転職戦略

マーケターからコンサルへの転職・ハイクラス求人の狙い方【博報堂→アクセンチュア実体験】

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博報堂からアクセンチュアに移ったとき、年収は上がった。でも、それより先に驚いたのは評価される仕事の中身が丸ごと入れ替わったことだった。代理店で「あいつは面白い」と言われて生きてきたぼくが、コンサルの最初の会議で「それ、イシューに効くの?」と静かに聞かれて固まった。マーケターのコンサル転職は、年収を上げる話じゃない。自分の武器の「持ち替え」の話だ。そこを勘違いすると、通らない。

この記事は、転職サービスをずらっと並べて「登録しよう」で終わる記事にはしたくない。ぼくが代理店とコンサルの両方で働いて、採用する側にも回って見えた「通る人と落ちる人の差」を、できるだけ出し惜しみせずに書く。年収を一段上げたい、上流に行きたいと思っている中堅マーケターに向けて、判断の軸を渡すつもりで書いていく。

なぜマーケターがコンサルに求められるのか

まず、需要の構造から話したい。ここを理解しないと、後の「通る人・落ちる人」の話が腹落ちしないから。

ぼくがアクセンチュアにいた頃、案件の大半にDXという言葉がついていた。デジタルで会社の何かを変える、というやつだ。でも現場に入ると、本当に足りていなかったのはエンジニアやデータサイエンティストじゃなかった。「その施策、で、生活者は動くんですか?」に答えられる人だった。

システムは作れる。データも溜まる。ダッシュボードもきれいに光る。けれど、そこから「じゃあ誰に、何を、どう届けたら売上が変わるのか」という一番大事な問いになると、部屋の中が急に静かになる。テクノロジーを扱える人は増えたのに、その手前にある「人の気持ちがどう動くか」を語れる人が、事業会社にもコンサルファームにも決定的に足りていなかった。

ここにマーケターの居場所がある。かつてのコンサルは、業務を効率化する、コストを下げる、組織を組み替える、という「守り」の仕事が中心だった。でも今は違う。売上をどう伸ばすか、新しい事業をどう立ち上げるか、ブランドをどう作り直すか——つまり「攻め」の意思決定にコンサルが呼ばれるようになった。攻めの領域では、生活者を起点に物事を考えられるマーケターの発想が武器になる。

もうひとつ、大きな流れがある。事業会社の意思決定そのものに、マーケ視点が組み込まれ始めたことだ。昔のマーケティングは「作ったものをどう売るか」という下流の話だった。でも今は、何を作るか、どの市場に出るか、いくらで売るか、という経営に近い判断のなかにマーケが入ってくる。この「経営とマーケの距離が縮まった」変化が、そのままコンサル側のマーケター需要になっている。

だから、いま起きているのはこういうことだと思う。コンサルは攻めの仕事が増えて、生活者を語れる人を欲しがっている。事業会社は意思決定の上流にマーケを引き上げている。その両方の交差点に、腕のあるマーケターがすっぽりハマる余白ができた。ぼくが移った数年前より、その余白は明らかに広がっている。

代理店とコンサル、評価される仕事はこう違う

需要があるのはわかった。でも、需要があることと、自分が通ることは別の話だ。ここからは実体験を書く。ぼくが代理店からコンサルに移って、一番きつかったのは「評価される仕事の定義が真逆だった」ことだった。

博報堂にいた13年、ぼくが評価されていたのは瞬発力と広さだった。急な依頼に一晩で企画を10案出す。クライアントの雑談から次の商機を拾う。会議室の空気を読んで、その場で刺さる一言をひねり出す。守備範囲は広ければ広いほどいい。「あいつに振れば何か出てくる」という信頼が、代理店マンの生命線だった。

アクセンチュアで求められたのは、まったく別の筋肉だった。仮説思考と構造化。10案出す前に「そもそも解くべき問いは何か」を一本に絞れ、と言われる。思いつきの量より、筋の通った一本。広さより、深さと再現性。同じ「頭のいい人」でも、代理店とコンサルでは評価される頭の使い方が違った。

「面白い」より「正しい」の世界

代理店の会議で最強のカードは「面白い」だった。企画が面白ければ、多少ロジックが甘くても場は動く。ぼくもその力で13年やってきた。

コンサルに移って、そのカードが急に効かなくなった。プレゼンで自信作の切り口を出したとき、返ってきたのは笑顔でも拍手でもなく「なるほど、それが正しいと言える根拠は?」という問いだった。面白いかどうかより、正しいと言い切れるかどうか。ここで評価が決まる。

