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通信費は経費にできる?割合・いくらまで・領収書なしの扱い

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最終更新:2026年10月19日

通信費は経費にできます。仕事に使ったスマホ・インターネット回線・サーバー代は、個人事業主なら必要経費、法人なら損金になり、「月いくらまで」の上限はありません。基準は金額ではなく業務に使ったかどうかで、私用と兼ねている場合、個人事業主は業務分を按分し、一人法人は会社の契約か役員個人の契約かで分けます。紙の領収書がなくても、利用明細と帳簿の記録で支払いの中身を残せます。

ぼくは先日、15年使っていたスマホの契約を乗り換え、同じ無制限の使い方で年間約5万円の差があると分かりました。手を動かした時間は1時間もかかっていません。見直しの順番は独立後の固定費は通信から見直すに書いたので、この記事は「経費にできるか・科目・按分」に絞ります。2026年10月19日時点の制度で書いています。

通信費は経費にできる?結論から

通信費は、業務に使った部分なら全額が経費になります。根拠は、個人事業主が所得税法37条(必要経費)、法人が法人税法22条3項(損金)で、どちらも通信費に金額の上限を定めていません。下の表は、支出ごとの判定の目安です。

支出 個人事業主 一人法人
仕事専用のスマホ(回線を分けている) 全額を必要経費 会社名義の契約なら全額を損金
仕事と私用を兼ねるスマホ 業務に使った部分を按分 役員個人の契約を会社が全額負担すると、私用分は役員への給与の扱い。業務分だけ精算するか、会社名義の回線に分ける
自宅の光回線・Wi-Fi 業務に使った時間などで按分 会社名義で事務所の回線を引けば損金。自宅の個人契約は上と同じ考え方
スマホ本体(端末代) 通信料とは分け、取得価額10万円未満なら全額その年の必要経費。10万円以上は減価償却 同じく、10万円未満は損金経理すれば全額損金。10万円以上は減価償却
サーバー・ドメイン・クラウドストレージ 業務用なら全額。私用のデータ保管も兼ねるなら按分 会社の業務用なら全額
動画・音楽のサブスク、端末の補償オプション 業務との関連を説明できる部分だけ 業務との関連がなければ役員の個人的費用
切手・郵送料 業務の郵便なら全額 業務の郵便なら全額

通信費の制度・要件と勘定科目

通信費が経費になる条件は、個人事業主と法人で根拠の条文が違います。個人事業主は必要経費の原則と家事関連費の例外(所得税法45条・施行令96条)で、法人は損金の原則と役員給与の扱い(法人税基本通達9-2-9)で判定します。

区分 個人事業主 法人
原則 業務について生じた費用は必要経費(所得税法37条) 販売費・一般管理費その他の費用は損金(法人税法22条3項)
私用が混ざる場合 家事関連費は原則として必要経費にならず、業務に必要な部分を明らかに区分できる場合だけ必要経費(所得税法45条・施行令96条) 役員のために個人的費用を負担すると、経済的な利益として役員給与の扱い(法人税基本通達9-2-9)
端末 10万円未満は全額その年の必要経費(No.2100) 10万円未満は損金経理で損金(No.5403)
帳簿と書類の保存 白色:帳簿7年・領収書などの書類5年(No.2080)、青色:原則7年(No.2070) 帳簿と書類を7年(No.5930)
消費税(課税事業者) 仕入税額控除には、原則として帳簿と適格請求書などの保存が必要(No.6498) 同じ

個人事業主の按分の線は、所得税基本通達45-2で決まっています。業務に必要な部分が50%を超えるかどうかで判定し、50%以下でも必要な部分を明らかに区分できれば、その部分を必要経費にして差し支えないとされています。「仕事に使うのが半分以下なら経費にできない」わけではありません。

法人の側は、法人税基本通達9-2-9が「役員等のために個人的費用を負担した場合におけるその費用の額」を経済的な利益に挙げています。役員個人のスマホ代を会社がそのまま払い続けると、私用の部分は役員に給与を払ったのと同じ扱いになります。

端末代の10万円の線は、個人事業主が国税庁のNo.2100「減価償却のあらまし」、法人がNo.5403で確認できます。判定は通常1単位として取引される単位ごと、つまり端末1台ごとです。10万円以上の端末には一括償却や中小事業者向けの特例もあるので、該当するときは国税庁のページで要件を確かめてください。

