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補助金と助成金の違い|自治体・厚労省の審査と後払いを比較

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最終更新:2026年10月20日

補助金と助成金の違いは、審査で選ばれるかどうかにあります。中小企業庁のミラサポplusは、助成金は要件を満たして申請すれば原則受給できるものが多い一方、補助金は要件を満たして申請しても必ずもらえるわけではないと説明しています。どちらも返済は不要ですが、お金が入るのは取り組みを終えて経費を払ったあとで、それまでは自分で立て替えます。経済産業省・中小企業庁の補助金と、厚生労働省の雇用関係助成金が代表例で、自治体には「助成金」の名前でも審査がある制度があります。この記事は特定の補助金や申請代行を勧めるものではなく、中小企業庁・厚生労働省・国税庁・e-Gov法令検索などの公式ページで確認できた範囲で、仕組みと探し方を整理します。最終更新日時点の制度で書いています。

補助金と助成金の違いとは?結論から

補助金と助成金の違いを一言で言えば、補助金は「審査で選ばれた事業に出るお金」、助成金は「決められた要件を満たした事業主に出るお金」です。ただし名前の使い方は制度ごとにばらばらなので、名前ではなく中身で見分けます。要点を表にしました。

比べる点 補助金(例:中小企業庁所管) 助成金(例:厚生労働省の雇用関係助成金)
主な所管 経済産業省・中小企業庁、自治体など 厚生労働省(窓口は都道府県労働局・ハローワーク)
目的 国や自治体の政策目標に合う、事業者の新しい取り組みの後押し 雇用の安定、従業員の能力開発、働きやすい職場づくり
財源 国や自治体の予算 雇用保険の雇用安定事業・能力開発事業(この分の保険料は事業主だけが負担)
審査 あり。事業計画などを審査し、予算の枠内で上位が採択される 要件を満たして申請すれば原則受給できるものが多い
申請の時期 公募期間が決まっていて、公募回ごとに条件が変わる 制度ごとの期限の中で申請する。取り組みの前に計画を出す制度もある
受け取る時期 事業が終わり、経費の支払いが確認されたあと(後払い) 取り組みを実施したあとに支給申請する
返済 原則不要。ただしルール違反や不正があれば返還を求められる

補助金の説明は中小企業庁ミラサポplusの補助金入門 STEP1:補助金の基本知識、助成金の要件は厚生労働省の雇用関係助成金の共通要領で確認しました。

補助金と助成金の制度・要件・費用(所管・財源・審査・受け取りの時期)

補助金と助成金はどちらも「反対給付を求めない給付」で、国の補助金は法律で使い方のルールが決められています。補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(補助金適正化法)2条は、国が交付する補助金・負担金・利子補給金などを「補助金等」と定めています(e-Gov法令検索 補助金適正化法)。制度の骨組みを、公式に確認できた範囲で並べます。

論点 補助金 助成金(雇用関係) 出典
受けられる条件 公募要領の対象者に当てはまり、審査で採択されること。採択後に交付申請をし、交付決定を受けてから事業を始める 雇用保険適用事業所の事業主であること(支給申請日と支給決定日の時点で雇用保険の被保険者がいる事業所)。加えて各助成金の要件 ミラサポplus STEP3・共通要領(令和8年4月8日現在)
受けられない場合 交付決定の前に発注した経費は対象外。契約を結んだだけでも対象外 労働保険料の未納、申請日前日から1年以内の労働関係法令違反などがある事業主 同上
自己負担 補助率によるが、事業費の1/2〜1/3程度が自己負担になる 助成額・助成率は各助成金で決まる ミラサポplus STEP1
時間 公募の締切から採択まで通常2か月程度。その後に交付申請がある 例:キャリアアップ助成金は各コースの実施日の前日までにキャリアアップ計画を出す 同上・厚生労働省 キャリアアップ助成金
お金が入るまで 実績報告書を出し、事務局の検査で経費の支払いが確認されてから額が決まり、請求する(清算払い) 取り組みのあと支給申請し、労働局などの審査を経て支給決定 ミラサポplus STEP3
受け取ったあと 事業化状況報告を年1回、5回(5年間)が一般的。収益納付・財産処分で返納する場合がある 審査や調査に必要な書類を整えて保管し、調査に協力する 同上・共通要領

助成金の財源は、雇用保険法3条と62条が根拠です。雇用保険は失業等給付などのほかに「雇用安定事業」「能力開発事業」を行うことができ、事業主への助成はこの事業として行われます(e-Gov法令検索 雇用保険法)。この二事業の保険料率は令和8年度(2026年4月〜2027年3月)も1,000分の3.5(一般の事業)で、事業主だけが負担します(厚生労働省 令和8年度の雇用保険料率)。事業主が負担する保険料を元手に、雇用を守る事業主を助ける仕組みなので、雇っている人がいることが出発点になります。

