転職戦略

マーケターの「市場価値」が高い人と低い人、何が違うのか

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34歳のとき、アクセンチュアに転職した。リファラル採用だったから、面接自体はそこまで厳しいものではなかった。

でも転職の動機を聞かれたとき、ぼくは「博報堂では、事業のブランディングやマーケティングを戦略から組み立てる仕事ができないから」としか言えなかった。

今思えば、それは半分しか答えていなかった。「なぜできないか」は言えていた。でも「なぜ自分ならできるのか」が、まったく語れていなかった。過去に何をしてきたかは話せる。でも、それがなぜアクセンチュアでの仕事に繋がるのかを、言葉にできていなかった。

それが、ぼくが「言語化」を本気で考え始めたきっかけです。

市場価値が高い人は、何が違うのか

転職市場でよく聞く話に「マーケターは市場価値が高い」というものがあります。でもそれは半分しか正しくない。

正確に言うと、「自分の仕事を言語化できるマーケターの市場価値は高い」です。

実績があっても、それを構造的に語れない人は思ったより多い。施策の数字は持っている。でも「なぜその施策を選んだか」「どんな仮説を立てたか」「競合や市場をどう読んでいたか」を聞くと、急に話が薄くなる人がいます。

面接官や採用担当者が見ているのは、実績そのものより、その人が「再現性のある思考をしているか」です。あなたが入社したとして、同じような課題に直面したとき、同じように動けるか。それを確認したい。だから「なぜ」を聞く。

「実績があるのに伝わらない」という状態

実績があっても伝わらない、履歴書を見つめる人

博報堂時代のぼくは、実績はそれなりにあった。大手クライアントのキャンペーンを担当して、数字も出した。でも転職活動をしていた頃、エージェントにこう言われたことがある。

「あなたの経歴、もったいないですね。やってることはすごいのに、書類だと伝わりにくい。」

当時はよくわかっていなかったけれど、今思うと明確に理解できます。ぼくは「何をやったか」は話せていた。でも「なぜやったか」「どう考えてそこに至ったか」が抜けていた。それに加えて、「なぜ次の環境でそれが活きるのか」も、まったく語れていなかった。

動機を「前の会社ではできなかったから」で止めてしまうと、それは「不満による逃げ」にしか聞こえない。本当に伝えるべきは、「自分はこういう思考で仕事をしてきた。だからこそ、この環境でこういうことができる」という繋がりです。でもその繋がりを作るには、過去の仕事を「何をしたか」だけでなく「なぜそうしたか」として積み上げておく必要がある。

実績の羅列は、スペックシートと同じです。スペックが同じ製品が2つ並んでいたとき、「なぜこれを選ぶのか」という理由がないと、値段か知名度でしか選ばれない。転職市場も同じで、言語化できていないと、社名や会社の規模でしか評価されなくなります。

評価されるのは「何をしたか」じゃなく「なぜそうしたか」

マーケターが転職面接で問われる質問には、だいたいパターンがあります。

  • 「そのKPIを設定した理由は?」
  • 「競合と比較してどう差別化しようとしましたか?」
  • 「その予算配分にした根拠を教えてください」
  • 「うまくいかなかった施策はありますか?そのとき何を学びましたか?」

全部「なぜ」を問う質問です。

これに答えられる人は、自分の仕事を「意思決定の連続」として捉えている。うまくいったかどうかより、なぜその判断をしたかが語れる。だから面接官に「この人は別の環境でも同じように考えられる」と思ってもらえる。

答えられない人は、「結果」を持っているけれど「プロセス」を言語化していない。仕事の中でそれを意識してこなかったから、聞かれてもうまく出てこない。

具体的に比べると、こういう違いになります。

「SNS広告のCPAを30%改善しました」──これは「何をしたか」の答えです。

「競合が検索広告に予算を集中させていた時期に、SNSでのブランド接触が購買意欲に先行すると仮説を立て、認知層へのリターゲティング設計を変えた結果、CPAが30%改善しました」──これが「なぜそうしたか」まで含んだ答えです。

