最終更新:2026年10月17日
ゼロクリック検索とは、検索結果の画面だけで用が済み、どのサイトもクリックされないまま終わる検索のことです。この記事で扱うのは検索とマーケティングの言葉で、利用者が何も押さなくても端末に不正なプログラムが入り込むセキュリティの「ゼロクリック攻撃」とは別のものです。米国の調査では、2026年1〜4月のGoogle検索の68.01%がクリックなしで終わっていました。AIによる要約の広がりで、この割合は上がり続けています。この記事では、ゼロクリック検索が起きる場面を一覧表にしたうえで、割合の数字の出典、AIとの関係、クリックされなくても選ばれるための3つの対策までを書いていきます。
ゼロクリック検索とは?起きる場面の一覧とゼロクリック攻撃との違い
ゼロクリック検索は、検索した人が答えを検索結果の画面の上で受け取ってしまい、どのページにも移動しない状態を指します。原因はひとつではなく、Googleが検索結果の画面そのものに答えを載せる仕組みを増やしてきたことの積み重ねです。
まず、名前の似た二つの言葉を分けておきます。
| 言葉 | 分野 | 意味 |
|---|---|---|
| ゼロクリック検索(ゼロクリックサーチ) | 検索・マーケティング | 検索結果の画面だけで用が済み、どのサイトもクリックされずに終わる検索 |
| ゼロクリック攻撃 | 情報セキュリティ | リンクを押す・ファイルを開くなどの操作がなくても、端末に不正なプログラムが入り込む攻撃 |
ゼロクリック検索が起きる典型的な場面は、次のとおりです。
| 場面 | 検索結果の画面に出るもの | 検索の例 | クリックされにくい理由 |
|---|---|---|---|
| すぐ答えが決まる質問 | 天気・計算・換算・時刻などの表示 | 「東京 天気」「1ドル 何円」 | 答えが一つで、画面に全部出ている |
| 人物・会社・作品の基本情報 | ナレッジパネル(右側や上部の情報欄) | 「会社名 本社」「俳優名 年齢」 | 知りたい事実がパネルに並んでいる |
| 定義や手順の質問 | 強調スニペット(ページの一部の抜粋) | 「◯◯とは」「◯◯ やり方」 | 抜粋の数行で疑問が解ける |
| 調べものの全般 | AIによる概要(AIが作る要約) | 「◯◯と△△の違い」 | 複数のページの要点がまとめて読める |
| お店・場所を探す | 地図と店舗情報 | 「近くのカフェ」 | 電話・経路・営業時間が地図から使える |
| 言い直し | 新しい検索結果 | 検索語を変えて再検索 | クリックの前に、別の検索へ移っている |
表の上の三つは昔からあった場面で、四つ目の「AIによる概要」が、ここ2年ほどで割合を押し上げている部分です。ゼロクリック検索は、検索した人にとっては便利になった結果でもあります。困るのは、検索からの訪問で集客してきたサイトの側です。
ゼロクリック検索の割合──出典つきの数字一覧
ゼロクリック検索の割合として最もよく引かれるのは、マーケティング調査会社スパークトロ(SparkToro)の数字で、2026年1〜4月の米国のGoogle検索のうち68.01%がクリックなしで終わっていました。ただし、どの数字も米国の調査で、日本の割合を直接示した公開データは見つかりませんでした。
確認できた数字を、出典と一緒に並べます。
| 出典 | 調べた範囲 | 数字 | 読むときの注意 |
|---|---|---|---|
| スパークトロ(2026年6月) | 米国のGoogle検索・2026年1〜4月・シミラーウェブの行動データ | クリックなしで終わった検索は68.01%。2024年の同じ調査は60.45%、2019年は約49% | 年ごとに使ったデータの提供元が違い、本人も厳密な比較ではないと断っている。Googleのスマホアプリは対象外 |
| ピュー・リサーチ・センター(2025年7月) | 米国の成人900人・2025年3月の閲覧記録・6万8,879件の検索 | AIの要約が出た検索で通常の結果のリンクが押されたのは8%、出なかった検索では15%。要約の中のリンクが押されたのは1% | AIの要約が出たのは全体の約18%の検索。要約が出た検索のほうが、その場で閲覧をやめる割合も高かった(26%と16%) |
| アーレフス(2026年2月) | 30万キーワード・2023年12月と2025年12月のパソコンでの検索データ | AIによる概要が出るキーワードでは、1位のページのクリック率が約58%低い。2位は約51%、10位は約19%低い | AIによる概要が原因だと証明したものではなく、相関として示されている |
スパークトロの代表、ランド・フィッシュキン(Rand Fishkin)は、2019年から同じ問いでゼロクリック検索の割合を出し続けています。数字の大きさより、調査の主体も方法も違う三つの調査が、同じ方向を指している点を見ておくと判断を誤りにくくなります。検索した人は、以前ほどページに来なくなっています。