一方で「助成金」という名前でも審査がある制度は珍しくありません。自治体の例として東京都では、東京都中小企業振興公社の創業助成事業(令和8年度)が、助成限度額400万円(下限100万円)・助成率2/3以内で、書類審査と面接審査を経て交付決定になります。令和8年度の受付は第1回が4月7日〜16日、第2回が9月29日〜10月8日で、個人事業や法人の代表者としての経営経験が通算5年以上の人は対象外です(TOKYO創業ステーション 創業助成事業)。年度と回で要件が変わるので、使うときは必ずその回の募集要項を読みます。他の自治体の制度は、それぞれの自治体の案内で確認してください。

補助金・助成金の探し方と申請の手順

補助金・助成金を探すときは、民間のまとめサイトより先に、国の検索サイトと所管の窓口から入るのが確実です。公式に確認できた入口は次の4つです。

入口 運営 できること
ミラサポplus 中小企業庁 補助金を探す、地域の補助金・助成金を探す、公募スケジュールを見る
J-Net21 支援情報ヘッドライン 中小機構 国・都道府県の補助金・助成金、セミナーなどの支援情報をまとめて検索
jGrants(Jグランツ) デジタル庁 府省庁・自治体が運営する補助金・助成金にオンラインで申請する。GビズIDでログインする
事業主の方のための雇用関係助成金 厚生労働省 雇用関係助成金の一覧・共通要領・各助成金の支給要領

GビズIDは「すべての事業者を対象とした共通認証システム」で、個人事業主も法人も取得できます(GビズID)。東京都の創業助成事業の案内でも、申請準備の最初に「GビズIDプライムの取得」が置かれています。申請の流れは、補助金なら次の順番です。

  1. 目的から選ぶ:やりたい取り組みが先にあり、そこに合う制度を探します。ミラサポplusは、補助金ありきではなく戦略ありきで使うよう呼びかけています
  2. 公募要領を読む:対象者・対象経費・補助率・上限額・締切は公募回で変わるので、その回の公募要領で確かめます
  3. アカウントと書類を先にそろえる:GビズID、決算書や確定申告書、登記事項証明書など、求められる書類を早めに用意します
  4. 申請し、採択を待つ:審査は原則書面で、複数の外部有識者が採点します
  5. 交付申請と交付決定:交付決定の前に発注・契約した経費は対象外になるので、ここまでは発注しません
  6. 事業を実施し、全額を立て替えて払う:領収書などの証拠書類を残します
  7. 実績報告→検査→請求→入金:入金後も事業化状況報告が続きます

助成金のほうは、従業員を雇っていることが前提なので、まず自分の事業所が雇用保険の適用事業所かを確認し、使いたい助成金の支給要領で「取り組みの前に出す書類」があるかを見ます。登記事項証明書の種類と取り方は履歴事項全部証明書と登記簿謄本の違いにまとめています。

個人事業主・一人法人の判断ポイント

個人事業主と一人法人では、使える制度の入口と税金の扱いが違います。いちばん大きいのは、従業員がいない一人法人は厚生労働省の雇用関係助成金の対象になりにくい点です。法人の役員は原則として雇用保険の被保険者にならず、代表取締役や業務を執行する取締役は被保険者になれません(福岡労働局 法人役員の雇用保険の適用について)。被保険者がいなければ、共通要領の「雇用保険適用事業所の事業主」に当てはまりません。

論点 個人事業主 一人法人
雇用関係助成金 従業員を雇い、雇用保険の適用事業所になっていれば対象になり得る 役員は原則として被保険者にならないので、従業員がいなければ対象外。雇えば対象になり得る
補助金 対象者は公募要領ごとに決まる。個人事業主と法人の両方を対象にする制度もあれば、どちらかに限る制度もある
受け取ったときの所得税・法人税 事業の経費を補うための給付は事業所得の収入金額になる例がある。固定資産の取得・改良に充てた国庫補助金等は、明細書を付ければ総収入金額に入れないことができる(所得税法42条) 資本等取引以外の取引による収益は益金になる(法人税法22条2項)。固定資産の取得・改良に充てた国庫補助金等は、圧縮記帳で圧縮額を損金にできる(法人税法42条)
消費税 国や地方公共団体からの補助金・助成金は、対価を得て行う取引ではないので不課税
申請のアカウント GビズIDは個人事業主・法人のどちらも取得できる

税金の出典は国税庁のNo.2202 国庫補助金等を受け取ったとき・No.6157 課税の対象とならないもの(不課税)の具体例(いずれも令和8年4月1日現在法令等)と、e-Gov法令検索 法人税法・所得税法です。所得区分は給付の性質で変わり、東京国税局の文書回答事例では、事業を始めた人が経費を補うために受けた支援金は事業所得の収入金額、事業を始める前に受けた支援金は一時所得とされています。所得の区分は事業所得と雑所得の違い、法人の所得の計算は法人税の計算に書いています。

