転職戦略

マーケター転職の面接で聞かれること・答え方【博報堂→アクセンチュアの実体験から】

マーケターの転職面接、何を聞かれるかわからなくて夜も眠れない

転職の面接が決まったとき、ぼくはまず「何を聞かれるんだろう」という不安に襲われた。特にマーケターとして転職する場合、一般的な転職面接の対策本を読んでも、なんだかピンとこない。「志望動機」とか「強み」とか、そういう定型的な質問への答え方は載っているんだけど、マーケター特有の聞かれ方ってあるんじゃないか。そもそもぼくが受けるアクセンチュアのようなコンサルファームでは、どんなことを聞かれるんだろう。

この記事では、ぼくが博報堂からアクセンチュアに転職したときの実体験をもとに、マーケターの転職面接で実際に聞かれること、そしてどう答えればいいのかを書いていく。一般論じゃなくて、ぼく自身が面接で言葉に詰まったこと、逆にうまく答えられて手応えを感じたこと、そういうリアルな話をしていきたい。

正直に言うと、マーケターの面接は転職先によって聞かれることが全然違う。事業会社のインハウスマーケターになるのか、コンサルファームでマーケティング支援をするのか、それとも別の広告代理店に移るのか。それぞれで面接官が見ているポイントが異なるから、準備の仕方も変わってくる。でも、どんな面接にも共通する「構造」みたいなものはある。それをまず理解することが、面接への不安を減らす第一歩になると思う。

マーケター転職面接の「構造」を理解する

面接官が見ているのは「実績」じゃなくて「再現性」

面接の準備をしていると、つい自分の実績をどう魅力的に語るかばかり考えてしまう。ぼくもそうだった。「このキャンペーンで何億円の売上を作りました」とか「このプロジェクトでこんな賞をもらいました」とか、そういう華々しい実績を並べれば評価されると思っていた。

でも実際の面接で面接官が知りたいのは、その実績そのものじゃない。「うちの会社に来ても、同じようなパフォーマンスを再現できるか」という点なんだ。つまり、あなたの成功が「たまたま良いチームにいたから」「たまたま良い案件に当たったから」じゃなくて、あなた自身の思考プロセスや行動パターンから生まれたものかを見ている。

だから面接では、実績を語るときに「何をしたか」だけじゃなくて「なぜそう考えたか」「どう判断したか」「失敗したときにどうリカバリーしたか」まで語る必要がある。これがマーケターの面接で特に重要になる視点だ。

「なぜこの会社か」より大事な「なぜ今か」

志望動機を聞かれたとき、多くの人は「御社のビジョンに共感して」とか「御社のプロダクトが好きで」みたいな話をする。もちろんそれも大事なんだけど、面接官はもっと別のことを知りたがっている。それは「なぜ今、転職するのか」だ。

ぼくがアクセンチュアの面接で実際に聞かれたのも、まさにこれだった。「博報堂は良い会社だと思うけど、なぜ今辞めようと思ったの?」という質問。これに対して「もっと成長したいから」みたいな抽象的な答えをすると、「じゃあ博報堂にいても成長できるんじゃない?」と突っ込まれる。

大事なのは、今の環境では得られない「具体的な何か」を言語化すること。ぼくの場合は「代理店では最終的な経営判断に関われない。戦略だけじゃなくて実行までコミットする環境で働きたい」という明確な理由があった。これは後で詳しく書くけど、「なぜ今か」に答えられないと、どんなに良い志望動機を語っても説得力がない。

面接回数・フローの違いを知っておく

転職面接の回数や流れは、転職先の種類によってかなり違う。ぼくが経験したアクセンチュアの場合は、人事面接→現場マネージャー面接→役員面接という3回の面接があった。それぞれで聞かれることも見られるポイントも違う。

事業会社のインハウスマーケターに転職する場合は、もっとカジュアルな面接が多い。カジュアル面談から始まって、実質2回くらいの面接で内定が出ることもある。逆に外資系のコンサルファームだと、ケース面接があったり、5回以上面接があったりすることもある。

だから「面接対策」といっても、どんなフローなのかを事前にエージェントから聞いておくことが重要。それによって準備の深さも変わってくる。ぼくの場合、エージェントから「アクセンチュアは3回面接があって、2回目の現場面接が一番重要」と聞いていたので、そこに照準を合わせて準備した。

