よそおいの話

個人情報漏洩のニュースを見たらやること|対象か確かめ、漏れた項目別に対処

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使っているサービスで個人情報漏洩のニュースが出たら、最初にやるのは「自分が対象かどうか」の確認です。対象だったら、漏れた項目に合わせて対処します。パスワードが漏れたなら同じパスワードを使っている全サービスで変更し、カード番号が漏れたならカード会社に連絡して明細を見直します。そして漏洩のあとに必ず増える「お詫びを装ったフィッシングメール」のリンクは踏まない。この3つを押さえれば、被害はかなり防げます。

ぼくは2026年に国内で公表された情報漏洩を1件ずつ集めて、1時間ごとに更新する「漏洩白書2026」を作っています。10月17日時点で121件。集めていて分かったのは、自分が名前も知らない委託先から漏れるケースが多いことと、最初の発表から件数や中身が何度も変わることです。この記事では、ニュースを見た瞬間から落ち着くまでにやることを、順番に整理します(2026年10月17日時点の情報にもとづいています)。

漏洩白書2026のトップ画像。日本の情報漏洩年間速報ボード、毎時更新、yosooi.jp/leak2026
2026年に公表された情報漏洩を集めた「漏洩白書2026」。自分が使っているサービスが載っていないか、会社名で検索できます

漏洩のニュースを見たら、やることは5つ

やることは「確かめる→漏れた項目で対処する→便乗詐欺を避ける→続報を追う→困ったら相談する」の5つです。慌てて全部を一度にやろうとすると、肝心の確認が抜けます。

順番 やること 目安
1 自分が対象か確かめる(会員登録・購入履歴・通知メール) ニュースを見たその日
2 漏れた項目に合わせて対処する(パスワード変更・カード会社への連絡など) 対象と分かったらすぐ
3 お詫びや補償を装ったメール・SMSのリンクを踏まない 発表から数か月
4 会社の続報(件数の確定・原因・補償)を確認する 発表から1〜2か月
5 不正利用や不審な連絡があれば相談窓口へ 気づいたとき

まずは自分が対象かどうかを確かめる

対象かどうかは、その会社の公式発表と、自分の受信箱で確かめます。ニュース記事は要約なので、漏れた項目や対象期間は会社の発表ページで確認してください。

確かめる方法は3つあります。

  • 会社の公式発表を読む:対象になる会員の条件(登録時期・サービス名)と、漏れた項目が書かれています。ニュースのリンクからではなく、会社のトップページから「お知らせ」をたどると安全です
  • 受信箱でその会社名を検索する:会員登録や購入のメールが残っていれば、利用者だった証拠になります。登録したことを忘れているサービスほど、ここで見つかります
  • 漏洩白書2026で会社名を検索する:もしかしたら診断で使っているサービスの種類を選ぶと、関係しそうな案件が並びます。受信箱チェックでは、掲載している会社名でまとめてメール検索ができます

会社から「対象です」と通知が届くこともあります。法律で本人への通知が義務になっているためです(後で詳しく書きます)。ただ、その通知を装ったメールも出回るので、通知が届いた場合も本文のリンクは使わず、公式サイトから確認するのが基本です。

漏れた項目によって、やることが変わる

対処の中身は、何が漏れたかで決まります。氏名と住所だけなのか、パスワードやカード番号まで含むのかで、急ぎ度がまったく違います。

漏れた項目 起こりうること やること
メールアドレス フィッシングメール・迷惑メールが増える その会社名を名乗るメールのリンクを踏まない
パスワード(ID) 同じパスワードを使っている別サービスへの不正ログイン そのサービスと、使い回していた全サービスで変更。多要素認証を設定
クレジットカード番号 カードの不正利用 カード会社に連絡し、明細を確認。必要ならカードの再発行
電話番号・住所 SMSや電話での詐欺、郵送物を使った詐欺 知らない番号のSMSのリンクを開かない。名乗った会社に自分から公式番号で確認する
生年月日・氏名 本人確認の質問に答えられてしまう、なりすまし 生年月日を暗証番号や秘密の質問に使っていたら変更する