最初はこれがつらかった。自分の一番の武器を封じられた気がした。でも半年くらいで気づいた。「面白い」は、実は「正しい」の一部でしかない。本当に正しい打ち手は、たいてい面白い。順番が逆だっただけだった。面白さから入って正しさで詰めるのが代理店。正しさから入って、結果として面白くなるのがコンサル。同じ山を反対側から登っていた、みたいな話だと今は思っている。

数字で語る文化

もうひとつの壁が、数字で語る文化だった。代理店では「なんとなくこっちの方がいい気がする」が、けっこう通る。センスや経験が言葉より先に立つ世界だ。

コンサルでは、それがほぼ通らない。「気がする」は会議のテーブルに乗せられない。感覚を、数字と論理に翻訳して初めて発言権が生まれる。「このターゲットに絞ると、市場規模はこれくらいで、獲得コストがこう変わって、だから投資対効果はこうなる」——ここまで組み立てて、やっと「なんとなく良さそう」が意思決定に使える情報になる。

これは、マーケターにとって実はチャンスだと思う。ぼくらは生活者のインサイトという、数字になりにくいものを扱っている。それを数字と構造に翻訳できたとき、コンサルの中で替えのきかない存在になれる。感覚だけの人でも、論理だけの人でも埋められない場所が、ちょうどそこにある。

選考で通る人・落ちる人の違い

ここからが、この記事で一番伝えたいところだ。採用する側にも回って、たくさんの職務経歴書と面接を見てきて、通る人と落ちる人の差はほとんど一点に集約されると思っている。

結論から言う。「戦略をやりたい」と言う人は、まず落ちる。

なぜか。「戦略をやりたい」は願望であって、実績じゃないからだ。上流に行きたい、という気持ちは誰でも持っている。面接官はその気持ちを聞きたいわけじゃない。知りたいのは「この人は、意思決定に関わった経験があるか」——たったそれだけだ。

マーケターの職務経歴書でよく見るのが、担当したキャンペーンの規模や予算、使ったツール、回した施策の一覧だ。悪くはない。でも、それは「何をやったか」の話でしかない。面接官が本当に見ているのは、その施策のどこであなたの判断が流れを変えたかだ。指示された通りに動いた実績は、いくら並べても上流の証明にならない。

だから、選考に臨む前にやってほしい準備はひとつだけ。「自分の一言で流れが変わった場面」を3つ、言葉にして用意しておくことだ。

たとえばこういう粒度がいい。「みんなが値下げに傾いていたとき、ぼくが生活者調査のこの一点を持ち出して、方向を絞り込みに切り替えた。結果、離脱が減った」。あるいは「代理店の提案をそのまま飲みそうな空気のなか、ターゲット定義がずれていると指摘して、企画ごと組み直させた」。規模の大小は関係ない。その場に自分がいたから、意思決定が変わった——それを証明できるエピソードかどうかが全てだ。

この3つが用意できている人は、面接で強い。どんな角度から突っ込まれても、自分の判断の跡をたどって答えられるから。逆に、施策の一覧しか持っていない人は、少し深掘りされた瞬間に「言われたことをやりました」に着地してしまう。そこで、静かに落ちる。

もうひとつ添えておきたい。落ちる人は「戦略をやりたい」と言い、通る人は「こういう意思決定に関わってきたので、次はこの規模でやりたい」と言う。前者は自分をこれから証明する人、後者はすでに証明してきた人だ。ファームが採りたいのは、当然、後者になる。

ハイクラス転職の実際

ここは冷静に、事実ベースで書く。数字は幅で、控えめに置いておく。実際のレンジは景気や職種、あなたの現年収で大きく動くから、あくまで感覚をつかむための目安として読んでほしい。

まず年収。マーケターからコンサル・ハイクラスへの転職で語られる帯は、ざっくり年収800万〜1,500万円あたりが中心になることが多い。マネージャー以上や外資の上位クラスになると、そこからさらに上に伸びる。ぼくの体感でも、代理店からコンサルに移ると年収の「天井」が一段上がる感覚はあった。ただし、上がるのは天井であって、いきなり満額ではない。入り口のオファーは、思ったより手堅い数字で出てくることも多い。

選考プロセスは、代理店の転職より工程が多い。書類→複数回の面接というのは同じでも、その一つひとつが重い。カジュアル面談から始まり、現場マネージャー、パートナークラスと段階を踏み、最後にケース面接が挟まることが多い。ここが代理店転職との一番の違いだと思う。

