転職戦略

総合系・戦略系・国内系コンサルの違いと代理店出身者の狙い目

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「コンサルに転職したい」の前に、3つの分類を知っておく

代理店からコンサルへの転職を考えるとき、最初にぶつかるのが「どのコンサルを受ければいいのか」という問題です。ぼくは博報堂に13年いたあと、アクセンチュアに転職しました。その経験から言えるのは、コンサルは大きく3分類あって、求められるスキルも入りやすさもまったく違うということです。

この記事では、BIG4(総合系)・MBB(戦略系)・国内系DXコンサルという3つの分類の違いを整理して、代理店出身者がどこを狙うべきかの判断軸を書きます。

コンサルの3分類とは何か

コンサルティングファームは、ざっくり以下の3つに分けられます。

  • 総合系(BIG4):デロイト トーマツ コンサルティング、PwCコンサルティング、EYストラテジー・アンド・コンサルティング、KPMGコンサルティング。アクセンチュアもここに含まれることが多いです
  • 戦略系(MBB):マッキンゼー・アンド・カンパニー、ボストン コンサルティング グループ(BCG)、ベイン・アンド・カンパニー
  • 国内系DXコンサル:アビームコンサルティング、ベイカレント・コンサルティング、シグマクシスなど

「コンサルに行きたい」と言う人の多くが、この3つの違いを曖昧にしたまま動き始めます。でも、それぞれ仕事の内容もカルチャーも、代理店経験の評価のされ方もかなり違います。

BIG4(総合系コンサル)の特徴

何をやっているのか

総合系コンサルは、戦略立案から業務改革、IT導入、組織変革まで、経営課題を幅広くカバーしています。クライアント企業のなかに入り込んで、数カ月から年単位でプロジェクトを回すのが基本です。

ぼくがいたアクセンチュアもそうでしたが、ファーム内にマーケティング、サプライチェーン、テクノロジーなど専門領域ごとのユニットがあって、社員はどこかの「箱」に所属します。代理店出身者はマーケティングやデジタル領域の部門に配属されることが多いです。

代理店出身者のどこが評価されるのか

BIG4で評価されやすいのは、以下のような経験です。

  • クライアントの事業課題を起点にした提案をしてきた経験
  • データ分析やデジタル施策の知見(運用型広告、CRM、MA周辺)
  • 複数のステークホルダーを巻き込んでプロジェクトを進めた経験
  • 予算管理やPL管理の経験

ぼく自身、面接では「クライアント企業のマーケティング組織そのものをどう変えたか」をかなり聞かれました。広告をつくった話ではなく、「事業にどうインパクトを与えたか」を語れるかどうか。ここが分かれ目です。

BIG4の注意点

総合系は採用数が多い分、入った後の配属リスクがあります。マーケティング領域を志望していたのに、人が足りないERP導入プロジェクトにアサインされる、みたいなことは普通に起きます。

「コンサルに入れば上流の仕事ができる」となんとなく思っている人は、ここで面食らうかもしれません。配属ガチャという言葉があるくらいで、事前に所属ユニットの仕事内容を面接で具体的に確認しておくことが大事です。

MBB(戦略系コンサル)の特徴

何をやっているのか

MBBは、経営トップ層の意思決定を支える戦略立案に特化しています。「この事業に参入すべきか」「どの市場を優先するか」「M&Aの対象をどう評価するか」といった、経営の上流中の上流です。

プロジェクト期間は数週間から3カ月程度が多く、少人数のチームで高速にアウトプットを出します。BIG4のように現場に入り込んで「実行」まで伴走するケースは、従来は少なめでした。ただ最近はBCGやマッキンゼーでも実行支援やデジタル領域に広がっている傾向はあります。

代理店出身者のどこが評価されるのか

包み隠さず書くと、MBBにおいて「代理店出身」という経歴は、それ自体ではあまりプラスに働きません。

MBBの選考で問われるのは、論理的思考力、仮説構築力、定量分析力です。いわゆるケース面接が複数回あって、ここを突破できるかどうかがほぼすべてです。代理店でどんなクライアントを担当していたか、よりも「地頭」と呼ばれる思考の筋力が見られます。

だから代理店の経験が無意味というわけではないのですが、「代理店出身だから受かりやすい」ということはないです。むしろ、事業会社のマーケ経験者やエンジニアのほうが最近は採用されやすいという話も聞きます。

