転職エージェント選びで、ぼくが最初に失敗した話
いきなり正直に書きます。ぼくは1回目の転職(博報堂→アクセンチュア)のとき、転職エージェント選びで盛大にしくじりました。
何をしくじったかというと、「とりあえず有名なところに1社だけ登録して、言われるがままに面談を進めた」んです。紹介された求人はどれも悪くはなかったけど、「マーケターとしてのキャリアをどう伸ばすか」という視点がほとんどなかった。担当のキャリアアドバイザーはとても丁寧な方でしたが、マーケティング業界に詳しいわけではなく、「御社の強みは…」みたいな一般的なアドバイスに終始してしまいました。
結果的にアクセンチュアに入れたのでよかったですが、あれは「エージェントのおかげ」というよりも、自分で業界を調べ直して軌道修正したからだと思っています。
この記事を読んでいるあなたは、おそらくマーケターとして転職を考えている方だと思います。事業会社のマーケティング部門にいる方、広告代理店で働いている方、コンサルのマーケティング領域にいる方。いろんな立場の方がいるでしょう。
共通しているのは、「マーケターの転職って、普通の転職とちょっと違うよな」という感覚ではないでしょうか。ぼくもそう感じていました。
マーケターの仕事は、企業によって定義がぜんぜん違います。同じ「マーケティングマネージャー」という肩書きでも、ある会社ではブランド戦略を描く仕事だし、別の会社ではリスティング広告の運用がメインだったりする。だからこそ、転職エージェントの選び方ひとつで、出会える求人もキャリアの方向性もまったく変わってきます。
この記事では、ぼく自身が2回の転職(博報堂→アクセンチュア→独立)を経験する中で実際に使ったエージェント、周囲のマーケター仲間から聞いた評判、そして40歳で独立した今だからこそ俯瞰的に見える「エージェントの使い方」を、できるだけ正直に書いていきます。
アフィリエイトリンクも貼りますが、忖度して特定のサービスを持ち上げるつもりはありません。良いところも微妙なところも、そのまま書きます。
転職エージェントを使う前に知っておくべきこと
マーケター転職市場の「リアルな温度感」
まず前提として、2024年〜2025年のマーケター転職市場は、かなり活況です。特にデジタルマーケティング領域は慢性的な人手不足で、経験者であれば複数の内定を獲得しやすい状況が続いています。
ただし、「活況=簡単に転職できる」という意味ではありません。求人は多いけれど、企業側の期待値も上がっています。特にミドル〜シニアクラスのマーケターに対しては、「手を動かせる」だけでなく「戦略を描けるか」「PL(損益)に対する責任を持てるか」が問われるようになってきています。
ぼくがアクセンチュアに転職した2019年ごろと比べても、企業が求めるスキルセットは明らかに高度化しています。博報堂時代の同期や後輩とも定期的に情報交換していますが、「昔より書類で落ちるようになった」「面接で具体的な数字を求められる場面が増えた」という声は多いです。
エージェントの「ビジネスモデル」を理解しておく
これ、意外と知らない方が多いんですが、転職エージェントは「あなたが入社した企業から、年収の約30〜35%を成功報酬として受け取る」ビジネスモデルです。つまり、あなたの年収が高ければ高いほど、エージェントの報酬も上がる。
これ自体は悪いことではありません。あなたの年収を上げるインセンティブがエージェント側にもあるわけですから、利害が一致しています。
ただし、裏を返すと「とにかく早く決めてもらいたい」というインセンティブも働きます。エージェントにとっては、あなたが3ヶ月悩んで最高の1社を見つけるよりも、1ヶ月でさっと決まってくれたほうがありがたい。この構造を理解した上で使うのと、知らずに使うのとでは、まったく結果が変わってきます。
マーケター転職で「エージェント任せ」が危険な理由
ぼくが1回目の転職で失敗しかけた理由がまさにこれです。マーケティングという職種は、業界・企業によって仕事内容の幅が広すぎるんです。