ケース面接というのは、その場で架空のお題を出されて「この会社の売上を伸ばすには?」みたいな問いに、考えながら答えていく面接だ。ここで見られているのは、正解にたどり着けるかどうかじゃない。問いをどう分解し、どう筋道を立てて考えるかという、思考の過程そのものだ。前の章で書いた「仮説思考と構造化」が、ここでそのまま試される。

マーケター出身者がケース面接でつまずくのは、たいてい「いきなり施策を語り始める」ときだ。SNSでこう打って、広告をこう出して、と手が先に動く。でもコンサルが見たいのは、その手前にある「そもそも何が問題か」の切り分けだ。答えを急がず、問いを立て直すところから始められる人は、それだけで通過率が変わる。ここは対策すれば必ず伸びるところなので、後の章で触れるサービスの力も借りて、事前に型を体に入れておくといい。

コンサル・ハイクラス特化サービスの使い分け

ここでようやく、具体的なサービスの話をする。先に言っておくと、これは「登録して丸投げすれば年収が上がる」という話じゃない。転職エージェントは、あなたの経験を上流の言葉に翻訳してくれる壁打ち相手だ。翻訳の質は、担当者と、その会社がどの領域に強いかで決まる。だから複数を、目的別に使い分けるのがいい。

MyVision(コンサル特化・ファーム別対策の解像度で選ぶなら)

MyVisionは、コンサル転職に特化したエージェントだ。ここの持ち味は、ファームごとの選考対策の解像度の高さにある。ひとくちにコンサルと言っても、戦略系、総合系、IT系、外資、日系で、求める人物像もケース面接の傾向もかなり違う。その違いを踏まえて「この人はこのファームのこのポジションが合う」まで踏み込んでくれるのが強みだ。

マーケター出身でコンサルが初めてだと、この「ファームごとの違い」がまず見えない。全部同じコンサルに見えてしまう。そこを解きほぐしてくれる相手がいるかどうかで、選考の通り方は変わる。とくにケース面接の対策を、ファームの傾向に合わせてやりたい人には合っている。初めてのコンサル転職で、業界の地図を持っていない人には、最初に相談する相手として向いていると思う。逆に、すでにコンサル業界に詳しくて自分で戦略を立てられる人には、やや手厚すぎると感じるかもしれない。

KOTORA(金融・コンサル・ハイクラス特化・専門領域を深めた職人タイプと相性)

KOTORAは、金融・コンサル・ハイクラス領域に強いエージェントだ。ここが向いているのは、ひとつの領域を深く掘ってきた「職人タイプ」のマーケターだと思う。

たとえば、金融のマーケをずっとやってきた、あるいはBtoBのある業界に精通している、といった専門性を持つ人。そういう人は、広く浅い転職市場ではその深さが正しく値付けされにくい。専門領域を理解したうえで、その深さをそのまま評価してくれる求人につないでくれるのがKOTORAの良さだ。自分の強みが「広さ」ではなく「深さ」にある人、これまで積み上げてきた専門性を武器に一段上へ行きたい人には、相性がいい。逆に、業界を大きく変えたい、まったく違う領域に飛び込みたいという人には、他の総合的なサービスの方が選択肢が広がることもある。

JAC Recruitment(外資・グローバルハイクラスの王道・年収800万以上の帯)

JAC Recruitmentは、外資系・グローバルなハイクラス転職の王道だ。年収800万円以上の帯を狙うなら、まず名前が挙がる存在だと思う。外資系企業やグローバル案件の求人を長く扱ってきた蓄積があって、この価格帯とこの領域では厚みがある。

ここが合うのは、外資マーケや、英語を使う環境、グローバルなブランドの仕事を視野に入れている人だ。コンサルに限らず、事業会社側のハイクラスなマーケポジションも含めて、一段上の帯を広く見たいときに頼りになる。年収の天井を本気で上げにいきたい人の、ベースとして持っておくサービスという位置づけがしっくりくる。ひとつ添えるなら、担当者によって得意領域の濃淡があるので、最初の面談で「自分の領域に詳しい人か」を見極めるといい。合う担当に当たると、一気に話が進む。

パソナキャリア(ハイクラス帯のサポート型・丁寧な言語化の壁打ち相手として)

