最終更新:2026年10月19日
合同会社の設立費用は、自分で電子定款を作って申請すれば、法定の費用は登録免許税の6万円からです。登録免許税は資本金の0.7%で、それが6万円に満たなければ6万円になります。定款を紙で作ると収入印紙4万円が加わって10万円から、司法書士や設立サービスに頼むと、その報酬や料金が上に乗ります。この記事では、40歳でtiny合同会社を一人で作ったぼくが、公式ページで確認できた金額だけを使って、費用の内訳と「自分で/司法書士/設立サービス」の選び方を整理します。内容は最終更新日時点の制度にもとづいています。
合同会社の設立費用とは?結論から
合同会社の設立費用で、誰が手続きしても必ずかかるのは登録免許税だけです。それ以外の費用は「定款を紙にするか電子にするか」と「誰に手を動かしてもらうか」で変わります。まず全体像を表にします。
| 費目 | 金額 | 必ずかかるか | 確認した公式ページ |
|---|---|---|---|
| 登録免許税(設立登記) | 資本金×0.7%。6万円に満たなければ6万円 | 必ずかかる | 法務省 合同会社の設立手続について/国税庁 No.7191 |
| 収入印紙(定款の印紙税) | 紙の定款なら4万円、電子定款なら不要 | 紙の場合だけ | 国税庁 No.7141/国税庁 質疑応答事例 |
| 定款認証の手数料 | 不要(合同会社は公証人の認証を受けない) | かからない | 日本公証人連合会 定款認証 |
| 司法書士の報酬・設立サービスの料金 | 事務所・サービスごとに異なる | 頼んだ場合だけ | 各事務所・各社の案内で確認 |
つまり、費用の最低ラインは「登録免許税6万円」、そこから「紙なら+4万円」「人に頼むなら+報酬」と積み上がる構造です。資本金は会社のお金として残るので、設立費用には入りません。
制度・要件・費用──公式ページで確認した内訳
登録免許税の計算と、紙と電子で印紙税が分かれる理由を押さえれば、設立費用の見積もりは自分でできます。どちらも法務省と国税庁のページで条件が明示されています。
法務省の案内によると、登録免許税は資本金の額に1000分の7を掛けた金額で、計算した税額が6万円に満たないときは申請1件につき6万円です(登録免許税法 別表第一 第24号(1)ハ)。資本金ごとの計算例を出します(金額は架空の例です)。
| 資本金(例) | 資本金×0.7% | 登録免許税 |
|---|---|---|
| 10万円 | 700円 | 6万円(最低額) |
| 100万円 | 7,000円 | 6万円(最低額) |
| 500万円 | 3万5,000円 | 6万円(最低額) |
| 1,000万円 | 7万円 | 7万円 |
計算すると、6万円÷0.7%は約857万円です。資本金がそれ以下なら登録免許税は一律6万円で、それを超えたところから資本金に比例して増えます。一人で作る合同会社の多くは、最低額の6万円に収まります。
印紙税は、国税庁の印紙税額の一覧表で「第6号文書 定款」として4万円と定められています。対象は株式会社・合名会社・合資会社・合同会社などの設立のときに作成される定款の原本で、国税庁の質疑応答事例「課税される定款の範囲」によると、合同会社が定款を何通か作っても課税されるのは原本1通だけです。一方で、国税庁は別の質疑応答事例で「電磁的記録は文書に含まれません」と答えています。日本公証人連合会の定款認証のページにも、電子定款による場合は収入印紙を貼る必要がない旨が書かれています。紙と電子で4万円の差が出るのは、このためです。
電子定款にするには、定款をPDFにして電子署名を付けます。法務省は、一人で合同会社や株式会社を作る場合、マイナンバーカードの公的個人認証サービスの電子証明書があれば、設立登記を完全オンラインで申請できると案内しています。書面で申請する場合は、会社の印鑑を届け出る印鑑届書と、代表社員個人の印鑑証明書(作成後3か月以内)も用意します(法務省 合同会社の設立手続について)。
比べ方──自分で・司法書士・設立サービスの3択
設立の進め方は「自分で全部やる」「司法書士に頼む」「設立サービスを使って自分で出す」の3つで、違いは登録免許税以外の費用と、自分が手を動かす量です。登録免許税はどれを選んでも同じ額がかかります。
| 進め方 | 書類を作る人 | 申請する人 | 登録免許税以外の費用 | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| 自分で全部やる | 自分 | 自分(窓口・郵送・オンライン) | 電子定款なら0円。紙なら印紙4万円 | 調べものが苦にならない人。電子署名の準備ができる人 |
| 司法書士に頼む | 司法書士 | 司法書士(代理) | 司法書士の報酬(事務所ごとに異なる) | 時間を買いたい人。定款に相続や複数社員の定めなど込み入った内容を入れたい人 |
| 設立サービスを使う | 自分(サービスの画面に入力) | 自分 | サービスの料金。電子定款に対応するかで印紙の要否が変わる | 書類の形式は任せたいが、申請は自分でできる人 |
資本金100万円の合同会社を例に、3つの進め方の費用を並べるとこうなります(架空の例です)。
- 自分で電子定款を作って申請する:登録免許税6万円。合計6万円
- 自分で紙の定款を作って申請する:登録免許税6万円+収入印紙4万円。合計10万円
- 司法書士に頼む:登録免許税6万円+司法書士の報酬(紙の定款で作るなら印紙4万円も)
- 設立サービスを使う:登録免許税6万円+サービスの料金(紙の定款で作るなら印紙4万円も)