数字は同じ。でも伝わるものが全然違う。後者の人には「この人を別の商材でも使えるかもしれない」と思ってもらえる。前者の人は「その会社・その商材だからうまくいったのかも」で止まってしまう。

代理店からコンサルに転職して、痛感したこと

コンサルのミーティングルーム、ホワイトボードで議論

アクセンチュアに入って最初の数ヶ月、ぼくはかなり苦労しました。

代理店での仕事のスタイルは「いいものを作って、クライアントに驚いてもらう」に近かった。提案書は読み物として面白く、プレゼンは場の空気を作る。「この人たちに任せたい」と思わせることが大事でした。

コンサルは違った。「なぜこの結論なのか」を論理的に示すことが全てで、感覚や直感で話すと「根拠は?」と返ってくる。ぼくがこれまで「当たり前」としていたことが、実は「なんとなくそうしてきた」だったと気づかされた。

それは恥ずかしかったけれど、同時に大事な発見でもあった。自分の仕事を言語化する力が、まだ全然足りていなかった。

コンサル出身者が転職市場で強いのは、スキルだけの話じゃないと思っています。「なぜ」を問われ続ける環境にいるから、言語化する筋肉が鍛えられる。その筋肉が、転職面接でも活きる。

逆に言うと、代理店やメーカーのマーケターが「なぜ」を問われる機会は、意識しないと少ない。クライアントに提案を通すことが目的だと、「なぜ」より「どう見せるか」が優先される。内部でも、成果さえ出ていれば深く問われない場面が多い。だから言語化する筋肉が育ちにくい構造があります。

これは環境の問題で、個人の能力の問題じゃない。ただ、転職を考えるなら自分で意識的に補う必要があります。

言語化できない人が損をする、もう一つの理由

転職の話だけじゃなく、今の仕事の評価にも影響します。

同じ成果を出した二人がいたとして、「なぜうまくいったか」を言語化して共有できる人と、「とにかく頑張った」で終わる人では、周囲からの信頼度が変わってきます。

言語化できる人は、自分の仕事を他者に渡せます。後輩に教えられる。プロセスを再現できる。だから組織の中でも重要な存在になる。

言語化できない人は、自分しかできない仕事を抱えることになる。それは一見「必要とされている」ように見えて、実は属人化しているだけです。スケールしない。評価もされにくい。

「自分の仕事を言語化する」ためにやったこと

アクセンチュアに入ってから、ぼくが意識的にやり始めたことがあります。

仕事が終わったあと、「なぜこの判断をしたか」をメモに残すようにしました。Slackでもメモでもなんでもいい。「今日の提案でこのアプローチを選んだのは、クライアントの意思決定構造がXだと読んでいたから」みたいなことを、一文で書く。

最初はうまくできなかった。「なんとなく」で動いていたことが多かったから、言葉にしようとすると出てこない。でも続けていると、仕事をしながら「これはなぜこうするんだっけ」と考えるようになる。思考が先に言語化を意識するようになる。

もう一つは、うまくいかなかった施策を振り返る習慣です。成功した話は語りやすいけれど、失敗の振り返りの方が言語化力は上がると思っています。何がズレていたか、どの前提が間違っていたか。そこを掘ると、自分の思考のクセや弱点が見えてきます。

言語化ストックを作る、具体的なフォーマット

「言語化しよう」と思っても、何をどう書けばいいかわからないと続かない。ぼくが使っているのはシンプルな3行です。

  • 状況:どんな課題・文脈だったか(1〜2行)
  • 判断:なぜそのアプローチを選んだか(1〜2行)
  • 結果と学び:どうなったか、何がわかったか(1〜2行)

これを週1回、直近の仕事から1つだけ書く。毎日やろうとすると続かないので、週1で十分です。半年続けると20〜30個のストックができる。転職活動が始まったとき、これが面接のネタになります。

