採用側は、職務経歴書を上から順番に読んでいません。最初に職務要約の3行を読み、次に数字を探し、最後に「うちでも同じことが起こせるか」を確かめます。ぼくは博報堂に13年、アクセンチュアに5年いて、両社で中途採用の面接官をしていました。マーケター職の書類を何十枚と見てきて、通る書類と落ちる書類の差は、この読まれる順番に沿って書けているかどうかでした。この記事で配るテンプレートは、その順番のまま項目を並べたものです。Word形式で無料、会員登録もメールアドレスの入力も不要です。
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空欄と記入のヒントだけが入った書式です。会社名は「株式会社〇〇」、数字は「〇〇%」のまま置いてあるので、上から順に自分の言葉で埋めていけば完成します。フォントは游ゴシック、装飾は黒1色と罫線だけにしてあります。人事のフォルダに並んだときに読みやすいこと以外は狙っていません。
同じ書式を、架空の人物「山田太郎」で最後まで埋めたものです。人物も会社名も数字もすべて架空で、数字はわざと丸くしてあります。書式だけ渡されても手が止まるので、埋まった状態を先に見てから自分の情報に置き換えるほうが早く進みます。
Wordを持っていない場合はこちらです。全文をコピーしてGoogleドキュメントに貼り付け、フォントを游ゴシックかNoto Sans JP、本文を10〜10.5ptにすると、Word版とほぼ同じ見た目になります。用紙はA4、余白は上下15mm・左右20mmが目安です。
3つとも自由に編集して構いません。転載や再配布のときにこの記事へのリンクを添えてもらえると助かります。
採用側は職務経歴書をこの順番で読んでいる
面接官の手元には、たいてい数人分の書類がまとめて置かれています。1枚にかけられる時間は長くありません。だから読む順番が決まります。テンプレートの構成は、その順番をそのまま項目の並びにしたものです。
最初に読まれるのは職務要約の3行
いちばん上の3行で、書類の印象はほとんど決まります。ここで「何をしてきた人か」が像を結ばないと、その先は流し読みになります。逆にここが立っていれば、下のほうに書いた細かい話まで拾ってもらえます。
3行に入れるのは、通算年数と担当領域、直近の担当範囲と規模、そして自分が動かした数字の3つです。「マーケティング業務全般に従事してまいりました」のような書き方は、読んだあとに何も残りません。誰にでも当てはまる文は、誰の書類でもないのと同じです。
次に探されるのは数字
要約を読んだあと、面接官の目は数字を探しにいきます。数字がひとつも見つからない書類は、その時点で判断が止まります。良い悪いではなく、判断する材料がないからです。
ただ、数字なら何でもいいわけではありません。「CPAを30%改善」だけでは、元がいくらだったのかも、その改善のどこまでが自分の仕事だったのかもわかりません。数字は「前後」と「自分の担当範囲」をセットで書いてはじめて材料になります。テンプレートの実績ハイライトの表に「自分の役割」の列を入れてあるのは、そのためです。
最後に確かめられるのは再現性
要約と数字を見たあと、面接官が頭の中でやっているのは「この人がうちに来たとき、同じことが起きるか」の検算です。前職の環境がたまたま良かっただけなのか、それとも本人の中に手順があるのか。ここが見えない書類は、実績が立派でも「うちでは無理かもしれない」で止まります。
再現性は、書かなければ伝わりません。実績の下に一行、「この条件が揃えば同じ手順で進められます」と自分で言い切ってある書類は、それだけで読み手の負担が減ります。書類の中で、いちばん書かれていないのがこの一行です。
テンプレートの中身と、各項目の書き方
テンプレートは6つの項目でできています。上から順に、書き方とつまずきやすいところを説明します。
1. 職務要約(3行)
ここは3行までです。4行を超えると読まれません。1行目に通算年数と領域、2行目に直近の担当と規模、3行目に動かした数字を置きます。
- 1行目:広告会社と事業会社でマーケティング職として通算〇年間、〇〇領域を担当してきました。
- 2行目:直近は株式会社〇〇にて、〇〇ブランドの年間コミュニケーション設計と、年間予算〇〇〇万円の運用を担当しています。
- 3行目:生活者調査から施策の設計、効果検証までを一貫して回し、〇〇を〇〇%改善しました。
NG例は「これまで培った経験を活かし、幅広い業務に携わってまいりました」です。文字は埋まりますが、情報がゼロです。3行のうち少なくとも1行には、固有名詞か数字を入れます。
2. 活かせる経験・スキル
ここは箇条書きにします。文章にすると読み飛ばされます。5〜7行が上限で、10行を超えると「何が得意なのかわからない人」に見えます。
