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転職の軸の作り方──「何のために転職するか」を整理する方法

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転職活動で一番最初に詰まるのは、履歴書でも面接でもなく「そもそも何のために転職するのか」だと思います。

ぼく自身、博報堂からアクセンチュアへ転職したとき、最初はなんとなく「次のステージに行きたい」という感覚だけがあって、具体的に何を求めているのかが曖昧でした。エージェントとの面談で「転職の軸はなんですか?」と聞かれて、うまく答えられなかったのを今でも覚えています。

そのときは「年収を上げたい」「もっと裁量が欲しい」という言葉をなんとか絞り出しましたが、それが本当の軸だったのかは自信がなかった。結果として転職自体は成功しましたが、「軸を先に整理していれば、もっと迷わなかった」という感覚は残っています。

軸がないまま転職活動を進めると、求人に振り回されます。「これも良さそう」「あれも面白そう」と広がっていくうちに、自分が何を選んでいるのかわからなくなる。軸があれば、逆に「これは違う」と切れるようになります。転職活動のスピードと、入った後の満足度、両方が変わります。

「転職の軸」とは何か

転職の軸とは、求人を選ぶときの判断基準です。複数の選択肢を前にしたとき、「これは自分が求めているものに近いか」を判断するための軸です。

マーケティングの言葉で言うと、ターゲット設定に近い考え方です。誰に届けるか・何を提供するかを決めないまま施策を打っても結果が出ない。転職も同じで、自分が何を求めているかを決めないまま求人を眺めていても、判断の基準がないので選べない。

軸には大きく2種類あります。

  • 条件軸──年収・勤務地・リモートワーク・勤務時間・業種など、客観的に比較できるもの
  • 価値観軸──どんな仕事がしたいか・どんな環境で働きたいか・何を成し遂げたいか、という主観的なもの

多くの人は条件軸だけで考えます。「年収600万以上・フルリモート・大手企業」という条件で絞る。でも、条件が揃っていても入ってみたら合わなかった、という話はよく聞きます。条件軸は「入社の判断基準」にはなれますが、「働き続けられるかどうか」は価値観軸で決まることが多い。両方を意識することが大事です。

軸を作る前に、まず「棚卸し」をする

転職の軸を作るには、先に自分の過去を整理する必要があります。軸は頭の中で考えるものではなく、過去の経験から掘り起こすものだからです。「将来どうしたいか」だけを考えても、根拠のない希望になりやすい。過去の実体験から引き出した軸の方が、面接でも説得力を持ちます。

① 「楽しかった仕事」「しんどかった仕事」を書き出す

過去の仕事を振り返って、楽しかったもの・しんどかったものをそれぞれ書き出します。楽しかった仕事の共通点が「自分が動きやすい環境」の手がかりになり、しんどかった仕事の共通点が「避けるべき環境」の手がかりになります。

ぼくの場合、博報堂での仕事を振り返ったとき、大きなプレゼンより小さなチームで裁量を持って動いたプロジェクトの方が楽しかった。クライアントの大小ではなく、「自分がどれだけ設計に関われたか」が楽しさに直結していた。これが「規模より裁量」という軸の原型でした。

② 「なぜ今の職場を離れたいのか」を深掘りする

「なんとなく違う」「もっとやれる気がする」という感覚を、もう一段掘り下げます。

「職場の人間関係が嫌だ」→「なぜ嫌か」→「フラットに議論できない文化が合わない」→「自分は対等に意見を言い合える環境を求めている」という具合に、感情の理由を辿ると価値観が出てきます。「給料が低い」も同様で、「なぜ低いことが嫌か」を辿ると「自分の貢献が正当に評価されていない感覚」という価値観が出てくることがあります。

