合計から所得控除の合計(雑損控除・医療費控除・寄附金控除・基礎控除を除く)を引いた額が150万円以下で、給与以外の所得の合計が20万円以下なら申告不要 | 国税庁 No.1900 |
| 20万円に入れない所得 | 特定口座の源泉徴収選択口座で申告しないことを選んだ上場株式等の譲渡益、申告しないことを選んだ上場株式等の配当、源泉分離課税の預貯金の利子など | 国税庁 No.1900 |
| 副業の所得の区分 | 原稿料やフリマアプリでの個人取引、ベビーシッター・家庭教師などの役務の提供による所得は、一般的には雑所得。業務に係る雑所得は「総収入金額-必要経費」 | 国税庁 No.1906、No.1500 |
| 申告する場合の範囲 | 20万円以下で申告不要の人でも、医療費控除などの還付申告をするなら、その20万円以下の所得も併せて申告する | 国税庁 確定申告を要しない場合の意義 |
| 確定申告の期間 | 原則として、その年の翌年2月16日から3月15日まで | 国税庁 No.2020 |
| 住民税の申告の期限 | 世田谷区の場合は3月15日(土日祝日なら翌開庁日)。税務署へ確定申告をする人は住民税の申告は不要 | 世田谷区 住民税の申告 |
次に、令和7年度と令和8年度の税制改正で動いた数字です。20万円の線そのものは、令和8年4月1日現在法令等のNo.1900でも20万円のままです。動いたのは、税額を計算するときの基礎控除と給与所得控除です。
| 合計所得金額 | 基礎控除(令和7年分) | 基礎控除(令和8年分・令和9年分) |
|---|---|---|
| 132万円以下 | 95万円 | 104万円 |
| 132万円超336万円以下 | 88万円 | 104万円 |
| 336万円超489万円以下 | 68万円 | 104万円 |
| 489万円超655万円以下 | 63万円 | 67万円 |
| 655万円超2,350万円以下 | 58万円 | 62万円 |
| 給与所得控除の最低保障額 | 65万円(給与収入190万円まで) | 74万円(給与収入220万円まで) |
出典は国税庁のNo.1199 基礎控除、No.1410 給与所得控除、令和8年4月 源泉所得税の改正のあらましです。令和8年分の改正は令和8年12月1日に施行され、令和8年12月の年末調整で反映されます(国税庁 令和8年度税制改正Q&A Q1-1)。令和10年分以後は、合計所得132万円以下が99万円、132万円超2,350万円以下が62万円になる予定です(No.1199)。
一方で、住民税の基礎控除は所得税と別の数字です。中央区の案内では、住民税の基礎控除は合計所得金額2,400万円以下で43万円です(中央区 基礎控除、所得控除の種類と控除額)。所得税の基礎控除が上がっても、住民税の計算がそのまま同じだけ軽くなるわけではありません。
判定の手順と計算例
判定は、副業の収入から経費を引いて所得を出し、それを20万円と比べる順番で進めます。最初に売上の合計だけを見て判断すると、ほぼ確実に間違えます。
- 給与が1か所か2か所以上か、年末調整を受けているかを源泉徴収票で確認する
- 副業の所得の種類を決める(原稿料やスキル販売なら一般的には雑所得。事業として営んでいるなら事業所得)
- 副業の収入の合計から、その収入を得るためにかかった必要経費を引いて所得を出す
- 副業が複数あるなら、給与と退職以外の所得をすべて合計する(申告しないことを選んだ特定口座の株式の利益などは入れない)
- 合計が20万円を超えるかどうかを見る。超えれば所得税の確定申告、20万円以下なら住民税の申告を市区町村へ
- 20万円以下でも、医療費控除やふるさと納税などで確定申告をする予定があれば、副業の所得も申告書に入れる
架空の数字で確かめます。以下はすべて例で、給与は1か所・年末調整済みの会社員とします。
| 例 | 副業の収入 | 必要経費 | 所得 | 所得税の確定申告 | 住民税の申告 |
|---|---|---|---|---|---|
| 例1 | 28万円 | 10万円 | 18万円 | 不要 | 必要 |
| 例2 | 28万円 | 3万円 | 25万円 | 必要 | 確定申告で足りる |
| 例3(例1の人が医療費控除で申告) | 28万円 | 10万円 | 18万円 | する。18万円も含めて申告 | 確定申告で足りる |
例1と例2は収入が同じ28万円でも、経費の額で結論が逆になります(28万円-10万円=18万円、28万円-3万円=25万円)。例1の住民税は、所得割の標準税率10%(総務省 個人住民税)をそのまま当てると、18万円×10%=1万8,000円が翌年度の住民税に上乗せされる目安になります。給与のほうで所得控除を使い切っている前提の、ざっくりした計算です。
もう一つ、令和8年分から気にしておきたいのが基礎控除の段です。基礎控除は給与と副業を合わせた合計所得金額で段が決まります。例として、給与収入650万円の人の給与所得はおよそ476万円です(650万円×20%+44万円=174万円を給与所得控除として引く)。ここに副業の所得18万円が加わると合計所得は494万円になり、令和8年分の基礎控除は104万円の段(489万円以下)から67万円の段に移ります。令和7年分なら68万円から63万円への5万円差でしたが、令和8年分は37万円の差です。副業の所得は20万円以下で確定申告が要らなくても、合計所得が段の境目をまたぐと所得税の計算に響きます。年末調整で出す基礎控除申告書には、合計所得金額に応じた基礎控除額を書くことになっているので(国税庁Q&A Q2-2)、境目の近くにいる人は、勤務先や税務署に書き方を確認してください。
