最終更新:2026年10月19日
法人の中間申告とは、事業年度が6か月を超える法人が、期の途中で今期の法人税などを前払いする手続きです。期限は事業年度開始の日以後6か月を経過した日から2か月以内で、3月決算なら11月30日です。前期の法人税額を前期の月数で割って6を掛けた額が10万円を超えると必要になり、前期が12か月なら「前期の法人税額が20万円超」が目安です。設立1期目は法人税の中間申告がないので、一人法人には2期目に初めて届きます。この記事は最終更新日時点の制度で、国税庁・e-Gov法令検索・東京都主税局のページで確認できた内容だけを書いています。
法人の中間申告・中間納付とは?結論から
中間申告は追加の税金ではなく、今期の税金の前払いです。払った分は期末の確定申告で差し引かれ、払いすぎていれば戻ってきます。税目ごとの要否と金額を表にまとめます。
| 税目 | 中間申告が要る法人 | 予定申告の金額 | 確認した公式ページ |
|---|---|---|---|
| 法人税 | 前期の法人税額÷前期の月数×6が10万円を超える。設立1期目は不要 | 前期の法人税額÷前期の月数×6 | 法人税法71条・国税庁 手引(中間申告) |
| 地方法人税 | 法人税の中間申告書を出す法人 | 前期の地方法人税額÷前期の月数×6 | 地方法人税法16条 |
| 防衛特別法人税 | 法人税の中間申告書を出す法人。2027年4月1日以後に開始する課税事業年度から | 前期の防衛特別法人税額÷前期の月数×6 | 国税庁 防衛特別法人税が創設されました・防確法21条 |
| 法人住民税(東京都) | 法人税の中間申告義務がある法人 | 法人税割=前期の税額×6÷前期の月数。均等割=期首から6か月分 | 東京都主税局 Q&A「中間申告について」 |
| 法人事業税・特別法人事業税(東京都) | 所得を課税標準とする法人は、法人税の中間申告義務がある場合 | 前期の税額÷前期の月数×6 | 同上 |
| 消費税 | 直前の課税期間の確定消費税額(地方消費税を除く)が48万円超 | 48万円超400万円以下なら年1回、前期の確定消費税額の6/12 | 国税庁 No.6609 |
表のとおり、法人税の中間申告が要るかどうかが、ほかの税の中間申告を連れてきます。最初に見るのは、前期の法人税額です。
中間申告の制度・要件・期限(いつ・いくらから)
法人税の中間申告が要るのは、事業年度が6か月を超える普通法人で、前期の実績から計算した額が10万円を超える場合です。法人税法71条1項は、新たに設立された法人の設立後最初の事業年度を中間申告の対象から外しています。だから1期目は来ず、2期目の途中に初めて来ます。
「いくらから」の線は、前期の月数で変わります。式は「前期の法人税額÷前期の月数×中間期間の月数(通常6)」で、この額が10万円以下なら中間申告書は要りません。
| 前期の月数(例) | 中間申告が要る前期の法人税額の目安 |
|---|---|
| 12か月 | 20万円を超える |
| 10か月(設立1期目が短い例) | 約16.7万円を超える(16.7万円×6÷10≒10万円) |
| 8か月 | 約13.3万円を超える(13.3万円×6÷8≒10万円) |
設立1期目が短いと、2期目は前期の税額が小さくても中間申告の線を越えやすくなります。決算月と1期目の長さの関係は決算月の決め方で書いています。
期限は「事業年度開始の日以後6か月を経過した日から2か月以内」です。決算月ごとに置くと次のようになります。
| 決算月(例) | 事業年度 | 中間申告・納付の期限 |
|---|---|---|
| 3月決算 | 4月1日〜翌3月31日 | 11月30日 |
| 6月決算 | 7月1日〜翌6月30日 | 翌年2月末日 |
| 9月決算 | 10月1日〜翌9月30日 | 翌年5月31日 |
| 12月決算 | 1月1日〜12月31日 | 8月31日 |
納付も同じ日が期限です。中間申告書を期限までに出さなかった場合は、前期実績による予定申告があったものとみなされます(法人税法73条)。申告の手間が省けるように見えますが、納付が遅れれば延滞税がかかります。延滞税の割合は2026年中なら、納期限の翌日から2か月を経過する日までが年2.8%、それ以後が年9.1%です(国税庁 No.9205)。
