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書籍代の勘定科目は?新聞図書費の使い分けと電子書籍の扱い

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最終更新:2026年10月19日

書籍代の勘定科目は「新聞図書費」がいちばんよく使われる例で、セミナーやオンライン講座は「研修費」に分けるのが一般的です。ただ、勘定科目の名前は法令で決まっていないので、会社や個人事業主ごとに選んでかまいません。大事なのは科目名より、業務との関連を説明できることと、毎期同じ科目を使い続けることです。

ぼくは40歳でtiny合同会社を一人で設立したマーケターで、仕事の資料として本を買うことが多くあります。この記事では、書籍代・電子書籍・有料記事・オンライン講座をどの科目で記帳するか、経費にできる条件はどこで決まっているかを、国税庁とe-Govで確認できた範囲で整理しました。2026年10月19日時点の制度で書いています。

書籍代の勘定科目とは?結論から

書籍代は、業務に使う本や雑誌の購入費を「新聞図書費」で記帳するのが、よく使われる例です。科目名は自由に選べますが、一度決めたら毎期同じ科目で記帳するほうが、決算書を年ごとに比べやすくなります。

支出の例 よく使われる科目の例 判断の目安
業務に使う本・雑誌・業界誌 新聞図書費 読んで仕事の材料にするもの
新聞の定期購読(紙・電子版) 新聞図書費 消費税の税率が紙と電子版で違う(後述)
電子書籍・有料記事(有料noteなど) 新聞図書費 紙か電子かで科目を変える必要はない
セミナー・講習会・オンライン講座 研修費 読むのではなく、技術や知識を習得する場への参加
本の購入額が少なく、科目を増やしたくない場合 消耗品費 少額の支出をまとめる考え方。毎期この扱いに統一する

表の科目名は、あくまで「よく使われる例」です。所得税法も法人税法も、経費になるかどうかの条件は定めていますが、それをどの名前の科目で帳簿に書くかまでは決めていません。新聞図書費を使っても、資料費や図書費と名付けても、中身が業務の資料代であれば扱いは同じです。

経費にできる条件と出典(制度の確認)

書籍代が経費になるかどうかは、科目名ではなく「業務のための支出か」で決まります。個人事業主は所得税法の必要経費、法人は法人税法の損金の考え方で判断し、そのうえで消費税の税率と保存書類のルールがかかわります。

論点 確認できた内容 出典
個人事業主の必要経費 総収入金額を得るために直接要した費用と、販売費・一般管理費その他業務上の費用が必要経費になる 国税庁 No.2210 必要経費の知識、所得税法37条(e-Gov)
仕事と私用の両方に使う支出 家事上の費用は必要経費にならない。両方にかかわる家事関連費は、業務遂行上直接必要だったことが明らかに区分できる部分だけが必要経費になる 国税庁 No.2210(根拠に所得税法45条・所得税法施行令96条)
法人の損金 販売費・一般管理費その他の費用が損金の額に算入される 法人税法22条3項(e-Gov)
法人が社長の私的な支出を負担した場合 役員の個人的費用の負担額は、役員への給与(経済的利益)にあたる例として挙げられている。毎月おおむね一定でなければ定期同額給与にならず、損金にならない 国税庁 No.5202 役員等に対する経済的利益
役員の研修・講座の費用を会社が払う場合 職務に直接必要な技術や知識を習得させるための研修会・講習会等の出席費用で、適正なものに限り給与として課税しなくてよい 国税庁 No.2601
消費税の税率 軽減税率8%は、週2回以上発行される新聞の定期購読契約による譲渡が対象。本・雑誌は標準税率10%。インターネットで配信する電子版の新聞は「電気通信利用役務の提供」にあたり、軽減税率の対象外 国税庁 軽減税率Q&A 問101・問102
科目の名前 国税庁の記帳の手引きは、帳簿の様式例の「その他の経費」の空欄に、取引の実態に応じて経費項目を設けて記載できると説明している。手引きに載っている課税取引金額計算表(事業所得用)の経費の科目にも新聞図書費の欄はなく、空欄の行が用意されている 国税庁「帳簿の記帳のしかた(事業所得者用)」

個人事業主が「新聞図書費」の科目を使いたいときは、帳簿や決算書の空いている行に自分で科目名を書き足す形になります。会計ソフトを使っている場合は、科目の設定画面で新聞図書費を選ぶか追加すれば足ります。