ほぼ必ず聞かれる質問と答え方

「転職理由を教えてください」──ネガティブな本音をポジティブに変換する技術

これは100%聞かれる質問だ。でも、この質問への答え方で多くの人が失敗する。なぜなら、転職理由の本音ってたいていネガティブだから。「上司と合わない」「給料が安い」「仕事がつまらない」──こういう本音をそのまま言うわけにはいかない。かといって、まったく別の建前を語ると、面接官には見透かされる。

ぼくが実践したのは「ネガティブな本音を、ポジティブな動機に翻訳する」という方法だ。たとえばぼくの場合、博報堂を辞めたいと思った本音は「代理店の仕事に限界を感じた」というネガティブなものだった。でも、これをそのまま言うと「不満があって辞める人」に見えてしまう。

だからぼくは「代理店での13年間で、クライアントのビジネス成長に貢献する楽しさを知った。でも、提案して終わりではなく、実行と成果までコミットする環境で働きたいと思うようになった」という言い方に変えた。これは本質的には同じことを言っているけど、「前向きな成長意欲」として伝わる。

ポイントは、ネガティブな理由を「○○がないから辞める」ではなく「○○を求めて次に進む」という未来志向の言葉に変換すること。そして、その「○○」が転職先で実現できることを示す。これができると、転職理由が説得力を持つ。

「これまでの実績を教えてください」──STAR法を使いすぎない

実績を聞かれたとき、よく言われるのが「STAR法」だ。Situation(状況)、Task(課題)、Action(行動)、Result(結果)という流れで語る方法。確かに論理的に伝わるんだけど、ぼくはこれを使いすぎるのは良くないと思っている。

なぜなら、STAR法で語ると、どうしても「型にはまった説明」になってしまうから。面接官は何十人もの候補者と面接している。その中で「状況はこうで、課題はこうで、行動はこうで、結果はこうです」という説明を聞き続けると、正直飽きる。それに、マーケターの仕事って、そんなにきれいに説明できるものばかりじゃない。

ぼくがアクセンチュアの面接で実績を語ったときは、もっとストーリー的に話した。「あるクライアントのブランドリニューアルを担当したんですけど、最初は全然うまくいかなくて」という入り方で、失敗談から入った。そこからどう考えて、どう巻き返したか、というストーリーを自然に語る。その方が、面接官も興味を持って聞いてくれる。

大事なのは「あなたがどう考える人か」が伝わること。STAR法は頭の中で整理する分にはいいけど、実際に話すときは、もっと人間的なストーリーにした方がいい。失敗したこと、悩んだこと、そこからどう学んだか。そういう等身大の話の方が、再現性が伝わる。

「なぜ弊社を選んだのですか」──「御社が好きです」では通らない

志望動機を聞かれたとき、多くの人が「御社のビジョンに共感しました」とか「御社のプロダクトが素晴らしいと思いました」という言い方をする。でも、これだけだと全然伝わらない。なぜなら、それは「好き」という感情であって、「なぜここで働く必要があるか」という論理じゃないから。

ぼくがアクセンチュアの面接で意識したのは、「自分のキャリアの文脈の中で、なぜこの会社が必然なのか」を語ることだった。「博報堂で13年間、ブランド戦略を中心にやってきた。その中でわかったのは、戦略を作るだけじゃなくて、実行と成果までコミットすることの重要性。そのためには、テクノロジーやデータを使った実行支援ができる環境が必要だと思った。それができるのが、アクセンチュアのCreative Divisionだと思った」という流れ。

これは「御社が好き」じゃなくて、「自分のキャリアの次のステップとして、ここが最適だと論理的に判断した」という言い方。こう話すと、面接官も「この人は本気で考えているな」と感じてくれる。

そしてもう一つ重要なのが、「他社ではなく、なぜここか」を語ること。たとえばぼくの場合、「同じコンサルでも、戦略コンサルではなくてアクセンチュアを選んだのは、クリエイティブとテクノロジーが融合している点に魅力を感じたから」という差別化要因を明確にした。これがあると、志望動機に深みが出る。

