よそおいの話

読むより耳でインプットする──独立マーケターがAudibleを手放せない理由

本棚に、読みかけの本が並んでいる。

買ったときは「絶対読む」と思っていた。でも仕事が忙しいと後回しになる。週末に読もうとしても、30ページで眠くなる。気づいたら半年経っていた、という本が何冊かある。

AmazonのオーディオブックAudibleを使い始めたのは、そういう積ん読を消化したかったのがきっかけだった。でも実際に使ってみると、積ん読の消化という用途を超えて、インプットの習慣そのものが変わった。

なぜ「読む」より「聴く」のか

Audibleを使い始める前、正直「ながら聴きで頭に入るのか」と思っていた。読書は集中してやるもの、という意識があった。でも使い続けて考えが変わった。

「読む時間」は作れないが、「聴く時間」はどこにでもある

イヤホンをしながらジョギングする人──移動中にAudibleで学ぶ
走りながら、通勤しながら。「聴く時間」はどこにでも作れる。

紙の本を読むには、座って、本を開いて、画面や手元に視線を向ける必要がある。仕事が詰まっている日や、移動が多い日は、そのための時間を意図的に確保しないと読めない。

耳は違う。移動しながら、走りながら、運転しながら使える。視覚と手を他のことに使いながら、耳だけはインプットに使える。つまり「本を読む時間を新たに作る」のではなく、「すでにある時間を二重に使う」感覚だ。

ぼくの場合、ジョギングの40分と出張の移動時間だけで、月に6冊分を聴き終える。この時間はAudibleがなければ音楽かSNSに使われていた時間だ。

「読み切れない本」が聴けるようになる

ぼくはADHD気味で、集中が続きにくい。ビジネス書を読もうとして50ページで止まる、という経験を何度もしてきた。紙の本は「読まなければいけない」という義務感が生まれやすく、それがプレッシャーになって手が伸びなくなる。

Audibleは、本を「流す」ことができる。聴き逃した部分があっても、全体の流れはつかめる。「完璧に読まなければ」というプレッシャーが薄れて、インプットのハードルが下がった。

結果として、紙では積ん読になっていた本が耳では最後まで聴けた、という経験が何冊もある。

速度を上げると効率が変わる

Audibleは再生速度を変えられる。ぼくは普段1.3〜1.5倍速で聴いている。慣れると1.5倍速でも内容は十分入ってくる。1冊6時間かかる本が、4時間で聴き終わる計算だ。

集中力が続きやすい時間帯は1.5倍、疲れているときや難しい本は等速、という使い分けをしている。紙の本にはこの調整ができない。

「耳から入る」と定着しやすい内容がある

すべての本が耳向きではないが、体験談・エッセイ・インタビュー形式の本は、著者の声で読まれると没入感がある。著者自身がナレーションしている本は特にそうで、文章の裏にある感情や温度感が伝わってくる。

また「一度流して全体像をつかむ→気になった章を紙で読み返す」という使い方ができるのも、Audibleの強みだと思っている。1冊の本を2回インプットするような感覚になる。

ところで、Audibleとは何か

AudibleはAmazonが運営するオーディオブックサービスです。本をプロのナレーターや著者本人が読み上げた音声データを、スマートフォンやタブレットで聴くことができます。

日本語・英語を中心に40万冊以上のタイトルが揃っており、ビジネス書・小説・自己啓発・語学・ポッドキャストなど幅広いジャンルに対応しています。

料金は月額1,500円(税込)の聴き放題プランが基本です。対象タイトルであれば何冊でも聴けます。最初の30日間は無料で試せるので、気軽に始められます。

ダウンロードしてオフラインで聴けるため、電波のない場所でも問題ありません。再生速度は0.5倍〜3.5倍まで調整でき、速度を上げて効率的にインプットすることも、ゆっくり味わって聴くこともできます。

「本は読むもの」という前提を変えると、インプットできる時間が一気に増えます。ぼくがAudibleを使い始めたのはそういう発想からで、今では移動中・ジョギング中・ドライブ中と、いつの間にか生活に溶け込んでいます。

ぼくの3つの「聴き場面」

Audibleを使う場所が決まっている。毎回この3つのどれかだ。

① 出張の移動中

新幹線の車内でくつろぐ人──出張移動中にAudibleを聴く
移動中の2〜3時間は、集中して聴ける時間でもある。

独立してから、クライアント先への移動が増えた。電車で30分、新幹線で1時間、という時間が週に何度かある。以前はスマートフォンでSNSを流し見していた。今はAudibleを聴いている。

