マーケの目

デジタルマーケティングとWebマーケティングの違い|範囲・職種・年収

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最終更新:2026年10月17日

デジタルマーケティングとWebマーケティングの違いは、扱う範囲の広さにあります。Webマーケティングは、ウェブサイトや検索、ウェブ広告など、ブラウザの画面の中で行うマーケティングです。デジタルマーケティングは、それを含めて、スマホアプリ、店頭のデジタル機器、会員データ、コネクテッドTVなど、データが取れる接点の全部を扱うマーケティングです。つまり、デジタルマーケティングはWebマーケティングを内側に含む、より広い言葉です。ただ、求人票や部署名では二つがほぼ同じ意味で使われることも多く、呼び名だけで仕事の中身は判断できません。この記事では、両者の違いと包含関係を表で整理したうえで、混同したときに起きること、職種や求人票の読み方、年収を比べるときの注意点までを書いていきます。

デジタルマーケティングとWebマーケティングの違い一覧

Webマーケティングはウェブサイトを中心に「画面の中」の行動を扱い、デジタルマーケティングはウェブを含めて「データが取れる場所の全部」を扱います。前者は後者の一部で、二つは対立する言葉ではなく、大きな円と、その中にある小さな円の関係です。

比較の軸 Webマーケティング デジタルマーケティング
範囲 ウェブサイトと、そこへ人を集める施策 ウェブを含め、データが取れる接点の全体
主な接点 自社サイト、検索結果、ウェブ広告、メール 上記のほか、アプリ、SNS、店頭のデジタル機器、会員カード、コネクテッドTV
扱うデータ アクセス解析、広告の配信と成果のデータ 購買履歴、会員データ、アプリ内の行動、店頭の販売データ、位置情報など
主な目的 サイトに人を集め、申し込みや購入につなげる オンラインと店頭をまたいで顧客を理解し、長く関係を続ける
主な指標 セッション数、CVR、CPA、検索順位 LTV、継続率、来店数、顧客単価、チャネルをまたいだ購買
関わる部署 マーケティング部門、EC部門が中心 マーケティング、営業、店舗、情報システム、経営まで広がる

二つの包含関係を、接点ごとに並べると次のようになります。○は主な守備範囲、△は境界線上、×は範囲の外です。

接点 Webマーケティング デジタルマーケティング
自社サイト・ランディングページ ○ ○
検索(SEO・リスティング広告) ○ ○
ウェブ広告(ディスプレイ広告など) ○ ○
メールマガジン ○ ○
SNS(投稿・広告) △(サイトへの集客として扱う範囲) ○
スマホアプリ・プッシュ通知 × ○
会員カード・ポイント・顧客データベース × ○
店頭のデジタルサイネージ・販売データ × ○
コネクテッドTV・動画配信サービスの広告 × ○
紙のチラシ・対面の接客 × ×(データとつながれば○に近づく)

表の下の行ほど、Webマーケティングの外に出ていきます。最後の行が示しているように、デジタルかどうかを分けるのは、媒体が電子的かどうかではありません。紙のチラシでも、QRコードや会員番号でデータにつながれば、デジタルマーケティングの一部として扱えます。境界線は「画面かどうか」ではなく「データが取れるかどうか」に引かれています。

デジタルマーケティングとは/Webマーケティングとは

Webマーケティングとは、ウェブサイトを中心に、検索やウェブ広告、メールなどで人を集め、サイト上での申し込みや購入につなげる活動です。デジタルマーケティングとは、ウェブだけでなくアプリ、店頭、会員データなど、デジタルで記録できるあらゆる接点のデータを使い、顧客との関係を設計する活動です。どちらにも、法律や業界団体が定めた統一の定義は見当たらず、ここでの説明は実務での一般的な使われ方にもとづいています。

Webマーケティングの土台になるのは、検索とウェブ広告です。検索結果で見つけてもらう施策はSEOとは?何の略かとSEO対策の3種類、AI検索との関係をわかりやすくに、検索語に連動して出す広告はリスティング広告とは?仕組みと品質スコア、ディスプレイ広告との違いにまとめています。二つをまとめた呼び名がSEM(検索エンジンマーケティング)です。サイトに来た人の行動を解析し、申し込みまでの導線を直していくのも、Webマーケティングの中心的な仕事です。

