最終更新:2026年10月17日
SNSのアルゴリズムとは、たくさんの投稿の中から、見る人がその投稿にどう反応しそうかを予測して、表示する順番を決める仕組みのことです。X・Instagram・TikTok・YouTube・Threadsはいずれも仕組みの一部を公式に公開していて、共通して見ているのは「反応」「滞在・視聴」「関係」「鮮度」の4つです。投稿が見られないとき、その多くは罰を受けているのではなく、反応の予測が低く出ているだけです。この記事では、各社が公開している公式の情報だけを根拠に、共通の評価軸の一覧、Xの公開コードで分かること、各SNSの説明の違い、「見られない」ときの確かめ方までを書いていきます。
SNSのアルゴリズムとは?共通の評価軸(反応・滞在・関係・鮮度)一覧
SNSのアルゴリズムは、一つの計算式ではなく、投稿を集める・予測する・並べる・取り除くという複数の仕組みの集まりです。どの会社の説明にも共通するのは、投稿そのものを採点するのではなく、見る人ごとに「次に何をしそうか」を予測している点です。
5つのSNSの公式の説明から、共通する評価軸を拾うと次のようになります。
| 評価軸 | X | TikTok | YouTube | Threads | |
|---|---|---|---|---|---|
| 反応 | いいね・返信・リポスト・引用・共有などの確率を予測 | フィードはコメント・いいね・共有・プロフィールのタップ、リールは共有・いいねなど | いいね・共有・フォロー・コメント | 共有・高評価・低評価 | いいね・返信・投稿のクリックなどの可能性を予測 |
| 滞在・視聴 | 投稿にとどまった時間、動画を見続けた秒数など | フィードで数秒とどまるか、リールを最後まで見るか | 長めの動画を最後まで見たかは強い手がかり | 再生時間と、満足度アンケートを反映した視聴時間 | 投稿を見ていた時間、投稿ページにいた時間 |
| 関係 | フォロー中の投稿とフォロー外の投稿を同じ物差しで並べ、フォロー外は割り引く | 投稿者とのこれまでのやりとり | フォロワー数や過去のヒットは直接の要素ではないと明記 | 登録しているチャンネル | 特定の投稿者とのやりとりの率 |
| 鮮度 | おすすめでは48時間より古い投稿を除く | 投稿された時間、反応が集まる速さ | 2020年の公式説明には明記なし | 確認した公式説明には明記なし | 確認した公式説明には明記なし |
| 否定的な反応 | 興味なし・ミュート・ブロック・通報はマイナスに働く | 通報や「興味なし」で似た投稿が下がる | 確認した公式説明には明記なし | 低評価は不満のしるし | 非表示・通報で似た投稿が減る |
表を横に読むと、各社が見ているものはかなり似ています。いいねの数そのものより、「最後まで見るか」「誰かに送りたくなるか」「前にもやりとりしたか」という、見る人の側の行動の予測です。同じ投稿でも、見る人が違えば点数が変わります。
出典とXの公開コード──アルゴリズムが「見える」ようになった経緯
SNSのアルゴリズムのうち、仕組みが最も具体的に分かるのはXです。2023年3月に推薦の仕組みのソースコードを公開し、2026年1月には新しい仕組みのコードを改めて公開しました。他の4社は、公式ブログや説明ページで考え方を示しています。
この記事で根拠にした公式の情報は次のとおりです。
| SNS | 公開しているもの | 時期 | 分かること |
|---|---|---|---|
| X | GitHub「the-algorithm」とランキングモデルの説明 | 2023年3月(重みは2023年4月5日時点) | おすすめの組み立て方、予測する反応の種類と重み |
| X | GitHub「x-algorithm」 | 2026年1月公開、2026年9月まで更新 | 現在のおすすめの組み立て方、取り除く条件、表示の制限との分け方 |
| 公式ブログ「Instagramのランキングの仕組み」(アダム・モセリ) | 2023年5月31日 | フィード・ストーリーズ・発見・リールごとの考え方 | |
