お金の話

プランナーとマネージャーは、思考の型が根本的に違う

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マーケターのキャリアを考えるとき、よく見落とされていることがあります。

プランナー(実務担当者)とマネージャー(管理職)では、求められる思考の型が根本的に違う、ということです。

スキルを積んでいれば自然にマネージャーになれる、という発想は危ない。プランナーとして優秀だった人が、マネージャーになった途端に機能しなくなるケースを、ぼくは何度も見てきました。

それは能力の問題じゃなく、「思考の型を切り替えられるか」の問題です。

プランナーに必要な3つの思考

① 情報を資産として扱う

プランナーの仕事の出発点は、情報です。

ただ情報を「読む」だけでは足りない。読んだ情報を分析して整理して、次の仮説に繋げる。この一連の処理を習慣にできているかどうかで、プランナーとしての地力が変わります。

情報は蓄積するほど、組み合わせの精度が上がります。昨日読んだ記事と、3年前に見た事例がつながる瞬間。その瞬間を増やすために、インプットとアウトプットの習慣を持つことが必要です。

② 仮説思考を持つ

「なぜ?」を考えるクセがあるかどうか。

言われたことをこなすだけでは、プランナーは成長しません。「なぜこのキャンペーンを今やるのか」「なぜこのターゲットなのか」を、自分なりに考え続けることが必要です。

仮説が間違っていてもいい。仮説を立てる練習を積んでいる人は、正しい問いを立てる速度が上がっていきます。問いの質が、アウトプットの質を決めます。

③ 試行錯誤を恐れない

完璧な企画を出そうとして、動けなくなる人がいます。

プランナーに必要なのは、完璧さより速さと改善の回転数です。70%の精度で早く動き、フィードバックを受けてアップデートする。このサイクルを回せる人が、結果的に精度の高いアウトプットを出し続けられます。

ぼくが博報堂にいたころ、社内スタートアップで一番鍛えられたのはここでした。大きな会社の決裁スピードではなく、小さな組織で即断即実行を繰り返す経験が、思考の型を変えてくれた。

プランナーの発想法:データと感性を両立する

プランナーの発想には、二つの軸があります。

一つは定量データ。数字が示すファクトから仮説を組み立てる。もう一つは定性データ。ユーザーインタビューやソーシャルの声から、数字には出ないインサイトを掴む。

どちらか一方だけ見ている人は、発想が偏ります。データだけ見ている人は、人間が見えない。感性だけの人は、再現性がない。

加えて、ぼくが重要だと思うのが「裏技発想」です。自分の業界の常識を疑い、まったく別の業界の成功事例を持ち込む発想法。「美容業界のあのやり方は、なぜBtoBに使われないのか」という問いを立てるクセが、差別化につながります。

マネージャーに必要な3つの思考

マネージャーになると、求められる思考の型がガラっと変わります。

① 思考の時間を確保する

プランナーのときは、手を動かすことが仕事でした。マネージャーになると、「考えること」が最大の仕事になります。

でも現実には、ルーチン業務と会議に埋もれて、戦略を考える時間が取れなくなる。これは意図的に防がないといけない。思考の時間を守ることが、マネージャーの最初の仕事です。

② プレイヤーを活かして動かす

自分が一番うまくできるから、自分でやる。これはマネージャーとして最も危険な発想です。

マネージャーの仕事は、チームの発想力と実行力を最大化することです。自分の企画力とプランナーの企画力を組み合わせる。そのためには、プランナーが動きやすい環境を整えることが先です。

「メンバーを動かせているか」ではなく、「メンバーが動きたくなっているか」。この違いは大きい。

③ 長期視点を持つ

プランナーは今月の数字を追います。マネージャーは1年後・3年後のブランドや事業の状態を見ます。

目先の数値に振り回されることなく、長期的な視点で判断を下す。これが難しい。特に代理店のように、クライアントの短期KPIと向き合い続ける環境では、意識的に長期視点を持ち続けることが必要です。

マネージャーの発想法:鳥の視点と複数シナリオ

マネージャーの発想には「メタ認知」が不可欠です。

自分のバイアスを意識し、広い視野で市場を捉える。これは言葉にすると簡単ですが、実際には難しい。ぼくがアクセンチュア時代に最も意識したのが、「自分は今、鳥の目で見ているか虫の目で見ているか」という問いでした。

もう一つ重要なのが、複数の未来シナリオを持つことです。「Aになったらこうする」「Bになったらこうする」という分岐ルートを常に準備しておく。一本道の戦略は、環境変化に弱い。

「自分のパーティ」を意識する

プランナーとマネージャーの違いを整理してきましたが、最終的に大事なのは「自分が今、どのポジションにいるか」を理解することです。

RPGのパーティに例えると、ヒーラーが暴走して前に出て戦闘してしまったら、回復役がいなくなってチームが崩壊します。自分の役割を把握して、その役割で最大のパフォーマンスを発揮する。これが「パーティの強さ」を決めます。

マーケターのチームも同じです。企画が得意なプランナー、チームを束ねるマネージャー、データを読むアナリスト。それぞれが自分の型を理解して動くことで、チーム全体のアウトプットが上がります。

レベル上げは、一人ではできない

プランナーでもマネージャーでも、共通して言えることがあります。

成長は、一人ではできないということです。

良い仮説を持つには、他者の視点が必要です。良い戦略を立てるには、多角的な情報が必要です。どちらも、自分一人で完結できるものではない。

ぼくが博報堂・アクセンチュアで学んだことの多くは、一緒に働いた人たちからもらったものです。ソロでレベルを上げようとするより、信頼できる仲間と一緒に成長する方が、速く、深く強くなれる。

思考の型を磨くことと、その型を活かせる環境に身を置くこと。この両方があって、初めてマーケターとしての成長が加速します。

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