前期の確定申告をe-Taxで出した法人には、予定申告書の用紙が郵送されません。代わりに「法人税予定申告のお知らせ」がe-Taxのメッセージボックスに届きます(国税庁 予定(中間)申告書用紙の送付に係るお知らせ)。紙が来ないことで気づかない、というのが一人法人で起きやすい見落としです。
予定申告と仮決算の比べ方と、2期目の計算例
中間申告には、前期の実績で計算する「予定申告」と、期首から6か月を1事業年度とみなして決算をする「仮決算」の2つがあり、どちらかを選べます。違いを表で比べます。
| 比べる点 | 予定申告(前年度実績) | 仮決算による中間申告 |
|---|---|---|
| 税額の出し方 | 前期の税額÷前期の月数×6 | 期首から6か月の所得で計算 |
| 手間 | 少ない。e-Taxならお知らせから金額が入った画面に進める | 6か月分の決算をして、貸借対照表・損益計算書を付ける(法人税法72条) |
| 使えない場合 | なし | 仮決算の税額が予定申告の額を超えるとき、予定申告の額が10万円以下で中間申告自体が要らないとき |
| 向く場面 | 今期も前期と同じくらいの所得になりそうなとき | 今期の前半の所得が前期より大きく下がったとき |
仮決算は前払いを減らせる可能性がある一方、6か月分の決算の手間がかかります。税理士に頼んでいるなら、その作業の費用も比べる対象に入ります。
次に、2期目の予定申告額を架空の例で計算します。
| 前提(例) | 内容 |
|---|---|
| 会社 | 東京都23区だけに事務所がある合同会社。資本金300万円、従業者は代表1人 |
| 1期目 | 2026年6月1日〜2027年3月31日(10か月)。所得200万円、消費税は免税事業者 |
| 2期目 | 2027年4月1日〜2028年3月31日。中間申告の期限は2027年11月30日 |
| 省略したもの | 端数処理、税額控除 |
| 税目(例・円) | 1期目の確定税額 | 2期目の予定申告額 |
|---|---|---|
| 法人税(200万円×15%) | 300,000 | 180,000(300,000÷10×6) |
| 地方法人税(法人税額×10.3%) | 30,900 | 18,540 |
| 防衛特別法人税 | 0 | 0 |
| 法人住民税 法人税割(法人税額×7.0%) | 21,000 | 12,600 |
| 法人住民税 均等割(年7万円) | (10か月分) | 35,000(6か月分) |
| 法人事業税(200万円×3.5%) | 70,000 | 42,000 |
| 特別法人事業税(事業税×37%) | 25,900 | 15,540 |
| 2期目の中間納付の合計 | ― | 303,680 |
法人税の予定申告額18万円が10万円を超えるので、2期目は中間申告が必要です。税率と計算の順番は、国税庁No.5759・地方法人税の手引・東京都主税局の税率表で確認した中小法人・東京都23区の標準税率を使いました。1期目は2026年4月1日以後に開始しているので防衛特別法人税の課税事業年度にあたりますが、法人税額が500万円以下なので税額は0円です。2期目は2027年4月1日に開始するので防衛特別法人税の中間申告の対象になり、前期が0円なので中間分も0円です。消費税は1期目が免税事業者なので、No.6609の「直前の課税期間の年税額48万円超」に当たらず、2期目の中間申告はありません。
中間納付の仕訳の例も置いておきます。勘定科目の名前は法令で決まっておらず、ここに書くのはよく使われる例です。毎期同じ科目を使うことのほうが大事です。
| 場面(例) | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 11月30日に中間納付した | 仮払法人税等 303,680 | 普通預金 303,680 |
| 期末に今期の税額が確定した(例:合計60万円) | 法人税、住民税及び事業税 600,000 | 仮払法人税等 303,680/未払法人税等 296,320 |
一人法人の判断ポイント
一人法人にとって中間申告の要点は、税額の計算より、1年のうちにお金が出ていく日が1つ増えることです。3月決算なら5月末に前期の確定申告の納付があり、その半年後の11月末に今期の前払いが来ます。個人事業主の予定納税と似ていますが、仕組みは違うので分けて見ます。
| 論点 | 一人法人(中間申告) | 個人事業主(所得税の予定納税) |
|---|---|---|
| 要る基準 | 前期の法人税額÷前期の月数×6が10万円超 | 前年分の申告納税額などから計算した予定納税基準額が15万円以上 |