移動中の読書は、紙の本だと混雑した車内で開くのが難しい。イヤホンを挿して目を閉じているだけでいい、というのは思いのほか快適だった。

② ジョギング中

夜のジョギング中にイヤホンで音声を聴く人
夜のジョギングは、インプットのゴールデンタイムになった。

週2〜3回、朝か夜に走る習慣がある。以前は音楽を聴きながら走っていたが、Audibleに替えてから、走ることが「インプットの時間」になった。

30〜40分走ると、本が1〜1.5チャプター進む。1ヶ月走り続けると、1冊読み終わっている。ジョギングとAudibleの組み合わせは、習慣を「二重に」使える点がいい。

③ 東京→神戸の長距離ドライブ

長距離ドライブ中のカーステレオ──Audibleで本を聴きながら運転

ぼくは東京在住で、実家が神戸にある。車で帰省すると片道5〜6時間かかる。以前はラジオや音楽で時間を潰していたが、今はAudibleで2〜3冊分を一気に聴く。

長距離ドライブはAudibleと最高に相性がいい。高速道路は単調な操作が続くので、耳と頭だけが暇になる。気づいたら目的地に着いていて、本を1冊聴き終わっていた、という体験が何度もある。

Audibleで聴いてよかった2冊

Audibleで聴いてよかった本の傾向がある。「インプット欲は掻き立てられるけど、腰を据えて読むにはハードルが高い本」だ。概念が多かったり、ページ数が多かったりする本が、耳で聴くとすんなり入ってくる。

『ユニークな行動を取れる人がいつも考えていること』

なぜある人は「普通と違う選択」ができるのか、という問いに答えていく本。紙で読むとじっくり立ち止まりたくなる内容が多いのだが、Audibleで聴くと「一度流して全体像をつかむ」ことができる。その後、気になった章だけを紙で読み返す使い方をしている。

マーケターとして、差別化の本質を考えるときに参考になる視点が多かった。

『正しい答えを導く質問力』

クライアントとの打ち合わせや、チームとのMTGで「どう問いを立てるか」は仕事の質に直結する。この本は「質問の設計」について体系的に書かれているのだが、文章量が多く、紙だと読み進めるのに体力がいる。

Audibleで聴いたら、むしろ「講義を聞いている」感覚で素直に入ってきた。通勤や移動中に少しずつ聴いて、2週間で聴き終えた。

Audibleが向いている本・向いていない本

3年使ってきて、向き不向きがわかってきた。

向いている本

  • ビジネス書・自己啓発書(ストーリーより概念が中心のもの)
  • ページ数が多くて読み切るのに時間がかかる本
  • 何度も読み返したい本(紙で読んだ本をAudibleで再読)
  • エッセイ・体験談系(著者が読み上げているものは特に良い)

向いていない本

  • 図表・グラフが多いビジネス書(数字や図が聴いてもわからない)
  • ノウハウを手を動かしながら学ぶ本(実践書・ワークブック系)
  • 詩集・文学(文字で読む体験に意味がある)

月6冊のインプットが習慣になった

Audibleを使い始める前、月に本を読み切るのは1〜2冊だった。今は月6冊前後を聴き終えている。年間にすると70冊を超える。

インプットが増えると、アウトプットも変わった。Threadsや記事を書くとき、「そういえばあの本にこういう話があった」という引き出しが増えた。仕事の会話でも、少し前に聴いた本の話が自然に出てくることが増えた。

本を「読む」時間は限られていても、「聴く」時間はどこにでも作れる。移動中、運動中、家事中、どこでもインプットできる環境が変わっていくと、思考の密度が上がっていく感覚がある。

Audibleの料金と始め方

Audibleは月額1,500円(税込)のサブスクリプション。月1コインがもらえて、コイン1枚で好きな本1冊と交換できる。コインを使わずに購入することもできる。

はじめて登録する人は30日間無料体験が使える。無料期間中に解約すれば費用はかからない。まず試してみて、続けるかどうかを判断するのがいいと思う。

ぼくは3年使っていて、解約したことがない。月1,500円で月6冊聴けるなら、1冊あたり250円。本1冊の値段を考えると、かなりコスパがいい。

AmazonのオーディオブックAudible

移動やジョギングの時間を「インプットの時間」に変えると、同じ時間でできることが増える。積ん読が気になっている人や、本を読む時間がなかなか取れない人に、試してみてほしいと思っている。