最終更新:2026年10月18日
オンライン診療で処方された薬は、自宅に配送してもらうことも、近くの薬局で受け取ることもできます。受け取り方の基本は、処方箋を薬局に送ってもらって窓口で受け取る形、薬局のオンライン服薬指導を受けて配送してもらう形、医療機関から直接届く形の3つです。保険も、保険診療でオンライン診療を行っている医療機関なら使えます。ただし精神科・心療内科では、初診のオンライン診療で向精神薬は処方できないという国のルールがあります。この記事では、厚生労働省の指針と案内で確認できる範囲で、薬の受け取り方、保険の見分け方、初診の処方の制限を整理し、ぼくが実際に薬を受け取っている手続きも書きます。
オンライン診療の薬の受け取り方とは?3つの方法の一覧
オンライン診療の薬の受け取り方は、「処方箋が院外の薬局に出るか」と「服薬指導をどこで受けるか」の組み合わせで3つに分かれます。郵送(配送)で受け取れるのは、このうち薬局のオンライン服薬指導を受ける形と、医療機関から直接届く形です。
| 受け取り方 | 処方箋の流れ | 服薬指導 | 薬が手元に来る形 |
|---|---|---|---|
| 1. 薬局の窓口で受け取る(院外処方) | 医療機関が希望の薬局へ処方箋の情報を送る。紙の処方箋の原本を患者に郵送して、薬局に持参する形もある。電子処方箋なら引換番号が伝えられる | 薬局で対面 | 来局して窓口で受け取る |
| 2. 薬局から配送してもらう(院外処方) | 医療機関が希望の薬局へ処方箋の情報を送り、原本はあとから医療機関が薬局へ郵送する。電子処方箋なら引換番号 | 薬剤師とビデオ通話で(オンライン服薬指導) | 自宅に配送。来局して受け取ることもできる |
| 3. 医療機関から届く(院内処方) | 処方箋は院外に出ない | オンライン診療とあわせて医療機関が行う | 自宅に配送。来院して受け取ることもできる |
この3つの分け方は、厚生労働省の医療機関向け資料「処方薬の受け渡し方法」(PDF)の類型に沿っています。資料では、紙の処方箋の備考欄に「オンライン対応」と書いて処方内容を患者が希望する薬局へメールやFAXなどで送り、原本は追って医療機関から薬局へ郵送する流れが示されています。
患者の側から見た手順は、厚生労働省の「オンライン診療について 国民・患者の皆様へ」のQ&Aにあります。配送とオンライン服薬指導を希望するなら、利用する薬局を医療機関に伝えたうえで、診察後に薬局へ相談する。オンラインの服薬指導のあとに、薬が配送されます。同じ回答には、医療機関や薬局を訪れて服薬指導を受ける必要がある場合もあること、医療機関から薬が出る場合はその医療機関に確かめること、とも書かれています。
2行目のオンライン服薬指導は、2019年の薬機法の改正で、対面に加えて映像と音声で行う服薬指導が認められたものです。厚生労働省の「オンライン服薬指導に関する情報」には、2020年9月1日施行の省令改正と、いまの運用の土台になっている2022年9月30日付けの実施要領が載っています。ページの説明では、オンライン服薬指導は患者の求めに応じて、その都度、薬剤師の判断と責任に基づいて行うものです。
配送料や届くまでの日数は、医療機関や薬局によって違います。「オンライン服薬指導の実施要領」(PDF)は、患者が払う配送料や薬剤費の支払い方法として、代金引換、銀行振込、クレジットカード決済などを挙げ、薬局に配送方法や支払い方法をあらかじめ掲示やホームページで知らせるよう求めています。受診する前に、医療機関と薬局のページで「どの受け取り方に対応しているか」「配送料はいくらか」を見ておけば迷いません。
オンライン診療で保険は効くか──保険診療と自由診療の見分け方
オンライン診療でも、医療機関が保険診療として行っていれば健康保険が使えます。ただ、オンライン診療には保険を使わない自由診療で行われるものもあるので、保険が効くかどうかは「オンラインかどうか」ではなく「その医療機関が保険診療で行っているか」で決まります。
厚生労働省の患者向けのページは、オンライン診療に必要なものとして本人確認書類を挙げたうえで、「保険診療を受ける場合は健康保険証が必要」としています。医療機関向けの「オンライン診療に関するQ&A」(PDF)の問26には、オンライン診療でもマイナ保険証で資格確認ができること、マイナ保険証だけでなく資格確認書を画面越しに見せる形でも対応できることが書かれています。
反対に、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に関するQ&A(PDF)の最初の問いは、指針が保険診療だけでなく自由診療のオンライン診療にも適用されると答えています。保険診療と自由診療、どちらのオンライン診療もあります。同じ指針のルールが自由診療にもかかるので、自由診療だから処方の制限がゆるくなるわけではありません。
| 受診前に確かめること | なぜ確かめるか |
|---|---|
| 保険診療か、自由診療(自費)か | 同じオンライン診療でも、自己負担の考え方が変わる |