「5年後どうなっていたいですか」──キャリアビジョンの落とし穴

この質問も定番なんだけど、答え方を間違えると危険な質問でもある。よくある失敗は、「5年後は御社で○○のポジションになっていたいです」みたいな会社依存の答え方。これだと「この人はポジションが欲しいだけなのかな」と思われてしまう。

ぼくが面接で答えたのは、「5年後は、マーケティング戦略と実行を一気通貫で担える人材になっていたい。そのためには、まずはアクセンチュアで実行支援の経験を積んで、その後は戦略から実行まで自分でリードできるプロジェクトに関わりたい」という言い方だった。

ポイントは、「どんなポジションになりたいか」ではなく「どんな価値を提供できる人間になりたいか」で語ること。そして、その実現のために今応募している会社がどう役立つかを示す。これができると、「この人は成長意欲がある」と評価される。

ただし、一つ注意点がある。あまりにも長期的すぎるビジョンを語ると、「すぐ辞めそう」と思われることもある。「将来は独立したい」とか「いずれは海外で働きたい」みたいな話は、面接では言わない方が無難。5年後のビジョンは、その会社で実現できる範囲のことを語る方がいい。

コンサルへの転職面接で特有の質問

「あなたのコンサルとしての強みは何ですか」──代理店出身者への難問

これはぼくがアクセンチュアの面接で実際に聞かれて、一番答えるのに苦労した質問だ。なぜなら、ぼくは代理店出身で、コンサルタントとして働いた経験がなかったから。「コンサルとしての強み」と言われても、正直ピンとこなかった。

でも、よく考えてみると、代理店の仕事とコンサルの仕事には共通点がある。それは「クライアントの課題を構造化して、解決策を提案する」という本質的な部分。ぼくは面接で「博報堂での13年間で、クライアントの事業課題をブランドやコミュニケーションの視点で構造化し、解決策を提案してきた。この思考プロセスは、コンサルティングと本質的に同じだと思っている」という答え方をした。

そして、「ただし、代理店ではどうしても実行までコミットできない。だからこそ、実行と成果まで責任を持つコンサルティングに挑戦したい」と続けた。この「代理店での経験をコンサルの文脈に翻訳する」というプロセスが、とても大事だった。

もしあなたがマーケターからコンサルに転職するなら、自分の経験を「コンサルの言葉」で語れるようにしておく必要がある。「マーケティング施策を実行しました」じゃなくて「クライアントの事業課題に対して、マーケティング戦略を構築し、実行計画まで提案しました」という言い方。これができると、コンサルとしてのポテンシャルが伝わる。

ケース面接はあるのか?──コンサル転職でのケース対策

コンサルファームへの転職を考えているなら、多くの人が気になるのが「ケース面接はあるのか」という点だと思う。ぼくがアクセンチュアを受けたときは、実はケース面接はなかった。これは職種やポジションによっても違うんだけど、マネージャークラス以上の中途採用では、ケース面接がないことも多い。

ただし、ケース面接がないからといって、論理的思考力を見られないわけじゃない。むしろ、通常の面接の中で「この人は論理的に考えられるか」「構造的に物事を捉えられるか」というのを見られている。たとえば実績を聞かれたときに、「なぜそのアプローチを選んだのか」「他にどんな選択肢があったのか」「結果をどう評価したのか」という質問が来る。これは実質的なケース面接だ。

だから、ケース面接の対策本を読んでフレームワークを勉強するよりも、自分の実務経験を論理的に説明できるようにしておく方が大事。「このプロジェクトで、自分はどういう思考プロセスで意思決定をしたか」を、後から振り返って言語化しておく。それが一番の対策になる。

「クライアントに嫌われた経験はありますか」──対人スキルを見る質問

これも印象的な質問だった。コンサルはクライアントワークだから、対人スキルがとても重要。でも、「あなたはコミュニケーション能力が高いですか」なんて直接聞いても、誰だって「はい」と答える。だから面接官は、こういう具体的な経験を聞いてくる。