デジタルマーケティングで新しく加わるのは、ウェブの外にある接点と、そこで生まれるデータです。スマートフォンのアプリ、店頭の販売データ、ポイントカードの購買履歴。こうしたデータを、ウェブでの行動とつないで一人の顧客として見られるようにするのが、デジタルマーケティングらしい仕事です。自社が直接集めたデータの考え方はファーストパーティデータとは?ゼロ・サードパーティとの違いと集め方に、顧客との関係を管理する仕組みはCRMとは?マーケティングでの意味とSFA・MAとの違いを簡単に解説に書きました。

言葉の順番としては、ウェブサイトが企業の主な接点だった頃にWebマーケティングという言い方が広まり、スマートフォンやアプリ、店頭のデジタル化によってウェブの外でもデータが取れるようになるにつれて、より広い言葉としてデジタルマーケティングが使われるようになりました。どちらの言葉も、いつ誰が使い始めたのかという一次出典は確認できませんでした。

混同されやすい理由と、間違えると起きること

デジタルマーケティングとWebマーケティングが混同されやすい一番の理由は、求人票や部署名で、二つの言葉が中身をそろえないまま使われていることです。「デジタルマーケティング部」の仕事がウェブ広告の運用だけということもあれば、「Webマーケター」の募集でアプリや会員データまで任されることもあります。

呼び名と中身のずれを見落とすと、実務や転職では次のようなことが起きます。

よくある間違え方 起きること 気づくためのサイン
求人のタイトルだけで仕事内容を判断する 入社してみたら広告の運用だけだった、あるいは社内のシステム調整ばかりだった 求人票に「扱うデータ」と「関わる部署」が書かれていない
「デジタル化」をウェブ広告を増やすことだと考える サイトの数字は良くなるが、店頭や会員の売上とつながらない ウェブとそれ以外で、顧客のデータが別々に管理されている
ウェブの指標だけでデジタル施策を評価する アプリや店頭に移った売上が見えず、効いている施策を止めてしまう 評価の会議で、ウェブ以外の数字が一度も出てこない
デジタルの全部を一人の担当者に任せる 採用が決まらない、決まっても担当者が疲れ切る 求人票の「必須スキル」が10項目を超えている

3行目の評価の問題は、接点が増えるほど深刻になります。ウェブで商品を知り、アプリで比べ、店頭で買う人の売上は、ウェブの指標だけを見ていると「ウェブでは売れていない」ことになります。どの接点がどれだけ売上に効いたかを配分する考え方はアトリビューションとは?モデルの種類一覧と例、GA4での選び方で整理しました。Webマーケティングの物差しでデジタルマーケティングを測ると、範囲が広いぶんだけ見落としが増えます。

どちらを使うべきか・使い分けの判断

会社としてどちらに取り組むべきかは、顧客との接点がウェブで完結しているかどうかで決まります。売上のほとんどがウェブ上の申し込みや購入で生まれるならWebマーケティングで十分に戦えますし、店舗やアプリ、会員制度があるなら、デジタルマーケティングとして全体を設計する必要があります。

自社の状況 まず取り組む範囲 次に広げる先
売上の大半がECやウェブでの申し込み Webマーケティング(集客とサイトの改善) メールやLINEでの再購入、会員データの整備
店舗とECの両方で売っている デジタルマーケティング(店頭とECの顧客をつなぐ) アプリや会員制度で、来店と購入の履歴を一本化
BtoBで、問い合わせがウェブ中心 Webマーケティング(検索と資料ダウンロード) MAやCRMで、営業の記録とつなぐ
アプリや会員制度が事業の中心 デジタルマーケティング(行動データと継続率) ウェブや店頭からアプリへの入口を設計

店舗とECをまたぐ設計についてはオムニチャネルとOMOの違いとは?マルチ・O2Oとの一覧表で解説が参考になると思います。

転職や職種選びの場面では、呼び名ではなく、次の3つで仕事の中身を確かめるのが確実です。一つ目は、扱うデータの範囲。ウェブのアクセスと広告のデータだけか、購買履歴や会員データまで含むか。二つ目は、関わる部署。マーケティング部門の中で完結するか、店舗や情報システム、営業と一緒に動くか。三つ目は、評価される指標。CPAやCVRで評価されるのか、LTVや継続率で評価されるのか。この3つがそろうと、その求人がWeb寄りかデジタル寄りかがはっきりします。

年収については、比べ方に注意が必要です。厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」には「Webマーケティング(ネット広告・販売促進)」の職業ページがあり、賃金構造基本統計調査をもとにした年収の目安が掲載されています。ただ、この記事を書いた2026年10月17日はサイトがメンテナンス中で数字を確認できなかったため、ここには書いていません。求人票の年収は、Webかデジタルかという呼び名よりも、任される範囲と責任の広さで決まることが多いと思います。キャリアの考え方は20代マーケターの転職戦略|「スキル不足」で迷う人ほど動き方を間違えるやマーケターのキャリアパスを整理してみたにも書いています。