書くときのコツは、スキル名だけで終わらせないことです。「デジタル広告」ではなく「デジタル広告の設計と改善(検索/ディスプレイ/SNS・月間予算〇〇〇万円規模)」と、括弧の中に範囲と規模を足します。同じ「デジタル広告ができます」でも、月20万円と月500万円では別の仕事です。
NG例は「コミュニケーション能力」「リーダーシップ」といった、マーケターでなくても書ける言葉です。職種が消えるスキルは書かないほうがましです。
3. 職務経歴は「課題→打ち手→数字→再現性」の4行型
テンプレートの中心はここです。担当した案件ごとに、次の4行を必ず埋めます。順番も入れ替えません。
- 課題:何が起きていたか。数字が悪化していた、頭打ちだった、前提が間違っていた、など「困っていた状態」を1行で。
- 打ち手:それに対して自分が何をどう判断したか。作業の羅列ではなく、なぜその手を選んだかまで書きます。
- 数字:どこからどこへ動いたか。前後の値と、自分の担当範囲を括弧で添えます。
- 再現性:どんな条件が揃えば同じことができるか。ここが4行型のいちばん効く1行です。
この型が効くのは、書き手の頭の中を強制的に開かせるからです。業務の羅列で書いていると、なぜその施策を選んだのかを説明しないまま終われます。でも面接では、結果の数字より判断のプロセスを聞かれます。書類の段階で判断が書いてあれば、面接での話は自然と噛み合います。
4行型のNG例と、直したあとを並べます。
NG例:「Web広告の運用、SNSアカウントの運用、メールマガジンの配信、イベントの企画運営を担当。年間予算3,000万円。」
やったことは並んでいますが、何が良くなったのかも、なぜそれをやったのかもわかりません。これが、書類が落ちる理由の1番目にあたる「業務内容の羅列」です。
直したあと
- 課題:新規顧客の獲得単価が前年比で50%悪化し、テレビCMに予算を回せない状態でした。
- 打ち手:獲得単価の悪化を広告の単価と申込みまでの離脱に分解し、影響の大きかった離脱側から、フォームの短縮案と初回価格の変更案を6週間並行で検証しました。
- 数字:獲得単価を10,000円から6,000円へ40%改善し、月間の新規顧客数を200件から500件に伸ばしました(担当:検証設計の全体、3名で推進)。
- 再現性:申込みまでの導線がある商材であれば、同じ検証の設計を6週間で立ち上げられます。
字数はほぼ同じです。違うのは、読んだあとに「この人はこう考えて動く人だ」が残るかどうかです。
4. 実績ハイライトの表
4行型を2〜3案件書くと、それなりの分量になります。面接官が1枚目で全体像をつかめるように、2ページ目の頭に一覧の表を置きます。列は「時期/担当領域/指標/結果/自分の役割」の5つです。
この表でやってはいけないのは、結果の欄に「大幅改善」「向上」と書くことです。数字が入らない欄は、空欄と同じ扱いになります。数字が出せない案件は、無理に表へ入れず本文だけにしておきます。
「自分の役割」の列は、面接で必ず聞かれるところを先回りするためのものです。売上を前年比120%にしたのが10人のチームなのか、自分ひとりなのかで、評価はまったく変わります。ここを曖昧にしたまま面接に進むと、成果の主語を確かめる質問で崩れます。
5. PC・ツールスキル
ここは事務的に埋めて構いません。ただ、ツール名を並べるだけの人が多いので、括弧で習熟度か使用歴を添えると差がつきます。
- Excel:ピボットテーブル、XLOOKUP、関数を使った集計(実務〇年)
- Googleアナリティクス4:探索レポートの作成、イベント設計
- Google広告/Meta広告:運用設計、レポート作成(月間予算〇〇〇万円規模)
- Looker Studio:ダッシュボードの作成と運用
- SQL:基本的な集計クエリの作成
「Excel(上級)」のような自己申告は、基準がないので読み飛ばされます。何ができるかを書いたほうが速いです。
6. 自己PR(300字)
300字を超えると読まれません。そして、ここに性格の話は書きません。「粘り強さが強みです」は、書類の中で最も情報量が少ない一文です。
自己PRに書くのは、職務経歴で挙げた案件の「判断の理由」です。本文では書き切れなかった、なぜその順番で手を打ったのかを300字で補足します。書類全体で同じ話を二度するようですが、面接官が読み返すのはこの欄なので、いちばん見せたい判断をもう一度置いておく価値があります。
締めの2行で、その判断が次の職場でどう使えるかに触れます。書類が落ちる3番目の理由は「次の職場で何ができるかが見えない」です。自己PRの最後の2行だけで、この穴は塞げます。
記入例の全文(架空の人物・山田太郎)
