マーケの目

バンドワゴン効果とは?例とスノッブ効果・アンダードッグ効果の違い

このサイトはアフィリエイト広告(Amazonアソシエイト含む)を掲載しています。

最終更新:2026年10月12日

バンドワゴン効果とは、多くの人が選んでいる、流行っているという事実そのものが、さらに人を引き寄せる現象です。「みんなが乗っているから、自分も乗る」。経済学者ハーヴェイ・ライベンシュタインが1950年の論文で、反対の動きをするスノッブ効果、値段が高いほど欲しくなるヴェブレン効果と並べて名前をつけました。マーケティングでは「売上No.1」「SNSで話題」「予約殺到」といった表示がこの効果を狙っています。勢いは強い追い風になります。ただし、勢いで集まった人は勢いが止まると去りやすく、急に広まったものほど早く飽きられることも研究で示されています。この記事では、意味と由来、スノッブ効果・アンダードッグ効果との違いの一覧表、実務での使い方と注意点を書いていきます。

バンドワゴン効果とは?意味と由来

バンドワゴン効果は、ある商品や考えを支持する人が多いと知ることで、それを選ぶ人がさらに増える現象です。選ばれる理由が中身ではなく「選ばれている」という状態そのものにある点が、この効果の特徴です。

バンドワゴンとは、パレードの先頭で楽隊を乗せて走る車のことです。19世紀のアメリカでは選挙運動のパレードに楽隊車が使われ、勢いのある候補の車に飛び乗ることが「勝ち馬に乗る」という意味の慣用句になりました。日本語でバンドワゴン効果を「勝ち馬効果」と呼ぶことがあるのはこのためです。

この効果は、場面によって次のような形で現れます。

場面 現れ方 よく見る表示・言葉
商品・サービス 売れている、使われているという情報が次の購入を呼ぶ 「累計◯万個突破」「売上No.1」
SNS・コンテンツ 再生数や「いいね」の多い投稿がさらに見られ、真似される 「バズっている」「トレンド入り」
飲食・店舗 行列そのものが、まだ並んでいない人を呼ぶ 「行列のできる店」「予約殺到」
選挙・世論 優勢と報じられた候補に、さらに支持が集まる 「優勢」「当選確実」
株式・投資 値上がりしている銘柄に買いが集まり、さらに上がる 「急騰」「話題の銘柄」

どの場面でも、人は「多くの人が選んでいる」という情報を、自分で中身を確かめる手間の代わりに使っています。そして、その多さに加わること自体にも価値を感じています。流行の輪の中にいたい、取り残されたくないという気持ちです。この取り残されたくない気持ちの意味と、売り方での使いどころはFOMOとは?意味と読み方、マーケティングでの使い方と煽りの線引きで書いています。

バンドワゴン効果の出典──ライベンシュタインとサイモン

バンドワゴン効果を経済学の言葉として定義したのは、ハーヴェイ・ライベンシュタイン(Harvey Leibenstein)が1950年に Quarterly Journal of Economics に発表した論文「消費者需要の理論におけるバンドワゴン効果、スノッブ効果、ヴェブレン効果」です。

ライベンシュタインは、それまでの需要の理論が、流行に乗りたい、人と違っていたい、見せびらかしたいという欲求を扱っていないことを出発点にしました。そのうえでバンドワゴン効果を、ほかの人も同じ商品を消費しているという事実によって、その商品の需要が増える度合いとして定義しています。つまり、ほかの人の消費が自分の欲しさを変える、という現象に名前をつけたのがこの論文です。

選挙の文脈では、経済学者で心理学者でもあったハーバート・サイモンが1954年に Public Opinion Quarterly に発表した論文で、選挙予測の公表がバンドワゴン効果とアンダードッグ効果の両方を引き起こしうることを数理的に論じました。予測で勝ちそうだとされた側に票が流れるのがバンドワゴン効果、負けそうだとされた側に同情票が流れるのがアンダードッグ効果です。日本の選挙報道で「アナウンス効果」と呼ばれるものの中身は、この二つです。どちらが強く出るかは選挙や有権者によって違い、実証研究の結果も一様ではありません。

