最終更新:2026年7月12日 ※本記事にはアフィリエイト広告を含みます。
マーケターが面接で落ちる理由は、ほとんどがスキル不足ではない
ぼくは博報堂に13年、アクセンチュアに5年いて、どちらでも中途採用の面接官を担当してきました。マーケター職の候補者を何十人と見てきた結論として言えるのは、「スキルが足りなくて落ちる人」は実はそこまで多くないということです。落ちる人の大半は、持っているものの「伝え方」がズレていました。
正直、面接官をやるまでは、ぼく自身も「実績が強ければ受かる」となんとなく思ってました。でも採用する側に回ってみると、見ているポイントがぜんぜん違っていた。この記事では、採用側の視点から見た「マーケターが面接で落ちる5つのパターン」を、包み隠さず書きます。
パターン①:施策の話はするが「なぜそれを選んだか」がない
これが一番多いパターンです。「リスティング広告でCPAを30%下げました」「SNSのフォロワーを1万人増やしました」。施策と数字はきれいに並ぶのに、「なぜその施策を選んだのか」の説明がすっぽり抜けている人がとても多い。
採用側が知りたいのは、結果の数字よりも「判断のプロセス」です。限られた予算と時間の中で、なぜリスティングだったのか。ほかの選択肢は何があって、どう比較して、何を捨てたのか。そこに、その人の思考力が出ます。
ぼくが面接で「ほかにどんな選択肢がありましたか?」と聞くと、「えっと……特に考えていませんでした」と正直に答える人もいました。それ自体は悪いことではないけれど、面接の場では「この人は指示された施策を回す人なのか、自分で設計できる人なのか」の判断材料になってしまう。
面接に持っていく実績は、数字を盛ることより「意思決定の背景」をセットで語れるかどうかのほうがずっと大事です。
パターン②:「自分がやったこと」と「チームの成果」の境界があいまい
マーケティングの仕事はチームで動くことが多いので、成果の主語があいまいになりがちです。面接で「売上を前年比120%にしました」と言われたとき、採用側がまず考えるのは「それ、あなたの貢献はどの部分?」ということです。
別に「全部ぼくがやりました」と言う必要はありません。「戦略の設計はぼくが担当して、運用はチームの2人に任せていました。ぼくの役割は全体のKPI設計と、週次のレビューで軌道修正する部分です」みたいに、自分の担当範囲を具体的に区切れる人は信頼感がありました。
逆に「チーム一丸となって達成しました」としか言えない人は、正直なところ評価が難しい。謙虚さからそう言っているのはわかるんですが、面接では謙虚さよりも「この人が来たら何ができるか」をイメージさせてほしいんです。
パターン③:「やりたいこと」が抽象的すぎる
「ブランドマーケティングに挑戦したいです」「データドリブンなマーケティングがしたいです」。こう言ってくれる人は志望動機としてはわかるんですが、採用側からすると「で、うちで具体的に何がしたいの?」が見えない。
ぼくがアクセンチュアで面接をしていたとき、通過率が高かったのは「御社の◯◯のサービスで、今こういう状況だと思っていて、自分の◯◯の経験が活かせると考えています」と、相手のビジネスに踏み込んで話せる人でした。完璧な分析ではなくていい。「この人、うちのことを調べてきたな」と感じるだけで、面接官の聞く姿勢が変わります。
【体験談ここに:候補者が自社サービスについて的確な仮説を持ってきた場面を1〜3文】
「やりたいこと」は抽象的な言葉ではなく、「その会社のどの事業で、どう動きたいか」まで落とし込んで初めて、面接で機能します。
パターン④:質問に対して「正解を答えよう」としすぎる
これはマーケターに限った話ではないかもしれませんが、「面接官が期待している答え」を探って、そこに合わせにいく人がいます。ぼくはこれを勝手に「正解探しモード」と呼んでました。
たとえば「あなたの弱みは何ですか?」と聞くと、「完璧主義なところです」「つい仕事に没頭しすぎてしまいます」みたいな、弱みに見せかけた強みを返してくる。面接官側はその回答パターンを何百回も見ているので、正直なところ「あ、テンプレだな」と感じてしまう。
ぼく自身、博報堂からアクセンチュアに転職したときの面接では、うまく答えられなかった質問もありました。でも「それはまだ考えが整理できてないんですが、今の時点ではこう思ってます」と素直に伝えた記憶があります。そのほうが、少なくとも対話にはなる。
採用側が面接で見ているのは、正解の暗記量ではなく「この人と一緒に仕事をしたら、ちゃんと対話ができそうか」なんです。きれいに答えることよりも、考えながら話す姿勢のほうが伝わるものがあります。
パターン⑤:転職理由が「今の会社の不満」だけで終わっている
「上が詰まっていてポジションが上がらない」「裁量が少ない」「評価制度に納得できない」。これらは転職理由としてごく自然なものです。ぼくだって博報堂を辞めたときには似たようなことを感じていました。
