マーケの目

ファーストパーティデータとは?ゼロ・サードパーティとの違いと集め方

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最終更新:2026年10月12日

ファーストパーティデータとは、企業が自社のサイトやアプリ、店舗、会員登録などを通じて、生活者から直接集めたデータのことです。購入履歴、会員情報、問い合わせの記録、自社サイトでの閲覧の記録などがこれにあたります。結論を先に書くと、ファーストパーティデータは、外部のデータに頼れなくなった時代のいちばんの資産です。ただし、ためただけでは資産になりません。何のために集め、本人に何を返すのかを決めてはじめて、使えるデータになります。この記事では、ゼロ・ファースト・セカンド・サードパーティデータの違いを一覧表で整理し、言葉の出どころ、サードパーティデータの現状、実務での集め方と使い方、そして個人情報保護委員会のガイドラインをもとにした法律上の注意点まで書いていきます。

ファーストパーティデータとは?ゼロ・セカンド・サードとの違い一覧

ファーストパーティデータは、データを使う企業自身が、生活者との直接の接点で集めたデータです。誰が集めたか、生活者とどんな関係で集めたかによって、ゼロ・ファースト・セカンド・サードの4つに呼び分けられます。

4つを、集める主体と中身の例で並べると次のようになります。

種類 誰が集めたか 中身の例 強み 弱み
ゼロパーティデータ 自社(本人が意図して提供) アンケートの回答、好みの登録、診断の結果 本人の意思がはっきりしている 自己申告なので、実際の行動とずれることがある
ファーストパーティデータ 自社(直接の接点で取得) 購入履歴、会員情報、自社サイトやアプリでの行動 精度が高く、使い道を自社で決められる 量は自社の顧客の数に限られる
セカンドパーティデータ 提携先の企業 提携先が持つ顧客の購買や利用の記録 自社にない顧客の姿を補える 提供を受けるための同意や契約の手当てが要る
サードパーティデータ 直接の関係がない外部の事業者 複数のサイトをまたいだ閲覧の傾向、推定された属性や興味 規模が大きく、まだ接点のない人に届く 出どころが見えにくく、規制で使える範囲が狭まっている

表の上にいくほど、生活者との関係が近く、データの出どころがはっきりしています。下にいくほど、規模は大きくなる代わりに、誰がどんな説明で集めたのかが見えにくくなります。ゼロパーティデータをファーストパーティデータの一部として扱う人も多く、境目はそれほど厳密ではありません。分けて考える意味があるのは、本人が「あげた」と意識しているデータか、行動の結果として「残った」データかで、使い方の作法が変わるからです。

言葉の出どころ──広告業界の呼び分け

ファーストパーティ、サードパーティという呼び分けには、「この人が提唱した」と言える一次出典は見当たりません。もとは、訪れているサイト自身が発行するファーストパーティCookieと、別の会社が発行するサードパーティCookieを呼び分けていた技術用語で、それがデータの分類にも広がったと考えるのが実態に近いと思います。

「パーティ」は、契約や取引の「当事者」という意味の英語です。データを使う自社が第一の当事者、提携先が第二の当事者、直接の関係がない事業者が第三者、という並びになっています。広告配信やデータの売買が盛んになった2010年代に、データの出どころを言い分ける言葉としてマーケティングの現場に定着しました。

ゼロパーティデータは比較的新しい言葉で、米国の調査会社フォレスター・リサーチが2018年ごろに提唱した言葉として知られています。行動から推測されたデータと、本人が意図して差し出したデータを区別するために作られた呼び名です。日本語の記事では「ゼロ」と「ファースト」の違いを問う検索が多いのですが、上で書いたとおり、実務での差は数字の大小より、本人の意識のあるなしにあります。

サードパーティデータの現状と、ファーストパーティデータが資産になる理由

ファーストパーティデータが資産と呼ばれるようになったのは、サードパーティデータに頼った広告やマーケティングが、ブラウザの規制や法律の改正で思うように使えなくなってきたからです。外部から借りていたものが細っていくなかで、自社で持っているものの価値が相対的に上がりました。

2026年時点では、SafariやFirefoxがサードパーティCookieを標準でブロックし、Chromeは廃止の計画を取りやめて利用者が設定で選ぶ形を続けています。「Cookieがなくなる」という数年前の予想は外れ、「使える人と使えない人に分かれた」状態です。ブラウザごとの動きと日本の法改正の年表は、リターゲティング広告とは?リマーケティングとの違いとCookie規制に公式発表の出典つきでまとめています。

この状態で困るのは、サードパーティデータで見えていた生活者の姿が、ブラウザや端末によって欠けるようになったことです。見えている人だけで判断すると、偏った姿を全体だと思い込んでしまう。その点、ファーストパーティデータは自社との接点で生まれるので、ブラウザの事情に左右されにくく、何を集めたかを自社で説明できます。