| 回数と時期 | 年1回。期首から6か月を経過した日から2か月以内 | 年2回。7月と11月に基準額の3分の1ずつ |
| 手続き | 法人が中間申告書を出して納める(出さなければ予定申告とみなされる) | 税務署から6月15日までに通知が届き、納める |
| 前期実績以外の選び方 | 仮決算による中間申告 | 減額申請 |
| 出典 | 法人税法71〜73条 | 国税庁 No.2040 |
ぼくは税理士の選び方の記事で、独立して分かったこととして、税務の失敗の多くが期限の見落としだと書きました。いい税理士は、こちらが聞く前に「来月これがあります」と言ってくれる、とも書いています。中間申告はその典型で、1期目に経験しないので、2期目に知らないまま秋を迎えやすい手続きです。
判断としては、1期目の確定申告が終わった時点で、2期目の中間納付の額を予定申告の式で計算しておくことです。前期の税額が分かれば、11月末に出ていく額はほぼ決まります。今期の前半で売上が大きく落ちているなら、仮決算を選ぶかどうかを、手間と前払いの差額で比べることになります。
中間申告でよくある間違いと注意点
中間申告でいちばん多い間違いは、1期目に来なかったので2期目も来ないと思い込むことです。そのほかの注意点もまとめます。
- 1期目と同じだと思う:設立後最初の事業年度だけが法人税法71条で除かれています。2期目からは前期の税額で判定します
- 用紙が届くのを待つ:前期をe-Taxで申告した法人には予定申告書の用紙は郵送されず、メッセージボックスにお知らせが届きます
- 出さなければ払わなくていいと思う:期限までに出さなくても予定申告があったものとみなされ、納付が遅れれば延滞税がかかります
- 仮決算なら必ず安くなると思う:仮決算の税額が予定申告の額を超える場合は、仮決算による中間申告はできません
- 中間納付を経費(損金)と考える:法人税・地方法人税・住民税の中間納付は今期の税の前払いで、損金にはなりません(法人税法38条)
- 消費税を法人税と同じ基準で考える:消費税は直前の課税期間の確定消費税額で判定し、48万円超400万円以下なら年1回、400万円超4,800万円以下なら年3回、4,800万円超なら年11回です。消費税の扱いは免税事業者とは・2割特例とはの記事に任せます
なお国税庁No.6609は、2027年4月1日から2029年3月31日まで飲食料品の譲渡の消費税率が引き下げられることに伴い、消費税の中間申告の計算方法に特例が設けられると案内しています。飲食料品を売る法人は、国税庁の特設サイトで確認してください。個別の判断(自分の会社がどうするか)は、税理士・司法書士・社労士に確認してください。
法人の中間申告に関するよくある質問
法人の中間申告はいつですか?
事業年度開始の日以後6か月を経過した日から2か月以内です。3月決算なら11月30日、12月決算なら8月31日が期限で、納付も同じ日までです。設立1期目は法人税の中間申告がないので、初めて来るのは2期目です。
中間申告はいくらから必要ですか?
前期の法人税額を前期の月数で割って6を掛けた額が10万円を超えると必要です。前期が12か月なら、前期の法人税額が20万円を超えるかどうかが目安です。消費税は別の基準で、直前の課税期間の確定消費税額が48万円を超えると必要になります。
中間納付の仕訳はどうしますか?
よく使われる例は、納付したときに「仮払法人税等」で処理し、期末に今期の税額が確定したら「法人税、住民税及び事業税」に振り替えて、差額を「未払法人税等」にする方法です。勘定科目の名前は法令で決まっていないので、毎期同じ科目を使うことを優先してください。
今期が赤字になりそうでも、中間納付は必要ですか?
予定申告を選べば、前期の実績で計算した額を納めます。今期の前半の所得が下がっているなら、仮決算による中間申告で税額を計算し直す方法があります。払った中間納付額が確定申告の税額より多ければ、差額は還付されます(法人税法79条)。
おわりに──中間納付は、今期の税金の前払い
中間申告は、1期目に一度も経験しないまま、2期目の秋に届きます。驚くのは税額の大きさより、「去年も払ったのに、また払うのか」という感覚のほうだと思います。でも中身は追加の税金ではなく、今期の税金の一部を前期の実績を目安に先に払っているだけです。決めておくべきことは、1期目の確定申告が終わった日に、2期目の中間納付の額と日付をカレンダーに書き込むことです。