逆に、出典の確認できない数字には気をつけたいところです。「日本のゼロクリック率は◯%」「AI検索で流入が◯割減る」といった数字は、調査の対象や時期が書かれていないものも多く、ぼくが探した範囲では一次出典にたどり着けませんでした。自社の判断に使うなら、自分のサイトの数字を見るのが一番確かです。
AIとゼロクリック検索の関係──AIによる概要とAIモード
ゼロクリック検索を押し上げているのは、Googleが検索結果の上にAIの回答を出すようになったことです。日本では2024年8月に「AIによる概要」、2025年9月に日本語の「AIモード」の提供が始まりました。
Googleは2024年8月16日の発表で、日本を含む6か国にAIによる概要を広げると伝えました。続いて2025年9月9日には、長く複雑な質問にAIが答える「AIモード」の日本語での提供を順次始めています。スパークトロの2026年の調査では、AIモードに移った検索はまだ0.34%で、いま割合を動かしているのは、通常の検索結果に出るAIによる概要のほうです。
では、AIの回答に自分のページを載せてもらうには何をすればよいのか。Googleの検索セントラルの「AI機能とウェブサイト」(2025年12月10日更新)は、AIによる概要やAIモードに表示されるための追加の要件や特別な対策はないと明言しています。条件は、ページが検索に登録されていて、検索結果に抜粋を表示できる状態であることです。
実際のデータもこれと合っています。調査会社シーオークラリティ(seoClarity)が2025年10月に米国の36万2,000キーワードで調べた結果では、AIによる概要の94%が、検索の上位20位以内のページを少なくとも一つ引用していました。AIの回答に載る入口も、結局は普通の検索の評価です。SEOの土台の考え方はSEOとは?何の略かとSEO対策の3種類、AI検索との関係に、広告の枠と自然検索の枠を一枚の画面として見る考え方はSEMとは?SEOとの違いとリスティング広告との関係にまとめました。
もう一つ、クリックの「量」と「質」は分けて考える必要があります。Googleは同じページで、AIによる概要が出た検索結果からのクリックは質が高く、サイトでより長く過ごす傾向があると説明しています。SEOツールのセムラッシュ(Semrush)も2025年7月の分析で、ChatGPTなどAI検索から来た訪問者は、コンバージョン率で見ると通常の検索からの訪問者の4.4倍の価値があるとしています。どちらも自社の数字や自社の分析なので、そのまま自分のサイトに当てはめず、方向を示すものとして読むのが安全です。
ゼロクリック検索の対策──クリックされなくても選ばれる3つの打ち手
ゼロクリック検索の対策は、クリックを取り戻すことではなく、クリックされない画面の上でも名前を残し、あとで指名して探してもらうことです。打ち手は「指名検索を増やす」「AIに引用される構造で書く」「SNSやnoteで言及を増やす」の3つに整理できます。SNSで投稿が届く仕組みはSNSのアルゴリズムの仕組みとは?で書きました。
| 打ち手 | やること | 根拠 | 確かめ方 |
|---|---|---|---|
| 1. 指名検索を増やす | 会社名・商品名・自分の名前で検索してもらえる状態をつくる。名前と得意分野をセットで覚えてもらう | 指名検索は、検索結果の画面がどう変わっても、探している本人が自分のページを選ぶ経路になる | Googleサーチコンソールで、名前を含む検索語の表示回数の推移を見る |
| 2. AIに引用される構造で書く | 見出しの直下で答えを言い切る。数字には出典を付ける。比較や手順は表にする。実際にやった人にしか書けない情報を入れる | GoogleはAI向けの特別な対策は不要とし、検索の基本を満たすことを条件にしている。引用元の多くは上位のページ(シーオークラリティ) | 主要な質問を実際に検索し、AIによる概要に自分のページが引用されているかを月1回記録する |
| 3. SNS・noteで言及を増やす | 自分のサイトの外で、名前とテーマが一緒に語られる機会を増やす。動画・SNS・noteなど、検索以外の場所に要約や別の角度の記事を置く | アーレフスの7.5万ブランドの調査では、AIでの見えやすさとの相関は、YouTubeでの言及(約0.74)やウェブでの言及(0.66〜0.71)が、指名検索の量(0.35〜0.47)より高く、被リンクは相関が弱かった | 自分の名前やサービス名が、どの媒体で、どんな言葉と一緒に語られているかを検索して確かめる |
3つ目の根拠にしたアーレフスの2025年12月の調査は、相関を示したもので、言及を増やせばAIに出るようになると約束するものではありません。本人たちも「相関は因果ではない」と書いています。それでも、リンクを集める作業より、名前を覚えてもらう作業のほうがAI時代の検索と相性がよいことは、ほかの数字とも矛盾しません。思い出してもらう力の育て方はメンタルアベイラビリティとCEPの記事で書きました。AI検索に向けた書き方の詳しい手順は、別の記事でまとめる予定です。