司法書士の報酬と設立サービスの料金は、事務所や会社ごとに異なるので、この記事では金額を書きません。見積もりを取るときは、「登録免許税と印紙代が含まれた総額か、報酬だけの額か」と「電子定款で作るか」の2点を必ず確認してください。ここを揃えないと、安く見える見積もりと高く見える見積もりを正しく比べられません。
一人で会社を作る人の判断ポイント
一人で合同会社を作る人にとって、設立費用の選択は「お金で払うか、自分の時間で払うか」の選択です。登録免許税の6万円はどうやっても動かないので、悩むべきなのは残りの部分だけです。
ぼくの場合、設立費用の中心は登録免許税の6万円でした。定款と登記の書類は、freee会社設立の画面に沿って会社名や住所、事業内容を入力して出力し、法務局の窓口に持ち込みました。ぼくは経理や書類整理のようなバックオフィスがかなり苦手ですが、書類の形をツールに任せたことで、身構えていたほどの難しさはありませんでした。設立前後にやったことは一人で合同会社を設立したときにやったことリストに、設立の手順と法人化の損得は一人で法人を作るということにまとめています。
一人で判断するときの目安は次の3つです。
- 電子署名の準備ができるか:マイナンバーカードと読み取りの環境があれば、印紙の4万円を払わずに済みます。準備が負担なら、その手間と4万円を天秤にかけます。
- 定款に特別な定めを入れるか:一人の合同会社でも、相続人が持分を引き継ぐ定めなど、自分の事情に合わせた条項を入れたいなら、司法書士に相談する価値が上がります。
- 設立後の手続きまで見ているか:設立はスタートで、そのあとに税務署などへの届出、会計、口座開設が続きます。設立でお金を浮かせても、設立後に詰まれば同じことです。
書類を自分で作る段まで来たら、選択肢をもう一つ挙げておきます。ぼくは自分の設立のあと、合同会社と株式会社の定款と設立書類一式をブラウザの中だけで作れる無料ツールなりわいさんを作りました。入力した内容はどこにも送信しない設計です。紙の定款を電子定款にするまでの手順は、なりわいさんの電子定款ガイドにまとめています。
よくある間違いと注意点
設立費用でいちばん多い間違いは、「0円で設立できる」という言葉を、登録免許税まで0円になると読んでしまうことです。登録免許税は国に納める税金なので、誰に頼んでも最低6万円はかかります。ほかにも間違えやすい点を並べます。
- 資本金を費用に数える:資本金は会社の口座に残るお金で、設立で消えるお金ではありません。設立費用と資本金は別に考えます。
- 紙の定款に印紙を貼り忘れる:紙で作るなら、原本1通に4万円の印紙が必要です。電子定款なら不要です。
- 株式会社の費用と混ぜて調べる:株式会社は登録免許税の最低額が15万円で、公証人の定款認証の手数料(資本金100万円未満で3万円など)もかかります(国税庁 No.7191・日本公証人連合会)。検索結果の「会社設立の費用」が株式会社の話なのか、必ず確かめてください。
- 設立後に毎年かかる税金を忘れる:法人住民税の均等割は、利益ではなく資本金等の額と従業者数で決まるため、利益が出ない年にもかかります。東京都の特別区だけに事務所がある法人で、資本金等の額が1千万円以下・従業者50人以下なら年7万円です(東京都主税局の均等割の税率表)。他の道府県の額は、各自治体の案内で確認してください。
この記事は、最終更新日時点の制度で、公式ページで確認できた金額だけを書いています。個別の判断(自分の会社がどうするか)は、税理士・司法書士・社労士に確認してください。設立後の相談相手を探すなら、税理士ドットコムをすすめる理由に探し方を書いています。
合同会社の設立費用に関するよくある質問
合同会社の設立費用について、検索で一緒に調べられている「ひとりで」「司法書士」「freee」「株式会社との違い」の疑問に答えます。金額は、最終更新日時点で公式ページで確認できたものだけです。
合同会社をひとりで設立すると、費用は最低いくらですか?
自分で電子定款を作って申請し、資本金が約857万円以下なら、法定費用は登録免許税の6万円だけです。定款を紙で作る場合は、収入印紙4万円が加わって10万円になります。会社の印鑑など、実費として別にかかるものもあります。
合同会社の設立を司法書士に頼むと、費用はいくらかかりますか?
登録免許税の6万円(資本金によってはそれ以上)に、司法書士の報酬が加わります。報酬は事務所ごとに異なるので、見積もりを取って比べてください。その際は、登録免許税や印紙代を含む総額か、報酬だけの額かをそろえて比べるのが大切です。
freeeなどの設立サービスを使うと、設立費用は安くなりますか?
登録免許税は誰が手続きしても同じ額なので、設立サービスで下がることはありません。変わるのは、定款を電子定款にできるかどうかによる印紙4万円の有無と、サービス自体の料金です。料金と対応範囲は、各社の公式ページで最新の内容を確認してください。
合同会社と株式会社で、設立費用はどれくらい違いますか?
資本金50万円で電子定款を使う例では、合同会社は登録免許税の6万円です。株式会社は登録免許税の最低額15万円に定款認証の手数料3万円が加わって18万円、さらに定款の謄本代(1枚250円)がかかります。法定費用だけで12万円以上の差になります。
おわりに──設立費用で決めるのは、金額ではなく「誰が手を動かすか」
合同会社の設立費用は、6万円の登録免許税が床で、そこから上は全部「自分でやるか、人に頼むか」の値段です。4万円の印紙は電子署名の手間で、司法書士の報酬は自分の時間で置き換えられます。見積もりを比べる前に、自分がどこまで手を動かせるかを決めてください。それが決まれば、設立費用はほとんど決まります。