最終更新:2026年10月18日
心療内科の初診で話すことは、「いま一番困っていること」「それがいつから続いているか」「眠りや食欲など体の変化」「仕事や生活でできなくなったこと」「いま飲んでいる薬」の5つで足ります。厚生労働省の「こころもメンテしよう」も、受診にあたっては、どんな点で困っているのか、何がつらいのかをあらかじめ整理しておくとよく、こころの症状だけでなく体の症状や睡眠、食欲も大切な要素だと書いています。上手に説明する必要はありません。この記事では、初診で伝えることの一覧、話す内容のメモの作り方、持ち物の表、オンラインで初診を受けるときの準備を、公的なページと、ぼくがオンラインで初診を受けたときの手続きをもとに整理します。受診するかどうか自体で迷っているなら、先に精神科に行くべきか迷ったときの判断軸を読んでもらうほうが近いと思います。
心療内科の初診で何を話すか──伝えることの一覧
初診で伝えることは、困りごと、期間、体の変化、生活への支障、薬の5つです。話す順番まで決めておく必要はなく、5つが手元のメモに書いてあれば、聞かれたときにそれを読めば十分です。
| 伝えること | 話す中身の例 | 公的なページの根拠 |
|---|---|---|
| 1. 一番困っていること | 「眠れない」「仕事に集中できない」「朝、家を出られない」など、いま一番何とかしたいこと | こころもメンテしよう「受診にあたって」(どんな点で困っているのか、何がつらいのかを整理しておく) |
| 2. いつから、どのくらい続いているか | 「9月の半ばごろから」「2週間ほど毎日」など、始まった時期と続き方 | こころの耳「うつ病の主な症状と原因」(症状が2週間以上続くかが一つの目安) |
| 3. 眠りと食欲、体の症状 | 寝つき、夜中に目が覚める、朝早く目が覚める、熟睡感がない。食欲の変化。頭痛や胃腸の不調 | こころもメンテしよう「受診にあたって」/こころの耳「うつ病の主な症状と原因」 |
| 4. 仕事や生活でできなくなったこと | 返信が遅れるようになった、遅刻が増えた、休日に何もできない、人と会うのがつらい | こころの耳「うつ病とは」(仕事や家事だけでなく、日常生活全般の支障) |
| 5. いま飲んでいる薬 | ほかの医療機関で出ている薬の名前。市販薬やサプリメントも含めて | 厚生労働省「安心・安全にオンライン診療を受けるためのチェックリスト」/日本精神神経学会「精神科医療機関受診についてQ&A」 |
| (あれば)周りから言われた変化 | 家族や同僚に「疲れて見える」「最近様子が違う」と言われたこと | こころの耳「うつ病を防ぐ」(行動面の変化は周囲のほうが気づきやすいことがある) |
表の出典は、厚生労働省「こころもメンテしよう」の「受診にあたって」、こころの耳の「うつ病とは」、「うつ病の主な症状と原因」、「うつ病を防ぐ」です。3行目の眠りについては、こころの耳が、寝つきに30分以上かかる、途中で何度も目が覚める、朝いつもより早く目が覚めてネガティブな考えごとをする、熟睡感がなくなる、といった具体的な変化を挙げています。
5行目の薬は、話しそびれやすいわりに、あとから効いてくる項目です。日本精神神経学会の「精神科医療機関受診についてQ&A」は、いま飲んでいる薬の情報があると、薬が効いているか、副作用が出ていないかを判断できると説明しています。ほかの診療科で出ている薬も、名前を言えるようにしておくと話が早くなります。
「原因を説明できないと受診してはいけない」と考える必要もありません。こころの耳の「うつ病の主な症状と原因」には、うつ病を引き起こす原因はひとつではなく、いくつかの要因が重なっていることも珍しくない、と書かれています。きっかけが分からなければ、「分からない」と言えば足ります。
話す内容のメモの作り方──「一番困っていること」から書く
メモは、一番困っていることを1行目に書き、そのあとに期間、体の変化、生活への支障、薬を足していく順番で作ると、短くても伝わるものになります。スマホのメモに5行あれば十分です。
いちばん手間をかけてほしいのは1行目です。一番困っていることは、大きな言葉のままだと伝わりにくくなります。たとえば眠りのことで相談するなら、「眠れない」で止めずに、寝つけないのか、夜中に目が覚めるのか、寝起きのだるさなのか、日中の眠さなのか、どれで一番困っているのかを決めておく。何で一番困っているかを決めておくことは、ぼく自身が初診の準備で、やっておいてよかったと思っていることの一つです。
| メモの行 | 書き方のコツ | 書き方の例 |
|---|---|---|
| 1. 一番困っていること | 大きな言葉を一段だけ具体にする | 「眠れない」ではなく「夜中に2回ほど目が覚めて、そのあと眠れない」 |
| 2. 期間 | 始まった時期と、毎日か波があるか | 「9月の半ばから、ほぼ毎日」 |
| 3. 体の変化 | 眠り・食欲・体の症状を一言ずつ | 「食欲は少し落ちた。朝に頭が重い」 |
