マスメディアンは「広告・マーケ業界の転職」に限れば、総合型より話が早いエージェント
結論を先に書きます。マスメディアンは、広告・マーケティング業界で転職を考えている人にとって、最初に登録しておく価値のあるエージェントです。
ぼくは博報堂に13年、アクセンチュアに5年いました。どちらの会社でも中途採用の面接官を何度もやっていて、エージェント経由で来る候補者を採用する側として見てきました。その経験から言うと、広告・マーケ特化のエージェントを通ってきた候補者は「職種理解のズレ」が少ないです。総合型経由だと「この人、なんでこのポジションに応募してきたんだろう」という紹介が実際にあるのですが、特化型経由ではそのミスマッチが明らかに少なかったです。
先に断っておくと、ぼく自身がマスメディアンに登録して転職した経験はありません。ここに書くのは、採用する側として広告・マーケ職の中途採用を回してきた実感と、宣伝会議グループという成り立ちを調べて分かったことです。使った人のレビューが読みたい人には物足りないかもしれませんが、「誰に向いているサービスなのか」を判断するにはこちらの角度のほうが役に立つはずです。
マスメディアンに合うのは、広告会社・制作会社・事業会社のマーケ部門など「広告・マーケ領域」での転職を考えている人です。業界をまたいでコンサルや商社やSaaSも含めて幅広く見たいなら、総合型と併用するか、総合型を軸にしたほうがいいです。
登録は無料で、所要時間は3分ほどです。面談後に合わなければ断っても問題ないので、広告・マーケ領域の求人を確かめたい人はまず登録して市場感を把握する価値があります。
マスメディアンとは何か──宣伝会議グループの転職エージェント
マスメディアンは、広告・マーケティングの専門出版社である宣伝会議のグループ会社が運営する転職エージェントです。広告、Web、マーケティング、クリエイティブ領域に特化しています。
宣伝会議といえば、広告業界にいる人なら知らない人はいない存在です。「宣伝会議」「販促会議」「ブレーン」「広報会議」といった専門誌を出していて、業界のネットワークがそのまま求人企業とのパイプになっています。
ぼくが博報堂にいたとき、社内には宣伝会議の雑誌が当たり前のように置いてありました。だからマスメディアンという名前自体は、広告業界の人間にとっては「ああ、宣伝会議がやってるやつね」という認知です。ここが総合型エージェントとの根本的な違いで、業界の「内側」から出てきたサービスである点は理解しておくといいです。
マスメディアンを使うかどうかの判断軸
エージェント選びで大事なのは「評判がいいかどうか」ではなく、「自分の転職の方向性に合っているかどうか」です。マスメディアンを使うかどうかは、以下の3つの軸で判断するのがわかりやすいです。
判断軸①:転職先の業界が「広告・マーケ領域」に絞られているか
マスメディアンの求人は、広告会社、PR会社、制作会社、デジタルマーケティング会社、事業会社のマーケティング部門に集中しています。この領域であれば求人の質・量ともに総合型に引けを取らないです。
でも、たとえば「コンサルファームのマーケティング部門」とか「SaaS企業のグロースポジション」まで広げて見たい場合、マスメディアンだけだと選択肢が足りない可能性があります。
ぼく自身、博報堂からアクセンチュアに転職したときは、広告業界の外に出る転職だったので、業界特化型だけでは動きにくかったと思います。
判断軸②:キャリアアドバイザーに「職種の解像度」を求めるか
マスメディアンのアドバイザーは広告・マーケ領域に詳しい人が多いです。これは採用する側にいたときにも感じたことで、「メディアプランナー」と「アカウントプランナー」の違い、「ブランドマネージャー」と「プロダクトマーケティングマネージャー」の違いをアドバイザーがちゃんとわかっている。
総合型エージェントだと、ここの解像度がどうしても荒くなることがあります。「マーケティング」とひと括りにされて、全然違うポジションを紹介されることも珍しくないです。
逆に言えば、自分で職種の違いを理解していて、求人票さえもらえれば自力で判断できるという人にとっては、この強みはそこまで大きくないかもしれないです。
判断軸③:年収レンジが合っているか
マスメディアンの求人は、年収400万〜800万円あたりのゾーンが最も厚い印象です。広告・マーケ業界の中堅〜シニア層がメインターゲットになります。
年収1,000万円を超えるハイクラス帯になると、求人数は限られてきます。そのレンジを目指すなら、ビズリーチやジェイエイシーリクルートメントなどハイクラスに強いサービスも併用するのが現実的です。
どのエージェントをどう使い分けるか迷っている人は、マーケター転職エージェントおすすめ6選【使い分けの判断軸で選ぶ・2026年版】で整理しているので、そちらも参考にしてもらえます。
採用する側から見て、マスメディアンのような特化型が効いていた点
業界の文脈を共有した状態で話が始まる
これが一番大きいです。総合型エージェントだと、最初の面談で「広告業界とはどういう構造か」から説明しないといけないことがあります。特化型ではその前提がすでに共有されているので、話が早い。
