最終更新:2026年10月20日
小規模事業者持続化補助金とは、従業員の少ない事業者が、自分で作った経営計画に沿って販路開拓に取り組むときの経費の一部を国が補助する制度です。2026年10月時点で公募中なのは一般型 通常枠の第20回と創業型の第4回で、どちらも申請受付は2026年11月5日(木)から12月15日(火)17時までです。補助上限は通常枠が50万円(特例で最大250万円)、創業型が200万円(インボイス特例で250万円)、補助率は原則3分の2です。ただし補助金は後払いで、先に経費を全額立て替える必要があります。上限・枠・締切は公募回ごとに変わるので、この記事は第20回と創業型第4回の公募要領で確認できた内容だけを書きます。申請代行の業者は勧めません。
小規模事業者持続化補助金とは?結論から
小規模事業者持続化補助金は、商工会・商工会議所の支援を受けながら、チラシ・ウェブサイト・展示会出展などの販路開拓に使った経費の3分の2を後から受け取れる補助金です。審査があり、申請すれば必ずもらえるものではありません。2026年10月時点の要点を表にしました。
| 項目 | 一般型 通常枠(第20回) | 創業型(第4回) |
|---|---|---|
| 対象 | 小規模事業者(商業・サービス業は常時使用する従業員5人以下など)。申請時点で開業し、事業を始めていることが必要 | 特定創業支援等事業の支援を受けた日と開業日(設立年月日)が、どちらも公募締切から過去1年以内の小規模事業者。開業前の創業予定者は対象外だが、開業済みで店舗やECの準備中なら対象になり得る(補助事業の終了までに提供開始が必要) |
| 補助上限 | 50万円。インボイス特例で+50万円、賃金引上げ特例で+150万円、両方で+200万円 | 200万円。インボイス特例で+50万円 |
| 補助率 | 3分の2(賃金引上げ特例のうち赤字事業者は4分の3) | 3分の2 |
| 申請受付 | 2026年11月5日(木)〜12月15日(火)17:00。事業支援計画書(様式4)の発行受付締切は12月4日(金) | |
| 採択発表 | 2027年3月頃の予定 | |
| 受け取り方 | 後払い(補助事業が終わって実績報告をし、金額が確定してから請求する) | |
出典は商工会議所地区の小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>事務局にある第20回公募要領(第8版・2026年7月)と、<創業型>事務局の第4回公募要領です。商工会地区の商工会地区の事務局サイトも同じ日程を載せています。どちらの要領も「予定は変更する場合があります」と書いているので、申請前に最新版を確認してください。
持続化補助金の制度・要件・費用(第20回の枠と対象経費)
持続化補助金の金額は、補助対象経費の合計に補助率をかけた額で、上限を超えた分は出ません。第20回の通常枠は上限50万円が基本で、条件を満たす事業者だけが特例で上乗せを受けられます。
| 特例 | 上乗せ | 主な要件(第20回公募要領) |
|---|---|---|
| インボイス特例 | +50万円 | 2021年9月30日〜2023年9月30日の属する課税期間に一度でも免税事業者だった事業者、または2023年10月1日以降に創業した事業者で、補助事業の終了時点で適格請求書発行事業者に登録していること |
| 賃金引上げ特例 | +150万円 | 2027年4月1日〜2028年3月31日の12か月と前年同月の12か月を比べて、従業員1人あたり給与支給総額を年平均3.0%以上増やすこと。代表者・役員・専従者は従業員に含めない |
| 両方を満たす | +200万円 | 上の2つの要件をどちらも満たすこと |
特例を希望して要件を1つでも満たさなかった場合、上乗せ分だけでなく補助金全体が交付されません。補助対象になる経費は8種類で、それ以外は対象外です。
| 経費 | 対象になる例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 機械装置等費 | 新しいサービスのための製造・試作機械など | パソコン・タブレット・事務用プリンターなど汎用性が高いものは対象外 |
| 広報費 | チラシ、インターネット広告、SNS広告、プレスリリース配信 | 広報費だけでの申請は不可。補助金の上限30万円(税込) |
| ウェブサイト関連費 | 販路開拓のためのウェブサイト・ECサイト・システムの構築や改修 | これだけでの申請は不可。補助金の上限30万円(税込) |
| 展示会等出展費 | 展示会・商談会への出展(オンラインを含む) | 補助事業の計画に沿った出展に限る |
| 旅費・新商品開発費・借料・委託・外注費 | 販路開拓のための移動、試作、機器の借用、外注 | ウェブサイトやシステムの外注はウェブサイト関連費で計上する |