| 4. 生活への支障 | 前はできていて、いまできないこと | 「メールの返信に前の倍の時間がかかる」 |
| 5. 薬 | 薬の名前をそのまま写す | お薬手帳や薬の袋の名前を書き写す |
表の「例」は書き方を示すための架空のものです。自分の言葉で、思い出せる範囲で書けば十分です。数日分の睡眠や食事の様子を残しておきたい人は、「仕事に行きたくない」が続くときの受診の目安に、毎日つけるメモの4項目を書いています。
こころの耳の「うつ病を防ぐ」には、相談するときに内容をきちんと整理してからでないと失礼だ、と考える必要はあまりなく、今の状態をそのまま受け止めてもらうくらいの気持ちでいい、と書かれています。人に伝えること自体が頭の整理になることもある、とも。メモは整った説明文を作るためのものではなく、緊張して言葉が出てこないときに、見れば思い出せるためのものです。
広告の仕事では、打ち合わせの前に「今日決めたいことは何か」が一行で書いてある資料ほど、話が早く済むのを何度も見てきました。初診のメモも、それに近いと思います。一行目が決まっていれば、あとは医師の質問に答えていくだけで話は進みます。
心療内科の初診の持ち物──対面とオンラインの一覧
初診の持ち物は、マイナ保険証か資格確認書、いま飲んでいる薬が分かるもの、話す内容のメモの3つが基本です。ほかの医療機関に通院中なら紹介状、オンラインで受けるならスマホと、人に聞かれない場所が加わります。
| 持ち物・準備 | 対面で受ける場合 | オンラインで受ける場合 |
|---|---|---|
| マイナ保険証か資格確認書 | 受付で提示する | 受診する医療機関やサービスの案内に沿って、事前に登録する |
| お薬手帳・薬の名前 | 持参する | 手元に置いておき、問診や診察で名前を伝える |
| 紹介状(診療情報提供書) | ほかの医療機関に通院中なら用意する | 医療機関の案内を確認する |
| 話す内容のメモ | 紙かスマホで | Web問診に書く内容の下書きにもなる |
| 受ける場所と機器 | 予約制が多いので、事前に電話などで確認してから行く | スマホなどビデオ通話ができる機器と、プライバシーが保たれる場所 |
持ち物の例は、千葉県の公的医療機関である千葉県総合救急災害医療センターの「精神科外来のご案内」が、来院時に用意するものとして、保険証またはマイナンバーカード、紹介状(診療情報提供書)、薬剤情報提供書(お薬手帳)を挙げているのを参考にしました。他の医療機関に通院中の人には、紹介状の用意をお願いしています。持ち物の細かいところは医療機関によって違うので、予約のときに一度聞いておくと安心です。
保険証については、厚生労働省の「医療機関・薬局では、マイナ保険証か資格確認書をご提示ください」に、従来の健康保険証の有効期限は2025年12月1日で終了し、医療機関の受付ではマイナ保険証か資格確認書を提示するよう書かれています。期限が切れた保険証を持参した場合の利用も、2026年7月31日で終わっています。古い保険証が手元に残っている人は、受診の前にどれを使うかを確かめておくと安心です。
予約については、こころもメンテしようの「受診にあたって」に、精神科は予約制になっている医療機関が多いので、事前に電話で確かめてから受診するように、と書かれています。電話をかけるときは、「初診の予約をしたい」「持ち物を教えてほしい」の2つを聞けば足ります。
オンラインで初診を受けるときの準備──ぼくが受けたときの流れ
オンラインで初診を受けるときの準備は、事前の問診に正確に答えること、いま飲んでいる薬を伝えられるようにしておくこと、人に聞かれない場所を確保することの3つです。厚生労働省の「安心・安全にオンライン診療を受けるためのチェックリスト(患者ver.)」にも、この3つがそのまま書かれています。
チェックリストでは、初診からのオンライン診療を「かかりつけの医師」以外が行う場合は、診療前に医師が症状や情報を確認するので、事前の問診には正確に答えるように、とされています。薬については、現在使っている医薬品を市販薬も含めて正確に申告するように、とあります。場所については、自宅や職場などから受けることはできるが、清潔で安全が保たれ、プライバシーが保たれる空間で受けるように、運転中の車内や周りに人がいる喫茶店などでの利用は控えるように、と書かれています。
ぼくがオンラインで初診を受けたときは、スマホのLINEから申し込み、その日のうちに初診を受けられました。診察はスマホのビデオ通話で10分ほどで、仕事の合間の時間に受けています。これはぼくの一回の経験で、予約の空き具合は日によって違うので、いつでも当日に受けられるとは限りません。ただ、移動の時間を取らずに受けられるのは、働きながら受診する人には助かる点だと思います。
診察の前にはWeb問診がありました。ここで自分の状態をしっかり書いておいたので、診察の時間に一から説明しなくて済み、受診はすごく楽で、早く終わりました。用意しておいてよかったものは、特別なものではありません。いま飲んでいる薬の名前を言えるようにしておくことと、何で一番困っているかを決めておくこと。前の章で書いたメモは、そのままWeb問診の下書きになります。