ぼくは正直に答えた。「あるクライアントのプロジェクトで、先方の役員の方に強く反対されたことがあります。ぼくたちの提案が、その役員の方のこれまでの方針と真逆だったから。でも、その役員の方と何度も議論を重ねて、なぜ今そのアプローチが必要なのかを丁寧に説明した結果、最終的には賛同していただけました」という経験を語った。

この質問で大事なのは、失敗や困難な経験を隠さずに語ること。そして、それをどう乗り越えたかを具体的に話すこと。「嫌われた経験はありません」なんて答えたら、「この人は本当のことを言っていないな」と思われる。むしろ、困難な対人関係をどう乗り越えたかを語ることで、あなたのコミュニケーション能力が伝わる。

ぼくがアクセンチュア面接で実際に聞かれた質問

ここまで一般的な質問について書いてきたけど、実際にぼくがアクセンチュアの面接で聞かれた質問をいくつか共有したい。これは職種や時期によって違うと思うけど、参考になるかもしれない。

  • 「博報堂で13年働いて、一番の失敗は何ですか?」
  • 「代理店出身として、社内でプロジェクトを進めることに不安はありませんか?」
  • 「あなたが一番苦手なタイプのクライアントは?」
  • 「マーケティングとテクノロジーの関係をどう考えていますか?」
  • 「なぜ40歳のタイミングで転職しようと思ったんですか?」

これらの質問に共通しているのは、「定型的な答えができない」ということ。それぞれ、自分の経験や考え方を深く掘り下げて答える必要がある。だから、面接の準備では「想定問答集」を作るよりも、自分のキャリアを振り返って、どんな質問が来ても自分の言葉で答えられるようにしておくことが大事だと思う。

事業会社マーケターの面接で特有の質問

「うちのプロダクトをどうマーケティングしますか」──即興の戦略構築

事業会社のインハウスマーケターに転職する場合、高確率でこの質問が来る。「うちの商品・サービスを、あなたならどうマーケティングしますか?」という、ある種のケース面接だ。これは代理店出身のマーケターにとっては得意分野のはずなんだけど、実は落とし穴がある。

代理店にいると、クライアントの事業やプロダクトを深く理解してから戦略を作る癖がついている。でも、面接の場では、その企業のことを完璧に理解しているわけじゃない。だから、中途半端な知識で戦略を語ろうとすると、逆に底の浅さが露呈してしまう。

ぼくがこの質問に答えるときに意識しているのは、「完璧な戦略を語る」のではなく「どう考えるかのプロセスを見せる」こと。たとえば「まず、御社のプロダクトの競合優位性がどこにあるのかを理解する必要があると思います。その上で、ターゲット顧客がどういう課題を持っているかをリサーチして…」という感じで、思考の流れを見せる。

そして、「ただ、これは今の限られた情報での仮説なので、もし入社したら、まずは現場のメンバーや顧客の声を聞くことから始めたいです」と付け加える。この「自分の限界を認識している」という姿勢が、実は面接官には好印象に映る。

「データ分析の経験を教えてください」──定量スキルを問う質問

事業会社のマーケターは、代理店以上にデータを扱う機会が多い。だから面接でも、データ分析のスキルを聞かれることが多い。「どんなツールを使えますか」「どんな分析手法を使ったことがありますか」という質問だ。

ここで大事なのは、ツール名を羅列することじゃない。「どんな課題に対して、どんなデータを使って、どう分析して、どんな示唆を得たか」というストーリーで語ること。たとえばぼくの場合、「あるキャンペーンの効果測定で、Google Analyticsのデータと広告配信データを掛け合わせて、どのクリエイティブが最も効果的だったかを分析しました」という具体例を語った。

もしデータ分析の経験が少ない場合は、正直にそれを認めた上で「ただし、データから示唆を読み取る思考力は持っている」というアピールをする。たとえば「SQLは書けませんが、データサイエンティストが出してくれた分析結果から、マーケティング施策への示唆を導き出すことは得意です」という言い方。スキルの有無よりも、データをどう活用するかという姿勢が大事だ。

「代理店出身として、インハウスで働くことへの不安はありますか」──転職後のギャップを問う質問

これは代理店出身者が事業会社に転職するとき、ほぼ確実に聞かれる質問だ。なぜなら、代理店とインハウスマーケターの働き方は全然違うから。面接官は「この人は環境の変化に適応できるか」を見ている。