漏洩白書の121件を手口で分けると、ランサムウェアが24件、委託先やSaaS(業務用のクラウドサービス)からの漏洩が23件、アプリやWebサイトの不備が19件でした。いちばん多いのは、経路がまだ公表されていない26件です。原因が分からない段階では漏れた項目も「調査中」と書かれることが多いので、項目が確定するまでは、パスワードは漏れた前提で動いておくと安心です。

パスワードは、使い回していた先まで変える

パスワードが漏れたときに守るべきなのは、漏れたサービスよりも、同じパスワードを使っている別のサービスです。漏れたIDとパスワードの組み合わせを、ほかのサービスで片っ端から試す不正ログインがあるからです。

IPA(情報処理推進機構)は、パスワードを長く複雑にし、サービス間で使い回さないこと、そして多要素認証を使うことを不正ログイン対策として挙げています(出典:IPA「不正ログイン対策特集ページ」)。総務省も、流出した場合は速やかに変更するよう呼びかけています(出典:総務省「推測できる簡単なパスワードを利用しないようにしよう」)。

変える順番は、被害が大きいところからです。

  1. メールアカウント(ここを取られると、ほかのサービスのパスワード再設定まで奪われます)
  2. 銀行・証券・決済アプリ・クレジットカードの会員サイト
  3. ネット通販(カード情報を登録しているもの)
  4. SNS
  5. 漏れたサービスそのもの

多要素認証(ログイン時にSMSやアプリのコードも求める設定)は、パスワードを変えるついでにオンにしてください。パスワードが漏れても、それだけではログインできなくなります。

カード番号が漏れたら、カード会社に連絡して明細を見る

カード番号が含まれていたら、カードの裏面にある番号からカード会社に連絡します。漏洩の発表があったことを伝えれば、カードの利用停止や番号を変えた再発行の相談に乗ってもらえます。

あわせて、これまでの明細を見直してください。不正利用の補償には、多くのカード会社で「明細の通知から60日以内に届け出ること」といった期限があります。たとえばJCBは、該当する明細の通知後60日以内の届け出を補償の条件にしています(出典:JCB「カード不正利用時の補償」)。期限や条件はカード会社ごとに違うので、自分のカードの規約で確認するのが確実です。少額の見覚えのない請求は、本番の不正利用の前に「使えるカードか」を試していることがあるので、金額が小さくても見逃さないでください。

漏洩のあとに増える「便乗フィッシング」に気をつける

漏洩のニュースが出たあとは、その会社を名乗る「お詫び」「補償のご案内」「パスワード再設定のお願い」のメールやSMSが増えます。本物の通知と見分けがつきにくいので、メールやSMSのリンクからはログインしない、と決めておくのがいちばん確実です。

確認したいときは、ブックマークや公式アプリから自分でアクセスします。届いたメールが偽物だと気づいたら、フィッシング対策協議会のWebフォームか、info@antiphishing.jp への転送で報告できます(出典:フィッシング対策協議会「フィッシングの報告」)。迷惑メールフォルダに入ったものは検知済みなので、報告はいりません。

会社には、報告と本人への通知の義務がある

一定の条件にあたる漏洩では、会社は個人情報保護委員会への報告と、本人への通知をしなければなりません。2022年4月から義務になっています。条件は次の4つのどれかです(出典:個人情報保護委員会「漏えい等の対応とお役立ち資料」)。

  • 病歴などの「要配慮個人情報」が含まれる(そのおそれがある場合も含む。以下同じ)
  • 不正に使われると、お金の被害が出るおそれがある(クレジットカード番号など)
  • 不正アクセスなど、不正な目的で行われたおそれがある
  • 対象の人数が1,000人を超える

委員会への報告は、発覚から3〜5日以内の速報と、30日以内(不正な目的のおそれがある場合は60日以内)の確報の2段階です。ニュースで最初に出る件数は速報段階の数字で、確報で変わることがよくあります。本人への通知は「速やかに」とされていて、日数は決まっていません。連絡先が分からないなどで通知が難しいときは、公表や問い合わせ窓口の設置で代えることもできます(出典:個人情報保護委員会「漏えい等報告・本人への通知の義務化について」)。