ぼくは2019年の秋に、資本金50万円でtiny合同会社を一人で作りました。従業員はいません(一人で法人を作るということ)。この形のままだと、雇用関係助成金はそもそも入口に立てない側になります。もうひとつ、独立していちばんこたえたのは、売上が立ってもお金がすぐには入ってこないことでした(GMOあおぞらネット銀行の法人口座の記事に書いた話です)。補助金は全額を立て替えたあとに入る後払いなので、入金の遅れと同じ構造をもう一つ抱えることになります。一人で事業を回す人が補助金・助成金を考えるときは、次の3つを順に確かめると迷いにくくなります。

  1. 人を雇っているか:雇っていなければ、厚生労働省の雇用関係助成金はまず外れます。探すのは補助金と自治体の制度です
  2. やりたい取り組みが先にあるか:制度に合わせて事業を変えると、事業の開始が交付決定まで数か月ずれます
  3. 立て替える期間を越えられるか:自己負担分に加えて、補助される分も入金までは自分のお金で払います。資金繰りの逃げ道の考え方は法人向けファクタリングの記事にも書きました

補助金・助成金のよくある間違いと注意点

補助金・助成金でいちばん多い間違いは、「返済不要」を「もらったら終わり」と受け取ることです。補助金も助成金も、ルールを守れなければ返還を求められ、不正があれば加算金や罰則まであります。

  • 採択の連絡で発注してしまう:採択は交付の候補に選ばれただけです。交付決定の前に発注・契約した経費は対象外になります
  • 入金を当てにして資金計画を立てる:補助金は清算払いが原則で、事業経費はいったん全額を自己資金で立て替えます
  • 買った設備を勝手に売る・別の用途に使う:目的外の使用や報告義務を怠ると返還を求められることがあり、売却には財産処分の手続きが要ります。国の補助金では、交付決定の取消し(補助金適正化法17条)と、返還を命じられた額に年10.95%の加算金(同19条)が定められています
  • 不正受給を軽く見る:偽りその他不正の手段で国の補助金等を受けると、5年以下の拘禁刑か100万円以下の罰金、またはその両方です(同29条)。雇用関係助成金の不正受給は、返還額に年3%の延滞金と返還額の2割を加えた額を請求され、5年間は助成金を受けられず、事業主名などが公表されます(共通要領)
  • 勧誘をうのみにする:厚生労働省は、厚生労働省の委託事業者を名乗る助成金の勧誘に注意を呼びかけています(リーフレット「助成金に関する勧誘にご注意ください」)。申請を誰かに頼むかどうかの前に、制度の所管の窓口に自分で確認するほうが安全です
  • 古い記事の数字で判断する:上限額や補助率は公募回・年度で変わります。ミラサポplusも、同じ補助金でも公募回で条件が変わるので最新の公募要領を確認するよう案内しています

この記事は、最終更新日時点の中小企業庁・厚生労働省・国税庁・e-Gov法令検索などで確認できた制度で書いています。個別の判断(自分の会社がどうするか)は、税理士・司法書士・社労士に確認してください。雇用関係助成金の要件は社労士、受け取ったあとの税金は税理士が相談先になります。ぼくは判断できない税務は税理士に聞くと決めていて、今の税理士は税理士ドットコムで見つけました。

補助金と助成金に関するよくある質問

補助金と助成金はどちらも返済不要ですか?

どちらも原則として返済は不要です。ただし補助金は、設備を目的外に使ったり報告義務を怠ったりすると返還を求められ、一定の利益が出たときに返納する収益納付の制度がある補助金もあります。助成金も、不正受給をすれば返還に加えて延滞金と2割の加算を請求されます。

自治体の助成金にも審査はありますか?

自治体の制度は名前と仕組みが一致しないことがあり、「助成金」でも審査があるものがあります。たとえば東京都中小企業振興公社の創業助成事業(令和8年度)は、書類審査と面接審査を経て交付決定になります。名前ではなく、募集要項の審査の有無で判断してください。

一人社長でも厚生労働省の助成金はもらえますか?

雇用関係助成金は、雇用保険の被保険者がいる適用事業所の事業主が対象です。法人の役員は原則として雇用保険の被保険者にならないため、従業員がいない一人法人は対象になりません。従業員を雇い、雇用保険の手続きをしてから、各助成金の要件を確認する順番になります。

補助金や助成金は確定申告で収入になりますか?

法人では収益として益金になり(法人税法22条2項)、個人事業主では事業の経費を補う給付が事業所得の収入金額とされた例があります。固定資産の取得や改良に充てた国庫補助金等は、個人は総収入金額に入れない特例、法人は圧縮記帳を使えます。消費税は不課税です。

おわりに──補助金と助成金を分けるのは名前ではなく、選ばれ方

補助金と助成金は、名前で覚えるほど混乱します。審査で選ばれるのか、要件を満たせば届くのか。この一点で分けると、自治体の「助成金」も厚生労働省の助成金も同じ物差しで読めます。そしてどちらも、お金は取り組みのあとに来ます。補助金・助成金で決めるべきことは、どれがもらえるかではなく、入金までの期間を自分のお金で越えてでもやりたい取り組みがあるかどうかです。

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