採用側にいると、この差は候補者の志望動機にそのまま出ます。特化型を経由してきた人は「なぜこの会社のこのポジションなのか」を、業界の言葉で説明できることが多かったです。総合型経由だと、そこがどうしても一般論に寄りがちで、面接の前半が相互理解の時間で終わってしまう。候補者本人の力量というより、間に入った人がどこまで文脈を渡せたかの差だと思っています。
この「話が早い」という感覚は、忙しい現職の合間に転職活動をしている人にとっては、かなりありがたいはずです。
宣伝会議グループのネットワークから来る非公開求人
宣伝会議は広告・マーケティング業界に数十年のネットワークを持っています。その関係から、一般的な求人サイトには出てこない非公開求人を持っていることがあります。
特に、広告会社や制作会社は「あの会社の人が欲しい」「この経験をした人だけに会いたい」という指名買いに近い採用をすることがあって、そういう案件は業界特化のエージェントに集まりやすいです。
職務経歴書のフィードバックが職種の文脈に沿っている
広告・マーケ職の経歴書は、書き方にコツがあります。「キャンペーンの企画・実行」とだけ書いても伝わらなくて、どの規模の案件で、どの指標を動かしたか、がポイントになります。
ここを理解しているアドバイザーが添削しているかどうかは、送られてくる書類を見れば採用側にはわかります。担当案件がただ並んでいる経歴書と、役割と数字が整理されている経歴書では、書類選考の通過率がまるで違います。特化型のエージェントは、この直し方を職種ごとに持っているのが強みです。
マスメディアンの気になった点・包み隠さず書いておくこと
求人の業界幅が狭い
これは裏返しです。広告・マーケに特化しているぶん、IT、コンサル、メーカー、商社といった他業界の求人はほぼないです。「広告業界の外に出たい」という転職の場合、マスメディアンだけでは動けないです。
ぼくが博報堂からアクセンチュアに移ったときのように、業界をまたぐ転職を考えている人は、総合型エージェントを主軸にしたほうがいいです。
担当者の当たり外れはある
これはどのエージェントにも言えることですが、マスメディアンでも担当者によって対応の質に差があるという声は聞きます。特に、広告クリエイティブ系に強い担当者とデジタルマーケティング系に強い担当者では、得意領域が違います。
最初の面談で「自分の希望領域に詳しい担当者か」を確認して、合わなければ担当変更を依頼するのが現実的です。これは遠慮する必要がないです。
地方の求人は少ない
マスメディアンの拠点は東京・大阪・名古屋・福岡・金沢にありますが、広告・マーケの求人はどうしても東京に集中します。地方在住で地元での転職を考えている場合、選択肢はかなり限られます。
リモートワーク可の求人は増えてきていますが、フルリモート前提で地方から都市部の企業に応募する場合は、事前にアドバイザーに確認しておくのが安全です。
ハイクラス帯の求人は手薄
前述のとおり、年収1,000万円超のポジションを目指す場合、マスメディアン単独では選択肢が足りない可能性があります。ハイクラス帯のマーケティング求人は専門のヘッドハンターやスカウト型サービスに流れる傾向があるので、その帯を狙うなら別のサービスとの併用が必要です。
マスメディアンを使わなくていい人
評判がいいかどうかより、「自分に合わないなら使わなくていい」という話のほうが大事です。以下に当てはまる人は、マスメディアン以外を軸にしたほうがいいです。
- 広告・マーケ業界の外に転職したい人:コンサル、IT、事業会社の非マーケ職などを見たいなら総合型が向いています
- 年収1,200万円以上を目指す人:ハイクラス特化のサービスを併用しないと選択肢が足りないです
- 未経験からマーケティング職に就きたい人:マスメディアンの求人は経験者向けが中心です。未経験の場合、総合型エージェントのほうが間口が広いです
- 地方で広告業界以外も含めて探している人:地方の求人はもともと少ないので、地域密着型のエージェントも使ったほうがいいです
逆に、広告・マーケの経験が3年以上あって、同業界内でのキャリアアップや事業会社マーケ部門への転職を考えている人にとっては、マスメディアンは第一候補に入ります。
マスメディアンの登録から面談までの流れ
「登録したら断れないのでは」と不安になる人もいると思うので、流れを書いておきます。
ステップ1:Webで無料登録(約3分)
公式サイトから名前、連絡先、直近の職歴、希望条件を入力します。職務経歴書はこの時点ではなくても大丈夫です。
ステップ2:担当者から連絡(1〜3営業日)
登録後、電話かメールで担当アドバイザーから連絡が来ます。面談の日程を調整します。
ステップ3:キャリア面談(30分〜1時間)
オンラインまたは対面で、これまでの経歴と希望条件を話します。この面談で「なんか違うな」と思ったら、その場で「少し考えます」と言って大丈夫です。
ステップ4:求人紹介・応募
面談内容をもとに求人が紹介されます。応募するかどうかは自分で決められます。紹介された求人を全部断っても問題ないです。
断り方について
「他で決まりました」「今回は見送ります」とメールか電話で伝えればそれで終わりです。引き止められることはあっても、強制されることはないです。ぼくも過去に別のエージェントで途中辞退したことがありますが、一言伝えれば問題なく終わりました。