日本市場・2026年時点での注意点

2026年時点の日本では、ネット広告が広告費全体の半分を超え、Webマーケティングの比重はかつてなく大きくなっています。でも、ネット広告の統計に入らないデジタルの接点も育っていて、デジタルとWebの境目はむしろ広がっています。

電通が2026年3月に発表した「2025年 日本の広告費」によると、2025年の総広告費は8兆623億円で、そのうちインターネット広告費は4兆459億円、構成比は50.2%と初めて過半数に達しました。同じ発表では、テレビ番組のネット配信などに関わる動画広告(テレビメディア関連動画広告費、805億円)がインターネット広告費の中に数えられています。テレビ番組の広告でも、ネットで配信されればWeb側の統計に入るわけです。

反対に、デジタルでありながらネット広告の外に数えられているものもあります。同じ発表では、駅や街のデジタルサイネージに広告を自動で配信するプログラマティックDOOH(デジタル屋外広告)が本格的に広がり、小売店の店内サイネージなどのリテールメディアとの連携も進んだと書かれていますが、これらはネット広告ではなく、屋外広告や交通広告、店頭のPOPなどと同じ区分(2025年は1兆7,184億円)に数えられています。店舗の中のデジタル接点は、Webマーケティングの外、デジタルマーケティングの内側にあります。小売の店頭を広告の場として使う動きはリテールメディアとは?種類と日本の事例、市場規模をわかりやすくにまとめました。

もう一つ、データの扱いも変わり続けています。ブラウザで第三者のデータを使った追跡は以前よりやりにくくなり、自社で同意を得て集めたデータの価値が上がっています。Webマーケティングだけを見ていると、この変化は「広告の効きが悪くなった」という形でしか見えません。アプリや会員制度、店頭のデータまで含めて顧客を見るデジタルマーケティングの視点があると、同じ変化を「自社のデータを育てる理由」として受け止められます。

デジタルマーケティングとWebマーケティングに関するよくある質問

デジタルマーケティングとWebマーケティングは、結局同じではないですか?

求人票や会話では同じ意味で使われることも多いので、そう感じるのは自然です。ただ、範囲としてはデジタルマーケティングのほうが広く、Webマーケティングはその一部です。言葉そのものより、扱うデータと接点の範囲で確かめると、どちらの意味で使われているかが分かります。

Webマーケターとデジタルマーケターの仕事内容は何が違いますか?

Webマーケターは、検索やウェブ広告で人を集め、サイト上での申し込みや購入を増やす仕事が中心です。デジタルマーケターは、それだけでなくアプリや会員データ、店頭のデータなどをつなぎ、顧客との長い関係を設計する仕事まで含むことが多くなります。ただ、会社ごとに呼び方がばらばらなので、求人票では扱うデータ・関わる部署・評価の指標の3点で中身を確かめるのが確実です。

未経験からなら、どちらを目指せばいいですか?

入口としては、Webマーケティングから始めるのが現実的です。検索や広告、アクセス解析は成果が数字で見えやすく、学ぶ順番もはっきりしているからです。そこで身につけた数字の読み方は、アプリや会員データを扱うデジタルマーケティングにそのまま広げていけます。

SNSマーケティングはどちらに入りますか?

SNSは境界線上にあります。SNSからサイトに人を集める使い方ならWebマーケティングの一部として扱われ、SNSの中で関係を育てたり、アプリや店頭の購買とつないだりするならデジタルマーケティングの一部として扱われます。どちらに入るかは、SNSの外で何のデータとつないでいるかで決まります。

おわりに──Webは画面の中、デジタルはデータが取れる場所の全部

デジタルマーケティングとWebマーケティングの違いは、新しい言葉と古い言葉の違いのように語られることがあります。でも、二つは置き換わる関係ではなく、内側と外側の関係です。ウェブの施策は、いまもデジタルマーケティングの中心にあります。

Webは画面の中、デジタルはデータが取れる場所の全部。

この一行で線を引いておくと、求人票の呼び名にも、部署名にも振り回されにくくなります。自社の取り組みや、応募しようとしている仕事がどちらなのか迷ったときは、「画面の外で、どんなデータとつながっているか」を確かめてみてほしいと思います。そこに答えがあれば、それはもうWebの外側の仕事です。

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