勘定科目は「通信費」がよく使われる例で、スマホ・インターネット・郵送料などをまとめて入れます。サーバー代やクラウドサービスは、通信費のほか支払手数料などの科目で処理する会社もあります。勘定科目の名前は法令で決まっていないので、どれを使っても構いません。大事なのは、同じ種類の支出を毎期同じ科目で処理する継続性です。

通信費の割合の決め方と計算例

通信費の割合は、通話料は明細で業務分を拾い、基本料やデータ通信料は使用時間や日数で分けると説明しやすくなります。国税庁の在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)も、会社が従業員の通信費を負担する場面について、この2つの分け方を示しています。

料金の種類 分け方の例 残すもの
通話料 通話明細で業務の通話を拾う 通話明細
基本使用料・データ通信料 業務に使う時間や日数の割合で分ける 稼働日・作業時間の記録
自宅の光回線 業務に使う時間の割合で分ける 作業時間の記録、契約書
2台持ち・2回線 業務用の回線は全額、私用の回線は経費にしない それぞれの契約書・請求書

FAQ の算式は「1か月の基本使用料や通信料等×その月の在宅勤務日数÷その月の日数×2分の1」です。2分の1は、1日24時間から睡眠の8時間を除いた16時間のうち、法定労働時間の8時間が占める割合から来ています。これは従業員の在宅勤務の計算なので、自宅で毎日仕事をする個人事業主にそのまま当てはめる必要はありませんが、時間で割る考え方の参考になります。同じFAQは、スマホ本体の購入代金や、業務に使ったと認められない補償オプション・音楽や動画のサブスクの料金を会社が負担した場合、従業員への給与として課税するとしています。

ここからは架空の数字で計算します。どれも「例」で、実在の料金プランや本人の数字ではありません。

例(個人事業主) 計算 業務分
例1:スマホ月8,000円(基本使用料とデータ通信料6,000円・通話料2,000円)。業務の通話は明細で1,200円、業務に使う時間の割合は50% 1,200円+6,000円×50% 月4,200円(年50,400円)
例2:自宅の光回線月5,000円。1日に使う10時間のうち仕事が6時間 5,000円×60% 月3,000円(年36,000円)
合計 50,400円+36,000円 年86,400円

例1の残り月3,800円(8,000円−4,200円)と、例2の残り月2,000円は私用分で、必要経費になりません。仕訳は、事業用の口座から払ったなら業務分を通信費、私用分を事業主貸にするのがよく使われる例です。

例3:一人法人で、役員個人のスマホ料金を会社が負担する場合。例1と同じ月8,000円のスマホを、役員が個人で契約しているとします。会社が明細と記録にもとづいて業務分の4,200円だけを精算すれば、残りの3,800円は役員が自分で負担する形になります。会社が毎月8,000円をそのまま払うと、3,800円は役員の個人的費用の負担として役員給与の扱いになります。FAQ では、使わなかったときに返さなくてよい定額の手当(渡し切り)は、従業員の場合に給与として課税するとしています。役員への定額の手当は、定期同額給与など役員給与のルールとあわせて考える必要があります。

一人法人・個人事業主の判断ポイント

一人法人と個人事業主で分かれるのは、按分するか、契約を分けるかです。個人事業主は1つの契約の料金を業務分と私用分に分け、一人法人は会社名義の回線と個人の回線を分けておくほど処理が単純になります。

論点 個人事業主 一人法人
基本の分け方 1つの料金を業務分と私用分に按分する 契約の名義で分ける(会社の回線は会社、個人の回線は個人)
私用と兼ねるスマホ 業務の割合で按分する 業務分を明細で精算するか、業務用の回線を会社名義で持つ
定額の通信手当 自分に払う手当は必要経費にならない 渡し切りの手当は給与の扱い(従業員向けFAQ)。役員なら役員給与のルールで判断する
端末 業務に使う割合で按分し、10万円の線で処理を分ける 会社の資産として買い、会社の業務に使う
記録 割合の根拠と帳簿 会社の帳簿、契約書・請求書、精算の記録

独立直後に気をつけたいのは、契約の名義が混ざることです。固定費の見直しの記事では、とりあえず個人のカードで始めたサービスを、法人口座ができてから法人でも契約し、個人のほうを解約し忘れる二重契約が起きやすいと書きました。通信費でも同じ構造が出てきます。どの回線・どのサービスが会社の契約で、どれが個人の契約かを一覧にしておくと、二重払いにも気づけて、経費の線も引きやすくなります。

ぼくは確定申告の流れを書いた記事で、独立時に事業用の口座とクレジットカードを作り、事業の支払いは全部そこを通すようにしたと書いています。通信費のように毎月自動で引き落とされる支出ほど、どの口座から落ちているかで帳簿の手間が変わります。

