マーケの目

ディスプレイ広告とは?種類と配信面、リスティング広告との違い

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最終更新:2026年10月12日

ディスプレイ広告とは、ウェブサイトやアプリ、動画の広告枠に表示される画像・動画・テキストの広告のことです。ニュースサイトの記事の横や、アプリの画面の下に出てくる広告がそれにあたります。生活者が何かを検索していなくても、見ているページや本人の興味に合わせて表示できるのが特徴です。ディスプレイ広告の役割は一つで、まだ探していない人の目に触れる「面」をつくることにあります。そのぶん、今日すぐに買う人を刈り取る用途には向いていません。この記事では、ディスプレイ広告の配信面とターゲティングの種類を一覧表で整理し、バナー広告から運用型へと変わってきた成り立ち、リスティング広告やバナー広告との違い、実務で成果を読み違えないための見方、2026年時点での注意点まで書いていきます。

ディスプレイ広告とは?配信面とターゲティングの種類一覧

ディスプレイ広告は、「どこに出すか(配信面)」と「誰に出すか(ターゲティング)」の二つを組み合わせて届け先を決める広告です。検索語という手がかりがないぶん、この二つの設計が成果を左右します。

日本で出稿されることの多い配信面を、広告の形式とあわせて整理すると次のようになります。

配信面 主な掲載先 広告の形式
Googleディスプレイネットワーク Google広告を掲載できる200万以上のウェブサイト・動画・アプリ(Google広告ヘルプ) 画像(バナー)、素材を組み合わせて自動で整形される広告、動画など
Yahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型) Yahoo! JAPANのニュースなどのページと提携パートナーのサイト 画像、テキスト、動画など
SNS内の広告枠 各SNSのタイムラインやフィード、ストーリーズなど 投稿に近い形の画像・動画(一般には「SNS広告」として別に扱われることが多い)

Google広告ヘルプのディスプレイネットワークの説明によると、Googleディスプレイネットワークは200万以上のウェブサイトや動画、アプリの総称で、世界中のインターネットユーザーの90%以上に広告を表示できるとされています(数字の出典はComscore)。ここまで広い面に出せることが、ディスプレイ広告の最大の強みであり、同時に設計を誤ると予算が薄く散らばる理由でもあります。

誰に出すかを決めるターゲティングは、大きく「人で選ぶ」か「場所で選ぶ」かに分かれます。Google広告ヘルプのディスプレイキャンペーンのターゲティングの説明をもとに整理すると、次のとおりです。

分類 種類 中身 向いている使い方
人で選ぶ(オーディエンス) 属性 年齢・性別などのユーザー層 商品の利用者層がはっきりしているとき
人で選ぶ(オーディエンス) 興味関心・購買意向 特定の分野に関心がある人、購入を検討していると思われる人 カテゴリーに近い人へ広く知らせるとき
人で選ぶ(オーディエンス) 自社データ(サイト訪問者など) 一度自社サイトを訪れた人などに再び表示する(リターゲティング) 検討の途中で離れた人を呼び戻すとき
場所で選ぶ(コンテンツ) キーワード・トピック 指定した言葉や話題に関連するページに表示する 読んでいる内容と商品が近いとき
場所で選ぶ(コンテンツ) プレースメント 特定のサイトやアプリ、動画を指定して表示する 読者層が分かっている媒体に絞って出したいとき
自動で広げる 最適化されたターゲティング 目標に合わせて、成果につながりやすい人を機械が探して配信を広げる 指定した条件を手がかりに届け先を広げたいとき

人で選ぶか場所で選ぶかは、どちらが正しいというものではありません。同じ表の中でも、属性で選べば届く人数は多く、自社サイトの訪問者に絞れば人数は少なくても反応は高くなります。届く広さと反応の高さは、たいてい引き換えの関係にあります。どこに線を引くかを決めることが、ディスプレイ広告の設計そのものです。

ディスプレイ広告の成り立ち──バナー広告から運用型へ

ディスプレイ広告は、特定の誰かが提唱した理論ではなく、ウェブの広告枠の売り方の変化とともに形を変えてきた広告です。原点は、ウェブページの一部に画像の広告を貼るバナー広告にあります。

最初期のバナー広告としてよく挙げられるのが、1994年にアメリカのウェブマガジン「HotWired」に掲載された、通信会社AT&Tの広告です。当時の広告は、媒体社から「このサイトのこの枠を、この期間」と買い取る形が中心でした。日本でいう純広告、あるいは予約型と呼ばれる売り方です。

その後、広告枠を一つずつ買うのではなく、たくさんのサイトの枠を束ねたネットワークにまとめて出稿し、表示のたびに入札で配信先を決める形が広がりました。これが運用型のディスプレイ広告です。GoogleディスプレイネットワークやLINEヤフーのYahoo!広告のディスプレイ広告(運用型)は、この流れの上にあります。枠を買う広告から、人を買う広告へ。ディスプレイ広告の歴史は、ひとことで言えばこの移り変わりです。