経費の条件は、使用目的が事業に必要と特定できること、交付決定日以降に発生して補助事業期間中に支払いが終わったこと、証憑で金額が確認できることの3つです(第20回公募要領 7.補助対象経費)。第20回の補助事業実施期間は交付決定日から2028年3月31日(金)までで、実績報告書の提出期限は2028年4月10日(月)です。
採択の厳しさの目安として、中小機構は第19回(2026年4月30日締切)の申請数を16,576件、採択数を7,819件と公表しています(中小機構 第19回締切の採択者公表)。この数字から計算すると採択率は約47.2%です。次の回で同じ率になる保証はありません。
持続化補助金の申請手順と、後払いの計算例
持続化補助金は、GビズIDプライムを取って経営計画を作り、商工会・商工会議所から事業支援計画書(様式4)を出してもらってから、電子申請で出す流れです。郵送での申請は受け付けていません。
- GビズIDプライムを取る:電子申請に必要です(GビズID)。IDとパスワードを第三者に教えるのは利用規約違反です
- 経営計画と補助事業計画を作る:電子申請システムに自社の経営状況・強みと弱み・今後の方針と、補助事業の内容・経費を入力する
- 商工会・商工会議所に様式4の発行を依頼する:計画の内容や書類の過不足を確認される。商工会地区は窓口で面談して発行、商工会議所地区は発行されたPDFをアップロードする。第20回の発行受付締切は12月4日(金)で、それ以降はいかなる理由でも発行されない
- 申請する:締切は12月15日(火)17:00
- 採択後に見積書を出し、交付決定を受ける:交付決定まで採択発表から概ね1〜2か月かかることがある。発注や支払いは交付決定日の後から
- 事業を実施して実績報告をする:補助金額が確定してから請求し、補助金が支払われる。補助事業の終了から1年後の状況は、事業効果報告書で報告する
審査は提出資料だけで行われ、ヒアリングはありません。計画審査の観点は、自社の経営状況分析の妥当性、経営方針と今後のプランの適切性、補助事業計画の有効性、積算の透明・適切性の4つです(第20回公募要領 12.採択審査)。
後払いがどう効くかを、架空の数字で計算します。インボイス特例を使える一人法人(上限100万円)が、ウェブサイト改修と展示会出展とチラシで販路開拓をする例です。数字はすべて例です。
| 例:経費 | 支払う額 | 補助金(3分の2) |
|---|---|---|
| ウェブサイト関連費 | 45万円 | 30万円(上限30万円ちょうど) |
| 展示会等出展費 | 30万円 | 20万円 |
| 広報費(チラシ) | 15万円 | 10万円 |
| 合計 | 90万円 | 60万円(上限100万円以内) |
この例では、事業の途中でまず90万円を全額払い、実績報告と金額の確定を経たあとに60万円を受け取ります。最終的な自己負担は30万円でも、その間は90万円が手元から出ていきます。ウェブサイト関連費を60万円に増やしても、補助金はその経費の上限30万円で止まります。
個人事業主・一人法人の判断ポイント
持続化補助金は個人事業主も一人法人も対象になりますが、「開業しているか」「いつ開業したか」の判定の仕方が違います。創業型は特に、個人事業主は開業届の開業日、法人は会社成立の年月日で判定します。
| 論点 | 個人事業主 | 一人法人 |
|---|---|---|
| 対象になるか | 商工業者である個人事業主は対象。開業届を出していても、開業日が申請日より後なら対象外 | 株式会社・合同会社などの会社は対象 |
| 従業員の数え方 | 常時使用する従業員で判定。会社役員と同居の親族従業員は含まない。社員のいない一人法人や一人で営む個人事業主は0人 | |
| 創業型の開業日 | 開業届の「開業・廃業等日」。本人が特定創業支援等事業の支援を受けていること | 登記の「会社成立の年月日」。代表者が支援を受けていること。個人事業を法人化した場合、個人の開業日から1年を過ぎていると申請できない |
| 創業型の提出書類 | 開業届の写し | 現在事項全部証明書または履歴事項全部証明書(申請書の提出日から3か月以内の原本) |
| 賃金引上げ特例 | 算定対象の従業員がいない月があると1人あたり給与支給総額を出せないため対象外。従業員のいない事業者は使えない | |
出典は第20回公募要領の「2.補助対象者」「6.補助率、補助上限額等」と、創業型第4回公募要領の「5.申請要件」です。創業型は通常枠と同時に申請できず、過去に創業型で採択されて事業を実施した事業者も対象外です。開業届の出し方は開業届の出し方に、インボイス登録の判断は一人法人のインボイス登録はするべきかにまとめています。
ぼくのtiny合同会社は、2019年の秋に一人で作った、社員のいない一人法人です(tiny合同会社を設立してわかったこと)。この表に当てはめると、従業員は0人で、設立から1年をとうに過ぎているので創業型は対象外、従業員がいないので賃金引上げ特例も使えません。一人法人が持続化補助金を考えるときは、通常枠の50万円か、インボイス特例を足した100万円が現実的な上限になります。