たとえば「BtoBマーケティング」と一口に言っても、SaaS企業のデマンドジェネレーションなのか、製造業のブランディングなのか、コンサルティングファームのマーケティング支援なのかで、求められるスキルも日々の業務もまったく違います。
多くのキャリアアドバイザーは、この「マーケティング職種内の細かい違い」を十分に理解していません。これはエージェントが悪いのではなく、構造的にそうならざるを得ないんです。ひとりのアドバイザーが担当する領域は幅広く、マーケティングだけに特化して知識を深められる環境にいる人は少数派です。
だからこそ、「自分がどういうマーケターになりたいのか」「次の転職で何を得たいのか」を自分の言葉で説明できる状態にしてからエージェントに会いに行くことを、強くおすすめします。エージェントは「あなたの方向性を一緒に探してくれる人」ではなく、「あなたの方向性に合った求人を効率的に探してくれる人」だと思ったほうがいい。
マーケター転職でおすすめのエージェント5選【実体験ベース】
ここからは、ぼくが実際に使った経験、そして周囲のマーケター仲間の評判をもとに、おすすめのエージェントを5つ紹介します。
先に言っておくと、「この1社だけ登録すればOK」という銀の弾丸はありません。それぞれに強み・弱みがあり、あなたの状況によって最適な組み合わせは変わります。そのあたりも含めて、できるだけ率直に書いていきます。
1. リクルートエージェント ─ 膨大な求人数、ただし使い方にコツがいる
言わずと知れた最大手。ぼくが博報堂からの転職を考え始めたとき、最初に登録したのがここでした。
リクルートエージェントの最大の強みは、圧倒的な求人数です。公開・非公開合わせて数十万件という規模は、他社を寄せ付けません。マーケティング関連の求人も、事業会社のCMO候補から、スタートアップのマーケティング担当まで、幅広く揃っています。
ぼくが実際に使ってみて感じたのは、「数が多い分、自分で取捨選択する力が必要」ということです。担当のキャリアアドバイザーは親切でしたが、紹介される求人の数が多すぎて、正直、すべてに目を通すのが大変でした。マーケティングの求人だけでも、「これは違うな」というものが結構混ざっていました。
ただ、「まだ自分の方向性が完全には固まっていない」「いろんな選択肢を見てから判断したい」という段階なら、リクルートエージェントの求人数は心強い味方になります。実際、ぼくもここで初めて「コンサルティングファームのマーケティング部門」という選択肢を知りました。博報堂にいた頃は、コンサルに行くという発想自体がなかったんです。
注意点としては、アドバイザーの質にばらつきがあること。ぼくの担当の方はマーケティング業界にそこまで詳しくなく、「ブランドマーケティングとパフォーマンスマーケティングの違い」を説明するところから始めなければならなかったのは、正直しんどかったです。ただ、これは担当者の当たりはずれもあるので、合わないと感じたら遠慮なく担当変更を申し出ることをおすすめします。
こんな人におすすめ:
- 幅広い選択肢を見たい人
- まだ転職の方向性が完全には固まっていない人
- 初めての転職で、まず「市場を知る」ところから始めたい人
2. ビズリーチ ─ スカウト型で「自分の市場価値」がわかる
ビズリーチは、ぼくがアクセンチュアに在籍していた時期に登録しました。直接的に転職活動に使ったというよりも、「自分の市場価値を定点観測する」目的で使い始めたのがきっかけです。
ビズリーチの特徴は、「企業やヘッドハンターからスカウトが届く」という仕組みです。自分から求人を探しに行くのではなく、職務経歴を登録しておけば向こうからオファーが来る。これがマーケターにとっては非常に有用です。
なぜかというと、「自分のどのスキル・経験に市場価値があるのか」がスカウト文面から読み取れるからです。ぼくの場合、博報堂でのブランド戦略の経験よりも、アクセンチュアでのデジタルマーケティング×データ分析の経験に対するスカウトが圧倒的に多かった。これは「なるほど、今の市場はこっちを求めているのか」と気づくきっかけになりました。
ハイクラス向けを謳っているだけあって、年収600万円以上の求人が中心です。マーケティングマネージャーやCMO候補など、ミドル〜シニア向けの求人はビズリーチが最も充実していると感じました。