ここから下は、配布している記入例のWordファイルと同じ内容です。人物も会社名も数字もすべて架空で、数字は例だとわかるように丸めてあります。そのままコピーして、自分の情報に置き換えて使えます。
職務経歴書/20〇〇年〇月〇日現在/氏名 山田 太郎
■ 職務要約
広告会社と事業会社でマーケティング職として通算10年間、BtoC商材のブランド戦略とデジタル広告を担当してきました。
直近は株式会社〇〇(食品メーカー)にて、主力ブランドの年間コミュニケーション設計と、年間予算3,000万円の運用を担当しています。
生活者調査から施策の設計、効果検証までを一貫して回し、新規顧客の獲得単価を40%改善しました。
■ 活かせる経験・スキル
- ブランド戦略の立案(生活者調査 → ターゲット定義 → コミュニケーション設計)
- デジタル広告の設計と改善(検索/ディスプレイ/SNS・月間予算250万円規模)
- 効果検証の設計(KPI設計、ダッシュボード作成、月次定例での意思決定の支援)
- 制作進行とパートナー管理(代理店・制作会社5社のディレクション)
- 部門をまたいだ合意形成(営業・商品開発・カスタマーサポートとの調整)
- メンバー3名のマネジメント(目標設定・週次の1on1・育成)
■ 職務経歴
株式会社〇〇(食品メーカー) 20〇〇年4月 〜 現在
事業内容:食品の製造・販売/売上高:200億円/従業員数:500名/雇用形態:正社員
所属:マーケティング本部 ブランド戦略部(部門12名/うち直属メンバー3名)
担当案件① 主力ブランドの新規顧客獲得(定期購入)
- 課題:新規顧客の獲得単価が前年比で50%悪化し、テレビCMに予算を回せない状態でした。
- 打ち手:獲得単価の悪化を広告の単価と申込みまでの離脱に分解し、影響の大きかった離脱側から、フォームの短縮案と初回価格の変更案を6週間並行で検証しました。
- 数字:獲得単価を10,000円から6,000円へ40%改善し、月間の新規顧客数を200件から500件に伸ばしました(担当:検証設計の全体、3名で推進)。
- 再現性:申込みまでの導線がある商材であれば、同じ検証の設計を6週間で立ち上げられます。
担当案件② ブランドリニューアルに伴うコミュニケーション設計
- 課題:ブランドの認知は60%あるものの、30代の指名検索が月1,000件で3年間頭打ちになっていました。
- 打ち手:購入経験のない30代への定性調査を20件実施し、「自分向けではない」という思い込みが障壁だと特定。訴求を品質の説明から使う場面の提示に変えました。
- 数字:指名検索数を月1,000件から3,000件へ3倍に、30代のブランド好意度を20%から40%に改善しました(担当:調査の設計と訴求の決定、制作は外部2社に委託)。
- 再現性:購入の障壁を先に特定してから訴求を決める順番は、他のカテゴリーでも同じ手順で進められます。
株式会社△△(広告会社) 20〇〇年4月 〜 20〇〇年3月
事業内容:広告の企画・制作/従業員数:300名/雇用形態:正社員
所属:マーケティングプラニング局(クライアント8社を担当)
担当案件③ 日用品メーカーの年間キャンペーン
- 課題:担当ブランドの売上が3年連続で前年割れし、「値ごろ感で選ばれている」という社内の前提を疑う必要がありました。
- 打ち手:POSデータと生活者調査を突き合わせ、離反の理由は価格ではなく使い切れない容量だという仮説を立て、年間の設計を組み直しました。
- 数字:売上を前年比120%に、リピート率を30%から45%に改善しました(担当:戦略設計と制作3社の管理)。
- 再現性:社内の前提を疑うところからデータで入る進め方は、業界を問わず同じ形で使えます。
■ 実績ハイライト
| 時期 | 担当領域 | 指標 | 結果 | 自分の役割 |
|---|---|---|---|---|
| 20〇〇年 | 主力ブランド 新規獲得 | 獲得単価 | 10,000円 → 6,000円(40%改善) | 検証設計の全体と実行 |
| 20〇〇年 | ブランドリニューアル | 指名検索数 | 月1,000件 → 3,000件(3倍) | 調査設計と訴求の決定 |
| 20〇〇年 | 日用品 年間キャンペーン | 売上 | 前年比120% | 戦略設計とディレクション |
| 20〇〇年 | 定期購入の運用改善 | リピート率 | 30% → 45% | 運用方針の設計 |
■ PC・ツールスキル
- Excel:ピボットテーブル、XLOOKUP、関数を使った集計(実務10年)
- PowerPoint:提案書・報告書の作成(月5本)
- Googleアナリティクス4:探索レポートの作成、イベント設計