消費税の課税事業者は、本の購入で仕入税額控除を受けるには、原則として帳簿と適格請求書(インボイス)の保存が要ります。ただし、基準期間の課税売上高が1億円以下などの事業者が、2023年10月1日から2029年9月30日までに行う税込1万円未満の課税仕入れは、帳簿の保存だけで控除できる少額特例があります(国税庁 少額特例の概要)。1万円未満かどうかは1冊ごとではなく、1回の取引の合計で判定します。

新聞図書費・研修費・消耗品費の使い分け方

迷ったら「読んで材料にするものは新聞図書費、参加して身につけるものは研修費」と分けると、ほとんどの支出が片付きます。消耗品費にまとめる方法もありますが、その場合は毎期同じ扱いに統一します。

形 具体例 科目の例 残しておく記録
紙の本・雑誌 マーケティングの専門書、業界誌、統計集 新聞図書費 レシートまたは領収書と、何の仕事に使ったかのメモ
電子書籍 電子書籍ストアで買った専門書 新聞図書費 購入履歴・領収書のデータ(メールやPDF)
有料記事・有料マガジン 有料noteの記事、ニュースサイトの有料会員 新聞図書費(月額課金なら継続の支払いとして同じ科目で) 購入画面や領収書のデータ
オンライン講座・セミナー 広告運用の講座、業界団体の講習会 研修費 申込画面・領収書と、講座の内容が分かるページ
雑多な少額の資料 参考に買った1冊、展示会の図録 新聞図書費または消耗品費(どちらかに統一) レシート

科目を決める手順は、次の4つです。

  1. 業務との関連を一文で書けるか確かめる:「来月の提案の競合調査に使う」のように、どの仕事のために買ったかを書けるものが経費の候補です
  2. 形で分ける:読む資料なら新聞図書費、参加する講座なら研修費。紙か電子かでは分けません
  3. 科目を決めたら毎期同じにする:今年は新聞図書費、来年は消耗品費、と揺れると、資料代が増えたのか減ったのかを決算書で追えなくなります
  4. 記録を残す:電子書籍や有料記事は領収書がメールやPDFで届く電子取引です。2024年1月以後の電子取引のデータは、印刷して終わりではなく、データのまま保存する必要があります(国税庁「令和6年1月からの電子取引データの保存方法」)

電子書籍や有料記事も、税務上は紙の本と同じく業務との関連で判断します。消費税の面では、インターネットで配信される電子書籍は「電気通信利用役務の提供」にあたり、売り手が国外の事業者の場合は扱いが変わります。国外のストアで買うことが多い人は、領収書に適格請求書発行事業者の登録番号が書かれているかを確認しておくと、課税事業者になったときに困りません。

一人法人・個人事業主の判断ポイント

個人事業主と一人法人では、書籍代でつまずく場所が違います。個人事業主は「仕事にも私生活にも役立つ本」の線引き、一人法人は「社長の私的な本を会社が払った」ときの給与扱いが論点になります。

論点 個人事業主 一人法人
判断の根拠 所得税法37条の必要経費 法人税法22条の損金
私用と兼ねる本 家事関連費の考え方。業務に直接必要な部分を明らかに区分できる場合だけ経費(No.2210) 按分の考え方より、会社の業務に必要な資料かどうかで判断する
私的な本を経費にした場合 必要経費にならない 社長の個人的費用を会社が負担したことになり、役員給与として扱われうる。定期同額給与に当たらなければ損金にならない(No.5202)
講座・研修の費用 業務に必要な内容なら必要経費 職務に直接必要な技術・知識の習得で、適正な額なら社長の給与として課税しなくてよい(No.2601)
科目名 自由(帳簿の空欄に科目を設けられる) 自由(会社の会計方針で決める)

一人法人で気をつけたいのは、社長と会社の財布が同じ人の手にあることです。従業員がいる会社なら、私的な支出は経理担当者の目で止まりますが、一人法人では自分が自分を止めるしかありません。会社が払った私的な支出が役員給与として扱われると、毎月同額の役員報酬とは別の給与になるので、定期同額給与の要件から外れて損金になりません。