一方で、デメリットもあります。有料プラン(プレミアムステージ)に入らないと、すべてのスカウトに返信できない仕組みになっています。無料のスタンダードステージでもプラチナスカウトには返信できますが、本格的に使うなら有料課金が必要です。月額5,478円(税込)。これを高いと見るか安いと見るかは人それぞれですが、ぼくは「転職という人生の大きな判断に月5,000円をケチる必要はないな」と割り切って課金しました。
もうひとつ気になったのは、ヘッドハンターの質のばらつきです。丁寧にキャリア相談に乗ってくれるヘッドハンターもいれば、「とりあえず案件を投げてくる」タイプの方もいます。スカウト文面を見れば大体わかるので、「あなたのご経歴を拝見し〜」という定型文のスカウトはスルーして、具体的な求人内容やキャリアの方向性に言及しているスカウトだけ返信するのがコツです。
こんな人におすすめ:
- 現年収600万円以上で、さらなるキャリアアップを目指す人
- 自分の市場価値を客観的に知りたい人
- すぐに転職するつもりはないが、良い機会があれば動きたい人
- マネジメント経験がある30代後半〜40代のマーケター
3. マイナビエージェント ─ 20〜30代マーケターの「伴走者」
ぼく自身はメインで使ったことがないのですが、博報堂時代の後輩やマーケター仲間で「マイナビエージェントが良かった」と言う人が一定数います。特に20代後半〜30代前半のマーケターからの評判が良い印象です。
マイナビエージェントの強みは、「サポートの手厚さ」です。初めての転職、もしくは2回目の転職で、「転職活動の進め方自体がよくわからない」という方には、かなり丁寧に伴走してくれます。書類添削や面接対策の質が高いという声を、複数の知人から聞いています。
博報堂の後輩(当時28歳、デジタルマーケティング3年目)が事業会社のマーケティング職に転職した際、マイナビエージェントを使っていました。彼が言っていたのは、「担当の方が、ぼくが言語化できていなかった”転職の軸”を整理してくれた」ということ。これは特に若手マーケターにとっては大きな価値です。
マーケティング職種に特化しているわけではありませんが、IT・Web業界の求人には比較的強く、デジタルマーケティング関連の求人も豊富です。事業会社のマーケティング職、特にメガベンチャーやIT企業のマーケティングポジションを探している人には向いています。
一方で、ハイクラス帯(年収800万円以上)の求人は、ビズリーチやリクルートダイレクトスカウトに比べるとやや弱い印象です。また、外資系企業やコンサルティングファームの求人は少なめです。
こんな人におすすめ:
- 20代後半〜30代前半の若手マーケター
- 初めての転職で、手厚いサポートを受けたい人
- 事業会社(特にIT・Web企業)のマーケティング職を探している人
- 転職の軸がまだぼんやりしていて、整理するところから始めたい人
4. JACリクルートメント ─ コンサル・外資転職を狙うマーケターの強い味方
JACリクルートメントは、ぼくがアクセンチュアへの転職活動で最もお世話になったエージェントのひとつです。「コンサルティングファームに転職したい」「外資系企業のマーケティング職を狙いたい」という明確な目標があるなら、JACは他の追随を許さない強みを持っています。
JACの最大の特徴は、コンサルタントが「両面型」であることです。つまり、担当のコンサルタントが求職者側と企業側の両方を担当します。多くのエージェントが求職者担当と企業担当を分けているのに対し、JACのコンサルタントは企業の採用担当者と直接やり取りしているため、「この企業が本当に求めているスキル・人物像」を正確に把握しています。
ぼくがJACを使って特に感じたのは、コンサルタントのビジネス知識の深さです。「マーケティングオートメーション」「デマンドジェネレーション」「ブランドエクイティ」といった専門用語を説明しなくても話が通じる。これは、他のエージェントではなかなか体験できなかったことです。アクセンチュアのマーケティングポジションに興味があると伝えたとき、担当コンサルタントが「アクセンチュアのCreative Divisionは〇〇という特性があって、博報堂出身の方は△△の観点で評価されやすい」と具体的な情報をくれたのが印象的でした。