MBBの注意点

当然ですが、選考難度が極めて高いです。リクルートワークス研究所の転職市場調査を見ても、コンサル業界全体で中途採用は活発ですが、MBBに限ると合格率は数パーセントとも言われます。

それに、入社後の働き方もかなりハードです。週末も稼働するプロジェクトは珍しくないですし、アウトプットの質に対する要求水準は代理店とは別次元です。「上流をやりたい」というだけの動機で飛び込むと、ギャップに苦しむ可能性は高いです。

国内系DXコンサル(アビーム・ベイカレントなど)の特徴

何をやっているのか

アビームコンサルティングやベイカレント・コンサルティングなどの国内系ファームは、日本企業のDX推進や業務改革を主なテーマにしています。SAP導入、基幹システム刷新、データ基盤構築といったITに近いプロジェクトが多いのが特徴です。

最近はマーケティングDXやCX(顧客体験)関連のプロジェクトも増えていて、代理店出身者の活躍の場は広がっています。

代理店出身者のどこが評価されるのか

国内系DXコンサルでは、以下のような経験が評価されやすいです。

  • デジタルマーケティングの実務経験(広告運用、SEO、CRM設計など)
  • マーケティングオートメーション(MA)やCDPの導入・運用経験
  • クライアント企業のデジタル部門と直接やりとりしてきた経験

BIG4ほど「経営課題起点」の視座を求められるわけではなく、「デジタル施策の実務を回せる人」としての評価が入り口になります。代理店のデジタル部門にいた人にとっては、いちばん経験を接続しやすい分類だと思います。

国内系DXコンサルの注意点

ITシステム寄りのプロジェクトが多いので、マーケティング以外の領域にアサインされる可能性はBIG4以上にあります。「マーケの上流をやりたい」と思って入ったのに、ふたを開けたらシステム要件定義ばかりだった、という話は実際に聞きます。

あと、年収レンジはBIG4やMBBと比べるとやや控えめな傾向があります。具体的な数字はファームや職位によって幅があるので一概には言えませんが、「コンサル=高年収」というイメージだけで転職するとギャップを感じるかもしれません。

代理店出身者が入りやすい順

ぼく自身の転職経験と、アクセンチュア時代に中途面接を担当した感覚を総合すると、代理店出身者が内定を得やすい順はこうです。

  • 1位:BIG4(総合系)のマーケティング・デジタル部門 採用枠が大きく、代理店経験との親和性が高い。特にアクセンチュアのインタラクティブ(ソング)部門やデロイトデジタルは代理店出身者を積極的に採用しています
  • 2位:国内系DXコンサル デジタルマーケ経験があれば即戦力として評価されやすい。ケース面接がないか、あっても比較的ライトなファームが多い
  • 3位:MBB(戦略系) 代理店出身であること自体の優位性はほぼない。ケース面接の準備に数カ月かかるのが一般的で、選考突破のハードルが段違いに高い

ただし「入りやすい=自分に合う」ではないです。この順番は、あくまで選考通過のしやすさの話です。

3分類の違いを一覧で比較する

ここまでの内容を表にまとめます。

BIG4(総合系) MBB(戦略系) 国内系DXコンサル
代表的なファーム デロイト、PwC、EY、KPMG、アクセンチュア マッキンゼー、BCG、ベイン アビーム、ベイカレント、シグマクシス
主な仕事内容 戦略〜実行まで幅広く 経営戦略立案が中心 DX・IT導入が中心
プロジェクト期間 数カ月〜年単位 数週間〜3カ月 数カ月〜年単位
代理店経験の評価 高い(特にデジタル領域) 経歴より思考力重視 デジタル実務経験が直結
選考の特徴 ケース面接あり(ファームによる) ケース面接が最重要 ケース面接なし or ライト
代理店出身者の入りやすさ ◎ △ ○

代理店出身者がコンサルを選ぶときの判断軸

「入りやすい順」だけで選ぶと後悔します。ぼくが思う判断軸は3つです。

判断軸1:何を「上流」と呼んでいるか

代理店からコンサルに行きたい人の多くが「もっと上流の仕事がしたい」と言います。でも「上流」の意味がファームによってまったく違います。

MBBの上流は「経営の意思決定を左右する戦略提言」です。BIG4の上流は「事業課題を定義して、解決策を設計すること」です。国内系DXコンサルの上流は「業務プロセスやシステムの全体設計」に近いです。