転職エージェントは「合わなければ断る」のが当たり前の世界です。気を遣いすぎる必要はないです。
マスメディアンの評判を見るときに気をつけたいこと
ネット上の評判は、良い口コミも悪い口コミもバイアスがかかっています。ぼくが採用側として複数のエージェントとやり取りしてきた経験から言えるのは、エージェントの評価は「担当者」と「タイミング」で大きく変わるということです。
同じ会社から紹介が来ても、担当者が変わると送られてくる候補者の質がはっきり変わることがありました。求人票の書き方も、こちらへの確認の頻度も、担当者ごとに違う。採用側から見ると「あのエージェントは良い」ではなく「あの人は良い」に近い感覚です。読者の側から見ても同じで、口コミの星の数は、その人が誰に当たったかの記録でしかないです。
「マスメディアン 評判」で検索して出てくる口コミの多くは、個別の担当者との相性や、そのとき紹介された求人がたまたま合ったかどうかの話です。それは参考にはなりますが、「自分にとってどうか」は実際に面談してみないとわからないです。
だからぼくは、エージェントの良し悪しを口コミだけで判断するのはおすすめしていないです。無料なので、面談して自分の目で判断するのが一番確実です。
総合型エージェントとマスメディアンの使い分け
マスメディアンは業界特化型です。総合型エージェント(リクルートエージェント、dodaなど)との違いを整理すると、以下のようになります。
| 比較項目 | マスメディアン | 総合型エージェント |
|---|---|---|
| 求人の業界幅 | 広告・マーケ・クリエイティブに特化 | 全業界をカバー |
| 職種理解の深さ | 広告・マーケ職種に精通 | 担当者による差が大きい |
| 求人数(全体) | 少なめ(領域特化のため) | 多い |
| 非公開求人 | 宣伝会議ネットワーク経由で独自案件あり | 大手企業の大量採用案件に強い |
| 年収帯 | 400万〜800万円が中心 | 幅広い |
| 業界またぎの転職 | 不向き | 対応可能 |
ぼくの考えとしては、広告・マーケ業界内での転職ならマスメディアンを軸にしつつ、総合型を1社併用するのがバランスがいいです。業界をまたぐ転職なら、総合型を軸にしてマスメディアンはサブで使う形になります。
どの組み合わせが自分に合うかわからない人は、マーケター転職エージェントおすすめ6選【使い分けの判断軸で選ぶ・2026年版】で判断軸ごとに整理しているので、そちらも参考にしてもらえます。
よくある質問
マスメディアンは本当に無料で使えますか?
はい、完全無料です。転職エージェントの報酬は採用企業側が払う仕組みなので、転職する側に費用は一切かからないです。面談も求人紹介も書類添削も無料です。
マスメディアンに登録したら必ず転職しないといけないですか?
いいえ。登録して面談を受けても、転職する義務はないです。「まだ情報収集の段階です」と伝えれば、それに合わせた対応をしてもらえます。途中で「やっぱり今回は見送ります」と言っても大丈夫です。
マスメディアンは未経験でも使えますか?
求人の大半は広告・マーケティング領域の経験者向けです。完全未経験からだと紹介できる求人が限られるため、未経験の人は総合型エージェントのほうが選択肢が広いです。ただ、異業種でもマーケティングに近い経験(営業企画、データ分析など)があれば相談してみる価値はあります。
マスメディアンとリクルートエージェントは併用できますか?
できます。複数のエージェントを併用するのは普通のことです。ぼくも転職活動のときは複数のエージェントを使っていました。ただ、同じ企業に別々のエージェントから応募すると企業側が混乱するので、「どの企業にどのエージェント経由で応募したか」は自分で管理しておく必要があります。
面談はオンラインでもできますか?
はい。オンライン面談に対応しています。地方在住の人や、現職が忙しくて対面が難しい人でも問題なく利用できます。
マスメディアンをどう使うか、は自分のキャリアの方向性で決まる
ここまで書いてきて伝えたいのは、マスメディアンが「いいか悪いか」ではなく、「自分の状況に合うかどうか」で選ぶものだということです。
ぼくは広告業界に13年いて、そこからコンサルに移って、最終的に独立しました。振り返ると、転職のたびに「このエージェントがベスト」という正解があったわけではなく、そのときの自分の方向性に合うエージェントを選べたかどうかが大事だったと思っています。
博報堂を出るときも、最初は業界に詳しい人にばかり相談していました。話は早いし、こちらの仕事の説明もいらない。でも出てくる選択肢は、結局どれも広告の中でした。自分がどこに行きたいのかを決めないまま相談先を選ぶと、相談先の得意分野がそのまま自分の選択肢になってしまう。順番が逆だったと、あとから思いました。
広告・マーケの世界でキャリアを作っていきたいなら、マスメディアンはその領域を最も深く理解しているエージェントの一つです。面談は無料で、所要時間も30分〜1時間ほど。合わなければ断れます。まず自分の市場価値を確かめる入口として、求人を見てみるところから始めるのがいいと思います。