領収書なしの記録と、よくある間違い・注意点

通信費は紙の領収書が出ないことが多い支出ですが、領収書の代わりになる記録は残せます。通信会社やサーバー会社のWebの利用明細と請求書、カードや口座の引き落とし明細、そして帳簿の記載が、支払いの中身を示す材料になります。

帳簿には、No.2080が挙げるとおり、取引の年月日・相手方の名称・金額などを書きます。メールやWebサイトで受け取った請求書・領収書のデータは、国税庁の電子帳簿保存法の概要にある「電子取引」に当たります。インターネット上のサイトを通じて取引情報を受け取る取引も電子取引に含まれ、所得税と法人税の保存義務者はそのデータを保存しなければなりません(電子帳簿保存法7条)。データで受け取ったものは、データのまま保存しておきます。

消費税の課税事業者が仕入税額控除を受けるには、原則として帳簿と適格請求書などの保存が要ります(No.6498)。通信会社の請求書に登録番号が載っているかも、明細をダウンロードするときに確かめておくと安心です。旅費の線引きを書いた記事に書いたとおり、ぼくは領収書や旅程を会計ソフトに直接放り込む運用にしています。明細の置き場所を1か所に決めておくと、月末に探す時間がなくなります。

  • 私用と兼ねるスマホの料金を全額経費にする:業務分を区分できない部分は、必要経費になりません
  • 家族の回線とまとめた請求をそのまま経費にする:家族の回線の分は業務と関係がありません
  • 端末代と通信料を区別しない:10万円以上の端末は、通信料と違って減価償却になります
  • 法人で、役員個人の契約の料金を会社がそのまま払い続ける:私用の部分は役員給与の扱いになります
  • 個人と法人で同じサービスを二重に契約したまま気づかない:契約の一覧で、どちらの契約かを決めておきます
  • Webの明細を保存しない:Webで見られる期間が限られていることがあるので、受け取った月に保存します

経費に入れた割合が多すぎたと後で分かったら、修正申告で直します。調査の事前通知の前に自主的に修正申告すれば、過少申告加算税はかかりません(No.2026)。

この記事は最終更新日時点の制度で書いています。条文や通達の扱いは改正で変わることがあるので、使う前に国税庁とe-Govのページで確かめてください。個別の判断(自分の会社がどうするか)は、税理士・司法書士・社労士に確認してください。

通信費の経費に関するよくある質問

通信費は何割まで経費にできますか?

決まった割合はありません。業務に使った割合が経費になる割合で、通話料は通話明細、基本料やデータ通信料は使用時間や日数で分けるのが説明しやすい方法です。所得税基本通達45-2により、業務の割合が50%以下でも、必要な部分を明らかに区分できればその部分は必要経費にできます。

通信費は月いくらまで経費にできますか?

金額の上限はありません。所得税法37条も法人税法22条も、業務のための通信費に金額の上限を置いていません。金額ではなく、業務に使ったかどうかと、私用と兼ねている部分を区分できているかで決まります。端末代は通信料と分け、取得価額10万円未満なら全額その年の経費、10万円以上は減価償却です。

領収書がない通信費は経費にできますか?

通信費は紙の領収書が出ないことが多く、Webの利用明細や請求書のデータ、引き落とし明細、帳簿の記録で支払いの中身を残します。メールやWebで受け取った請求書・領収書は電子取引に当たり、データのまま保存する必要があります。消費税の課税事業者は、原則として帳簿と適格請求書などの保存が仕入税額控除の要件です。

一人法人で、社長個人のスマホ代を会社の経費にできますか?

業務に使った部分だけなら、明細と記録にもとづいて精算する形で会社の費用にできます。個人契約の料金を会社が全額払い続けると、私用の部分は法人税基本通達9-2-9の個人的費用の負担として役員給与の扱いになります。処理を単純にするなら、業務用の回線を会社名義で契約する方法があります。

おわりに──通信費は、払った金額ではなく、線の引き方で経費になる

通信費は毎月同じ額が引き落とされるので、経費の判断も放っておかれがちです。上限がない代わりに、業務と私用の線を自分で引いて、その理由を説明できるようにしておく必要があります。通信費は、払った金額ではなく、線の引き方で経費になります。

今日やることは、スマホと自宅回線の契約を並べて、それぞれが会社の契約か個人の契約か、私用と兼ねているかを一覧にすることです。その一覧が、按分の割合と精算のルールを決める土台になります。

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