いま「ディスプレイ広告」と言うときは、多くの場合この運用型を指します。ただし媒体によっては予約型のディスプレイ広告もあり、同じ言葉で両方を呼ぶこともあります。打ち合わせで言葉が出てきたら、運用型の話か予約型の話かを最初に確かめておくと、費用の考え方の食い違いが起きにくくなります。

リスティング広告・バナー広告・純広告との違い

ディスプレイ広告とリスティング広告の違いは、需要を「起こす」か「受け止める」かで整理できます。ディスプレイ広告は、相手がまだ探していない段階でも目に触れられる、こちらから出向く広告です。

広告 表示されるきっかけ 届く相手 主な役割
ディスプレイ広告(運用型) サイトやアプリを見ているとき、条件に合う人に表示 まだ探していない人も含む(潜在層) 知ってもらう・思い出してもらう・呼び戻す
リスティング広告(検索連動型) 生活者が検索したとき すでに探している人(顕在層) 今すぐ客を取りこぼさない
バナー広告 広告の形(画像の広告)を指す呼び名 配信の仕方による ディスプレイ広告の代表的な形式の一つ
純広告(予約型) 特定の媒体の枠を、期間や表示回数を決めて買い取る その媒体の読者 媒体の信頼を借りて確実に露出する

バナー広告とディスプレイ広告は、よく同じ意味で使われますが、見ている軸が違います。バナー広告は「画像の広告」という形式の名前で、ディスプレイ広告は「サイトやアプリの枠に出る広告」という配信の場所の名前です。ディスプレイ広告には動画やテキストの形式もあるので、バナー広告はディスプレイ広告の一部と考えると整理しやすいと思います。

リスティング広告と同じ物差しで比べると、ディスプレイ広告はたいてい負けて見えます。検索した人は欲しい気持ちがすでにあり、ディスプレイ広告で出会った人はまだその手前にいるからです。クリック率も獲得単価も、比べればリスティング広告が勝ちます。でも、それはディスプレイ広告が劣っているのではなく、まだ検索していない人に届くという、リスティング広告にはできない仕事をしているからです。誰を狙うかを決める考え方の全体はターゲティングとは?マーケティングでの意味と6R・3つの型を解説にまとめています。ディスプレイ広告の配信設定は、その考え方を広告の管理画面に落としたものです。

実務での使い方──刈り取りの物差しで裁かない

ディスプレイ広告を実務で使うときの問いは、一つに絞れます。この広告は、潜在層への面をつくるために出しているのか。そうであれば、その場で売れたかどうかではなく、面ができたかどうかで成果を測ります。

広告会社にいた頃、テレビCMの効果は「どれだけの人に、何回届いたか」で議論するのが当たり前でした。その場で買われたかどうかを一本のCMごとに問う人はいません。ところがウェブの広告になると、同じ「面」をつくるための広告まで、獲得単価という刈り取りの物差しで裁かれがちです。ディスプレイ広告を獲得単価だけで評価すると、成果が悪く見えて予算を削られ、削ったあとに検索の数がじわじわ減っていく。この順番で効いてくるので、原因に気づくのが遅れます。

この見方を手順に落とすと、次のようになります。

  • 出稿の前に、この広告の役割を「知ってもらう」「思い出してもらう」「呼び戻す」のどれか一つに決める
  • 役割ごとに見る指標を分ける(知ってもらうなら届いた人数と回数、思い出してもらうなら社名や商品名での検索の増え方、呼び戻すなら再訪と購入)
  • 知ってもらう役割の広告は、獲得単価ではなく、配信した期間の前後で指名検索や直接の訪問がどう動いたかで評価する
  • 同じ人に何度も出すぎていないか、届いた人数と1人あたりの表示回数を並べて確かめる

いちばん失敗しやすいのは、役割を一つに決めないまま、知らせる広告と呼び戻す広告を同じキャンペーンに混ぜて、まとめて獲得単価で評価することです。呼び戻す広告は一度サイトを訪れた人に出すので、数字の上では成果がよく出ます。混ぜて評価すると、知らせる広告の成績の悪さが隠れるか、逆に知らせる広告が全体の足を引っぱっているように見えるか、どちらかになります。広告費に対する売上の見方はROASとは?読み方・計算式とROI・CPAとの違いを例でわかりやすく解説で書きましたが、ROASで裁いてよいのは、呼び戻す役割の広告までだと考えています。