求人数はリクルートエージェントやdodaと比べると少ないですが、その分「質」が高い。外資系企業・コンサルティングファーム・グローバル企業のマーケティング職は、JACを通じて出会える求人が多いです。年収帯は600万円〜が中心で、シニアクラスになると1000万円超の求人も珍しくありません。
注意点としては、担当コンサルタントとの相性が重要だということ。JACのコンサルタントは業界・職種専門で動いているため、「合う・合わない」がはっきりしやすいです。最初の面談で「この人は自分のことを理解してくれているな」と感じなければ、遠慮なく担当変更を申し出てください。
こんな人におすすめ:
- コンサルティングファームへの転職を検討しているマーケター
- 外資系企業・グローバル企業のマーケティング職を狙っている人
- 年収600万円以上で、さらなるステップアップを目指す人
- 担当者の専門性を重視する人
5. リクルートダイレクトスカウト ─ ハイクラス×スカウト型の安定感
リクルートダイレクトスカウト(旧キャリアカーバー)は、リクルートが運営するハイクラス向けのスカウトサービスです。ビズリーチと似たポジションですが、こちらは完全無料で使えるのが大きな違いです。
ぼくはアクセンチュア時代に、ビズリーチと併用して登録していました。比較してみた率直な感想を書きます。
まず、スカウトの質はビズリーチと比べて「やや丁寧」な印象です。これはリクルートダイレクトスカウトに登録しているヘッドハンターの層が、ビズリーチとは微妙に違うことが影響していると思います。コンサルティングファーム出身のヘッドハンターや、特定業界に強い専門エージェントからのスカウトが比較的多かった。
マーケティング関連で言えば、「CMO候補」「マーケティング部長」「デジタルマーケティング責任者」といったシニアクラスの求人が目立ちました。年収800万円〜1500万円帯の求人が中心で、「次のキャリアで確実にステップアップしたい」という方には合っています。
一方で、スカウトの数はビズリーチのほうが多いです。リクルートダイレクトスカウトはやや落ち着いたペースでスカウトが届く印象。「とにかくたくさんの選択肢を見たい」ならビズリーチ、「厳選されたスカウトを受け取りたい」ならリクルートダイレクトスカウト、という使い分けがいいかもしれません。
完全無料で使えるので、ビズリーチの有料プランに課金するのに抵抗がある方は、まずリクルートダイレクトスカウトから始めるのも手です。
こんな人におすすめ:
- 年収800万円以上を目指すシニアマーケター
- 無料でハイクラス向けスカウトサービスを使いたい人
- ビズリーチと併用して選択肢を広げたい人
- マーケティング部門の管理職ポジションを探している人
5社の比較まとめ
テキストベースで比較表をまとめます。あくまでぼくの主観と実体験に基づく評価です。
【リクルートエージェント】
- タイプ:エージェント型
- 求人数:★★★★★(圧倒的)
- マーケティング求人の充実度:★★★★☆
- アドバイザーの専門性:★★★☆☆(ばらつきあり)
- ハイクラス求人:★★★☆☆
- 料金:無料
- おすすめ年代:全年代
【ビズリーチ】
- タイプ:スカウト型
- 求人数:★★★★☆
- マーケティング求人の充実度:★★★★☆
- アドバイザーの専門性:★★★★☆(ヘッドハンターによる)
- ハイクラス求人:★★★★★
- 料金:基本無料(プレミアムは月額5,478円)
- おすすめ年代:30代〜40代
【マイナビエージェント】
- タイプ:エージェント型
- 求人数:★★★★☆
- マーケティング求人の充実度:★★★☆☆
- アドバイザーの専門性:★★★☆☆
- ハイクラス求人:★★☆☆☆
- 料金:無料
- おすすめ年代:20代〜30代前半
【JACリクルートメント】