スノッブ効果・アンダードッグ効果との違い

バンドワゴン効果は「多くの人が選ぶから欲しくなる」、スノッブ効果はその逆の「多くの人が選ぶから欲しくなくなる」、アンダードッグ効果は「負けそうだから応援したくなる」です。どれも周りの人の動きに反応している点は同じで、反応の向きが違います。

効果 何に反応するか 反応の向き マーケティングでの例
バンドワゴン効果 選んでいる人が多いこと 多いほど欲しくなる 「売上No.1」「◯万人が利用」
スノッブ効果 選んでいる人が多いこと 多いほど欲しくなくなる 「招待制」「知る人ぞ知る」
ヴェブレン効果 値段が高いこと 高いほど欲しくなる 高級時計・高級ブランドの価格設定
アンダードッグ効果 不利な立場にあること 負けそうな側を応援したくなる 小さな会社の挑戦、創業の苦労話
社会的証明 ほかの人の行動 迷ったときに正解の手がかりにする レビュー、利用者の声

いちばん混同されやすいのが、最後の社会的証明です。社会的証明は「どれが正しいか分からないとき、ほかの人の行動を正解の手がかりにする」という判断の近道で、根っこにあるのは不確かさです。バンドワゴン効果は、正しさが分かっていても「みんなが乗っているから乗りたい」という、流行に加わること自体の喜びが混ざります。レビューを読んで安心するのが社会的証明、行列に並ぶこと自体が楽しいのがバンドワゴン効果、と分けると覚えやすいと思います。社会的証明の実験や例は社会的証明の原理とは?例と実験、バンドワゴン効果との違いで詳しく書いています。

この表のうちバンドワゴン効果とスノッブ効果の基本はマーケターが知っておくべき10個の心理学的法則でも短く紹介しています。この記事では、そのうえで「勢いをどう扱うか」に絞って書いていきます。

実務での使い方──勢いは追い風、ただし飽きも早い

バンドワゴン効果は、すでにある勢いを見えるようにすると強い追い風になります。ただし、勢いで集まった人は勢いが止まると去りやすいので、追い風が吹いているあいだに、残ってもらう理由を用意しておく必要があります。

飽きの早さには、研究の裏づけがあります。マーケティング研究者のジョナ・バーガーとガエル・ル・メンスが2009年に米国科学アカデミー紀要(PNAS)に発表した研究は、フランスとアメリカの子どもの名前のデータを使い、急に人気が上がった名前ほど早く使われなくなることを示しました。フランスのデータでは1900年から2004年までの2,570の名前を分析し、人気の上がり方が10%速いと、廃れる速さが12.5%高くなると推定しています。661人の出産を控えた親への調査では、最近急に増えた名前ほど「一時の流行」と見なされ、選ばれにくいことも分かりました。論文は、急に広まるものは同じくらい速く消えるかもしれない、と結んでいます。

名前と商品は同じではありません。でも、「急に広まったものは一時の流行に見える」という受け取り方は、商品にもそのまま当てはまりそうです。勢いを見せることは、同時に「これは流行だ」と伝えることでもあります。流行は、流行が終わるとき一緒に終わります。

そこで、勢いを使うときは次の順番で考えると失敗しにくくなります。

  • 勢いの数字は事実か。数え方や期間を、聞かれたら説明できるか
  • 勢いで来た人が、二回目に来る理由はあるか(使い続けると分かる良さ、続ける仕組み)
  • 勢いが落ちたあとに、何を言うか決めてあるか(「話題」の次に語る中身)
  • このブランドは、群れの中で選ばれたいのか、群れから外れて選ばれたいのか

最後の問いは、バンドワゴン型かスノッブ型かという選択です。「みんな使っている」と言った瞬間、「みんなと違うものが欲しい」人は離れていきます。どちらの客を大事にするかで、見せるべき数字が変わります。

商品が伸びる時期と落ち着く時期のどこにいるかで、勢いの使い方は変わります。段階ごとの打ち手はプロダクトライフサイクルとは?4段階の特徴と戦略を一覧表で解説に整理しました。導入期から成長期への変わり目でバンドワゴン効果は一番効き、成熟期に入ると勢いの演出より使い続ける理由のほうが効いてきます。一人の有名人ではなく、名もなき多数の動きが市場をつくる仕組みはモブマーケティングとは|一人のインフルエンサーより、名もなき群衆が市場を動かす理由で書いています。