面をつくる広告が何を残すのかは、思い出される力として説明できます。買い物の場面で頭に浮かぶブランドになっているかどうか、という考え方はメンタルアベイラビリティとは?意味とCEP・実務での高め方にまとめています。ディスプレイ広告が積み上げているのは、その日のクリックではなく、この思い出されやすさのほうです。

2026年時点での注意点──Cookie・自動化・見られない広告

2026年時点でディスプレイ広告を扱うときに外せないのは、人を追いかける仕組みが以前ほど自由に使えなくなっていることです。サイトをまたいで人を識別する第三者Cookieは、SafariやFirefoxでは標準の設定で制限されていて、ブラウザによって届き方が変わります。

そのため、リターゲティングや興味関心での配信は、以前より精度が読みにくくなっています。代わりに比重が増しているのが、ページの内容で選ぶコンテンツのターゲティングと、自社が直接持っている顧客データ、そして機械が届け先を広げる自動のターゲティングです。自動化が進むほど、人が決めるべきことは「何を成果として数えるか」に集まります。成果の定義を獲得だけにすると、機械は買いそうな人、つまりもともと検索から来たかもしれない人に配信を寄せていき、潜在層への面をつくるという本来の役割から離れていきます。

もう一つは、広告が見られにくくなっていることです。生活者の注意を奪い合う場所はSNSや動画にも広がり、記事の横に出る画像の広告は、目に入っても意識されずに流されることが増えました。注意そのものが取り合いになっている状況はアテンションエコノミーとは|人の「注目」が、最も高く売れる時代の歩き方で書いています。ディスプレイ広告では、表示された回数より、実際に見える状態になった回数を確かめておくと、面の厚みを読み違えにくくなります。Google広告ヘルプのアクティブビューの説明では、ディスプレイ広告は面積の半分以上が1秒以上画面に表示されたときに視認可能とみなされ、その回数は「視認範囲のインプレッション」として確認できます。

「ディスプレイ広告は古い、もう効かない」という声にも触れておきます。クリックされにくくなったのは確かです。でも、クリックされないことと、何も残らないことは別の話です。クリックしなかった人の頭の中に名前が残り、数週間後にその名前で検索する。ディスプレイ広告の効果は、こうした遅れてやってくる行動に表れることが多く、クリック率だけを見ていると見落とします。効かなくなったのではなく、効き目の表れる場所が、広告の外側に移っているのだと思います。

ディスプレイ広告に関するよくある質問

ディスプレイ広告とは簡単に言うと何ですか?

ウェブサイトやアプリ、動画の広告枠に出る画像や動画の広告です。ニュースサイトの記事の横やアプリの画面の下などに表示されます。検索していない人にも、見ているページの内容や本人の興味に合わせて届けられるのが特徴で、まだ商品を探していない人に知ってもらう役割に向いています。

ディスプレイ広告とバナー広告の違いは何ですか?

バナー広告は「画像の広告」という形式の名前で、ディスプレイ広告は「サイトやアプリの広告枠に出る広告」という場所の名前です。ディスプレイ広告には画像のほかに動画やテキストの形式もあるので、バナー広告はディスプレイ広告の代表的な形式の一つと考えると整理しやすくなります。日常的には同じ意味で使われることも多い言葉です。

ディスプレイ広告にはどんな種類がありますか?

配信面で分けると、Googleディスプレイネットワーク、Yahoo!広告のディスプレイ広告(運用型)、SNS内の広告枠などがあります。売り方で分けると、入札で配信先が決まる運用型と、特定の媒体の枠を買い取る予約型(純広告)があります。届け先の決め方では、属性や興味関心で人を選ぶ方法と、ページの内容やサイトを指定して場所を選ぶ方法に分かれます。

ディスプレイ広告の効果はどう測ればいいですか?

出稿する前に役割を一つに決めて、役割に合った指標で測ります。知ってもらう役割なら届いた人数と回数、思い出してもらう役割なら社名や商品名での検索の増え方、一度訪れた人を呼び戻す役割なら再訪や購入です。届いた人数と回数の数え方は、インプレッション・リーチ・フリークエンシーの違いとは?計算例で解説で整理しています。知ってもらう役割の広告を獲得単価だけで評価すると、実際より成果が悪く見えるので注意が必要です。

おわりに──ディスプレイ広告は今日売る広告ではない。来月、名前で探してもらう広告

ディスプレイ広告の管理画面を開くと、目に入るのはクリック率や獲得単価といった、その日のうちに出る数字です。数字が悪ければ止めたくなるし、検索の広告と比べればたいてい見劣りします。でも、その数字に映っているのは、ディスプレイ広告の仕事のごく一部です。

ディスプレイ広告は、今日売るための広告ではありません。来月、名前で探してもらうための広告です。面をつくる広告を刈り取りの物差しで裁かないこと。それだけで、広告の評価の仕方は少し変わってくると思います。

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