表面の不満に答えを出そうとするより、不満の根にある価値観を見つける方が、軸として機能します。

③ 「3年後の自分」から逆算する

3年後にどういう状態でいたいかを具体的にイメージします。何ができるようになっていたいか、どんな仕事をしていたいか、どんな人と働いていたいか。

このとき「年収〇〇万円」だけで考えると浅くなります。「何の専門性を持っている人になっていたいか」「どんな環境で成果を出している自分か」を具体的に描くと、軸になるものが見えてきます。逆算した未来像から「そのためには今回の転職で何が必要か」を考えると、軸の優先度も整理しやすくなります。

軸の作り方──マーケター流の整理法

ぼくがやっている方法は、マーケターが「顧客インサイト」を整理するときの考え方を自分に使うやり方です。顧客(=自分)が本当に求めていることを、表面の言葉ではなく行動と感情から掘り起こす。

以下の4つの問いに答えてみてください。

① 何があれば「良い転職だった」と思えるか

転職後の自分を想像して、「これが実現していれば満足」というゴールを書きます。収入・成長・環境・人間関係など、複数の軸で答えてみます。「毎朝仕事が楽しみで起きられる」という感覚的なものでも構いません。むしろ感覚的な答えの方が、本質的な価値観に近いことがあります。

② 何があったら「転職しなければよかった」と思うか

ネガティブな条件を洗い出します。絶対に避けたい環境・仕事・文化を明確にすることで、「やりたいこと」だけでなく「やりたくないこと」も軸になります。「やりたくないことリスト」は、面接で志望動機を聞かれたときの逆引き辞書にもなります。

③ 今の職場で「続けたい」と思っている部分はあるか

全部が嫌で転職したい、という人はそれほど多くないはずです。今の環境の中で好きな部分・残したい部分があれば、そこも軸のヒントになります。「今の仕事の○○だけは好きだ」という部分を転職先でも確保できるかどうかが、入社後の満足度に影響します。

④ 自分が一番パフォーマンスを発揮できる環境はどこか

得意な仕事、自然と成果が出た経験、褒められたことの共通点を探します。「自分が活きる条件」が、転職先に求める環境の軸になります。「チームより一人で動く方が成果が出る」「逆にチームで動く方が力が出る」という違いも、環境選びに直結します。

軸は「3つ以内」に絞る

整理していくと、軸の候補がたくさん出てきます。でも、軸が多すぎると機能しません。条件が10個あったら、ほぼすべての求人が「合わない」になってしまう。完璧な求人は存在しないので、優先度が高いものを3つに絞ることが重要です。

ぼくが転職したときの軸は、結果的にこの3つでした。

  1. 専門性を深められる環境──マーケティングのスキルを体系的に身につけられるか
  2. 裁量を持って動けるか──言われたことをやるより、自分で設計して動ける仕事か
  3. フラットな組織文化か──年功序列より実力と議論で動く環境か

これが決まっていると、求人を見たときに「この会社はどうか」という判断が素早くできます。3つのうち2つ満たしていれば応募する、という基準を持てると、転職活動のスピードが上がります。

軸がブレる3つのパターン

転職活動を進めていくうちに、最初に決めた軸がブレていくことがあります。よくあるパターンを3つ挙げます。

① 年収に目が行って価値観軸が後回しになる

内定が出た瞬間、提示された年収が予想より高くて「これでいいか」と思ってしまう。条件軸だけで判断して、価値観軸を確認しないまま入社する。入ってから「思っていたのと違う」になりやすいパターンです。

② 隣の芝生が青く見えて軸が揺れる

活動を始めると「こんな求人もあるのか」という発見が続きます。最初に決めた軸と関係のない求人に興味が出て、軸が拡散していく。気づいたら当初と全然違う方向で応募していた、ということが起きます。迷ったときに「最初に決めた3つの軸に照らすとどうか」に戻ることが必要です。