| 保険証の扱い(マイナ保険証・資格確認書の登録や提示の方法) | 保険診療を受けるには資格確認が要る |
| 診察料のほかにかかる費用 | 医療機関によっては、システムの利用料や配送料、書類代などが別にかかる |
| 支払い方法 | クレジットカード払い、後日の窓口払い、後日の振り込みなど、医療機関によって違う |
| 薬代を払う先 | 院外処方なら、薬代は薬局に払う |
支払い方法が医療機関によって違うことは、患者向けページのQ&Aにも例つきで書かれています。保険診療でオンライン診療をしている医療機関を探すなら、同じページの案内どおり、各都道府県が公表している医療機関の一覧(医療情報ネット)から探せます。費用の書き方は医療機関ごとにばらつきがあるので、「診察料」と「それ以外」に分けて見ると、合計の見当がつけやすくなります。
初診でもらえる薬の制限──精神科・心療内科で知っておきたいこと
初診をオンラインで受けるときは、国の指針で処方できない薬が決まっています。精神科・心療内科に関わるところでは、初診のオンライン診療で麻薬と向精神薬は処方できず、基礎疾患などの情報が分からない患者には8日分以上の処方もできません。
厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(PDF・令和8年4月改訂)の「薬剤処方・管理」の項目と、そのQ&Aで確認できる内容を表にまとめます。
| 指針のルール | 中身 | 理由(Q&Aの説明) |
|---|---|---|
| 麻薬・向精神薬 | 初診のオンライン診療では処方しない | なりすましや虚偽の申告による濫用・転売のリスクを、限られた音声と映像だけでは十分に抑えられないため |
| 特に安全管理が必要な薬 | 基礎疾患などの情報が把握できていない患者には、初診で処方しない(患者向けページでは精神神経用剤・糖尿病用剤などを例示) | 診断に必要な情報が十分に得られないことがあり、副作用などのリスクが高いと想定されるため |
| 処方日数 | 基礎疾患などの情報が把握できていない患者には、初診で8日分以上を処方しない | 医師が一定の頻度で診察して様子を見られるよう、7日間を上限にしている |
| 初診も再診もオンラインだけの場合 | 初診で処方できない薬は、2回目以降もオンラインだけで診療している患者には、初診と同等に扱う | 趣旨は麻薬・向精神薬と同じ。基礎疾患の把握に使う「過去の診療録」にも、オンラインだけの診療の記録は含めない |
どの薬が当てはまりうるかは、厚生労働省の「オンライン診療で処方を受けるに当たって注意が必要なお薬一覧」(PDF)に分野別に出ています。精神の分野では、向精神薬(抗うつ薬、抗不安薬、睡眠導入剤など)とADHDの治療薬が、医師が初診のオンライン診療では処方しないと判断しうる薬として挙がっています。初診で希望の薬が出なかったとしても、それは医師個人のさじ加減ではなく、国のルールに沿った判断です。
精神科には、もう一つ指針があります。厚生労働省は2025年12月26日に「情報通信機器を用いた精神療法の適切な実施に関する指針」を策定し、オンラインでの精神療法は、日常的に対面診療をしている患者に、対面と組み合わせながら行うことを基本にしています。初診の精神療法をオンラインで行う場合は、さらに条件を限っています。オンラインは対面の代わりではなく、対面と組み合わせて使うもの、というのが国の考え方です。
指針は、医師に患者がいま飲んでいる薬を確かめることを義務づけ、患者にも正確な申告を求めています。お薬手帳や、ふだん飲んでいる薬の名前が分かるものを手元に置いて受診すると、基礎疾患や服薬の情報を伝えやすくなります。
ぼくの場合の受け取り手続き──薬局で受け取り、カードで払う
ぼくはオンライン診療を使っていて、薬は郵送ではなく近くの薬局で受け取っています。上の表でいうと1行目の形で、薬局に頼んでおけば、すぐに受け取れています。
郵送は使ったことがないので、配送の流れはここまで書いた公式の案内の範囲でしか分かりません。支払いはクレジットカードでした。受診したときは自由診療だった記憶がありますが、確信はありません。初診は5,000円くらいだったと思います。ここは記憶の話なので、今の料金と保険の扱いは、下に書いた公式サイトの案内で確かめてください。
ぼくの場合、対面の病院のほうが費用は安く、そのかわり待つ時間がありました。オンラインは予約した時間どおりに始まるのがよかったです。費用と時間のどちらを優先するかの違いで、どちらが正しいという話ではないと思っています。
再診は、基本は月1回クリニックに直接行き、予定が合わないときだけオンラインにしています。予約は割と取りやすいと感じています。対面とオンラインを行き来する使い方は、前の章で触れた国の考え方とも重なります。初診の予約がなかなか取れないときの動き方は、メンタルクリニックの予約が取れないときの選択肢にまとめました。