- Google広告/Meta広告:運用設計、レポート作成(月間予算250万円規模)
- Looker Studio:ダッシュボードの作成と運用
- SQL:基本的な集計クエリの作成(BigQuery)
■ 自己PR
私の強みは、数字が動いた理由を説明できることです。株式会社〇〇では、新規顧客の獲得単価が前年比で50%悪化した局面で、原因を広告の単価と申込みまでの離脱に分解し、影響の大きい順に検証を組みました。結果として獲得単価を40%改善しましたが、同じくらい大事だったのは、なぜその順番で手を打ったのかをチームで共有し、次の担当者が同じ判断をできる状態にしたことです。施策の良し悪しは、再現できてはじめて資産になります。貴社では定期購入の領域で、獲得と継続の両方を見てきた経験を活かし、検証の設計から実行までを担いたいと考えています。
提出前チェックリスト
書き上げたあと、送信ボタンを押す前に、この10項目を上から確認します。ぼくが面接官として書類を見ていたとき、落ちる書類はだいたいこのどれかで引っかかっていました。
- 職務要約は3行以内におさまっているか。4行を超えていたら削る。
- 職務要約の3行の中に、数字か固有名詞が1つ以上入っているか。
- すべての担当案件が「課題→打ち手→数字→再現性」の4行になっているか。
- 数字が「前後」で書かれているか。「40%改善」だけになっていないか。
- 数字の横に自分の担当範囲が書かれているか。チームの成果と自分の成果が分かれているか。
- 「携わりました」「従事しました」で終わっている行がないか。何が変わったかまで書く。
- 「コミュニケーション能力」「粘り強さ」など、職種が消える言葉を書いていないか。
- 自己PRが300字以内で、性格ではなく判断の話になっているか。
- 自己PRの最後に、次の職場で何ができるかが書かれているか。
- A4で2ページにおさまっているか。3ページを超えていたら案件を減らす。
10のうち、いちばん見落とされるのは5番です。書いた本人にとっては自明でも、読む側には成果の主語が見えません。面接で「そこはご自身の判断ですか」と聞かれてから説明するより、書類に書いておくほうが早いです。
よくある質問
職務経歴書は何ページが適切ですか
A4で2ページです。このテンプレートも2ページにおさまるよう組んであります。3ページ以上になると、面接官は全部は読みません。経験が長くて入り切らない場合は、直近5〜8年に絞り、それ以前は会社名と役割だけの1行にまとめます。書く量を増やすより、読まれる範囲に情報を集めるほうが通ります。
数字が出せない仕事の場合はどう書けばいいですか
売上や獲得単価が出せなくても、動いた量は必ずあります。担当したブランド数、動かした予算、関わった部門の数、制作したクリエイティブの本数、短縮した工数。どれも数字です。それも難しければ、4行型の「打ち手」と「再現性」の2行を厚く書きます。判断の筋道が読めれば、数字がなくても面接には進めます。数字がないことより、判断が書かれていないことのほうが不利になります。
職務経歴書と履歴書はどう書き分けますか
履歴書は事実の申告、職務経歴書は判断の説明です。所属と在籍期間、学歴、資格は履歴書に置き、職務経歴書では何が起きていて自分がどう動いたかだけを書きます。両方に同じ内容を書くと、読む側は情報が重複しているぶんだけ実質1枚として扱います。職務経歴書のスペースは、履歴書に書けないことに使います。
このテンプレートは事業会社と広告会社のどちらでも使えますか
どちらでも使えます。4行型は「何が起きていて、自分がどう判断し、何が動き、次も同じことができるか」を書く形なので、事業会社の担当者でも、広告会社でクライアントを担当していた人でも同じ形にはまります。広告会社側の場合は、数字の欄に「担当:戦略設計と制作〇社の管理」のように自分の関与範囲を必ず添えます。クライアントの成果と自分の仕事の線引きが、事業会社側の書類より曖昧に見えやすいためです。
まとめ
職務経歴書が通らないのは、経験が足りないからではないことがほとんどです。読まれる順番と、書いてある順番がずれているだけです。職務要約の3行で像を作り、数字を前後で示し、再現性を自分の言葉で言い切る。テンプレートは、その3つを埋めれば形になるように並べてあります。
書き方をもっと細かく詰めたい場合は、マーケターの職務経歴書の書き方で実績の数字化と職種別のポイントを解説しています。書類が通ったあとの準備はマーケターの面接対策を、どこ経由で応募するかを迷っているならマーケター向け転職エージェントの選び方が参考になると思います。
テンプレートは、埋める前より埋めたあとのほうが自分の仕事がよく見えます。書き終わったころには、面接で話すことも決まっているはずです。