③ エージェントの意見に引っ張られる

エージェントの仕事は求人を紹介することなので、「この会社もいいですよ」という提案は必ず来ます。担当者の熱量や説明の上手さに影響されて、軸と関係ない求人に応募し始める。エージェントの意見は参考にしつつ、最終判断は自分の軸に照らして行うことが重要です。

エージェントへの軸の伝え方

軸が決まったら、エージェントとの最初の面談でそのまま伝えます。「年収・業種・職種」だけでなく、価値観軸も一緒に伝えることで、担当者が出してくる求人の精度が変わります。

伝え方の例としては、こんな形が使いやすいです。

「転職では3つの軸を重視しています。①専門性を伸ばせる環境、②自分で設計して動ける裁量、③フラットな組織文化です。年収は〇〇万円以上を希望していますが、この3つが揃っていれば業種にはこだわっていません。逆に、年功序列が強く意見を言いにくい環境は避けたいと思っています。」

条件だけでなく「避けたい環境」も伝えることで、担当者が求人を絞りやすくなります。価値観軸を言語化して伝えられる人は少ないので、それだけで担当者からの信頼度が上がり、対応の質が変わります。

軸と「直感」の使い分け

軸を整理することは大事です。でも、軸だけで転職先を決めようとすると、逆に動けなくなることがあります。

説明できない「なんかいい感じがする」「この会社の雰囲気が好きだ」という感覚も、意思決定の重要な情報です。面接で会った人たちと話して感じた空気感、オフィスの雰囲気、会話の中で感じた価値観の近さ──これらは軸では測れないけれど、入社後の働きやすさに直結することがあります。

軸で「応募するかどうか」を決めて、直感で「最終的に選ぶかどうか」を決める、という使い分けが現実的だと思います。軸は絞り込みのツールで、最後の決断には自分の感覚も使っていい。

軸を言語化するのが難しいなら、サポートを使う

「自己分析が苦手」「頭ではわかるけど言葉にできない」という人は、一人で整理しようとせずにプロと話した方が早く進みます。

転職エージェントとの面談でも軸の整理はできますが、エージェントの目的は求人紹介なので、軸の深掘りに時間をかけてくれないことも多い。そういう場合は、転職の前段階のサポートに特化したサービスが向いています。

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ポジウィルキャリア──キャリアの軸から整理する

転職のゴール設定・キャリアの軸を作ることに特化したコーチングサービスです。求人紹介ではなく「自分がどうなりたいか」を丁寧に掘り下げることが目的なので、軸が曖昧な段階から使えます。自己分析が苦手で一人では整理しにくい人に特に向いています。

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軸ができたら、転職エージェントに登録する

軸が3つ決まったら、転職エージェントに登録します。軸を持った状態でエージェントと話すと、面談の質が変わります。「こういう軸で動いています」と最初に伝えるだけで、担当者が出してくる求人の精度が上がり、無駄な応募が減ります。

  • リクルートエージェント──国内最大級の求人数。職種・業界問わず幅広くカバー。まず登録するならここ
  • JAC Recruitment──年収500万以上のミドル〜ハイクラスに強い。担当者の質が高く、キャリア相談の深さが違う
  • ビズリーチ──スカウト型。軸が決まっている状態でプロフィールを登録すると、精度の高いスカウトが届きやすくなる

まとめ

転職の軸は、転職活動を始める前に整理しておくべきものです。軸がないと求人を眺めるだけで終わる。軸があると判断が速くなり、後悔が減ります。

整理の手順はシンプルです。過去の経験を棚卸しして、楽しかったこと・しんどかったことの共通点を探す。そこから「自分が動きやすい環境の条件」を3つに絞る。それが転職の軸になります。

活動中にブレそうになったら、最初に決めた3つに立ち返る。エージェントや求人に流されるより、自分の軸を起点に動いた方が、結果として良い転職になる確率が上がります。

言語化が難しければ、anoteやポジウィルキャリアで一緒に整理するのも選択肢です。一人で詰まるより、話しながら整理した方が早く進みます。

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