BtoBの現場でも、構造は変わりません。「同業の◯社が導入済み」という一言は、決裁の場では強い後押しになります。ただ、導入の決め手が「他社もやっているから」だった案件は、他社がやめたときに一緒に見直されやすい。勢いで決まったものは、勢いで覆ります。

2026年・日本での注意点──勢いの数字を水増ししない

バンドワゴン効果を狙う表示でいちばん気をつけたいのは、勢いを示す数字の根拠です。日本では、根拠のない「No.1」や水増しした実績の表示は、景品表示法上の不当表示になるおそれがあります。

消費者庁は2024年9月26日に「No.1表示に関する実態調査報告書」を公表しました。「顧客満足度No.1」のようなNo.1表示が、合理的な根拠なく事実と異なる場合には不当表示になる、という問題意識から行われた調査です。報告書では、広告主が根拠としている調査の中身を十分に確かめていない例が見られたことも示されています。勢いを示すための数字が、勢いの演出のために作られていないか。表示を出す前に、数え方と調査方法を自分で説明できるかを確かめる必要があります。

SNSでは、勢いそのものが買えてしまう点にも注意が要ります。フォロワーや再生数、口コミを対価で集めて「話題」に見せることは、生活者には見分けにくい一方で、見抜かれたときの反動は大きくなります。勢いの数字は、作った瞬間に勢いの証拠ではなくなります。

バンドワゴン効果に関するよくある質問

バンドワゴン効果の由来は何ですか?

バンドワゴンは、パレードの先頭で楽隊を乗せて走る車のことです。19世紀のアメリカで選挙運動のパレードに使われ、勢いのある候補の車に飛び乗ることが「勝ち馬に乗る」という意味になりました。経済学の用語としては、ハーヴェイ・ライベンシュタインが1950年の論文で定義しています。

バンドワゴン効果の逆は何ですか?

多くの人が選ぶほど欲しくなくなるスノッブ効果が、需要の面での逆にあたります。選挙の文脈では、負けそうな側を応援したくなるアンダードッグ効果が逆の動きとして挙げられます。どちらも周りの人の動きに反応している点はバンドワゴン効果と同じで、反応の向きが反対です。

株式投資でいうバンドワゴン効果とは何ですか?

値上がりしている銘柄や話題の銘柄に、上がっているという理由で買いが集まり、さらに値が上がる動きを指して使われます。業績や価値の判断より、ほかの投資家の動きが買いの理由になっている状態です。勢いだけで集まった買いは、勢いが止まると一斉に抜けやすい点も、商品の流行と似ています。

バンドワゴン効果と社会的証明の違いは何ですか?

社会的証明は、どれが正しいか分からないときに、ほかの人の行動を正解の手がかりにする心理です。バンドワゴン効果は、正しさとは別に、流行に加わること自体に価値を感じて乗る心理を含みます。レビューを読んで安心するのが社会的証明、みんなが乗っているから乗りたくなるのがバンドワゴン効果と考えると分けやすくなります。

おわりに──勢いは、来る理由にはなっても、残る理由にはならない

バンドワゴン効果は、マーケティングでいちばん気持ちのいい現象かもしれません。売れているから、さらに売れる。数字が数字を呼ぶあいだは、何もしなくても前に進んでいるように見えます。

でも、追い風で進んだ距離は、自分の脚で進んだ距離ではありません。勢いは、来てくれる理由にはなっても、残ってくれる理由にはならない。風が吹いているうちに、風がやんでも選ばれる理由を用意しておくこと。勢いを使うときに考えておきたいのは、たぶんそれだけです。

マーケ・企画で使える「図解の型100」を、LINEオープンチャットで無料配布しています(匿名で参加できます)。→ 受け取る
MARKETER CAREER TYPE キャリアタイプ診断 10の質問で、いまのあなたの「次の一手」がわかります。登録不要・約2分。 診断してみる →