よそおいの話

tiny合同会社を立ち上げて気づいた「独立後の現実」【40歳からの話】

はじめに──このブログで初めて「独立の現実」をちゃんと書く

このブログを始めてから、プロフィール欄には「tiny合同会社 代表」と書いてきたけれど、実は独立について詳しく書いたことはなかった。なんとなく、美化された「独立起業ストーリー」みたいになるのが嫌だったのかもしれない。

でも最近、「どうやって独立したんですか?」「会社員時代と何が変わりましたか?」という質問をいただくことが増えてきた。だから今日は、ぼくが40歳でアクセンチュアのマネージャーを辞めて、tiny合同会社を立ち上げてからの約2年間について、正直に書こうと思う。

良かったこともあるし、めちゃくちゃ大変だったこともある。今でも「あのまま会社員でいた方がよかったんじゃないか」と思う瞬間もある。そういう正直なところも含めて、等身大の独立の話を書いていく。

「独立すべき」なんて無責任なことは言えない。でも、独立という選択肢があること、そしてそれがどんな現実なのかを知っておくことは、誰にとっても意味があると思う。

なぜ「tiny合同会社」という名前にしたのか

独立を決めたとき、最初に考えたのが会社の名前だった。実はこれが一番時間がかかった。最初は「○○企画」みたいな名前も考えたんだけど、なんかピンとこなかった。

そんなときにふと思いついたのが「tiny」という言葉だった。tinyは、小さい、ちっぽけな、って意味だけど、ぼくはこの言葉が好きだった。大きくなくていい、小さくて尖っていたい。人数を増やすことよりも、一緒に仕事をする人の質を大事にしたい。そういう思いを込めて「tiny」にした。

あと、会社の形態を「合同会社」にしたのには理由がある。株式会社にしようかとも思ったんだけど、調べていくうちに合同会社の方がぼくのやりたいことに合っていると感じた。

合同会社の良いところは、設立コストが安いこと(株式会社の半分以下)、決算公告の義務がないこと、内部の意思決定がシンプルなこと。「上場を目指す」とか「株主を集める」とかそういうことは考えていなかったから、合同会社で十分だった。

それに「合同会社」って響きも、なんか肩の力が抜けていて好きだった。株式会社ほど構えなくていい感じ。この選択は今でも正解だったと思っている。

独立1年目のリアルな数字を公開する

独立して最初の1年、具体的な数字を書くのはちょっと恥ずかしいけれど、リアリティがないと意味がないので正直に書く。

1年目の売上は約800万円だった。月平均にすると約67万円。会社員時代の給料と比べると、正直かなり下がった。アクセンチュアのマネージャーだった頃は年収1,200万円くらいあったから、単純計算で4割減。

仕事の内訳は、ブランディングコンサルティングが5割、Webサイトの企画・制作が3割、研修・講演が2割くらい。クライアント数は年間で12社。多くはないけれど、一つひとつ丁寧に向き合えたと思う。

良かった月は、3件のプロジェクトが重なって月収120万円いったこともあった。逆に怖かった月は、5月と8月。この2ヶ月は新規案件がまったく入らなくて、月収が20万円台だった。預金残高を見ながら「大丈夫かな…」って不安になった。

会社員のときは「毎月決まった日に決まった額が振り込まれる」ことがどれだけありがたかったか、独立して初めて実感した。収入の波があるというのは、頭では分かっていても、実際に体験すると想像以上にメンタルにくる。

ただ、2年目に入ってからは少し安定してきた。リピートのクライアントが増えて、紹介で新規案件をいただくことも増えた。今は月の売上が安定して80万円〜100万円くらいで推移している。それでも会社員時代より少ないけれど、満足度は高い。

独立してよかったこと(本音で書く)

まず一番大きいのは、時間の自由が手に入ったこと。これは本当に想像以上だった。朝のラッシュに乗らなくていい、会議のための会議がない、無駄な社内調整がない。この開放感は何物にも代えがたい。

子どもの学校行事に参加できるようになったのも大きい。会社員のときは「この日は外せない会議があって…」と妻に謝ることが多かったけれど、今は自分でスケジュールを調整できる。先日も平日の昼間に息子の授業参観に行けて、すごく嬉しかった。

意思決定のスピードが圧倒的に速くなった。「これやりたい」と思ったら、誰かに承認を取る必要がない。自分で決めて、自分で実行する。このスピード感は独立してよかったと心から思える部分。

あと、「自分でやった」という実感がある。会社員のときは、どれだけ頑張っても「会社の成果」になる部分が大きかった。でも今は、うまくいってもうまくいかなくても、全部自分の責任。この感覚が、ぼくには合っていた。

クライアントから直接「ありがとう」と言われることも増えた。間に会社が入らないから、感謝がダイレクトに届く。これは思っていた以上にモチベーションになる。メールで「原田さんに頼んでよかった」と書いてもらえたときは、素直に嬉しかった。

独立して大変だったこと(これも本音で)