- タイプ:エージェント型(両面型)
- 求人数:★★★☆☆
- マーケティング求人の充実度:★★★★☆
- アドバイザーの専門性:★★★★★
- ハイクラス求人:★★★★☆
- 料金:無料
- おすすめ年代:30代〜40代
【リクルートダイレクトスカウト】
- タイプ:スカウト型
- 求人数:★★★☆☆
- マーケティング求人の充実度:★★★★☆
- アドバイザーの専門性:★★★★☆
- ハイクラス求人:★★★★★
- 料金:無料
- おすすめ年代:30代〜40代
マーケター転職でエージェントを使いこなす実践アドバイス
鉄則1:最低3社は並行して登録する
これは声を大にして言いたい。エージェントは1社だけで使うな、です。
ぼくが1回目の転職で失敗しかけたのは、1社だけに頼ったからです。2回目の転職活動(結果的には独立を選びましたが、その前に転職も検討していた時期があります)では、ビズリーチ、リクルートダイレクトスカウト、dodaの3つを並行して使っていました。
複数登録するメリットは3つあります。
- 同じポジションの求人を複数のエージェントから紹介されることで、求人の「相場観」がわかる
- エージェントごとに独占求人(そのエージェントでしか扱っていない求人)があるので、選択肢が広がる
- アドバイザーの意見を比較できるので、偏ったアドバイスに流されにくくなる
「複数登録すると管理が大変じゃないですか?」とよく聞かれますが、ぼくのおすすめは「メインで使うエージェント1社+スカウト型1〜2社」という組み合わせです。メインのエージェントとは密にやり取りしつつ、スカウト型は放置しておいて良いスカウトが来たら反応する、というスタイルです。
鉄則2:最初の面談で「マーケティングのどの領域に強いか」を確認する
エージェントに登録すると、最初にキャリアアドバイザーとの面談があります。ここで必ず確認してほしいのが、「マーケティング職種の転職支援実績がどのくらいあるか」です。
遠慮する必要はありません。「マーケティング領域の転職支援は年間何件くらいされていますか?」「直近で担当されたマーケティング職種の方は、どういう企業に転職されましたか?」と、直接聞いてください。
ぼくの経験上、この質問に具体的な数字で答えられるアドバイザーは信頼できます。逆に、「いろいろな業界を幅広く担当しておりまして…」とふわっとした回答をする方は、マーケティング領域の専門性は期待しないほうがいい。その場合は、求人紹介の「窓口」として割り切って使い、キャリアの方向性は自分で考えるか、マーケター仲間に相談するのがいいです。
鉄則3:職務経歴書は「マーケター向け」にカスタマイズする
転職エージェントに登録する際に提出する職務経歴書は、マーケターとしての成果がわかる形に書き込んでおくことが重要です。
ぼくが博報堂からアクセンチュアに転職した際に意識したのは、以下のポイントです。
- 担当したプロジェクトの規模(予算、期間、チーム人数)
- 具体的な成果を数字で示す(売上○%向上、CPA○%改善、認知度○ポイント向上など)
- 自分の役割を明確にする(戦略立案なのか、実行なのか、マネジメントなのか)
- 使用したツール・プラットフォーム(Google Analytics、Tableau、Salesforce、Adobe Analyticsなど)
特に「数字」は重要です。マーケターの仕事はすべて数字で語れるはず。「ブランディングに携わりました」ではなく、「年間予算3億円のブランドキャンペーンを統括し、ブランド認知度を15ポイント向上させました」と書く。この違いだけで、紹介される求人の質が変わります。
なぜなら、エージェントはあなたの職務経歴書をもとに企業にあなたを推薦するからです。経歴書の完成度=あなたの第一印象、と言っても過言ではありません。
鉄則4:「年収交渉」はエージェントに任せていい
これは日本人のマーケターが苦手とするところです。自分の給料の話を自分でするのって、なんとなく気まずい。でも、年収交渉こそエージェントの腕の見せどころです。