広告会社にいた頃、ぼくが扱っていたテレビCMには、そもそもクリックという行動がありませんでした。見た人の頭に商品の名前が残ったか、店頭でその名前を思い出してもらえたかを、調査で確かめるしかありませんでした。ゼロクリック検索は、ウェブの集客がそのテレビの世界に少し近づいたことだと思っています。表示はされているのに押されない。ならば、押されなかった画面で何を覚えて帰ってもらうかを設計するしかありません。
やってはいけないのは、クリックを取り戻すために、答えをわざと隠す書き方です。「答えは本文で」と引っ張る見出しや、結論を最後まで出さない記事は、抜粋にもAIの要約にも選ばれにくくなります。答えを先に渡し、その答えの出どころとして名前を覚えてもらうほうが、遠回りに見えて近道です。
2026年時点での注意点──見るべき数字を入れ替える
2026年のゼロクリック検索で気をつけたいのは、順位やクリック数だけで記事の良し悪しを判断すると、AIに引用されて役に立っているページを「失敗」と誤読してしまうことです。見る数字を入れ替える必要があります。
ゼロクリック検索が増えたときにサーチコンソールで起きやすいのは、表示回数は伸びているのに、クリック率が下がる形です。GoogleはAI機能からの訪問を、検索パフォーマンスのレポートの「ウェブ」の中に合算して表示すると説明しています。つまり、AIによる概要に引用されて読まれた分は、クリックされなければ数字に表れません。クリック率の読み方の基本はCTRとは?クリック率の計算式と平均、高いのに売れない理由で整理しています。
| これまで見ていた数字 | あわせて見る数字 | 理由 |
|---|---|---|
| 検索順位 | AIによる概要に引用されたかどうか | 1位でもクリックは減る。それでも引用されれば、画面の上で名前が読まれる |
| 検索からの訪問数 | 名前を含む検索(指名検索)の表示回数 | クリックされなかった検索が、あとで指名の検索として戻ってくるかを見る |
| クリック率 | 訪問した人の問い合わせ・購入の率 | 訪問の量が減っても、来た人の質が上がっていれば成果は守れる |
| 記事ごとのページビュー | SNS・noteなどサイトの外での言及 | AIが名前を出す根拠は、サイトの外の言及と相関が強い |
もう一つの注意は、ここで挙げた割合の数字が、すべて米国のものである点です。日本でも同じ仕組みが提供されているので方向は同じと考えてよいと思いますが、割合まで同じとは言えません。それに、AIによる概要の出方やAIモードの扱いは、数か月単位で変わります。この記事の内容も最終更新日の時点のものとして読み、大きな判断の前にはGoogleの公式ページで最新の説明を確かめてほしいと思います。
ゼロクリック検索に関するよくある質問
ゼロクリック検索とゼロクリック攻撃は同じものですか?
違うものです。ゼロクリック検索は、検索結果の画面だけで用が済み、どのサイトもクリックされない検索のことで、検索とマーケティングの言葉です。ゼロクリック攻撃は、利用者が何も操作しなくても端末に不正なプログラムが入り込む攻撃のことで、情報セキュリティの言葉です。
ゼロクリック検索の割合はどのくらいですか?
スパークトロの2026年の調査では、2026年1〜4月の米国のGoogle検索の68.01%がクリックなしで終わっていました。2024年の同じ調査では60.45%でした。どちらも米国のデータで、日本の割合を直接示した公開データは確認できていません。
AIによる概要が出ると、クリックはどれくらい減りますか?
アーレフスの30万キーワードの分析では、AIによる概要が出るキーワードで、1位のページのクリック率が約58%低くなっていました。ピュー・リサーチ・センターの調査でも、AIの要約が出た検索でリンクが押された割合は8%で、出なかった検索の15%を下回っていました。どちらも相関を示したもので、減り方は検索語の種類によって変わります。
ゼロクリック検索が増えたら、SEOはもう意味がありませんか?
意味はあります。GoogleはAIによる概要に出るための特別な対策はなく、検索の基本を満たすことが条件だと説明しています。AIの回答に引用されるページの多くは上位のページです。変わったのは、順位とクリック数だけでなく、引用されたか、名前で検索されるようになったかも成果として見る必要が出てきたことです。
おわりに──クリックされなかった検索は、負けた検索ではない
検索した人が答えを受け取り、どこもクリックせずに画面を閉じる。サイトを運営する側から見ると、これは集客の失敗に見えます。でも、検索した人の側から見ると、問いに答えてもらえた、満足のいく検索です。その答えの出どころとして、どこかの名前が一瞬でも目に入っていたなら、それは広告の世界で言う「接触」と同じものです。
クリックされなかった検索は、負けた検索ではない。名前が残らなかった検索が、負けた検索です。
ゼロクリック検索とは、検索がページへの入口から、名前を覚えてもらう場所に変わったことを示す言葉だと思っています。自分のサイトの数字が落ちて不安になったときは、訪問の数より先に、自分の名前で検索してくれる人が増えているかを見てほしいと思います。