ここで「特に不安はありません」と答えるのは逆効果だ。なぜなら、代理店とインハウスの違いを理解していないように見えるから。むしろ、「正直に言うと、不安はあります」と認めた上で、「でも、だからこそ挑戦したい」という言い方をする方がいい。

たとえば「代理店では複数のクライアントを同時に担当していたので、一つの事業に深くコミットする経験が少ない。だから最初は慣れるまで時間がかかるかもしれません。でも、一つのブランドをずっと育てていくことに、以前から興味がありました。短期的な施策だけじゃなくて、長期的なブランド構築に関われることが、ぼくにとっては大きな魅力です」という感じ。

不安を認めつつ、それを「挑戦の動機」に変換する。この話し方ができると、面接官は「この人は自己認識がしっかりしている」と評価してくれる。

面接で「やってはいけない」こと

前職の愚痴・悪口──どんなに酷い環境でも

これは転職面接の鉄則として言われることだけど、本当に大事だから改めて書いておく。どんなに前職がひどい環境だったとしても、面接で愚痴や悪口を言ってはいけない。「上司が無能でした」「会社の方針が間違っていました」「同僚がやる気なくて」──こういう話をすると、面接官は「この人は他責思考だな」と思ってしまう。

でも、実際には前職に不満があって転職する人がほとんどだ。その本音をどう伝えるかが難しい。ぼくが意識したのは、「環境や他人のせいにせず、自分の選択として語る」ということ。

たとえば「上司と合わなかった」を言い換えると、「自分とは違う仕事の進め方をする上司の下で働く中で、自分がどういう環境で最もパフォーマンスを発揮できるかがわかった」という言い方になる。これは本質的には同じことを言っているけど、前向きな学びとして伝わる。

面接官だって、前職が完璧だったら転職しないことはわかっている。だから、ネガティブな理由があること自体は問題じゃない。大事なのは、それを「学び」や「気づき」として語れるかどうかだ。

「まだ迷っています」という本音の出し方──正直さとコミットメントのバランス

面接では、嘘をつかない方がいい。でも、だからといって「実はまだ他社とも面接していて、迷っています」なんて正直に言うと、「この人はうちが第一志望じゃないんだな」と思われてしまう。このバランスが難しい。

ぼくが実際に他社とも並行して面接を受けていたときは、「現在、複数の企業と面接をさせていただいていますが、御社が最も自分のキャリアビジョンと合致していると感じています」という言い方をした。「迷っています」ではなく「比較検討しています」という表現にすることで、ネガティブな印象を減らす。

そして大事なのは、「なぜ他社ではなく、ここが第一志望なのか」を具体的に語ること。単に「御社が一番良いと思います」じゃなくて、「○○という点で御社が最も自分の求めている環境だと感じています」と具体的に言う。これができると、「迷っている」という事実を伝えつつも、コミットメントも示せる。

給与・条件を最初に聞く──優先順位の見え方

給与や勤務条件は、転職において重要な要素だ。でも、面接の最初や途中でこれを聞くと、「この人はお金だけで決めるんだな」という印象を与えてしまう。特にマーケターのような専門職の面接では、「やりがい」や「成長」よりも「条件」を優先していると見られると、評価が下がる。

ぼくが実践したのは、給与の話は「最後の最後」にすること。面接の流れの中で、自然と給与の話題になるまで待つ。もし面接の中で給与の話が出なければ、面接の終わりに「最後に、給与や条件面についても教えていただけますか」と聞く。このタイミングなら、「条件だけで決める人」には見えない。

そして、給与交渉をするときも、「○○万円欲しいです」という言い方ではなく、「現職の年収が○○万円で、転職によって大きく下がると生活が厳しいので、同等以上を希望しています」という言い方をする。「生活のため」という理由なら、面接官も理解しやすい。

ぼくが一度面接で失敗した経験談──緊張して言葉が出なかった日

ここまで面接のコツを偉そうに書いてきたけど、実はぼくも面接で失敗した経験がある。それは、アクセンチュアの面接ではなく、その前に受けていた別のコンサルファームでの話だ。