個人事業主・副業の人の判断ポイント
20万円以下でも、自分から確定申告をしたほうがいい場面や、しなければ控除を受けられない場面があります。「20万円以下だから何もしない」と決める前に、次の表を一度通してください。
| 場面 | 確定申告との関係 | 出典 |
|---|---|---|
| 医療費控除を受けたい | 確定申告書の提出が必要。その場合は20万円以下の副業の所得も含める | 国税庁 No.1120、確定申告を要しない場合の意義 |
| ふるさと納税をした | 確定申告の不要な給与所得者等で寄附先が5団体以内ならワンストップ特例を使える。確定申告をする人は、ふるさと納税の控除も確定申告で受ける | 総務省 ふるさと納税ワンストップ特例制度 |
| 副業の報酬から所得税が源泉徴収されている | 納め過ぎなら還付申告で戻る場合がある。還付申告は翌年1月1日から5年間提出できる | 国税庁 No.2030 |
| 住宅ローン控除・雑損控除などを受けたい | 還付申告の具体例として国税庁が挙げている | 国税庁 No.2030 |
| 副業もアルバイトなどの給与 | 1か所の場合の20万円とは計算が違う(年末調整されなかった給与の収入金額で見る) | 国税庁 No.1900 |
どの場面でも、申告するなら副業の所得は全部載せます。20万円以下の所得を外して、医療費控除だけを申告することはできません。
もう一つの判断軸は、副業を雑所得で済ませるか、開業届を出して事業所得として申告するかです。業務に係る雑所得は、前々年の収入金額が300万円を超えると現金預金取引等関係書類の保存が必要になり、雑所得の損失はほかの所得と損益通算できません(国税庁 No.1500)。帳簿をつけて事業として続けるつもりなら、記帳の考え方を複式簿記と単式簿記の違いで先に押さえておくと、あとで迷いません。
ぼく自身の話をすると、独立1年目に青色申告の申請期限を軽く見ていて、準備が間に合いませんでした(フリーランスの確定申告ガイドに書いた失敗です)。金額の線より先に効いてくるのは、期限と、どの手続きをどこに出すかの線です。副業の20万円も同じで、所得税は税務署、住民税は市区町村と、出し先が2つに分かれていることを最初に知っておくだけで、取りこぼしが減ります。
よくある間違いと注意点
いちばん多い間違いは、20万円以下なら申告がすべて不要だと思い込むことです。所得税と住民税は別の税で、20万円の決まりは所得税の確定申告にしかありません。
- 収入と所得を取り違える:20万円は収入(売上)ではなく、必要経費を引いた所得で判定します。逆に、経費にできるのは副業の収入を得るためにかかった支出だけです。自宅の家賃や通信費を一部だけ経費にする考え方は家事按分の記事にまとめました
- 「以下」と「超える」:国税庁の表現は「20万円を超える人」が申告対象です。ちょうど20万円は、1か所給与の人なら所得税の確定申告は不要の側に入ります
- 住民税の申告を忘れる:所得税の確定申告をしない場合は、市区町村へ住民税の申告をします。申告書の様式や受付窓口は自治体ごとに違うので、お住まいの市区町村の案内で確認してください
- 申告するときに副業の所得を外す:医療費控除などで確定申告をするなら、20万円以下の所得も含めます
- 副業の可否を確認しない:税の手続きとは別に、勤務先の就業規則に副業の規定があります。始める前に、許可制か届出制かを確認してください
この記事は最終更新日時点の制度で書いています。個別の判断(自分の会社がどうするか)は、税理士・司法書士・社労士に確認してください。会社員の副業なら、自分の申告をどうするかは税理士か、お住まいの地域の税務署の相談窓口が確認先になります。税理士の探し方はいい税理士の見分け方と探し方にまとめています。
副業の20万円ルールに関するよくある質問
副業の所得が20万円以下なら、住民税の申告もいりませんか?
いいえ、住民税の申告は必要です。20万円以下で申告が要らなくなるのは所得税の確定申告だけで、住民税には同じ決まりがありません。所得税の確定申告をしない場合は、お住まいの市区町村へ住民税の申告をします。
20万円は収入ですか、所得ですか?
所得です。副業の収入から必要経費を引いた金額を、給与と退職以外の所得すべてで合計し、20万円を超えるかで判定します。収入が20万円を超えていても、経費を引いた所得が20万円以下なら、1か所給与の会社員は所得税の確定申告が不要です。
医療費控除を受けるとき、20万円以下の副業の所得も申告しますか?
申告します。国税庁は、20万円以下で確定申告を要しない人でも、医療費控除の還付申告をする場合は、その20万円以下の所得も併せて申告する必要があると説明しています。医療費控除だけを切り出して申告することはできません。
副業がある給与所得者でも、ふるさと納税のワンストップ特例は使えますか?
確定申告の不要な給与所得者等で、寄附先が5団体以内なら使えます。副業の所得が20万円を超えて確定申告をする人や、医療費控除などで確定申告をする人は、ふるさと納税の控除も確定申告で受けることになります。
おわりに──20万円は所得税の線で、住民税の線ではない
20万円ルールは「副業の申告がいらない線」ではなく、「所得税の確定申告がいらない線」です。住民税の申告は残り、控除を受けるために申告するなら副業の所得も全部載せます。線の位置より、どの税の線かを先に確かめる。それだけで、副業の申告の迷いはほとんど消えます。
今日やることは1つです。副業の入金と、そのためにかかった支出を、1年分ひとつの表に並べてください。収入から経費を引いた数字が、20万円の線と比べる本当の数字です。