つまり、対象なのに通知が来ないこともあります。気になる場合は、会社の発表にある問い合わせ窓口に、自分から確認するのが確実です。

困ったときの相談先

不正利用や不審な連絡があったときの相談先は、内容によって分かれます。

困っていること 相談先
カードの不正利用・見覚えのない請求 カード会社(カード裏面の番号)
会社の対応への不満・補償の相談 消費者ホットライン188(近くの消費生活センターにつながります)
個人情報の扱いについての疑問 個人情報保護委員会の個人情報保護法相談ダイヤル(03-6457-9849・平日9:30〜17:30)
不正アクセス・詐欺の被害 警察のサイバー事案の相談窓口、警察相談専用電話 #9110
フィッシングメール・SMSを受け取った フィッシング対策協議会

121件を集めて分かった、漏洩は「一度確認して終わり」にならない

漏洩白書を毎時更新していて、いちばん意外だったのは続報の多さです。最初の発表では「最大◯万件」「調査中」と書かれていたものが、数週間後に件数が増えたり、漏れた項目にカード情報が加わったりします。10月16日に公表された日本経済新聞社の件でも、約183万件のうち個人情報は約15万件と、中身を読まないと分からない内訳がありました。ニュースの見出しの数字だけで「自分は関係ない」と判断するのは早いです。

もう1つは、委託先やSaaS経由の漏洩が23件もあることです。自分が契約したのはA社なのに、A社が使っている配送や会員管理の会社から漏れる。利用者からは委託先の名前が見えないので、ニュースに出る会社名と自分の利用履歴が結びつきにくいのです。だから受信箱で会社名を検索するときは、通販や予約サービスなど「どこかで一度だけ使った」ものまで含めて探すのがおすすめです。

ぼくがこのボードを作ったのも、個別のニュースを追うだけでは、自分が使ったサービスの続報を取りこぼすと感じたからです。直近の追加には毎時のチェックで新しく載った案件が並び、訂正や件数の更新も記録しています。

よくある質問

漏洩の通知が届いたら、まず何をすればいいですか?

通知メールのリンクは使わずに、会社の公式サイトから発表を開き、漏れた項目を確認します。パスワードが含まれていれば、そのサービスと使い回していたサービスで変更し、カード番号が含まれていればカード会社に連絡します。

自分の情報が漏れたかどうか、調べる方法はありますか?

会社の公式発表で対象の条件を確認し、受信箱でその会社名を検索して利用履歴を探すのが確実です。漏洩白書2026では、2026年に公表された案件を会社名で検索でき、受信箱チェックで掲載社名をまとめて検索することもできます。

漏洩した会社から補償はもらえますか?

会社によって対応が違います。お詫びとしてポイントや金券を配るケースがありますが、法律で一律に決まっているわけではありません。実際に不正利用の被害が出た場合は、カードの補償制度を使い、会社の対応に納得できなければ消費者ホットライン188に相談できます。

電話番号が漏れたら、番号を変えたほうがいいですか?

すぐに変える必要はありません。知らない番号からのSMSのリンクを開かない、電話で個人情報や認証コードを聞かれても答えない、の2つを徹底すれば多くの被害は防げます。しつこい詐欺電話が続く場合に、番号の変更を検討してください。

まとめ:慌てず、確かめてから、項目ごとに動く

漏洩のニュースを見たら、自分が対象かを確かめ、漏れた項目に合わせて対処し、便乗フィッシングを避ける。この順番を守れば、やるべきことは意外と少ないです。

  • 対象かどうかは、会社の公式発表と受信箱の検索で確かめる
  • パスワードは、使い回していた先まで変えて、多要素認証をオンにする
  • カード番号が漏れたら、カード会社に連絡して明細を見直す
  • お詫びや補償を名乗るメール・SMSのリンクからはログインしない
  • 件数や項目は続報で変わるので、一度確認して終わりにしない

2026年に公表された漏洩は、漏洩白書2026にまとめています。使ったことのあるサービスが載っていないか、一度のぞいてみてください。新しい案件はX(@yosooi3)とThreadsでも「#漏洩白書2026」でお知らせしています。

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