ぼくが使っている、精神科・心療内科のオンライン診療サービスのエニキュアは、公式サイトで次のように案内しています(2026年10月18日確認)。今は保険診療で、健康保険3割負担の場合の目安は初診5,160円〜、再診2,650円〜です。受診には健康保険証かマイナ保険証の事前登録が要り、薬代・配送料・診断書代は別にかかります。プライバシーを優先したい人に向けて、自費診療での利用にも触れています。
| エニキュアの公式サイトの案内 | 中身(2026年10月18日確認) |
|---|---|
| 自宅への配送(院内処方) | 通常2〜4日でポストに届く。配送料429円。外装は無地 |
| 薬局での受け取り(院外処方) | 処方箋連携料495円。薬代は薬局で支払う |
| 支払い方法 | クレジットカード、銀行振込 |
| 処方について | 医師が診察のうえ判断し、処方できない場合がある。薬の種類によっては、先に同じ法人内のクリニックでの対面受診が必要 |
受け取り方を自宅配送と薬局受け取りから選べるので、「荷物を家で受け取りたくない」「薬局のほうが寄りやすい」など、自分の事情に合わせて決められます。
注意点──薬だけはもらえない・配送できない薬もある
オンライン診療で薬を受け取るときに知っておきたいのは、診察なしで薬だけをもらうことはできないこと、薬によっては配送ではなく窓口での受け取りを求められることの2つです。
指針は、医師法第20条の「医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し」てはならない、という条文を関連法令として引いています。患者向けページも、メールやチャットだけで診療することはできないと明記しています。オンラインでも、ビデオ通話で医師の診察を受けることが、処方の入口になります。休職の診断書も同じで、診察が先に来ます。手続きの順番はうつ病で休職するときの手続きと順番に書きました。
配送については、オンライン服薬指導の実施要領が、麻薬・向精神薬など流通上の管理が厳しい薬や、温度管理に注意が要る薬、急いで渡す必要のある薬について、適切な配送方法を使う、薬局の人が届ける、患者や家族に来局を求めるなどの工夫をするよう求めています。オンラインで診察を受けても、薬の種類によっては薬局の窓口で受け取ることになる場合があります。
本人確認にも決まりがあります。指針では、初診のオンライン診療の本人確認は、原則としてマイナンバーカードや運転免許証、パスポートなど顔写真付きの身分証明書で行います。初診の前に、身分証を手の届くところに置いておくと、画面の前で慌てずにすみます。緊急を要する症状のときなど、医師がオンラインは適切でないと判断した場合は、対面の診療に切り替わります。
この記事は一般的な情報の整理であり、医療上の判断は主治医に相談してください。つらさが強いときは、厚生労働省の「まもろうよ こころ」に電話やSNSの相談窓口がまとまっています。働く人とその家族向けには、こころの耳電話相談もあります。
オンライン診療の薬と保険に関するよくある質問
オンライン診療の薬は郵送してもらえますか?
郵送(配送)で受け取れる形はあります。薬局のオンライン服薬指導を受けて薬局から配送してもらう形と、医療機関から直接届く形の2つです。近くの薬局の窓口で受け取ることもできます。どの形に対応しているか、配送料がいくらかは医療機関や薬局によって違うので、受診前に確かめてください。
オンライン診療でも保険は使えますか?
医療機関が保険診療としてオンライン診療を行っていれば使えます。厚生労働省の案内では、保険診療を受ける場合は健康保険証が必要で、マイナ保険証による資格確認や、資格確認書を画面越しに見せる形でも対応できます。自由診療で行うオンライン診療もあるので、保険診療かどうかは医療機関のページで確かめてください。
精神科のオンライン初診で薬は出してもらえますか?
医師の判断で処方される薬はありますが、国の指針では、初診のオンライン診療で麻薬や向精神薬は処方できません。基礎疾患などの情報が把握できていない場合は、8日分以上の処方や、精神神経用剤など特に安全管理が必要な薬の処方もできません。初診も再診もオンラインだけの場合は、2回目以降も初診と同じ扱いになります。
診察を受けずに薬だけもらうことはできますか?
できません。医師法第20条は、医師が自ら診察しないで処方せんを交付することを禁じていて、厚生労働省の案内もメールやチャットだけの診療はできないとしています。オンラインでも、ビデオ通話で医師の診察を受けたうえで処方されます。
おわりに──薬の受け取り方は、一つ決めておけばいい
オンライン診療を考え始めると、「薬はどうなるのか」「保険は効くのか」と、診察の前の段階で気になることが次々に出てきます。でも、ここまで見てきたとおり、受け取り方は3つで、保険は医療機関が保険診療かどうかで決まり、初診の制限は国のルールとして公開されています。分からないことの多くは、受診前に確かめられることです。
オンライン診療の薬は「届くのを待つもの」ではなく、「受け取り方を選べるもの」。
今日決めるのは、近くの薬局で受け取るか、自宅に届けてもらうか、その一つだけでいいと思います。残りは、受診の予約を取るときに確かめれば間に合います。