マーケターの資料代は、業務との関連を説明しやすい支出だと思います。競合のブランドを調べるための業界誌、提案に使う統計集、広告表現の参考にする写真集など、買った理由がその月の仕事と結びついているからです。ただ、マーケターはどんな本でも「仕事の参考になる」と言えてしまう職業でもあります。だから基準は「役に立つか」ではなく、「どの仕事のために買ったかを一文で書けるか」に置くほうが安全です。

ぼく自身は、会計にfreee会計を使っていて、書籍代のように現金で払ったものはレシートをスマホで撮影して登録しています。この流れはfreeeとマネーフォワードの比較記事に書きました。また、独立したときに事業用の口座とクレジットカードを作り、事業の支払いはそこを通すようにしています(確定申告の流れをまとめた記事)。資料代を事業用のカードで払うと決めておくと、私的な本と混ざる場面そのものが減ります。

よくある間違いと注意点

いちばん多い間違いは、「領収書があるから経費になる」と考えることです。領収書は支払った証拠で、業務との関連を示すものではありません。

  • 科目名で経費になるかが決まると思う:新聞図書費の科目に入れても、私的な本は経費になりません。科目は分類の名前で、経費かどうかは中身で決まります
  • 年ごとに科目を変える:法令上は科目名を選べますが、毎期変えると決算書の比較ができなくなります。一度決めた科目を続けます
  • 電子版の新聞を8%で処理する:軽減税率の対象は週2回以上発行される新聞の定期購読で、インターネット配信の電子版は10%です。紙と電子版のセット契約は、金額を分けてそれぞれの税率を当てます(国税庁 軽減税率Q&A 問102)
  • 電子書籍の領収書を印刷して、データを消す:メールやPDFで受け取った領収書は電子取引のデータで、データそのものを保存します
  • 一人法人で社長の趣味の本を会社のカードで買う:会社の経費ではなく役員の個人的費用の負担になり、給与扱いの論点が出ます。個人のカードで払い直すか、会社に返金して記録を残します
  • 高額な講座をすべて研修費にする:法人が役員の講座費用を負担して給与として課税されないのは、職務に直接必要で適正なものに限られます。資格や講座の内容と仕事の関係を記録しておきます

税務調査で経費が認められなかった場合は、修正申告で税額を直すことになります。所得税について国税庁は、調査を受けた後の修正申告や更正では、新たに納める税金のほかに原則10%の過少申告加算税と延滞税がかかります(国税庁 No.2026 確定申告を間違えたとき)。迷う支出は、買った時点で用途をメモしておくのがいちばん安い対策です。

この記事は最終更新日時点の制度で書いています。個別の判断(自分の会社がどうするか)は、税理士・司法書士・社労士に確認してください。税理士の選び方はいい税理士の見分け方と探し方にまとめています。

書籍代の勘定科目に関するよくある質問

書籍代は新聞図書費と消耗品費のどちらで処理すればいいですか?

どちらでもかまいません。勘定科目の名前は法令で決まっておらず、書籍代は新聞図書費で処理するのがよく使われる例です。大事なのは、一度決めた科目を毎期続けて使うことです。

個人事業主の書籍代は、全額経費にできますか?

業務のために買った本なら必要経費にできます。私生活にも役立つ本は家事関連費の考え方になり、業務に直接必要だった部分を明らかに区分できる場合に、その部分だけが経費になります。どの仕事に使ったかをメモしておくと、説明しやすくなります。

電子書籍の勘定科目は何にすればいいですか?

紙の本と同じく新聞図書費で処理する例が多く、紙か電子かで科目を分ける必要はありません。領収書はメールやPDFで届く電子取引のデータなので、データのまま保存します。国外の事業者から買った場合は、消費税の扱いが国内の本と違う点に注意します。

小説や漫画は経費項目に入れられますか?

業務との関連を説明できるかどうかで決まります。書評やコンテンツ制作の仕事で題材にするなど、どの仕事のために買ったかを一文で書けるなら経費の候補になります。娯楽として読む本は、科目に関係なく経費になりません。

おわりに──書籍代の科目は、名前より続け方で決まる

書籍代の勘定科目に正解の名前はありません。新聞図書費でも消耗品費でも、法令はどちらかを求めていないからです。問われるのは、その本をどの仕事のために買ったかと、毎年同じ物差しで記帳しているかの2つです。科目は選べますが、説明は選べません。

今日やることは1つです。会計ソフトの科目設定を開いて、書籍代を入れる科目を1つに決めてください。決めた日から、資料代の記帳で迷う時間がなくなります。

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