| クリエイター向けの「おすすめとオリジナリティ」 | 2024年4月30日 | 転載の扱い、小さな規模の投稿者への配り方 | |
| TikTok | 公式ニュースルームの説明 | 2020年6月18日 | おすすめフィードの3つの要素と重みの考え方 |
| YouTube | 公式ブログのおすすめの説明 | 2021年9月15日 | クリック・再生時間・アンケートなどの使い方 |
| Threads | Meta透明性センターのフィードの説明 | 2025年3月7日更新 | 予測している行動と使っている情報の例 |
2023年のXの公開で話題になったのは、ランキングモデルが予測する反応ごとの重みです。2023年4月5日時点の値は、いいね0.5、リポスト1.0、返信13.5、プロフィールを開いて反応する12、返信して投稿者からも反応がある75、否定的な反応マイナス74、通報マイナス369でした。ただ、同じ説明の中に、反応ごとに起きる確率がそもそも違うので、平均すればどの反応もほぼ同じだけ点数に効くように重みを決めた、と書かれています。返信の重みがいいねの27倍だから返信が27倍大事、という読み方はできません。おすすめに並ぶ投稿は、フォロー中の人の投稿が約半分を占める作りでした。
2026年に公開されたコードでは、組み立て方がより具体的に書かれています。フォロー中の人の最近の投稿と、フォロー外から機械学習で探した投稿を集め、見たことのある投稿や48時間より古い投稿、ミュートした語を含む投稿などを先に取り除きます。そのうえで、見る人がいいね・返信・共有・滞在・フォロー・ミュートなどをする確率をモデルが予測し、重み付きで足し合わせます。最後に、同じ投稿者が続かないように点数を下げる調整、フォロー外の投稿を割り引く調整、表示の少ない投稿者を引き上げる調整が入ります。説明には「通報の重みがいいねの468倍あるから、通報1件でいいね468件が消える」という読み方は誤解だ、とわざわざ書かれています。重みがかかるのは件数ではなく、見る人一人ひとりの予測の確率だからです。
並べる順番を決める仕組みと、表示してよいかを決める仕組みが別になっている点も見落とせません。迷惑行為の判定などによる表示の制限は、順番とは別のところで決まります。
Instagram・TikTok・YouTube・Threadsのアルゴリズム──公式説明で分かること
Xの外の4つのSNSは、コードではなく説明で考え方を公開しています。共通するのは、「最後まで見たか」「誰かに送ったか」のような手間のかかる反応ほど、強い手がかりとして扱われていることです。
Instagramは、アダム・モセリ(Adam Mosseri)の公式ブログで、Instagramには一つのアルゴリズムがあるわけではなく、場所ごとに目的の違う仕組みがあると説明しています。
| 場所 | 主に並ぶ投稿 | 重く見る情報(説明の順) | 予測している行動 |
|---|---|---|---|
| フィード | フォロー中の投稿と、好みそうなおすすめ | 見る人の行動、投稿の情報、投稿者の情報、投稿者とのやりとりの履歴 | 数秒とどまる、コメント、いいね、共有、プロフィールのタップ |
| ストーリーズ | フォロー中のストーリーズ | 閲覧の履歴、反応の履歴、投稿者との近さ | タップして見る、返信する、次へ進む |
| 発見 | フォローしていないアカウントの投稿 | 投稿の情報(フィードより重く見る)、発見での行動、投稿者とのやりとり | いいね、保存、共有 |
| リール | 主にフォローしていないアカウントの動画 | 見る人の行動、投稿者とのやりとり、動画の情報、投稿者の情報 | 共有、最後まで見る、いいね、使われた音源のページを開く |