ただ、面接の場でそれだけを話されると、採用側は「この人、うちに来ても同じ不満を持つのでは」と感じてしまいます。不満があるのは当然として、そこから「だから次はこうしたい」「こういう環境なら自分はもっと力を発揮できる」という前向きな仮説が一言あるだけで、印象がまるで変わります。
ぼくが面接官をやっていたとき、「今の会社が嫌だから転職したい」と「次にやりたいことがあるから転職したい」の違いは、かなりはっきり感じ取れました。言っている内容はほとんど同じでも、エネルギーの方向が違うんです。
5つのパターンに共通していること
ここまで書いた5つのパターンに共通しているのは、「自分の視点だけで話している」ということです。採用側が何を知りたがっているのか、その想像が抜けている。
これはぼく自身、面接を「受ける側」だったときにはまったく気づけなかったことです。採用する側に回って初めて、「ああ、面接って受ける側と見る側でこんなに見え方が違うのか」と思いました。
【体験談ここに:自分が面接官になって初めて気づいた「受ける側とのギャップ」を1〜3文】
だから、面接対策としてぼくが一番伝えたいのは、「面接官は何を判断しようとしているのか」を先に知っておくことです。テクニックの前に、視点を切り替えるだけでかなり変わります。
具体的にどんな質問がよく出て、どう答えるかについては、マーケター転職の面接で聞かれること・答え方【博報堂→アクセンチュアの実体験から】で、ぼくの実体験をもとに詳しく書いています。
面接の前に「エージェント選び」で差がつく理由
もうひとつ、面接で落ちる原因として見過ごされがちなのが、「そもそも合わない企業を受けている」ケースです。
マーケター職は企業によって求める人物像がかなり違います。同じ「マーケティングマネージャー」という求人でも、戦略設計を求めているのか、広告運用の実務を求めているのか、事業開発に近い役割なのかで、面接で評価されるポイントがまるで変わる。
ぼくが見てきた限り、面接に何社も落ち続ける人は、スキルが足りないのではなく「マッチングのズレ」が起きているだけだったりします。そこを補正してくれるのが、マーケター領域に詳しいエージェントの役割です。
どのエージェントが自分に合うかは、経験の領域やキャリアのフェーズによって変わります。選び方の判断軸はマーケター転職エージェントおすすめ6選【使い分けの判断軸で選ぶ・2026年版】にまとめているので、エージェント選びで迷っている人は読んでみるといいと思います。
よくある質問
面接で落ちたとき、理由を教えてもらえないのはなぜですか?
企業側は法的リスクやトラブル防止の観点から、不採用理由を詳しく伝えないのが一般的です。ただ、エージェント経由で応募している場合はエージェントが企業からフィードバックをもらっていることが多いので、担当者に率直に聞いてみるのが一番確実です。
マーケターの中途面接は何回くらいありますか?
一般的には2〜3回です。1次で現場マネージャー、2次で部門責任者、最終で役員というパターンが多いです。ただ、スタートアップでは社長面接1回だけで決まるケースもありますし、大手コンサルではケース面接が加わることもあります。
書類は通るのに面接で落ちる場合、何を変えればいいですか?
書類が通っているなら、スキルや経歴のレベルは足りています。面接で落ちる原因は、この記事で書いた「伝え方のズレ」がほとんどです。実績を「なぜその施策を選んだか」「自分の役割はどこか」まで分解して語れるように準備するだけで、通過率は変わります。
未経験からマーケターに転職する場合、面接では何をアピールすればいいですか?
未経験の場合、マーケティングの実績がないのは面接官も織り込み済みです。それよりも、前職での経験を「マーケティングの思考」に翻訳できるかがポイントです。たとえば営業職なら「顧客の購買プロセスを分解して提案を変えた経験」など、マーケ的な視点で仕事をしてきた具体例があると強いです。
面接対策として模擬面接はやったほうがいいですか?
やれるならやったほうがいいです。ただ、友人同士でやると遠慮が入って甘くなりがちなので、転職エージェントの担当者にお願いするのが現実的です。自分では気づかない話し方の癖や、説明が抽象的になっている部分を指摘してもらえます。
面接で「落ちない人」は、特別なことをしているわけではない
ぼくが面接官として何十人も見てきて思うのは、通過する人が何か特別なテクニックを使っているわけではない、ということです。
自分がやったことを、自分の言葉で、相手にわかるように話す。なぜそれを選んだか、自分はどこを担当したか、次に何をしたいか。それだけのことを、ちゃんとやれている人が受かっていました。
【体験談ここに:面接で印象に残った候補者の「特別ではないが誠実だった」対応を1〜3文】
面接は、自分を大きく見せる場ではなく、等身大の自分を正確に伝える場です。そのほうが、入社後のミスマッチも減る。ぼくは採用する側として、そして自分自身が2回の転職を経験した側として、そう思ってます。