転職戦略

20代の転職はアリなのか──「転職が当たり前」は本当か、データで確かめてみた

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「転職が当たり前の時代になった」という言葉を、ここ数年でよく聞くようになりました。

でも、ぼくは少し立ち止まって考えたいと思っています。本当にそうなのか?「当たり前」という言葉が先行して、肝心の問い——「自分にとって今の転職は正しいのか」——が飛ばされていないか?

今日は20代の転職というテーマを、データを確認しながら、ぼく自身の経験も交えて整理してみます。

「転職が当たり前」は本当か、まずデータを見る

結論から言うと、数字の上では確かにそう言えます。

2024年の転職者数は331万人。コロナ禍で落ちた2020〜21年からの反転で、3年連続の増加です。そのうち約34%が20代。全年代の中で最も転職している割合が高い。

20代の転職率は12.4%(2024年)。ピークの2022年は13.7%でしたが、それでも10人に1人以上が年間で転職しているという水準です。

さらに、新卒で入社した大卒者の33.8%が3年以内に離職しています。昔から言われてきた「七五三現象」(大卒30%・高卒50%・中卒70%)は今も形を変えながら続いています。

加えて、20代の61.8%が「社会人になる前から転職を視野に入れていた」というデータもあります。就職活動の段階ですでに「最初の会社がゴールじゃない」という前提で動いている世代が増えている。

数字を見れば、転職が当たり前になっているのは事実です。

でも「当たり前」と「正しい」は別の話

ここで一度立ち止まりたい。

転職が増えているのは事実ですが、「増えているからすべきだ」とはならない。転職は手段であって目的ではないので、「なぜ転職するのか」が問われるべきです。

転職後に年収が増えた割合は、20〜24歳で52.3%、25〜29歳で44.4%というデータがあります。半数以上が増えている一方、20〜30%は下がっています。「転職すれば年収が上がる」は平均の話であって保証じゃない。

転職してよかったと答えた人は83%という調査があります。でも転職の後悔はすぐには見えてこない。「3年後にどう感じているか」が測れないので、この数字には割り引いて向き合う必要があります。

2019年に経団連の会長とトヨタの社長が「終身雇用の維持は難しい」と発言したとき、日本中が「時代が変わった」と感じました。でも実態は、今も日本企業の約50%が終身雇用制度を維持しています。「崩壊宣言」はあったけれど、構造はそこまで一気には変わっていない。

「当たり前になっている」と「全員がすべき」は、まったく別の話です。

ぼくが20代にやっていたこと

ぼく自身は、大きな意味でのキャリアチェンジは30代でした。博報堂からアクセンチュアへの転職です。

でも振り返ると、20代に経験したことがそのキャリアチェンジを支えていたと思っています。

博報堂在籍中の20代後半、社内スタートアップを立ち上げる機会がありました。小さな組織ですが、採用・予算・事業の方向性をすべて自分で判断する経験です。「大きな会社の看板があるから案件が来る」という環境ではなく、自分たちで価値を証明しながら動く日々でした。

そこで学んだのは、「決めること」の重さです。大きな組織にいると、意思決定はどこかに分散されます。「誰かが決めた方針に沿って動く」ことが仕事の大半を占める。でも小さな組織では、決めなければ何も動かない。その経験が、マーケターとしての判断軸を鍛えてくれたと思っています。

その後、本社業務に戻ったときに感じたのは、調整ごとの多さです。大きな組織の中で動こうとすると、合意形成のプロセスが長くなる。自分の力を発揮できているという感覚が薄くなる瞬間がありました。それが30代の転職を考えるきっかけの一部になりました。

でも、もし20代に「小さな組織を動かす」経験がなければ、転職はもっと怖かったと思います。何かをゼロから作った感覚があったから、「外でもやれる」という根拠を持てた。20代の経験は、転職するかどうかに関わらず、必ず後のキャリアの土台になります。

大企業とスタートアップ、20代はどちらで働くべきか

20代の転職で頻繁に出てくる問いが「大企業かスタートアップか」です。

ぼくの答えは、どちらでもいい。

ただし、どちらを選ぶにしても「何を取りにいくか」を意識しているかどうかで、同じ環境でも得られるものが変わります。

大企業のメリットは、「大きな仕事の構造を学べる」ことです。予算規模・ステークホルダーの複雑さ・社会的なプロジェクトの動き方。これはスタートアップでは経験しにくい。ぼくが博報堂で13年いたのは、この「大きな仕事の構造」を身体に入れたかったからです。