前述のとおり、エージェントはあなたの年収が上がるほど報酬が増えるビジネスモデルです。だから、年収交渉は基本的にエージェントに任せてOK。ぼくがアクセンチュアに転職した際も、年収交渉はエージェント経由で行いました。
ただし、丸投げするのではなく、「希望年収」と「最低ライン」は事前に明確に伝えておくこと。「現年収が○○万円で、希望は○○万円。最低でも○○万円は確保したい」と、3つの数字を伝えておくとスムーズです。
鉄則5:エージェントの言うことを100%真に受けない
最後に、これが一番大事かもしれません。
エージェントは転職のプロですが、「あなたのキャリア」のプロではありません。「この会社は今すごく勢いがありますよ」「このポジションは人気なので早めに決断したほうがいいですよ」というアドバイスは、参考にはすれど、鵜呑みにしないこと。
ぼくは1回目の転職で、エージェントから「アクセンチュアよりもこっちの会社のほうがおすすめです」と別の会社を強く推された経験があります。後から振り返ると、その会社のほうがエージェントにとって「決まりやすい案件」だったのだと思います。ぼくは自分の直感を信じてアクセンチュアを選びましたが、もしあのとき流されていたら、今のキャリアはなかったかもしれません。
エージェントのアドバイスは「判断材料のひとつ」であって、最終的な意思決定は必ず自分で行う。当たり前のことですが、転職活動の渦中にいると、意外とこの原則を忘れがちです。
状況別・おすすめの組み合わせパターン
最後に、あなたの状況別におすすめのエージェントの組み合わせを提案します。
パターンA:20代後半〜30代前半、初めての転職
- メイン:マイナビエージェント(サポート重視)
- サブ:doda(自分でも求人を検索しつつ)
- 情報収集用:ビズリーチ(市場価値の確認)
パターンB:30代中盤〜後半、年収アップ・キャリアアップ狙い
- メイン:ビズリーチ(ハイクラススカウト)
- サブ:リクルートエージェント(求人数で選択肢を広げる)
- 補完:リクルートダイレクトスカウト(厳選スカウト)
パターンC:40代、マネジメント・CMO候補クラス
- メイン:ビズリーチ(ハイクラス×ヘッドハンター)
- サブ:リクルートダイレクトスカウト(シニア求人)
- 必要に応じて:業界特化型のブティックエージェント(この記事では割愛しますが、マーケティング特化のエージェントも存在します)
パターンD:方向性が定まっていない、まず情報収集したい
- メイン:doda(検索機能で市場を知る)
- サブ:リクルートエージェント(幅広い求人で選択肢を把握)
- 情報収集用:ビズリーチ(スカウト文面から市場ニーズを読む)
まとめ:エージェントは「使うもの」であって「頼るもの」ではない
長くなりましたが、最後にぼくが一番伝えたいことを書きます。
転職エージェントは、非常に便利なツールです。求人情報の収集、書類添削、面接対策、年収交渉。自分ひとりでやるには大変なことを、プロが代行してくれる。これは間違いなく価値があります。
でも、エージェントはあくまで「ツール」です。あなたのキャリアの主導権は、あなた自身が握っていなければいけません。
ぼくが博報堂で12年、アクセンチュアで5年を過ごし、40歳で独立して強く感じているのは、「キャリアの正解は、事後的にしかわからない」ということです。転職した瞬間には「これが正解だ」とはわからない。その選択を正解にしていくのは、転職した後の自分の行動です。
だからこそ、エージェント選びに完璧を求める必要はありません。この記事で紹介した5つのサービスは、どれも一定以上の質は担保されています。大切なのは、「自分がどうなりたいか」を考え抜いた上で、エージェントをうまく活用すること。
「マーケターとしてどう生きたいか」──その問いに対する答えは、エージェントではなく、あなた自身の中にしかありません。エージェントにはその答えを実現するための「手段」を提供してもらう。その位置づけさえ間違えなければ、転職活動は必ずうまくいきます。
この記事が、あなたの転職活動の一助になれば幸いです。何か質問があれば、ブログのコメント欄やSNSでお気軽にどうぞ。マーケター同士、キャリアの話はいくらでもしましょう。