もう一つの理由は、ファーストパーティデータが「関係」の記録だからです。サードパーティデータが教えてくれるのは、ある人がどんな傾向を持っていそうかという推測でした。ファーストパーティデータが教えてくれるのは、その人が自社と何をしてきたかという事実です。いつ買い、何度戻ってきて、どこで離れたか。顧客を購入の新しさ・頻度・金額で分けるRFM分析とは?やり方とスコアの付け方、セグメント別の打ち手や、一人の顧客が生涯にもたらす価値を見るLTVとは?マーケティングでの意味と計算式3種、CACとの関係を解説は、どちらもファーストパーティデータがあってはじめて計算できる指標です。

実務での集め方と使い方──ためる前に、返すものを決める

ファーストパーティデータを実務で扱うときにいちばん大事なのは、集める前に「何に使うか」と「本人に何を返すか」を決めておくことです。目的のないまま集めたデータは、量が増えても判断には使えず、管理の手間と漏れたときの危うさだけが増えていきます。

BtoBの現場では、展示会で交換した名刺、セミナーの参加者、資料請求のフォームといった形で、ファーストパーティデータは早くから手元にありました。でも、部署ごとに別の表計算ファイルやツールに入っていて、同じ会社の同じ人が三つのリストに別々に載っている、ということが珍しくありませんでした。データが足りないのではなく、データがつながっていない。ファーストパーティデータの悩みの多くは、集める段よりも、つなぐ段で起きているように思います。顧客ごとの情報と履歴を一か所にまとめる仕組みについては、CRMとは?マーケティングでの意味とSFA・MAとの違いを簡単に解説で書きました。

ぼくが集め方と使い方を考えるときの手順を、問いと一緒に並べると次のようになります。

段階 やること 判断の問い
1. 目的を決める どの判断や施策のために使うかを先に書く このデータがあれば、何が決められるようになるか
2. 返すものを決める データをもらう代わりに本人に渡す価値を決める 本人は、渡してよかったと思える何かを受け取れるか
3. 集め方を決める 会員登録、購入、アンケート、診断など接点ごとに取る項目を絞る その項目は、目的に照らして本当に要るか
4. 説明する 利用目的をプライバシーポリシーと取得の画面で示す 本人が読んで、どう使われるかを想像できるか
5. つなぐ 同じ人のデータを一か所で見られるようにする 同じ人が、別々の人として数えられていないか
6. 使って確かめる 施策に使い、使わなかった場合と比べる データを使ったことで、判断や成果は変わったか

2の「返すもの」は、見落とされやすい段です。生活者は、得をしないのにデータを差し出してはくれません。会員になると買い物の履歴が見られて再注文が楽になる、診断に答えると自分に合う商品が分かる、好みを登録すると興味のない案内が減る。データと引き換えに何を返すかを決めておくと、集まる量も、集まったデータの正直さも変わります。ゼロパーティデータが注目されているのは、この交換がいちばん分かりやすい形だからです。集めたデータで見せるものを出し分けるときの線の引き方は、パーソナライゼーションとは?意味と種類、気味悪さの線引きを解説で書いています。

3の「項目を絞る」も効きます。登録の画面に項目を増やすほど、途中でやめる人は増えます。目的に要らない項目を外すのは、入力のしやすさのためだけでなく、持たなくていいデータを持たないためでもあります。持っていないデータは、漏れることもありません。

生活者がどの接点で自社に触れているかを整理しておくと、どこでどんなデータが生まれるかの地図になります。接点の洗い出し方はカスタマージャーニーとは?マップの作り方と例、項目の一覧表で解説で書いているので、集める場所を考える前に一度眺めておくと、抜けている接点に気づきやすいと思います。

個人情報保護法の注意点──「パーティ」の分類と法律の分類は違う

ファーストパーティ、サードパーティという分け方は業界の言葉で、日本の個人情報保護法にはありません。法律は、誰が集めたかではなく、そのデータで特定の個人が分かるかどうかで、個人情報、個人関連情報、仮名加工情報、匿名加工情報などに分けて扱いを決めています。

個人情報保護委員会の「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」では、個人関連情報を、生存する個人に関する情報であって、個人情報、仮名加工情報、匿名加工情報のいずれにも当たらないものと説明しています。該当する事例として挙げられているのは、Cookieなどの端末識別子を通じて集めた閲覧履歴、メールアドレスに結びついた年齢・性別・家族構成、商品の購買履歴やサービスの利用履歴、位置情報、興味・関心を示す情報です。ただし、氏名などと結びついて特定の個人が分かる状態なら、それは個人情報として扱われます。

データの種類ごとに、法律で気をつけたい点を並べると次のようになります。法令の解釈は使い方によって変わるので、具体的な判断はガイドラインの原文と、必要に応じて専門家への確認を前提にするのが安全です。