一番大変だったのは、想像以上の孤独感だった。会社員のときは、良くも悪くも「仲間」がいた。愚痴を言い合える同僚、相談できる上司、飲みに行ける後輩。でも独立すると、平日の昼間に誰とも話さない日が普通にある。

Slackで一人でつぶやいたり、ChatGPTに話しかけたりしている自分を見て、「ああ、ぼくは寂しいんだな」と気づいた。だから意識的にコワーキングスペースに行ったり、フリーランス仲間と定期的に会うようにしている。

収入の波も、実際に体験すると本当にきつい。さっきも書いたけれど、良い月と悪い月の差が3倍以上あったりする。貯金があるから大丈夫なはずなのに、収入が少ない月が続くと不安になる。この不安は、会社員時代には感じたことがなかった種類のものだった。

営業も想像以上に大変だった。博報堂やアクセンチュアにいたときは、「会社の看板」で仕事が取れていた部分が大きかった。でも独立すると「自分という個人」で勝負しなきゃいけない。最初は「誰だよお前」って感じだった。

確定申告も最初は本当に訳が分からなくて、税理士さんに頼むことにした。月3万円の顧問料は正直痛いけれど、自分でやって間違えるリスクを考えたら安い投資だと思っている。

あと、健康保険や年金も自分で手続きしなきゃいけない。会社員のときは総務がやってくれていたことが、全部自分の仕事になる。こういう細かい事務作業が、思った以上に時間を取られる。最初の半年は、仕事よりも事務作業に追われている感覚だった。

アクセンチュアのマネージャーを辞めて本当によかったのか

正直に言うと、今でもときどき「あのままアクセンチュアにいた方がよかったんじゃないか」と思うことがある。特に、収入が少ない月が続いたときや、大きなプロジェクトの話を聞いたときなんかは。

アクセンチュアは本当に良い会社だった。給料も良かったし、優秀な人たちと一緒に大きな仕事ができた。学べることも多かったし、キャリアとしても申し分なかった。あと2〜3年いたら、シニアマネージャーに上がれたかもしれない。

でも、40歳になったとき、ふと「このままでいいのか?」と思ってしまった。あと20年働くとして、このままアクセンチュアで出世競争を続けることが、ぼく自身の幸せなのか、確信が持てなくなった。

独立して2年経った今、後悔はない。でも、アクセンチュアで得たものの大きさも改めて感じている。あの5年間で学んだ戦略思考、プロジェクトマネジメント、クライアントとのコミュニケーション。これがなければ、今の仕事はできていない。

だから、「独立してよかった」と同時に「アクセンチュアにいてよかった」とも思う。どっちが正解とかじゃなくて、両方が今のぼくを作っている。

tiny合同会社が目指していること

tiny合同会社のコンセプトは「小さく、深く、誠実に」。これは設立当初から変わっていない。

今やっている仕事は、主に中小企業やスタートアップのブランディング支援。大企業相手のコンサルティングもできるけれど、あえて小さな会社を選んでいる。小さな会社の方が、経営者と直接話せるし、変化のスピードが速い。自分の仕事の成果が見えやすいのも嬉しい。

従業員を増やすつもりは今のところない。案件が増えたら、信頼できるフリーランス仲間とチームを組む。固定費を増やさずに、必要なときに必要なスキルを集める。このやり方が、今のぼくには合っている。

将来的には、もう少し「教える」仕事も増やしていきたい。博報堂とアクセンチュアで学んだことを、次の世代に伝えていく。そういう役割も、40代の自分には必要だと感じている。

独立を考えている人へ──無責任に「独立しろ」とは言わない

「独立した方がいいですか?」と聞かれることがあるけれど、ぼくは「独立すべき」とは絶対に言わない。独立が合う人もいれば、会社員の方が合う人もいる。どっちが正解とかじゃない。

ただ、「独立という選択肢があること」は知っていてほしい。会社員でいることが唯一の正解じゃない。40歳からでも、50歳からでも、独立はできる。

もし独立を考えているなら、まずは副業から始めてみるのがいいと思う。いきなり会社を辞めるのはリスクが大きい。週末だけでも自分で仕事を取ってみて、それが続けられそうかを確かめてから独立する。ぼくもそうすればよかったと今は思う。

貯金も大事。最低でも生活費の1年分、できれば2年分は貯めてから独立した方がいい。収入がゼロの月があっても耐えられるだけの余裕があると、精神的にだいぶ楽になる。

まとめ──独立2年目の正直な気持ち

独立して2年、tiny合同会社を立ち上げて良かったと心から思っている。収入は減ったけれど、時間の自由と意思決定の速さは何物にも代えがたい。孤独で不安な日もあるけれど、それ以上に「自分で生きている」という実感がある。

これからも「小さく、深く、誠実に」というコンセプトは変えずに、一つひとつの仕事に向き合っていきたい。大きな会社にする気はないけれど、クライアントから「tinyさんに頼んでよかった」と言ってもらえる仕事を続けていきたい。

独立を考えている人にとって、この記事が少しでも参考になれば嬉しい。美化された成功ストーリーじゃなくて、リアルな独立の話を書いたつもり。

これからも、このブログで独立後の日々を正直に書いていこうと思う。