スタートアップのメリットは、「意思決定の速さと全体を見る視点」です。マーケだけ、営業だけ、という分業ではなく、事業全体に関わる経験ができる。若いうちに「事業とは何か」という感覚を持てるかどうかは、その後のキャリアに大きく効いてきます。

問題なのは、「なんとなく安定しているから大企業」「なんとなくかっこいいからスタートアップ」という選び方です。環境を選ぶことよりも、その環境で何を取るかを先に決めておく方が、転職後の満足度は高くなります。

転職を繰り返すリスク——ジョブホッパー問題

20代の転職が活発になった副作用として、「短期間での転職を繰り返す」人が増えています。いわゆるジョブホッパーです。

1社あたりの在籍期間が1〜2年のケースが続くと、採用市場での評価は下がります。理由は単純で、企業から見ると「またすぐ辞めるかもしれない」というリスクがあるからです。

転職のたびに年収が上がっているならまだ説明できます。でも多くの場合、ジョブホッパーの転職は「しんどかったから逃げた」を繰り返す構造になっていて、年収も経験も積み上がらないまま年齢だけが上がっていく。

ぼくが見てきた中で、20代に転職を複数回経験して30代以降にうまくいっている人には共通点があります。転職のたびに「前の会社でこれを学び、次の会社でこれをやりたい」という説明ができること。軸が一貫していること。

転職回数は問題じゃない。でも「なぜ動いたのか」が一本の線でつながっていないと、説得力がなくなります。

20代の転職で問うべき「本当の問い」

20代の転職が有効に機能するケースと、そうでないケースがあると思っています。

有効に機能しやすいのは、今の環境では得られないスキル・経験が明確にある場合です。「成長できない」という感覚は主観的になりやすいのですが、「自分がやりたいこの仕事ができる環境ではない」という判断は客観的にできます。

一方でリスクになりやすいのは、「なんとなくしんどい」「なんとなく違う」という感覚だけで動く場合です。しんどさや違和感は、環境が変わっても消えないことが多い。移ることで一時的に解消されても、同じしんどさが別の形で出てきます。

ぼくが転職を考えている20代に必ず問いかけるのは、「今の会社で取り切ったか」という点です。与えられた仕事を全力でやり切ったか。社内で信頼されているか。学べることを全部学んだか。そこを確認しないまま動くと、次の会社でも同じことを繰り返す可能性が高い。

転職は逃げではありません。でも、何かから逃げる理由として使うには少し重い選択です。

「転職が当たり前」の時代に、自分の軸を持つ

転職市場が活発になり、選択肢が増えたことは間違いなくいいことだと思っています。終身雇用という「レール」が唯一の選択肢でなくなって、自分で考える余地が増えた。

でも選択肢が増えたということは、同時に「自分で判断しなければならない」ということでもあります。「みんながやっているから」では判断軸にならない。

ぼくが20代に戻れるとしたら、転職するかどうかより先に「自分が何を積み上げているか」を問い続けると思います。その積み上げが見えてきたとき、転職すべきかどうかの判断は自然についてくる。

「転職はアリか」という問いの答えは、アリです。でも、アリかナシかより「なぜ、いつ、何のために」の方がずっと大事だと思っています。

転職を考えたら、まず相談できる場所を持っておく

転職を検討するとき、ぼくがすすめているのは「決める前に一度プロに話してみる」ことです。

自分一人で考えていると、どうしても視野が狭くなります。今いる業界・職種しか見えていなかったり、自分の市場価値を過小評価していたり、逆に過大評価していたりする。第三者に話すことで、自分でも気づいていなかった選択肢が見えてくることがあります。

転職エージェントの中でぼくがおすすめしているのはリクルートエージェントです。求人数が業界最大規模で、20代のキャリア相談から30代以降の専門職まで幅広く対応しています。担当者に「転職するかどうか迷っている段階」と伝えれば、決断を急かされることなく相談に乗ってもらえます。

転職するかどうかは、相談してから決めても遅くありません。むしろ、相談してから決めた方がいい。

まずは登録だけして、自分の市場価値を確認してみるところから始めてみてください。