その日、ぼくは朝から緊張していた。面接時間の30分前に会社に着いて、近くのカフェで待っていたんだけど、緊張しすぎてコーヒーを飲んでもまったく落ち着かない。そして面接が始まると、最初の質問「自己紹介をお願いします」という簡単な質問に、なぜか頭が真っ白になってしまった。

準備していたはずの自己紹介が、まったく言葉にならない。「えっと、ぼくは、博報堂で、えっと…」みたいな感じで、しどろもどろになってしまった。面接官は優しく「落ち着いてください」と言ってくれたけど、その後の質問にもうまく答えられず、面接は散々だった。当然、その会社からは不採用の連絡が来た。

この経験から学んだのは、「準備」と「リラックス」のバランスが大事だということ。どんなに完璧に準備しても、緊張しすぎていたら本来の力が出せない。だから、面接前日は早く寝る、当日は余裕を持って会社に行く、面接直前に深呼吸する──こういう基本的なことが、実はとても重要だった。

面接前日・当日にやること

企業研究の「深度」の基準──どこまで調べればいいか

面接前の企業研究は大事だけど、どこまで調べればいいかわからない人も多いと思う。ぼくの基準は、「面接官と同じレベルの情報を持っているか」だ。つまり、企業のホームページに載っている情報やプレスリリースは、面接官も当然知っている。それ以上の情報を持っているかどうかが、差をつけるポイントになる。

具体的には、以下のような情報を調べておく。

  • 企業の最新の決算情報(特に売上・利益の推移)
  • 直近1年の主要なプレスリリース
  • 競合他社との違い・ポジショニング
  • その企業が抱えている課題(ニュース記事や業界レポートから推測)
  • 面接官個人の経歴(LinkedInやXで調べる)

特に最後の「面接官個人の経歴」は、実はとても役立つ。たとえば面接官が元々別の業界から転職してきた人だとわかれば、「○○さんも、以前は△△業界にいらっしゃったんですよね」みたいな会話のきっかけが作れる。これは面接を「試験」ではなく「対話」にする重要なポイントだ。

面接官のLinkedIn・Xを見る──事前の関係構築

今の時代、多くのビジネスパーソンがLinkedInやX(旧Twitter)で情報発信をしている。面接官の名前が事前にわかっているなら、必ずこれらのSNSをチェックしておく。そこでの発言やプロフィールから、その人の価値観や興味関心がわかる。

たとえばぼくがアクセンチュアの面接を受けたとき、面接官の一人がXでマーケティングテクノロジーについて頻繁に発信している人だった。だから面接の中で、「マーケティングとテクノロジーの融合」という話題を意識的に出すようにした。すると、その面接官はとても興味を持って話を聞いてくれて、面接が盛り上がった。

これは「ゴマすり」ではなく、「相手が興味を持つ話題を選ぶ」というコミュニケーションの基本だ。面接は一方的に質問される場ではなく、対話の場。だから、相手が何に興味を持っているかを事前に知っておくことは、対話を成立させるために重要なことだ。

当日のマインドセット──「評価される」ではなく「確認する」

面接当日、多くの人は「評価されに行く」という気持ちになってしまう。でも、この姿勢だと緊張してうまく話せなくなる。ぼくが意識したのは、「自分もこの会社を確認しに行く」というマインドセットだった。

つまり、面接は一方的に評価される場ではなく、「この会社は自分に合っているか」「この人たちと一緒に働きたいか」を確認する場でもある。このマインドセットを持つと、不思議と緊張が和らぐ。なぜなら、「評価される」ではなく「対等な立場で対話する」という感覚になるから。

実際、ぼくがアクセンチュアの面接で一番印象に残っているのは、面接官に逆質問したときのことだ。「アクセンチュアのCreative Divisionで働く上で、一番の課題は何ですか?」と聞いたら、面接官が「それは…」と少し考えてから、正直に組織の課題を話してくれた。その瞬間、「この人たちは誠実だな」と感じて、この会社で働きたいと思った。

面接は、あなたが会社を選ぶ場でもある。だから、「確認する」というマインドで臨むことが、結果的に良いパフォーマンスにつながる。

転職エージェントの面接サポートを最大限使う

エージェントの面接フィードバックをもらう方法

多くの人が転職エージェントを使っているけど、面接後のフィードバックを十分に活用できていない人が多い。ぼくが実践したのは、面接が終わったら必ずエージェントに電話して、「今回の面接、どうでしたか?」と聞くことだった。