自分が言っている「上流」がどれなのか、ここを曖昧にしたまま動くと、入社後に「思ってたのと違う」となります。

判断軸2:マーケティング領域にとどまりたいかどうか

代理店出身者にとって、コンサルに行く意味は「マーケティングの枠を超えた経験を積むこと」にあるとぼくは思っています。でも、だからといって全然関係ない領域に放り込まれたいわけでもないですよね。

BIG4のマーケティング部門なら、マーケ領域を軸にしつつ事業戦略や組織変革にも関わるチャンスがあります。国内系DXコンサルだと、マーケから離れてIT寄りの仕事になる可能性が高めです。MBBは最初から領域を問わない仕事のやり方です。

「マーケの延長線上でキャリアを広げたい」のか、「マーケとは別の軸で勝負したい」のか。ここを考えておくと、選ぶファームが絞れます。

判断軸3:選考準備にどれだけ時間をかけられるか

現実的な話として、MBBを本気で受けるなら、ケース面接の対策に最低2〜3カ月は必要です。仕事をしながらの準備になるので、そこにリソースを割けるかどうかは大きな問題です。

BIG4や国内系なら、職務経歴書と面接対策を1カ月程度で仕上げて動き始められます。「転職のタイミングを逃したくない」という人にとっては、選考準備の重さも判断材料になります。

コンサル業界に詳しいエージェントを使う意味

コンサルへの転職は、ファームごとに選考プロセスや評価基準がかなり違います。ぼくが転職したときも、総合転職エージェントだけではファームごとの違いがよくわからなくて、コンサル業界に特化したエージェントに相談して初めて「自分はどこを受けるべきか」が見えました。

ぼくが実際に使った転職サービスや、代理店→コンサルの転職で何が変わったかは広告代理店からコンサルに転職して、本当に変わったこと|博報堂→アクセンチュアのぼくが使った転職サービスに詳しく書いています。

コンサル特化型のエージェントは、各ファームの部門単位の採用動向や、どのユニットが代理店出身者を欲しがっているかといった情報を持っています。総合型エージェントだけで動くよりも、ファーム選びの精度は確実に上がります。

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よくある質問

代理店で「営業」だった人もコンサルに転職できるのか

できます。代理店の営業はクライアントの課題をヒアリングして提案をまとめる仕事なので、コンサルの仕事との共通点は多いです。特にBIG4の総合系は、提案型の営業経験を評価する傾向があります。ただしデジタルやデータ分析のスキルが薄い場合、マーケティング部門以外に配属される可能性は考えておく必要があります。

ケース面接の対策は独学でできるのか

できなくはないですが、独学だけだと自分の回答の癖に気づけないのが難点です。ぼくの周囲でMBBに受かった人は、ケース面接対策の勉強会を組んだり、コンサル特化のエージェントで模擬面接を受けたりしていました。BIG4でもケース面接を課すファームはあるので、最低限の対策はしておいたほうがいいです。

代理店からコンサルに転職すると年収は上がるのか

ファームと職位によります。BIG4のマネージャー以上で入れれば、大手代理店の同年代よりも高くなるケースが多いです。ただ、コンサルタント(マネージャーの一つ下)クラスでの入社だと、大手代理店とそこまで変わらないこともあります。年収だけを目的にすると判断を誤るので、年収レンジはエージェントに直接確認するのがいちばん確実です。

30代後半からでもコンサルに転職できるのか

ぼくは37歳でアクセンチュアに転職しました。30代後半でも、専門性と実績があれば十分に可能性はあります。ただ、年齢が上がるほど「即戦力」としての期待値が上がるので、マネージャー以上のポジションで採用されることが前提になります。未経験領域へのチャレンジは年齢とともに難しくなる、というのが実感です。

どの分類が正解かは、自分の「上流」の定義で決まる

BIG4・MBB・国内系DXコンサル、それぞれに良さがあって、それぞれに代理店出身者にとっての落とし穴があります。

ぼくがアクセンチュア(BIG4側)を選んだのは、マーケティング領域を軸にしつつ、事業戦略や組織の話にも踏み込みたかったからです。MBBに行く力があったかと言われると、正直わかりません。でも、自分が言う「上流」が何なのかをはっきりさせたことで、迷わずに動けました。

「コンサルに行きたい」という気持ちの中身を、もう一段だけ具体的にしてみる。それだけで、受けるべきファームは絞れるはずです。

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