パソナキャリアは、ハイクラス帯を扱いながらも、サポートの丁寧さに定評があるエージェントだ。ここをぼくが挙げたい理由は、この記事の主題とまっすぐつながっている。

この記事でずっと書いてきたのは、通る人は「意思決定に関わった経験を言語化できている」という話だった。その言語化は、一人ではなかなか進まない。自分の経験は、自分にとっては当たり前すぎて、どこが強みなのか見えなくなるからだ。丁寧に話を聞いて、あなたの経験を上流の言葉に翻訳する手伝いをしてくれる壁打ち相手——その役割として、パソナキャリアの丁寧さは活きると思う。ゴリゴリに攻めるより、まず自分の棚卸しから始めたい人、じっくり伴走してほしい人に向いている。前に挙げたコンサル特化系と組み合わせて、「言語化はこちらで、専門対策はあちらで」と役割を分けて使うのも賢いやり方だと思う。

移ってから苦しむこと・その乗り越え方

ここまで「どう通るか」を書いてきたけれど、正直に書いておきたいことがある。通ったあとが、また別の山なのだ。ぼく自身、アクセンチュアに移ってから最初の3ヶ月がいちばん苦しかった。

何が苦しかったかというと、あの「イシューに効くの?」の文化に、体がついていかなかった。代理店では、思いつきを口に出しながら考えるのが普通だった。会議は、みんなでアイデアを転がして温める場所だった。でもコンサルでは、まとまっていない思いつきを口に出すと「で、それは何を解決するの?」と静かに返ってくる。悪気はない。ただ、その一言で、自分の発言がいかに散らかっていたかを毎回突きつけられた。

最初の頃は、会議で発言するのが怖くなった。13年やってきた自分のやり方が、ここでは通用しない——その事実を毎日浴びるのは、けっこう堪えた。年収は上がったのに、自分の価値が下がった気がして、夜に不安になったこともある。移ったことは間違いだったのかな、と思った瞬間も正直あった。

乗り越えられたのは、二つのことに気づいたからだった。

ひとつは、これは能力の否定じゃなくて、作法の違いなんだと切り分けられたこと。ぼくの13年が無価値になったわけじゃない。ただ、発言の前に「これは何を解決するのか」を一回自分に問う、というワンクッションを挟む習慣がなかっただけだった。作法だとわかれば、身につけられる。実際、その問いを口に出す前に自分に投げるようにしたら、少しずつ会議が怖くなくなった。

もうひとつは、代理店で培った武器は、封じられたんじゃなくて温存されていたと気づいたこと。周りは論理と構造には強いけれど、生活者の気持ちを言葉にする力は、ぼくの方があった。3ヶ月を越えて、論理の作法が最低限身についたとき、そこに自分の「生活者を語る力」を乗せられるようになった。すると急に、会議の中で自分にしか出せない発言が出てきた。両方を持っている人は、ほとんどいなかったから。

だから、もしコンサルに移って最初の数ヶ月で心が折れそうになっている人がいたら、これだけは知っていてほしい。そこで苦しいのは、あなたの能力が低いからじゃない。作法を持ち替えている途中だからだ。持ち替えが終わったとき、代理店で積んだものが、今度は武器として効き始める。ぼくはそこまで、3ヶ月かかった。

まとめ:越境の価値は「両方の言語を話せること」

長く書いてきたけれど、この記事で伝えたかったことは、たぶん一つに絞れる。

マーケターのコンサル転職は、キャリアの乗り換えじゃなくて、言語の獲得だ。

代理店には代理店の言語がある。面白さ、瞬発力、生活者の肌感。コンサルにはコンサルの言語がある。仮説、構造、数字。どちらか一方しか話せない人はたくさんいる。でも、両方を話せる人は驚くほど少ない。ぼくがアクセンチュアで、そして独立してからも食べてこられたのは、たまたま両方の言語を、痛い思いをしながら身につけたからだと思っている。

だから、コンサルに移ることのいちばんの価値は、年収でも肩書きでもない。生活者の気持ちを語りながら、それを意思決定の言葉に翻訳できる——その二カ国語話者になれることだ。この力は、どの会社に行っても、独立しても、腐らない。ぼくはそう信じている。

もしあなたがいま、上流に行きたいけれど自分の何を武器にすればいいか迷っているなら、まず自分のタイプを知るところから始めるのもいいと思う。参謀として意思決定に食い込むのが向いているのか、専門を深める職人として一段上を狙うのか。それによって、この記事で挙げたサービスの選び方も、用意すべきエピソードの磨き方も変わってくる。よかったらマーケターキャリアタイプ診断(無料・10問)で、自分がどのタイプかを確かめてみてほしい。自分の言語がどこにあるかがわかると、次の一歩は、思っているより軽くなる。

越境は怖い。ぼくも怖かった。でも、両方の言語を話せるようになった今、あのとき固まった会議室のことを、少しだけ懐かしく思い出せる。あそこから、始まったんだと思う。

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