リールでは、画質が低いもの、透かしが入ったもの、文字が大半のもの、すでにInstagramに投稿されたものは表示を減らすとしています。2024年4月の発表では、他人の投稿を作り替えずに30日間で10回以上転載するアカウントを、おすすめから外す方針も示しました。新しい投稿は、まず好みそうな少人数に見せ、反応がよければ少しずつ広い人に見せる段階的な配り方をとるとも書かれています。他人の投稿を使うときの考え方はUGCとは?マーケティングでの意味と種類、ステマとの違いで書きました。
TikTokの2020年の説明では、要素は「見る人の反応」「動画の情報(キャプション・音源・ハッシュタグ)」「端末とアカウントの設定」の3つで、最後の一つは重みが低いとしています。長めの動画を最後まで見たかどうかは強い手がかりになり、フォロワー数や過去にヒットした動画があるかは直接の要素ではないとも明記しています。同じ音源や同じ投稿者の動画は、ふつう2本続けて出さないとしています。
YouTubeは、2021年の公式ブログで、クリックだけでは実際に見たかどうか分からないこと、再生時間でもすべての時間が同じ価値ではないことを書いています。そのため視聴者にアンケートで動画を5段階で評価してもらい、4か5を付けた視聴を「価値のある視聴時間」として扱っています。共有や高評価の重みも人によって変え、何でも共有する人の共有は軽く見るとしています。
Threadsは、Metaの透明性センターで、フォロー中のすべての投稿と公開された投稿の一部を集め、見る人にとっての価値が高いと予測した順に並べると説明しています。予測の例には、いいね、返信、反応せずにスクロールする、投稿を見ている時間などが並んでいます。フォロー中のアカウントだけを新しい順に並べる表示も選べます。
実務でどう使うか──「見られない」ときに確かめる順番と、公式にない通説
投稿が見られないときは、通説を試す前に、公式に確かめられることから順に潰していくのが近道です。順番は「表示の制限がないか」「誰に届いているか」「最初に見た人がどう動いたか」の3つです。
- 表示の制限がないかを見る。Instagramは、プロ向けアカウントの「アカウントステータス」で、おすすめの対象になっているかを確かめられるとしています。Xも2026年に、自分のアカウントや投稿に付いた表示に影響するラベルを見られる仕組みを試験的に始めました
- 誰に届いているかを分ける。フォロー中の人に届いた分と、おすすめで届いた分を分けて見ます。おすすめの枠は、反応の予測が高い投稿しか通りません
- 最初に見た人の動きを見る。どの社の説明でも、最後まで見たか、共有したか、とどまったかが強い手がかりです。表示に対する反応の割合の測り方はエンゲージメント率とは?計算方法とSNS・GA4での意味の違いで整理しています
根拠のはっきりしない通説を、この記事で確認した公式の情報と突き合わせると次のようになります。
| よく聞く通説 | 公式の情報に書かれていること | 読み方 |
|---|---|---|
| 投稿は最初の1時間で決まる | 時間の区切りは書かれていない。Instagramは反応が集まる速さを投稿の情報の一つに挙げ、Xのおすすめは48時間より古い投稿を除く | 初動が効くことは公式の説明と矛盾しないが、「1時間」の根拠は公式には書かれていない |
| 外部リンクを貼ると表示が減る | この記事で確認した公式の説明には書かれていない | 公式には書かれていない。試すなら自分の投稿の数字で比べる |
| フォロワーが多いほど有利 | TikTokは直接の要素ではないと明記。Instagramは小さな規模の投稿者に届ける新しい要素を加え、Xは表示の少ない投稿者を引き上げる調整を持つ | フォロワー数そのものより、見た人の反応の予測で決まる |
| 通報1件で、いいね何百件分が消える | Xは公開コードの説明で、この読み方を誤解だと明記している | 重みは件数ではなく、見る人ごとの予測の確率にかかる |
| 広告を出させるために表示を抑えている | Instagramは、広告を買わせるために投稿を抑えることはしないと書いている | 見られない理由は、表示の制限か反応の予測のどちらかから探す |