大事なのは「うまくいった話だけ書かない」ことです。判断が間違っていた話、仮説が外れた話の方が、振り返りの解像度が上がります。面接でも「失敗した話」を構造的に語れる人は、かなり印象が違います。「この人は自分の仕事を客観的に見られている」と思ってもらえる。

転職を考えているマーケターへ

転職を考えているなら、まず「直近1年の仕事を、なぜそうしたかも含めて語れるか」を確かめてほしいです。

施策名と数字だけじゃなく、仮説・判断・背景まで。それが語れるなら、面接で強く戦えます。語れないなら、今の仕事をしながら言語化する練習をした方がいい。転職準備は書類より先に、この部分から始まると思っています。

転職エージェントや求人票ばかり見ている時間があるなら、その半分を「今の仕事の振り返り」に使った方がいいとぼくは思っています。スキルを身につけてから転職しようと思っている人も多いけれど、スキルより先に「今持っているものを語れるようにする」方が、即効性は高い。

ぼく自身、アクセンチュアに転職してから初めて「自分は何を持っていて、何を持っていないか」が見えてきました。博報堂での13年を言語化できていなかったから、転職前はぼんやりとしか自覚できていなかった。言語化することで、自分のキャリアの輪郭が初めてはっきりした感覚がありました。

市場価値が高い人は、特別なスキルを持っているわけじゃないことが多いです。ただ、自分がなぜそう動いたかを、きれいに言葉にできる。それだけの差が、思ったより大きい。

「なぜ自分ならできるのか」を語れるようになること。それが、転職活動でも、今の仕事でも、一番効くと思っています。

一人で悩んでいるなら、コーチングを使う

コーチングの対話、カフェで向き合う二人

「言語化しよう」と頭でわかっていても、一人でやろうとすると行き詰まることがあります。

自分の仕事を振り返ろうとしても、どこから手をつけていいかわからない。「なぜそうしたか」を掘ろうとしても、自分の思考のクセには自分では気づけない。壁打ち相手がいないと、同じところをぐるぐる回る。ぼくも独立してから、そういう感覚を持つことがありました。

そういうときに有効なのが、キャリアコーチングです。

コーチングの本質は、答えをもらうことじゃない。「なぜそう思うのか」「そのとき何を感じたか」を問い続けてもらうことで、自分でも気づいていなかった思考や価値観が言葉になってくる。つまり、言語化を加速してくれるサービスです。

転職エージェントとは目的が違います。エージェントは求人を紹介するのが仕事。コーチングは「自分がどう動きたいか」を整理するのが目的です。転職を決める前に使う方が、むしろ効果的だと思っています。

「転職するかどうかもまだわからない」という段階でも使えます。というか、そういう段階にこそ向いている。今の仕事をしながら、自分の市場価値や方向性を言語化したい人に、特に合っているサービスです。

おすすめのコーチングサービス

ZaPASS(ザパス)

国際資格を持つプロコーチとマンツーマンでセッションを行うコーチングサービス。ビジネスパーソン向けに特化していて、仕事のパフォーマンス向上・リーダーシップ・キャリアの意思決定などを扱う。

コーチとの相性を重視していて、無料体験セッションで試してから継続するかを決められる。思考のクセや行動パターンを客観的に見てもらいたい人に向いている。

【ZaPASSコーチング】ビジネスパーソン向けオンラインパーソナルコーチングサービス

POSIWILL CAREER(ポジウィルキャリア)

キャリアに特化したパーソナルトレーニングサービス。「どう生きるか」「何を仕事にするか」という根本的な問いから向き合い、転職・独立・キャリアチェンジの意思決定を支援する。

20〜30代のビジネスパーソンに利用者が多く、転職活動のサポートというより「自分がどう働きたいか」の整理に向いている。新しい環境に入る前後に、自分の軸を言語化しておきたい人に特に合うと思う。

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