エージェントは企業側からフィードバックをもらえる立場にある。だから、「どこが良かったか」「どこが懸念点だったか」という生の情報を持っている。これを次の面接に活かさないのはもったいない。

たとえばぼくの場合、アクセンチュアの1回目の面接後に、エージェントから「実績の説明が具体的で良かったけど、もう少しアクセンチュアで何をしたいかを熱く語った方がいい」というフィードバックをもらった。だから2回目の面接では、志望動機の部分をより強調して話すようにした。その結果、2回目の面接ではより良い手応えを感じることができた。

「想定問答集」を一緒に作る──練習相手としてのエージェント

面接の準備として、想定問答集を作る人は多いと思う。でも、一人で作ると、どうしても「自分に都合のいい質問」ばかり想定してしまう。だから、エージェントと一緒に想定問答集を作ることをおすすめする。

ぼくはエージェントに「この会社の面接では、どんな質問がよく出ますか?」と聞いて、リストを作ってもらった。そして、それぞれの質問に対して、自分なりの答えを用意した。さらに、エージェントに「この答え方で大丈夫ですか?」と確認してもらった。

エージェントは何百人もの転職者を支援しているから、どんな答え方が評価されるか、どんな答え方がNGかを知っている。だから、エージェントのフィードバックを受けながら答えをブラッシュアップすることで、面接の質が上がる。

もし転職エージェントをまだ使っていないなら、早めに登録しておくことをおすすめする。マーケター転職に強いエージェントとしては、[AFFILIATE:JACリクルートメント]や[AFFILIATE:リクルートエージェント]などがある。これらのエージェントは、面接対策のサポートもしっかりしているので、初めての転職でも安心だ。

模擬面接をやってもらう──本番さながらの練習

エージェントのサポートで最も価値があるのが、模擬面接だ。これは実際に面接と同じ流れで、エージェントが面接官役をやってくれるサービス。ぼくも面接前に一度やってもらったけど、これがめちゃくちゃ役に立った。

なぜなら、頭の中で考えている答えと、実際に声に出して話す答えは全然違うから。頭の中では論理的に整理できていると思っていても、いざ話してみると、言葉が出てこなかったり、話が長すぎたりする。模擬面接をすることで、こういう「ズレ」に気づける。

そして、エージェントからのフィードバックも的確だった。「この答え方だと、少し自信がなさそうに聞こえます」とか「この部分、もう少し具体例を入れた方がいいですね」とか。こういう細かい指摘が、本番の面接で大きな差になる。

模擬面接は、多くのエージェントが無料で提供しているサービスだ。だから、積極的に活用しない手はない。特に、コンサルや外資系企業への転職を考えているなら、模擬面接は必須だと思う。

まとめ──面接は「試験」じゃなくて「相互確認の場」

ここまで、マーケター転職の面接について、かなり具体的に書いてきた。実体験をもとに書いたから、少し生々しい話もあったかもしれない。でも、これが転職面接のリアルだ。

最後に伝えたいのは、面接は「試験」じゃなくて「相互確認の場」だということ。あなたが企業に評価されるだけじゃなく、あなたも企業を評価する。この会社は本当に自分に合っているか、この人たちと一緒に働きたいか。それを確認する場だ。

だから、面接で緊張するのは当然だけど、必要以上に怖がる必要はない。準備をして、自分の言葉で語れば、それでいい。完璧な答えを用意する必要はない。むしろ、あなたらしさが伝わる面接の方が、結果的にうまくいく。

ぼくも博報堂からアクセンチュアに転職するとき、面接前は不安だった。でも、実際に面接を受けてみたら、「対話」として楽しめた。面接官との会話の中で、「この会社で働きたい」という気持ちが強くなっていった。

あなたもきっと、そういう面接ができる。この記事が、その準備の助けになれば嬉しい。

転職活動全体の流れや、エージェントの選び方については、別の記事でも詳しく書いている。よかったらそちらも読んでみてほしい。あなたの転職がうまくいくことを、心から願っている。