オンラインの初診には、公的なルールとしての制限もあります。厚生労働省の「オンライン診療について 国民・患者の皆様へ」と先ほどのチェックリストには、メールやチャットだけで診療することはできないこと、初診では麻薬や、睡眠薬や抗不安薬などの向精神薬は処方できないこと、緊急を要する症状などで医師が適切でないと判断した場合は対面診療に切り替えることが書かれています。どの薬が出るかは医師が診察して決めることなので、希望があれば診察のときに相談すればいいと思います。
精神科・心療内科のオンライン診療サービスのエニキュアは、公式サイトで、保険診療に対応していること、初診からビデオ通話で受診できること、受付は8時から24時で当日予約にも対応していることを案内しています。初診の診察時間の目安は20分、事前の問診票の入力は5〜10分で事前に済ませられること、保険診療で受けるには健康保険証またはマイナ保険証の事前登録が必要なことも、よくある質問に書かれています(2026年10月18日確認)。ビデオ通話が通信の問題で途切れたときは、ブラウザを閉じて同じリンクから入り直すよう案内されているので、電波の安定した場所を選んでおくと安心です。
注意点──初診でうまく話せなくても、結論が出なくてもいい
初診で気をつけたいのは、「うまく説明できなかった」「その場で病名が分からなかった」ことで、受診そのものを失敗だと思ってしまうことです。こころもメンテしようの「受診にあたって」には、最初からは病名がはっきりしないことがあるのもこころの病気の特徴だ、と書かれています。
初診は、医師が今の状態を知るための最初の機会です。話し忘れたことがあっても、次の診察で伝えれば足ります。診察の途中で言葉に詰まったり、涙が出たりしても構いません。メモを見ながら話していいし、メモをそのまま読み上げてもいい。質問サイトで「初診で泣いてしまった」という書き込みを見て不安になる人もいると思いますが、それで診察が成り立たなくなるわけではありません。
メモの最後に「聞きたいこと」を1〜2行足しておくと、聞きそびれを防げます。仕事を休むかどうかは、医師の判断と勤務先の就業規則に書かれた制度で決まるので、その場で一人で結論を出さなくて構いません。
この記事は一般的な情報の整理であり、医療上の判断は主治医に相談してください。つらさが強いときは、厚生労働省の「まもろうよ こころ」に載っている電話やSNSの相談窓口へ連絡してください。「死にたい」「消えたい」という気持ちがあるときは、初診の予約を待たずに、「#いのちSOS」(0120-061-338・毎日24時間・無料)につながります。働く人向けには、こころの耳の「こころの耳電話相談」(0120-565-455・平日17時〜22時、土日10時〜16時)もあります。どちらも2026年10月18日に公式ページで確認しました。
心療内科の初診に関するよくある質問
心療内科の初診では何を聞かれますか?
聞かれる内容は医療機関や状態によって違いますが、厚生労働省「こころもメンテしよう」は、受診の前に、どんな点で困っているのか、何がつらいのかを整理しておくとよく、体の症状や睡眠、食欲も大切な要素だとしています。一番困っていること、いつからか、眠りと食欲、生活への支障、いま飲んでいる薬の5つをメモしておけば、多くの質問に答えられます。
初診にはどのくらい時間がかかりますか?
公的なページに決まった目安はなく、医療機関によって違います。オンライン診療のエニキュアは、公式サイトで初診の診察時間の目安を20分としています。ぼくがオンラインで受けたときは、事前にWeb問診をしっかり書いていたこともあり、ビデオ通話は10分ほどでした。
うまく話せる自信がありません。どうすればいいですか?
うまく話す必要はありません。こころの耳は、相談の前に内容をきちんと整理しなくてもよく、今の状態をそのまま受け止めてもらうくらいの気持ちでいいと書いています。一番困っていることを1行目に書いたメモを持っていき、言葉に詰まったら、それを読めば足ります。
初診で診断書はもらえますか?
診断書を出すかどうかは、医師が診察したうえで判断します。休職などで必要になりそうなときは、Web問診や診察の最初に、何のために必要かを伝えておくと話が進みやすくなります。こころもメンテしようにも書かれているとおり、最初からは病名がはっきりしないこともあるので、初診で出ない場合もあると考えておくと慌てずに済みます。
おわりに──初診は、説明しきる場所ではない
心療内科の初診の前に「何を話そう」と考えはじめると、つらさを全部、筋道立てて説明しなければいけない気がしてきます。でも、公的なページに書かれていたのは、困っている点と、体の変化と、薬のこと。準備はそれで足ります。
初診は、説明しきる場所ではない。一番困っていることを一つ、持っていけばいい。
あとは医師の質問に、分かる範囲で答えていけば大丈夫です。今日できることは、スマホのメモの1行目を書くところまでで十分だと思います。