広告会社にいた頃、テレビの番組表は編成の担当者が決め、同じ時間に同じ順番で全員に届いていました。SNSのフィードは、その編成を、見る人一人ひとりに対して機械が毎回やり直しているものだと考えると分かりやすいと思います。全員に向けた番組表がない以上、平均的にウケる投稿を狙うより、最後まで見て誰かに送りたくなる人を先に決めるほうが、予測の仕組みに合っています。
2026年時点での注意点──公開された情報は、いつも少し古い
2026年のSNSのアルゴリズムで気をつけたいのは、公開された情報が本番の仕組みのすべてではなく、しかも更新が速いことです。読むときは、いつの時点の説明かを必ず確かめる必要があります。検索の側の変化はゼロクリック検索とは?に書きました。
Xの2026年のコードは、8月と9月にも中身が更新され、表示の制限の仕組みなどが加わりました。ただし、悪用を防ぐために一部のルールは公開していないとも書かれています。2023年の公開時にも、本番のモデルとは小さな違いがありうると断っていました。
Instagramは2025年12月に、おすすめの元になっている興味の一覧をAIの要約で見せ、増やしたい話題・減らしたい話題を自分で選べる「Your Algorithm」を米国で始めました。2026年6月にはフィード・リール・発見に広がっていますが、説明にある提供範囲は英語で、日本語での提供については最終更新日の時点で書かれていません。TikTokの公式説明は2020年、YouTubeは2021年のもので、細部は変わっている可能性があります。Threadsの説明にも、モデルと使う情報は頻繁に変わると書かれています。
この記事の内容も、最終更新日の時点で各社の公式ページに書かれていたことです。「最新の変更」として出回る話を読んだら、元の公式ページに当たってみる習慣が、いちばん確かな対策になります。
SNSのアルゴリズムに関するよくある質問
SNSのアルゴリズムとは何ですか?
たくさんの投稿の中から、見る人がその投稿にどう反応しそうかを予測して、表示する順番を決める仕組みのことです。一つの計算式ではなく、投稿を集める・予測する・並べる・取り除くといった複数の仕組みの集まりです。見る人ごとに予測するので、同じ投稿でも人によって表示の順番が変わります。
Xのアルゴリズムは本当に公開されていますか?
一部が公開されています。2023年3月にGitHubで推薦の仕組みのコードが公開され、2026年1月には新しい仕組みのコードが改めて公開されました。ただし、悪用を防ぐために公開していないルールもあり、実験中の設定は変わることがあると説明されています。
投稿が見られないのはアルゴリズムのせいですか?
多くの場合は、罰を受けているのではなく、見た人の反応の予測が低く出ているためです。まずInstagramのアカウントステータスのような公式の確認手段で表示の制限がないかを見て、次に最初に見た人が最後まで見たか、共有したかを確かめるのが順番です。
アルゴリズムをリセットすることはできますか?
見る側の調整なら、いくつかの方法が公式に用意されています。YouTubeは視聴履歴と検索履歴をいつでも一時停止・削除でき、Threadsはフォロー中の投稿だけを新しい順に表示できます。Instagramは興味の一覧を自分で調整できる機能を英語で提供しています。
おわりに──アルゴリズムは審査員ではなく、予報士
投稿が伸びないと、どこかで誰かに採点されて、点数が足りなかったような気持ちになります。でも、公開された仕組みをどれだけ読んでも、投稿の出来を採点する審査員は出てきません。出てくるのは、この人はこの投稿を最後まで見るか、誰かに送るか、という予測ばかりです。
アルゴリズムは、投稿を採点する審査員ではない。見る人の次の一手を当てにいく予報士です。
SNSのアルゴリズムとは、投稿の良し悪しではなく、見る人の「次の行動」を予報する仕組みだと思っています。攻略法を探したくなったら、その前に、この投稿を最後まで見て誰かに送りたくなる一人の顔を思い浮かべてみてほしいと思います。