データ 法律上の扱いの例 気をつけたい点
ゼロ・ファーストパーティデータ(会員情報、購入履歴など) 氏名などと結びつけば個人情報 利用目的をできる限り特定し(第17条)、取得時に通知または公表する(第21条)
行動や関心の分析に使うデータ 個人情報として扱う場合が多い 分析して広告などに使うこと自体を、本人が予測できる程度に利用目的として示す
セカンドパーティデータ(提携先から受け取る顧客データ) 提供元にとっては個人データの第三者提供 原則として本人の同意が必要(第27条)。委託や共同利用などの例外にあたるかを確かめる
Cookieなどにもとづく閲覧履歴(単体では個人を特定しないもの) 個人関連情報 提供先で個人データとして取得されることが想定される場合、本人の同意が得られていることの確認が必要(第31条)
病歴、信条などにかかわる情報 要配慮個人情報 取得に原則として本人の同意が必要(第20条第2項)。マーケティングでは扱わないのが無難

2つめの行は、ガイドラインの利用目的の特定(3-1-1)の説明にもとづいています。本人から得た情報から行動や関心を分析する場合は、どのような取り扱いが行われているかを本人が予測・想定できる程度に利用目的を特定しなければならない、とされ、具体的な事例として「取得した閲覧履歴や購買履歴等の情報を分析して、趣味・嗜好に応じた新商品・サービスに関する広告のために利用いたします。」という書き方が示されています。

4つめの行の個人関連情報のルールは、2022年4月に施行された改正法で加わったものです。ガイドラインでは、このルールは個人関連情報の第三者提供すべてにかかるのではなく、提供先が受け取った情報をIDなどを介して自社の個人データに結びつけるような場合に適用される、と説明されています。サイトに外部のツールのタグを置いて利用者の情報を送るときは、総務省が所管する電気通信事業法の外部送信規律にもとづく通知や公表も確かめておく必要があります。

法律の言葉を並べると身構えてしまいますが、根っこにある考え方は単純です。本人が想像できる使い方をして、想像できない渡し方をしない。ファーストパーティデータが資産になるのは、生活者が自分から渡してくれた関係の記録だからで、その関係を裏切る使い方をした瞬間に、資産は負債に変わります。

ファーストパーティデータに関するよくある質問

ファーストパーティデータとサードパーティデータの違いは何ですか?

いちばんの違いは、誰が集めたかです。ファーストパーティデータは自社が生活者との直接の接点で集めたデータで、サードパーティデータは直接の関係がない外部の事業者が集めて提供するデータです。ファーストパーティデータは精度が高く使い道を自社で決められる代わりに、量は自社の顧客の数に限られます。サードパーティデータは規模が大きい代わりに、出どころが見えにくく、ブラウザの規制や法律で使える範囲が狭まっています。

ゼロパーティデータとファーストパーティデータの違いは何ですか?

ゼロパーティデータは、アンケートの回答や好みの登録のように、本人が意図して企業に差し出したデータです。ファーストパーティデータは、購入履歴や閲覧の記録のように、自社との接点での行動から生まれたデータを広く指します。ゼロパーティデータをファーストパーティデータの一部として扱う人も多く、実務では、本人に「あげた」意識があるかどうかで使い方の作法を変えるための呼び分けだと考えると分かりやすいと思います。

ファーストパーティデータにはどんな例がありますか?

会員登録の情報、ECやアプリでの購入履歴、自社サイトでの閲覧の記録、メールの開封やクリックの記録、問い合わせやサポートの記録、店舗のポイントカードの利用履歴などがあります。BtoBでは、展示会で交換した名刺、セミナーの参加者、資料請求のフォームから集まった情報も代表的な例です。

ファーストパーティデータを広告に使うときに同意は必要ですか?

使い方によって変わります。自社で集めた個人情報を分析して広告に使うなら、そのことを利用目的として特定し、本人に通知または公表しておく必要があります。他社に個人データを渡す場合は、原則として本人の同意が必要です。具体的な判断は、個人情報保護委員会のガイドラインの原文と、必要に応じて専門家への確認を前提にするのが安全です。

おわりに──データは、集めた量ではなく、渡してもらえた理由で育つ

ファーストパーティデータは、サードパーティデータの代わりとして語られることが多い言葉です。外部のデータが使えなくなったから、自社のデータで穴を埋める。でも、そう考えているうちは、ファーストパーティデータも外部のデータと同じように「量」で見てしまいます。何件たまったか、どれだけ項目がそろったか。その数字は、生活者との関係の深さを教えてはくれません。

データは、集めた量で資産になるのではありません。渡してもらえた理由の分だけ、資産になります。外部のデータ頼みが崩れたあとに残るのは、生活者が自分から渡してくれた記録と、その記録を裏切らない使い方だけ。ぼくはそう思っています。集め方や使い方で迷ったら、ぼくのXアカウント(@yosooi3)に問いかけてもらえれば、できる範囲で答えようと思います。

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