マーケティングの仕事をしてきた目で公募要領を読むと、審査で問われているのは補助金の書類より、販路開拓の企画書に近いものです。強みと弱み、狙う市場と顧客のニーズ、客観的な根拠のある売上の見込み。ここが自分の言葉で書けないうちは、どの経費を入れるかを考えても計画はまとまらないと思います。
持続化補助金のよくある間違いと注意点
持続化補助金でいちばん多い間違いは、採択されたらすぐ発注してよいと思うことです。対象になるのは交付決定日以降に発生し、補助事業期間中に支払いが終わった経費だけなので、交付決定の前に発注・契約・支払いをした分は補助されません。
- 申請代行に任せれば通ると思う:公募要領は、本補助金を小規模事業者が自ら経営を見つめ直して計画を作る事業と位置づけ、自ら検討していないことが分かれば不採択・交付決定取消とすると書いています。社外の代理人だけで商工会・商工会議所に相談や様式4の依頼をすることもできません。商工会・商工会議所以外の第三者から支援を受けた場合は、相手と金額(着手金・成功報酬など名目を問わず)を申請書に書く必要があり、書かなければ虚偽の報告として扱われます。「高額なアドバイス料金」を請求する業者への注意も要領に書かれています
- 事務局を名乗る勧誘に応じる:事務局は2026年8月28日に、事務局を名乗って補助金を案内・紹介する事案が起きていると注意を出し、個人に個別に補助金を紹介・あっせんすることは一切ないとしています(小規模事業者持続化補助金まとめサイト)
- 様式4の締切を見落とす:申請締切は12月15日でも、様式4の発行受付は12月4日で終わります。実際の締切はこちらです
- パソコンや広報費だけで計画する:パソコン・タブレットなどの汎用品は対象外で、広報費・ウェブサイト関連費だけの申請もできません
- 後払いの資金を用意していない:補助金は経費を払い終え、実績報告と確定を経てから支払われます。立て替える資金の手当てを先に考えます
- 前回の数字で計画する:上限・特例・対象経費の上限・締切は公募回ごとに変わります。第20回でも広報費とウェブサイト関連費に30万円の上限が設けられています
不正受給は補助金適正化法の対象で、交付決定の取消・返還命令に加え、5年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその併科があり得ると公募要領に書かれています。この記事は、最終更新日時点で第20回と創業型第4回の公募要領・事務局サイトで確認できた制度で書いています。受け取った補助金の会計や税金の扱いは、顧問の税理士に確かめるのが確実です。ぼくは税理士ドットコムで見つけた税理士に顧問をお願いしています。個別の判断(自分の会社がどうするか)は、税理士・司法書士・社労士に確認してください。
持続化補助金に関するよくある質問
2026年の小規模事業者持続化補助金の締切はいつですか?
一般型 通常枠の第20回と創業型の第4回は、どちらも申請受付が2026年11月5日(木)から12月15日(火)17:00までです。商工会・商工会議所が出す事業支援計画書(様式4)の発行受付は12月4日(金)に締め切られます。日程は変更される場合があるので、事務局サイトで最新の情報を確認してください。
持続化補助金の創業型とは何ですか?
特定創業支援等事業の支援を受けた日と開業日(設立年月日)が、どちらも公募締切から過去1年以内の小規模事業者向けの型です。第4回の補助上限は200万円で、インボイス特例を満たせば50万円上乗せされ、補助率は3分の2です。通常枠と同時には申請できません。
個人事業主も持続化補助金を申請できますか?
商工業者である個人事業主は対象になります。ただし申請時点で開業していることが必要で、開業届を出していても開業日が申請日より後なら対象外です。従業員の数え方は会社と同じで、同居の親族従業員は含みません。
持続化補助金の採択率はどれくらいですか?
中小機構の公表では、一般型 通常枠の第19回(2026年4月30日締切)は申請16,576件に対して採択7,819件で、計算すると約47.2%です。採択率は公募回ごとに変わり、次の回の率を約束するものではありません。採否は計画審査と加点審査で決まります。
おわりに──持続化補助金は、お金をもらう制度ではなく、販路開拓の計画を先に書かせる制度
持続化補助金は「最大250万円」の数字で語られがちです。でも公募要領を読むと、補助金は後払いで、上限は特例の要件次第で、審査されるのは自分で書いた経営計画です。一人法人なら現実の上限は50万円か100万円で、その前に経費を全額立て替えます。持続化補助金で決めるべきことは、いくらもらえるかではなく、補助金がなくてもやりたい販路開拓が先にあるかどうかです。